特殊な助産技術を身に着ける前に、自分の立ち振る舞いを見直す。 | 岐阜県郡上の妊婦さんや母乳育児中のママのための鍼灸院

岐阜県郡上の妊婦さんや母乳育児中のママのための鍼灸院

数千例を超える出産や母乳育児に立ち会ってきた助産師です。病院の検診だけでは安心して出産が迎えられない妊婦さん、通常の母乳指導に満足できない‘子育てにこだわりたい’ママのためのに身体と心にアプローチする針灸院です。

岐阜県郡上八幡の
助産師&鍼灸師の
加藤祐里です。

「産婦人科の分娩室で
働いていて
外来でじっくり妊婦さんに
関わることができず

お産にきたときが
お互い初対面。

なかなか陣痛がすすまない
産婦さんに
時間がないなか

お産を進ませる
ケアを教えて欲しい」

お産は「セックス」です。

はじめて会う人に
いきなり心を開いて
自分の本心をさらけ出すことは
できません。

相手が安心できる存在で
自分のすべてをゆだねても
大丈夫と、心の底から
信頼できない限り

いくら頭では
相手は助産師で
ちゃんとした
医療資格があると分かっていても

身体が受け入れられなければ
本能的に自分の身を守ろうと
自分をさらけ出すのを
拒否するので

体は余計に緊張して
お産は進みにくくなります。

お産に自信がついてきた
助産師さん、

偉い人ほど
自分がまわりにどう
感じられているか
注意した方がいいです。

学生のほうが
熱心に足湯をしたり
ひたすらそばにいて
技術や経験がないなりに

一生懸命、産婦さんに
向き合います。

お産に慣れてきて
他の仕事も同時進行で
仕事が終わった後の
子どものお迎えとか
会議とか

時計をチラチラみながら
‘自分の都合’が
頭をよぎりながら
お産を看るようになると

その産婦さんや
その赤ちゃんの
生まれる都合や
お産の個性より

自分の産ませてあげる
技術や知識に
頼るようになります。

何度も言いますが
「お産はセックス」です。

自分がとても
大事にされて
守られて

腰をさすってもらったり
優しく声をかけてもらったり
「気持ちいい」という
肌感覚を繰り返し感じて

体が「この人は
私を攻撃もしないし
ジャッジもしない」と
委ねられるような
存在にならなければ

本能的に相手に
体を緩ませることはできません。

自分に優れた
助産技術や経験が
あるから
産婦さんが満足してくれていると
もし、思っている助産師がいるなら

自分だけが気持ちいい
セックスに自己満足している
人に似ています。

そんなことまで
気を使わなくても
生まれてくる人は
いるじゃないか、という人もいます。

そこまで考えなくても
いつでも誰とでも
自分のペースで
楽しくセックスができる人も
いるように

逆に、とても
繊細で、奥手で
用心深い人は

心を開いていくにも
時間もかかるし
傷つきやすいから
‘ふつう’の感覚でやっていると
通用しません。

人に気を使う
産婦さんほど

「お忙しいのに
お手を煩わせてしまって

あなたの都合よく
あなたの期待通りに
産めなくて
スイマセン」という
気になります。

妊婦さんや産婦さんって
いつも以上に
人の言動や表情、声のトーンに
敏感になっています。

だから、
自分ではそんなつもりはなくても
助産師さんや
看護師さんに
余裕がないと

ああ、こんなこと聞いて
迷惑にならないかな、

わざわざナースコール押したら
申し訳ないかな、

そもそも、
何を相談したり
聴いたらいいのかも
分からないとか

もう患者さんに
そこまで感じさせて
しまっている時点で

相手を本能的に信頼して
深く身体が開くことは
あり得ません。

何か特別な
技術やテクニックを
身に着けるより

今、自分が出来る
すごく簡単で
当たり前のことを
もっと徹底的に
見直して掘り下げる方が
ずっと効果が表れやすいです。

お客様の目に入る
玄関やトイレ、
待合室は整理整頓できていますか?

ナースステーションは
余計な書類などで
いっぱいになっていませんか?

産む人はもちろん
付添いの方や
面会の方が
「雰囲気のいい病院」と
感じてもらえるよう
換気や照明に気を配っていますか?

はじめて産婦さんに
会うときに
ちゃんと自己紹介できていますか?

自分は毎日、この病院で
働いているから
それなりに有名かもしれませんが

相手はあなたのことは
知りません。

ひょっとしたら
助産師が何をする人かも
知らないかもしれません。

産婦さんにさわる手は
温かくて
柔らかいですが?

相手の呼吸を呼んでから
触れる様にしていますか?

ドアの空け方、
分娩監視装置のつけ方、
起き上がるときに
そっと背中に手をあててあげる、
内診のあと
歩いていくときに
スリッパをそろえてあげる、

小さな小さな
日頃の立ち振る舞いのなかに
あなたを大切に思っています、という
真心が表れています。

たくさん長く
何回も関われないからこそ
一回の自分の立ち振る舞いが
相手に与える印象を
徹底的に分析して
磨き上げていかないと

どんな優れた
助産技術を磨いても
「雑な人」としか
思ってもらえません。

それは
仕事の時だけでなくて
自分の家族や、
一緒に働くスタッフや
後輩にも伝わる部分で

仕事以外の人間関係に
起きている問題が

そのまま
お産をすすませなくしている
要因だったりします。