私にとって糸つむぎは自分に出会う旅のようなもの。 | 岐阜県郡上の妊婦さんや母乳育児中のママのための鍼灸院

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数千例を超える出産や母乳育児に立ち会ってきた助産師です。病院の検診だけでは安心して出産が迎えられない妊婦さん、通常の母乳指導に満足できない‘子育てにこだわりたい’ママのためのに身体と心にアプローチする針灸院です。

岐阜県郡上八幡の

助産師&針灸師の

加藤祐里です。


勝手にはじめた

「もりのこ養蚕部」

シリーズ。


意外にも

楽しみにしてくれる人が

いらっしゃるそうで

書けるうちに

続きを書きます。


あくまで虫好きな

息子のために

はじめた養蚕。


蚕の変態さえ

確認できれば

それでよくて


無事に300頭を

繭にしたら

もう達成感で

いっぱいで

自分で糸にする

なんて思いもしませんでした。


でもずっとこのままと

いうわけにも

いかないから


やっぱり得意の

「みようみまね」で

ネットを検索しながら

人に聞きながら


繭を鍋で茹でて

なかの虫をだして

繭をひろげると

「真綿」になります。




ぎゅーと伸ばして

手でくしゅくしゅって

てきとうに糸っぽくして


私に最初に養蚕を

すすめてくれた

石徹白洋品店の

平野馨生里さんに

みせたのです。


そしたら

深いため息とともに

「もったいない…」

そのころは糸を

同じ方向に撚ることも

知らなくて、


本当に適当に

やってしまったから

ぼっこぼこの糸で

ひどいもんだったのですが


平野さんが地元の

織物作家さんに

マフラーにして

もらいました。


あのときの

平野さんを

がっかりさせてしまったのが

申しわけなくて


次の年はもっと

いい糸が紡げるように、


もっとたくさんの量の

糸を渡せるようにと

自分のモチベーションに

なりました。


繭自体はとても

量が少なかったから


木綿の糸つむぎも

習いにいったり

道具を手に入れてみたり


だんだん、できることが

増えていきました。


最初に自己流で紡いだ

不細工な糸。


もう今では

糸つむぎの道具も

手にいれてしまったし

上手になってしまって


逆にあんなに

へたくそに紡げません。


一回、自転車に乗れるように

なってしまったら

乗れない体に戻れないように


初心者には

初心者にしかだせない

味があって


あのボコボコ感が良いという

織物作家さんもいます。


糸つむぎ

織りの


なかでは

糸つむぎが一番

単純作業、

最初の一回転も

最期の一回転も

同じ動きです。


染や織は

色やデザインを

変えますが


糸つむぎが一番

地味だからこそ


そのときの自分にしか

紡げない糸ができます。


ものづくりって

自分そのもの。


昔はお金のため

生活のため


女性達の自己犠牲で

行われていた

糸仕事ですが


今は世の中もよくなって

自分の好きな仕事を

選べるように

なったはずなのに


自分を見失っている人が

ほとんどです。


自分で自分のことが

分からない。


いつも満ち足りて

いないような


このままでは

いけないような

気になる。


自由にやりたいことを

やっている私でさえ


まだまだ本音の

隠したままの自分がいます。


私にとって

糸つむぎは

自分に出会う作業。


たぶん人によっては

旅行にいったり


スポーツをはじめて

記録を伸ばそうとしたり

することと一緒。

だから、やめられない。