(2013年/フィリピン/81分)
監督:シージ・レデスマ
【ストーリー】
真っ赤な髪のエステラは、シンガーソングライターになることを夢見ながら、コールセンターで働いている。遅刻ばかりしてしまうエステラに、仕事もできるイケメンの先輩トレバーが教育係につくが、2人はすぐに意気投合。優しくサポートしてくれるトレバーに、エステラは次第に恋心を抱いていく。しかし、エステラがどんなに背伸びをしても、2人の間には超えられない壁があり……。(映画.comさんより)
【かんそう】
大阪アジアン映画祭2014でグランプリを受賞した作品です。
おめでとうございまーすぱーん
そして今現在、注目度大!と言われるフィリピン映画でございます!
私は映画祭でも観たのですが・・・
その時は「ええ映画やなぁ~」とは思いましたが、それほど入れ込んだわけではありませんでした。
夜の上映で疲れていたのか、ちょっとうっつらしていたこともあったし・・・(またか!!)
今回劇場公開されたのでぜひとも応援!!という気持ちもありましたが、再度しっかり観て自分の中に落とし込みたい!という気持ちもありました。
また、大賞に選ばれるほどの作品だったかなぁ?という思いがあったのも事実ですし。
・・・て、うっつらしていた私が言うのもなんですけど。
でも、どうであれ、やっぱり大好きなアジアン映画祭で上映された作品が劇場一般公開、となると本当に本当に嬉しいです。
さて今回はどうだったかと言いますと、1度目に観た時よりは面白く観ることができましたし、うっつら来ませんでした!(ふふふーん♪)
あと、「瑞々しさ」「切なさ」が1度目の時より、より一層感じたかなぁ。
そりゃ寝ずに観れたから当然か。いやいや、だってですよ、自分が好きになった人がですよ、女性には一切興味ないだなんて・・・
切なぁいわぁ・・・
主人公エステラはコールセンターで勤務しているのですが、遅刻ばーっかり。
そこで先輩のトレヴァーがエステラの教育係になります。
コンビを組んでからというもの二人の距離は急速に縮まります。
観ていてもほんと仲良しさんでいい感じ!
微笑ましくてかわいらしい二人です。
うんうん。仕事では頼りになるし、プライベートで一緒にいてても楽しくて居心地がいいなんてそりゃ好きになる可能性大だよね。
これって恋?!
トレヴァーが好き?!
てエステラが自分の気持ちに気づいたのはいいけれど、トレヴァーは実はゲイで。
しかも、トレヴァーが恋人と別れたと聞いて「ちょと嬉しっ」と思ったら、もう彼には新しい恋人ができていて・・・
エステラショーック!
トレヴァーには何の罪もないし、彼の事を嫌いになったわけではないけれど、エステラは彼を避けるように。
そうやんなぁ。どうしていいかわからんよなぁ。複雑よなぁ。
あんだけ仲良かったけれども。
トレヴァーもとまどいます。
トレヴァーがエステラに「怒ってるの?」「また元通りになりたい」とかラインするんだけど、返信が一切ない。
以前はあれだけ速くに返信が来ていたのに。
だけどエステラのfacebookはふつーに更新されていたりして・・・
トレヴァーがびーん・・・
じ・・自分だけ無視かぃ・・・
トレヴァーにとっても何とも言えない切ない状況が続きます。
恋の相手にはなりえないけれど、とても大切な存在には違いないエステラ。
その彼女にあのような態度を取られ続けるのはほんとつらかったと思います。
でもね。
エステラだって・・・エステラだって・・・
エステラがショックだったのはトレヴァーがゲイだった、という事実の先にある、彼が私の事を好きになることはないんだ、私の居場所は彼のそばではないんだ、という事だったんじゃないでしょうか。
二人の切ない気持ちを身近に感じ取れる等身大の映画でしたが、またエステラ自身にも共感、といいますか、親しみを感じる部分がありました。
エステラ自身、コールセンターで働いてはいるものの、本当はシンガーソングライターになりたいという夢があります。
しかし今の位置でなんとなくぐずぐずしていて、どうすることもなく、恋愛以外の部分でもくすぶっている状態。
なんか、こう1歩を踏み出す決定打がない。
うーむ。
わかるー
この映画は監督の実体験も反映されているそうです。
実際、監督も監督になる前は9年間コールセンターで働いていらしたので、きっとそういうくすぶっていたもやもや期間ってあったんだろうなぁ、と思います。
私も少なからずそういう「もーどーしよー。どーすんねんなー自分ー」な時期ってあったのでと彼女にすごく親近感を抱きました。
しかし、エステラもぐじぐじうじうじだけの女性ではありません。
自分の気持ちに折り合いをつけながらちょっとずつ顔をあげて次にSHIFTしていきます。
この映画の題名『SHIFT』。
この映画に、そして監督にもぴったりな題名だなぁと思いました。
監督初作品らしい初々しい作品だったと同時に「これが初長編作品?!」とびっくりするくらいの完成度でもありました。
新人監督さんですし「来るべき才能賞」(新人賞みたいなものです)でもよかったかもしれませんが、あえてグランプリに選ばれたところにやはりすごく期待が込められているような気がしました。
監督の次回作ももちろん楽しみだし、今後もやっぱり目が離せない東南アジア映画!!です!
くうこのおまけ
・エステラが歌うシーンがありますが、必見!いや必聴?!
とてもすてきな歌声です。
エステラを演じた彼女は実は女優ではなくシンガーです。
・大阪アジアン映画祭2014はなぜかジェンダーに関する映画が多かったです。この『SHIFT』もその内の1本かな。
・監督さんは小柄で笑顔の素敵な女性でした
うりぼう4つ:
ありがとうございました