太秦ヤコペッティ
(2013年/日本/83分)
監督:宮本杜朗
【ストーリー】
映画の街・京都太秦を舞台に、家族のために家づくりと裏稼業にいそしむ男の姿を鮮烈な色彩で描く異色作。妻子とともに家族3人で睦まじく暮らす百貫省二は、自ら思いついたやり方でマイホームとなる「磁石の家」を建てはじめる。ある夜、家の資材のため牛をさばいて牛皮をはいでいた省二は、その様子を見た警官の小早川義竹から、ある“裏稼業”を紹介される。省二は家族のために家を造りながら裏稼業を重ねていくが、ひょんなことから事態が思いがけない展開をみせて……。京都を拠点とする製作会社シマフィルムが手がけ、現代京都の風景を背景とした意欲作を発表していく「京都連続」シリーズの3作目。タイトルのヤコペッティは、「世界残酷物語」などのドキュメンタリーで知られるグァルティエロ・ヤコペッティに由来。
(映画.comさんより)
【かんそう】
「京都連続シリーズ」は「天使突抜六丁目」から観たので私の中では2作目にあたる作品。
率直な感想が「太秦か?これ」という感じだった。
天使突抜六丁目は架空の町だったし、この後に観た「堀川中立売」はしっかりこの土地の特徴をとらえていた。
でもこれは「太秦ってこんな感じやったっけ??」なのである。
でもでも・・・
きっと本当の太秦はこんな感じなんやろうなぁ。
だって私の知ってる太秦はきっと外部の人間が知っているうわべの太秦だろうし。
加えて”京都”のじんめりとした不穏な感じは十分に感じられたなぁ。
ここの夫婦がもう・・・あかんやん。犯罪スレスレ・・じゃなくて犯罪やん・・・なお二人でして。
でもすっごく仲が良くて楽しそうなんよ。
明らかにうちらの夫婦よりは絶対仲良しさんで幸せだと思う。
そして、警察官がひとり出てくるのだが、この人の人物描写がすっごいええなぁ、と思った。
公衆トイレを掃除することが趣味?なのだが、彼の行動を見ていると、それがすごく納得の行く作業なのだ。
やるな。うん。彼ならやるな。
奇妙な百貫一家と出会ってますますこの警察官の運命は狂って行くのだが、最後まで目が離せなかったわぁ。
しかも最後に警察官が食べていた中華・・・まずそー。
そんな警察官とは裏腹に百貫一家はのほほーんと奇妙な毎日を過ごすんですけどね。
磁石の家に住みたいから作る、とか言うて。
警察官に頼まれたえらいコトしでかしときながらもやっぱりのほほーん・・・
やっぱりなんか幸せそうや。
そうそう。主人公がちょいちょい「腹たつわー!」と思わせてくれる表情もよかったな。
その言い方!!その言い方が腹立つねん・・・てな言い方もよかったわぁ。
実際あんな言い方で言われたら「むきゃー!」てなりそうやけど。
そしてそして百貫一家待望の磁石の家は滞りなくできあがるのでしょうか!
はい。
できあがるのです!(あっさりネタバレ)
いろんなへんてこなことが起こり、ひー!こわー!な事も起こり、すんごい奇妙な印象を受ける映画だったけど、家族愛の深さ、夫婦愛の強さ、みたいなものもちゃんと伝わってくる映画だったなぁ。
百貫一家・・・何があっても最後まで生き抜きそうや。
くうこの主婦目線鑑賞コーナー
最後の方で自転車に3人乗りしているシーンが出てきて、子供が(かわいいねん!この子)食パンを持ちながら言うセリフ
「バターが溶けへん!!」
ここで私は「え!」
もちろん私特有の貧乏性などうでもいい「え!」である。
どう考えてもそない裕福には見えない百貫ファミリー。
なのに「バター」なんてぜいたく品使ってるの?!
でもそのあと百貫パパが「そのうち溶けるから待っとき」というのだ。
そのセリフからもやっぱりバターなんかなぁ・・・と思ったり。
奥さんも後ろの荷台から「ビールちょうだい」と言ってもらうのが「発泡酒」
確かに今では普通に発泡酒のことビールと言ったりもするしわざわざ「発泡酒ちょうだい」なんて言わないわなぁ~とか思ったりして。
だからさっきのバターも「マーガリン」のことを「バター」と言ってたりするんやろうか??
と、やけにこだわる私。
しかも私、発泡酒ですら高いなーと思って第三のビール買ってるしね。
やっぱり百貫一家は私より幸せやわ。←?
くうこのおまけ
・心臓弱い人禁止ちゃうか?!というくらいにしょっぱなの音がでかくてびっくりした!!!
すごい迫力ーーー!
・関西ローカルでこの映画の監督さんのインタビューが出ていたので観た。
実際には古い小学校を劇場に変えました、という話題だったのだが、その時の上映作品がこれだったので監督さんにもインタビューしていたようだ。
とってもきれいな御顔立ちでシュッとされていて、この方がこのぐぉんぐぉんしたパワフル映画撮影されたんやーーー!とかなり意外だった。
で、最後なんかちらっとガッツポーズみたいなのがうつったのだがそれがちょっとおにゃっとしていて変だった。
うりぼう3つ:
ありがとうございました☆