あーー!!カステラを食べてーら!
と、びしっと決まったところで今日のお題は「カステラ」です。
先日新聞を整理していたら週1で入っている土曜日版に連載されているエッセイ『作家の口福』が目に入った。
この『作家の口福』はさまざまな作家さんたちが食に関するエッセイを1か月ごとに書いてくれているコーナーである。
気に入った文章があったら切り取って保存しているのだがこの月のはスルーしていた。
日付が2013年9月28日。
いつまで置いとんねん、な日付やけど。
この月の書き手は北村薫さん。
題名は『漱石と「カステラ」』。
たぶん、今新聞で夏目漱石の「こころ」が連載されていて、私も頑張って読んでいるから目に入ったんだと思う。
しかもちょうど読んでいる箇所がその「カステラ」が出てくるシーンだった。
北村薫さんの文章ではまず森茉莉さんのエッセイ「卵料理」を引用して漱石の文章の中に出てくる「カステラ」を紹介。
夏目漱石氏の小説の中に「卵糖」と書いて、カステイラとルビをふってあるところがあるそうだ。
とてもおいしそうでカステラではない別のお菓子みたいだった、と書かれているらしい。
その小説が『虞美人草』。
・・・私はもちろん読んだことがない・・・
その小説の中の博覧会の場面で「西洋菓子」として紅茶と一緒に出てくるのが
チョコレートを塗った卵糖
なのだが、そこにふってあったルビは「カステイラ」ではなく「カステラ」だったそうだ。
北村さんが読んだのは復刻版だったので「カステラ」になったのかもしれない。
でも北村薫さんにとっての「漱石のカステラ」は『こころ』に出てくるものらしい。
大正三年発行(こちらも復刻版)の本から紹介されているが、語り手の「私」が「先生」の留守を奥さんと一緒に留守番する場面で、帰り際に留守番中に奥さんが紅茶と一緒に出した「西洋菓子」の残りを「私」に持たせるのだが、それが
チョコレーを塗った鳶色のカステラ
である。
私が読んでいる新聞では「チョコレートを塗った鳶色のカステラ」だったのだが、初版本では「チョコレート」は「チョコレー」なのだそうだ。
「チョコレー」っていう響きも私はおいしそーって思うんだけど・・・
ここで「チョコレート」についての余談。
新聞の「こころ」欄の最後に当時の様子や言葉の説明などを時々載せてくれているのだが、この回はそこに「チョコレート」について書かれてあった。
明治の早い時期に国内で製造・販売され始めたが、カカオ豆から一貫生産されるようになったのは大正に入ってからだそうだ。
さてさて、北村さんも書いているが結局「虞美人草」「こころ」両方に「チョコレートを塗ったカステラ」が出てくる。
そのイメージの元はひとつだろうし、漱石についての研究はそれこそくまなくされているのでこのカステラについても「どこそこのもの」と調べた人がいるかもしれない、とも書かれていた。
私はこのエッセイを読んだ途端にその
チョコレートを塗ったカステラ
というものを食べたくなった。
普通のカステラだと、長崎屋とか文明堂とか銀装とか、何軒かぱっと浮かぶのだが、チョコレートを塗ったカステラ・・・となるとすぐに浮かんでこない。
長崎屋さんとかでも売ってたりするのかな。
高校生の「現国」の教科書に一部だけ抜粋されて載っていた『こころ』
辛気臭い話やわー
とその頃思ったものだが、今最初から読んでいてもその頃のイメージが強いからか辛気臭い話やわーである。
でも今回はちょっと最後まで挑戦したいと思います!