薄氷の殺人 | シネマド館

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世界の映画を見ていると世界を旅しているように感じる・・・というブログではなく単なる「映画」と「おでかけ・旅行」をメインにしたブログです。とは言いながらも結構他のことも書いてます・・。

薄幸の美人

薄氷の殺人(白日焰火)

(2014年/中国・香港/109分)

監督:刁亦男


【ストーリー】

中国・華北地方で切断された死体の断片が次々に発見され、刑事ジャン(リャオ・ファン)が捜査に当たるが、容疑者の兄弟が逮捕時に射殺されたため詳細は誰にもわからなくなってしまう。5年後、しがない警備員となっていたジャンは以前の事件と手口が類似した猟奇殺人が発生したことを知り、独自に調査を開始。やがて、被害者たちはいずれもウー(グイ・ルンメイ)という未亡人と近しい関係だったことを突き止めるが……。(シネマトゥデイさんより)




【かんそう】


第64回(2014年)ベルリン国際映画祭で金熊賞(グランプリ)&銀熊賞(主演男優賞)を受賞した作品です。


しかも監督は『スパイシーラブスープ』や『こころの湯』の脚本家の刁亦男と言うではありませんか!!

劇場で観るのをとても楽しみにしていました♪




不思議な映画でした。

見ごたえがあったからスクリーンにくぎ付け!とも言えるし、観てないとわからんからスクリーンにくぎ付け!とも言えるし。


観ているスクリーンの奥にもう一枚スクリーンがあってそこでクリアな物語やセリフが展開されているような・・・



いや、わかるんですよ。


ストーリーは。



大枠なストーリーはとてもわかりやすいと思います。


ミステリーやサスペンスとしての要素がメインではありませんので、そんなに複雑な作りでもありません。


でも出てくる人物たち、特に未亡人ウーがようわからんし、彼女がらみの事件を追っているジャンもなんかようわからん。


しかもセリフも少な目でぼわぁ~んとした雰囲気。



そういう映画であり、そういう映画を目指したんだろうなぁ、という気がしないでもないのですが。




じゃぁ、おもしろくなかったの?嫌いな映画?と聞かれたらそうでもないです。




あー!もー!そんなところもぼわぁ~ん!!ですわぁ。




引き込まれる画や、凝ってるわーな演出、笑えるーなシーンなどなど「おぉ・・・」と思わされる場面も多くてそういう部分では「見ごたえあるなぁ」と思いました。



以下、箇条書きですが気になった部分を書いてみます。



・舞台が凍てつく寒さの土地。寒い地方でのああいうお話は、なぜか、より閉塞感を感じ、胸がしめつけられてしまいます。

寒い地方が舞台で胸がきゅぅっとなる映画と言えば私の中ですぐに思い浮かぶのは『ぼくのエリ 200歳の少女』です。←大好き



・ウー(グイ・ルンメイ)の生脚。今思えば彼女があんな風に「悲しい」という感情を表に出して泣く事自体が不自然でしたよね。基本的には終始無表情に近かったし。


・ウーのボデーにぴったり沿うタートルネック



・美容院での銃撃戦


・1999年が舞台だったが、トンネルを抜けるとそこは2004年だった


・浴場で太った男性がツルッ・・・と足を滑らせるところ。あれはわざとでは・・・ないよね??



・クリーニング屋のおやっさんのかつら疑惑


・クリーニング屋のおやっさんのトラックの中でのコスプレプレイ。なんだったんでしょうか。あれは。




・スケート靴。スケート場。遠く、遠くに滑っていくウー。それを追いかけるジャン。追いつけそうで追いつけない。捕まえられそうで捕まえられない。このシーンにはゾクゾクしました。




・二人で観ていた3D映画。ちゃんと赤と青のメガネかけてましたねーふふ。

『侠女十三妹』と書かれていたのであとで調べてみたら日中合作の3D映画で1986年に公開されたようです。

無実の罪で一族を皆殺しにされた娘が武術の修業をつみ、いざ仇討へ・・・というお話なのですが、これもどうやらこの『薄氷の殺人』の内容を少し暗示させているようです。



・建物の中にいた馬


・ありがちなセクハラ。今でも地方にいけばああいうことはありそう。



・貧富の差。ネットカフェのシーンでもわかるように今では一瞬で大金持ちになったり、文無しに陥ったり。

この貧富の差も未亡人ウーを不幸に陥れた原因の一つかもしれません。



・安っぽいネオンの光。よかったです。かなり印象深いです。



・中国北方の食事って基本的に私の大好物が多いのですが、この映画に出てくるものは何一つ美味しそうに見えませんでした。(そんなに出てこなかったけど)


・ウーとジャンの朝食シーン。湯気がたくさん立っていて、本来ならば美味しいであろう肉まんとお粥。でも私には全く美味しそうに見えませんでした。また、ウーのそっけない態度から「あぁ。ジャン・・・」とジャンが哀れにも思えました。一晩共にして食事の場があの雰囲気って、もう・・完全にあきませんやん。「好き」とかいう感情ないですやん。


って、そんなことくらいわかってたかな。ジャンも。

観ているこちらからしたら、観覧車のくだりから別に感情なんてないでしょうよ、ウーは、てなもんでしたけど。


いや、男の人っと意外とわかってないかもね。




・これから新しい命が生まれてくるという若い夫婦の部屋で殺人の検証を行う警察とウー。その時の若い夫婦の何とも言えない表情が、申し訳ないけれど笑ってしまいました。



・ジャンの変なダンス




・私がこの映画で一番釘付けになったのが電車です!!!

この写真だけ見たら待合室か何か?と思ってしまいそうですが、これは列車の中。


こんな椅子の列車があるんやぁ!!と興味津々でした。


しかもでっかくてぼろい列車。



乗ってみたい。






と、こんなにたくさん気になるシーンなどがあるのになぜかぼわぁ~ん・・・な印象。


おんさんの記事にもコメントさせていただいたのですが、あまりにこちらが感じてしまう「余白」が多いからそういう印象なのかもしれません。



やっぱりそういうぼわぁ~んな映画なのかもしれませんねぇ。



クラッカーくうこのおまけクラッカー


・「この職業はこういう言い方するのかー!」と勉強のためにも、中国・台湾映画ではエンドクレジットもいつも以上に釘付けで観てしまいます。

今回、エキストラの役柄だと思うのですが


「公共车美女」


というのがあってびっくり。


「バスに乗っている美女」ということでしょうか。


「美女」て。


美女だったかどうだか全然覚えてないのが悔しいです!!




うりぼう4つ:うり坊 うり坊 うり坊 うり坊



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ありがとうございました☆