大変な時期に入ってしまいました
ものすごく高温多湿です。湿度でいうと70%くらいです。しかも作業場はさらに高そうな勢いです

実は前回から少々トラブルがありました。
この湿度のせいでトップが少し反ってしまったのと、ロゼッタの溝を掘るときにトップの表面の汗が落ちた部分が一晩おくと黄緑色にかびていました(汗)

おまけに使った接着剤の量が少なかったのでロゼッタが浮いている所まででる始末・・・・・
クランプも甘かったんでしょうねぇ
トップとロゼッタをもう一度買ってやり直しかと思っていて矢先、ロゼッタ君がぺりぺりと綺麗に剥がれてくれました
助かりました(汗)少なすぎた接着剤が吉とでました

なにごとも経験です(笑)

気を取り直して、もう一度ロゼッタを接着です


今度は多めに接着剤を添付して、がっしりクランプです

何とかはまりました(笑)
有り余る接着剤の跡が痛々しいです

ま、はみ出た接着剤は削ってしまえば問題ありません



トップに彫った溝はロゼッタの厚さよりも微妙に浅いわけです
で、こんな風に1mmほど飛び出たロゼッタをカンナとスクレーバーとサンドペーパーで均していきます



仕上がりはこちら
カビ事件に続き、剥がれ事件までを経験したわりにはなんとか綺麗に仕上がりました

トップの反りは裏向きにして一晩置いておけば、半対面も湿気を吸収して裏と表で反りあいっこして再びフラットになります
ただ、トップは非常にデリケートなのでもう二度と多湿の場所では作業できません

ロゼッタの埋まったトップは今度は全体の厚さを調節しなくてはいけません
手元に届いた時点では3mm強の厚さでしたが、2.5mm程度にしていかなければなりません
しかも、セオリー上低音源側を少し薄くし、高音源側を厚くしなければなりません
さらに、ネック側をさらに薄くして、底側に行くにしたがって厚くしていかなければなりません

これは超絶技巧です(汗)

ちなみに、ブーシェのギターは厚さが2.2mm程度で均一にされています
音のバランスはブレーシングで調節するようにしているみたいです



次に必要なのが、そのブレーシングの作成です
手元にあるのは写真にあるような棒の状態なので、一本一本切り分けていきます
左からスプルース、セドロ、ブリッジの裏に貼るスプルースのブリッジプレート




トップの製作は音に最も影響する部分なので、湿度に真剣質になって作業しなければいけません
これからの作業はほとんど暑苦しい作業場ではなく、当分エアコンのある部屋にもっていてやらなければなりませんねー
やってる本人も楽なんですがね・・・・・・
最近作業ペースがスローダウンしております
暑いのと本業が忙しいのと両方です

そんな訳ですが、現在トップに取り掛かり始めました
あまり進んでませんが、大切な読者様を飽きさせないためにちょっとずつ頻繁に更新していきます

トップというのは、作業の中でも最も気を使う作業の一つです
なぜなら、このトップがそのギターの音を決定付けてしまうからです
エレキでいうピックアップのようなところでギターの心臓部です

で、これが噂の(?)1937年製のハウザーギターの詳細図です



相当細かいです。全てミリ単位で書かれています
ま、全く同じふうに作っても全く同じ音はでませんが・・・・・
材料やシーズニングの方法によっても音は大きく変わってきます
それゆえに、使う材料によってそのつど微調整をしていかないといけないわけです
詳しくは作業を進めていきながら説明していきます




これが今回使うエンゲルマンスプルースです
う~ん、色白で美しい板です
このスプルースは普通のフォークギターに使われているようなシトカスプルースよりも少し柔らかめで比重も多少軽いです
軽いピッキングにも反応が早く音の分離もいいようです
なので、フィンガーピッキング系のギターに向いているといえます
逆にこしのあるシトカはフラットピッキングに向いているといえます
さらに高級ギターにはジャーマンスプルースやアディロンダックスプルース、もしくはイタリアンスプルースなども使われています
クラシックギターではエンゲルマンやジャーマンスプルースが使われていることが多いみたいです

一ついい忘れましたが、このトップはブックマッチ、つまり二枚の板を左右対象に張り合わせる作業が必要ですが、注文した業者がなぜがここまでしてくれていました・・・・・・・
やる予定がなくなってしまいました

簡単にくっつけるといいましたが、実はこの作業きわめて大変な作業です
二枚の板に髪の毛が通るほどの隙間も許されず、ビチッと重なり合わないといけません
ホントはこれだけで一日がかりの作業です



話は逸れましたが、サウンドホールの中央に当たるところにアナをあけてピンをうちます



これが今回使うロゼッタです
ハウザーギターに近いデザインです
これもハンドメイドです
細かいモザイクは全て人の手で組み上げられて、カマボコのような状態からスライスしていって作られます
本には作り方まで事細かに書かれていましたが・・・・・・・気の遠くなる作業なので出来上がった物を買いました
1000円くらいです
本業にするなら自分でデザインして作ります(多分)

で、このロゼッタをトップにはめ込まないといけません
使うのがこの道具です


その名もサークルロゼッタカッター!!!




右の穴に先ほどトップに埋め込んだピンを差込み、まん中のへんにある少しだけ飛び出したカッターで円状に切り込みを入れていくわけです



こんな感じに




で、切り込み完了です

次はこの二つの切り込みの間に溝を掘っていく作業です

これまた大変です・・・・・・
モールドとはアコースティックなどの箱型ギターを製作していく上で必要不可欠な道具の一つです
ボディーをくみ上げていく時にベースとなる形を固定してくれる、いわゆる組立台です
これがしっかりしていないと左右非対称になったり、不安定なギターになってしまいます
きっちりとした土台が家に必要なように、ギターではこのモールドがしっかりしていないといけません

ホントはネックとかを作り始める前の一番初めに取り掛かる作業ですが、道具類がそろっていなかったので出来るとこまで終わらせてほったらかしにしていました。
こいつがないと次の作業に進めないので今回完成させました(見てくれは多少悪いですが・・・・)

ちなみにこのモールドはギターのタイプによって多少異なります
スペイン方式かドイツ方式か、またはアコギかでだいぶ変わって来ます
今回はスペイン方式なのでそれを紹介します

まず始めにボディーの型となるテンプレートを作ります
2mmのアクリル板にボディーの半分の型を書き写して切り抜きます
今回は大きなアクリル板を買ったので3つ分を作りました
1937年製Herman Hauser(いわゆるセゴビアハウザー)(今回はこれを使います)
1961年製Robert Bouchet
1888年製のTorres


このテンプレートを40mmくらいの中濃度ファイバーボード(MDF)に書き写します

そしてすこしスペースをあけて形作りっていきます


こいつがギターの一番重要な土台となる台です
まん中の白くなっているところは少し陥没させています
トップの面がこの土台に向かい合うようにセットするので、つまりトップ表面がすこし盛り上がったように出来上がっていくわけです
この理由はトップにかかる弦のテンションを全体に均等に分散させて負担を軽くするためです
さらにネックの部分も傾斜が出るように削ってあります
つまり、ネックが最初から順ゾリ状態で仕上がるわけです
スペイン方式で作られたクラシックギターは全てこのようになっています(はずです)

今度はサイドのモールドです
これも同じようにテンプレートを使って切り抜き重ねていって張り合わせます


で、この二つを組み合わせるとこんな感じになります

伝統的なスペイン方式だとこのサイドのモールドがありません
これはどちらかというとアメリカ方式とでもいうのでしょうか?
この方式のほうが後々いろんなタイプのギターに対応していけるのでこちらを採用
もちろん、この二つは簡単に分解できます

今回は内側のボディーをはめ込むほうはきっちりと採寸どおり仕上げましたが、外側の仕上げはお粗末です
なので、見てくれはよくないです・・・・・・
そのうち仕上げます。仕上げて軽く塗装もしていかないと長く使っていけませんからね



で、こいつが今回の廃棄物、ではありません。
今回は使いませんが今後使っていく予定です
サイドをラミネート(張り合わせ)にする時に必要なので次回製作するときまで保存
そのほかにもいろいろと使い道はあります

というわけで、モールド完成です
写真で見ると、なんかプロっぽい道具ですね・・・・・・?