この仕事をするために自分の今までの経験と学びがあったのだと身震いするような有難い仕事 | 岐阜県郡上の妊婦さんや母乳育児中のママのための鍼灸院

岐阜県郡上の妊婦さんや母乳育児中のママのための鍼灸院

数千例を超える出産や母乳育児に立ち会ってきた助産師です。病院の検診だけでは安心して出産が迎えられない妊婦さん、通常の母乳指導に満足できない‘子育てにこだわりたい’ママのためのに身体と心にアプローチする針灸院です。

岐阜県郡上八幡の
助産師&針灸師の
加藤祐里です。

2つ前の記事
「逆にこちらがお金を
払いたくなるような
満足した仕事や

お客様と理想的な
関係を築くことが
できた経験のある人は
仕事が上手くいく」
と書きました。

助産師として
お産に関わらせて
いただいた方などには
いつも有難いと
思っていましたし

(実際、あんまりお産が
つかないタイプの
助産師だったので
私の勤務時間内に
お産になることが
めづらしかったんです…(^^;)

針灸院を開業してからは
こんな田舎の看板も
出ていないような
怪しげな治療院を
みつけてくれて

通ってくだる方々には
本当、足向けて寝れないくらい
感謝しています。

ですので、何かひとつ、と
ケースを絞るのは
難しいのですが

針灸学生時代に
助産師のバイトをしていた
産婦人科でお灸の研究をさせて
いただいた妊婦さんの
出産を介助した経験について
ご紹介します。

針灸学校の卒業研究で
妊娠10ケ月に入った
正常経過の妊婦さんに

・三陰交(うちくるぶしの3㎝上)
・至陰(足の小指の爪の外側)
・次りょう(仙骨)

の3つのツボに
1週間に一回、
千年灸でお灸をして
お産にどのような影響が
出るのか調べました。

この3つのツボにしたのは
産科の院長から
「ママさんでもできるような
素人でも効果の出しやすい
簡単なツボを選んでほしい」と
指示があったからです。

学校の研究だったので
夏休み期間しかできず
4人の妊婦さんの
症例しかとれず

たった3つのツボで
2~3回しか
お灸もできなかったのですが

初産婦にもかかわらず
みなさん分娩所要時間も
平均より短く
会陰切開も必要ないくらい
大安産でした。

特に私が勤務中に
たまたまお産になった方の
お産では分娩台に
移動できないくらいの
進行状態だったため

(あまり痛がってなかったので
分娩室担当のスタッフの
準備が間に合わなかったようです)

陣痛室のベッドで
フリースタイルの姿勢で
お産の介助をさせて
いただきました。

ほとんど、母体が
いきんでいないのに
赤ちゃん自身が出てこようと
する力だけで降りてきました。

初産だと
分娩第2期といって
子宮口が開いてから
頭が出るまでにたいてい
2時間くらいかかるのですが

会陰の伸び(広がり)が
まるで経産婦さんのように
とてもよくて
産後もほとんど
出血がありませんでした。

今でもあのときの
赤ちゃんがずんずん
突き進んでくる感じと

母体が抵抗感なく
赤ちゃんを受け入れて
みるみる会陰が広がる
手の感触を忘れることが
できません。

また、その産婦さんから
「妊娠中に自分のことを
よく知っている人が
お産のときにいてくれて
心強かった」と
おっしゃってくれました。

私にとってはこれが
何よりも大きな気付きで

カリスマ的な技術以上に
ただその人のそばに
寄り添って、
受け入れる存在で
いることが

何よりも安心につながると
再認識できました。

私が本当に成し遂げたかった
お産やママとの関りは
これだったんだ、と

大きな病院で何千件もの
お産に関わって
病院をやめて
針灸学校に入学してからも
決して楽なことはなかったけど

すべての苦しい経験が
このときのために
用意されていたように感じました。

全校生徒の前で
研究の結果について
発表をしたのですが

後輩の女性針灸師たちの何人かが
卒業して何年もたってから

「あのときの加藤さんの
発表を聴いて
婦人科の治療ができるように
なるのはとても
難しいと思っていたけど

私でも出来るのではないかと
思えました」と
言われたことがあって

女性針灸師さんたちに
希望を与えるような
きっかけになったことも
有難い経験のひとつです。

また、そのときに
一緒に研究に取り組んだ
同期の女性針灸師が

そのときはまだ20歳くらいで
お産のことなんて
チンプンカンプンで
ほぼ無理やり、私の研究に
つきあわせていたような
状態だったのですが

それから10年くらいして
彼女は自然なお産や
子育てにこだわる
とても素敵で頼れる
3人のお子さんの
ママになりました。

あのときはどこまで
分かっているのか
私もまったく謎だったのですが

その時は小さな種でも
いつなん時、どんな形で
花が咲くかは分からないと
学びました。

「この人に会うために
今までの自分の経験や
学びがあったのだ」と
実感できるような経験は

自分にとってはあまりにも
当たり前で、簡単で
誰にでもできると
思えるようなことを
つみ重ねた結果です。

弟や妹がいて
小さいころから
お母さんから
「さすがお姉ちゃんは
頼りになるわ」と
言われた経験は

たまたま生まれた順番が
早かったからでなくて

やはり、あなたのなかに
まわりがついつい
頼りたくなるような要素が
あるから

社会のなかにでても
「この人なら
力になってくれそう」と
感じるのです。

そして、その人に
喜んでもらうことが
自分は何よりもうれしい、と
思うから
心をこめることができるのです。

あなたが誰かのために
役に立って
喜んでもらって
うれしかった原点を
もう一度思い返して
みましょう。