天国と地獄 | シネマド館

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世界の映画を見ていると世界を旅しているように感じる・・・というブログではなく単なる「映画」と「おでかけ・旅行」をメインにしたブログです。とは言いながらも結構他のことも書いてます・・。

唸りました

天国と地獄

(1963年/日本/143分)


監督:黒澤明


【ストーリー】

エド・マクベインの原作を巨匠・黒澤明監督が映画化した傑作サスペンス。優秀な知能犯に刑事たちが挑む。ナショナル・シューズの権藤専務は、自分の息子と間違えられて運転手の息子が誘拐され、身代金3千万円を要求される。苦悩の末、権藤は運転手のために全財産を投げ出して3千万円を用意する。無事子どもは取り戻したが、犯人は巧みに金を奪い逃走してしまい、権藤自身は会社を追われてしまう……。(allcinemaさんより)


【かんそう】



黒澤明映画祭7本目です。

とても面白かったです。


原作の関係かどうかはわからないのですが「野良犬」よりはサスペンス度やドラマ感がとてもアップしていたように思います!!



前半は子ども救出劇で後半は犯人逮捕劇・・・とわかりやすく二分されていました。



前半では鉄道好きにはたまらないであろう(?)ボンネット型の「特急こだま」が登場します!!

一瞬だけ走っている姿が映るのですが私も思わず「おー!」と心のなかで絶叫してしまいました。



そしてこだまの中で繰り広げられる身代金受け渡し劇!

実際のこだまの中で撮影されたそうで、食堂車や運転席など、一瞬ですが映るたんびに「おー!」でした。


また列車という密室の中での権藤(三船敏郎)と刑事たちの「犯人を絶対逃すなよ!」という緊迫した様子がこちらにまで伝わってきてとてもハラハラドキドキしました!!!



ですが、犯人も巧妙でねぇ~。


権藤に受け渡し方法、お金を入れるかばん・・・など細かく指定してくるのですが、なぜそこまで細かく・・・というのが特急こだまの中で明らかになるのですが、それがわかった瞬間も「おー!」でした。



もう、驚いてばかりの私。あんぐり




後半は刑事ドラマ色が濃かったのですが、こちらもおもしろかったですわぁ。



いまでは考えられないような新聞社と警察のタッグにより各新聞社が合わせてある記事を出します。


それを読んだ犯人が焦り、とある行動に出ます。

今まで警察の裏をかきまくっていた犯人でしたがこの行動が命取りになります。


このシーンも鳥肌もんでした!(下記の「くうこのおまけ」欄に少し書いてます)


警察もキタ━(゚∀゚)━!ってなもんで犯人があぶり出されます。



犯人のあたりがつき、薬物売買の現場まで刑事たちが尾行するシーンがあるのですが、地味で「ちょと長いか?」と思えなくもないんですけどおもしろかったです。


思わず声出して笑ってしまったところもありました。


こういうユーモアを挟んでくるのも黒澤監督映画の好きなところです。ラブ




犯人は横浜のダンスホールで薬物売人と接触するのですが、その薬の受け渡し方もなんか私には新鮮でした。


横浜と言う土地柄、ダンスホールには外国人もたくさんいるのですが、壁に書かれているメニュー表には英語表記以外にハングル表記が普通にあったのが意外でした。

港町なので当たり前と言えばそうなのかもしれませんがどうも「英語」「中国語」というイメージが強かったので。



そして、麻薬常用者たちがはびこっている路地へと犯人は入っていくのですが・・・


ここがもう恐ろしくて・・・


実際こういうところもあったんだろうなぁ・・とは思うのですが。


生きているのに死んでいるような状態の人がゾンビのようにゆーらゆーら動いているのが怖かったです。



ダンスホールといい、麻薬常用者の巣窟といい、雑然とした戦後のリアルな様子が映し出されていたと思います。




最後はもちろん(?)がっつり犯人逮捕に至るのですが、またその犯人の犯行動機が



「えー!!!」



やっぱり驚く私。あんぐり



まさに「天国と地獄」でした。



犯人に面会する権藤。


権藤に向かって自分の想いを叫ぶ犯人。




・・・うーん。そういう思いもあるやもしれんけど・・・

あんなんしたらあかんわぁ。
罪を犯したらあきませんわぁ。


歪んだ考えと異常なほどの嫉妬で、罪を犯した犯人。

権藤は言ってみればただあそこに住んでいたというだけで標的にされたという・・・


ほんまええとばっちりやったと思いますわ。



高度経済成長期まっただなかの日本の社会を皮肉るように描き、戦後の風景、風俗をも映し出した見ごたえのある社会派サスペンスでした!!!



『野良犬』同様、今観ると、な部分もあるかもしれませんが、驚きの連続だった私は最後まで楽しんで観ることができました。かお

クラッカーくうこのおまけクラッカー


・全編白黒なのですが一か所だけカラーのシーンがあります。そのシーンが出た瞬間鳥肌が立ちました!!


ちょーっと『ももいろそらを』のラストを思い出したのですがこちらはその似たようなシーンでも白黒のままでしたね。

小林監督のインタビュー記事を読んだらそこに色をつけてしまうとまんま『天国と地獄』になっちゃうから、みたいな事をお話されていて「わかってはったんやなー」と思いました。



・電話の録音から電車の音がすると言うのでどこだったか忘れましたが鉄道会社に聞き込みに行くのですが、この時に嬉しそうに各電車の違いを一生懸命話す職員さんがとても面白かったです。めんどくさそうにさえぎる警察にも笑ったけど( *´艸`)



・山崎努さんがいい!!



うりぼう5つ:うり坊うり坊うり坊うり坊うり坊合格




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ありがとうございましたキスマーク