ピックアップを外しました。


まず位相をチェックします。

不具合の原因と言えるほどの素人修理が施されてはいたものの、回路的にはオリジナルのままだと思われるので大丈夫だとは思いますが、特にダブル・シングルコイルというのは初めてなので一応チェックしてみたところ、4つとも全て「逆位相」でした。

「逆位相でした。」と言うと「間違ってました。」みたいにイメージされるかもしれませんが、正位相ならすべて正位相、逆位相なら全て逆位相のピックアップで揃えているかどうかが肝心でして、
全て逆位相で統一されているので、「このギターは位相が合っている。」ということです。

また、ダブル・シングルコイルとして直列にセットした後(ハムバッカーの状態)も逆位相ですので、フロントやセンターとも逆位相同士で合っているということです。

(ややこしいですが、「位相が合っている。」ということと「正位相である。」ということは別のことです。」)

抵抗値はネック側から
①4.82kΩ
②4.79
③4.68
④4.82
でしたので、全て同じピックアップとみていいのかな?と・・・

ただ、ちょっと気になったのが、正位相か逆位相かというのとは別に、磁極(S極とN極)の向きというのがあって、片側の磁極を反転させることで電気的に片側の位相が反転して、ノイズを打ち消す。みたいな感じだと認識しているので、

ダブル・シングルコイルに使われる2つのピックアップは同じものではないはずだぞ、と。


そしたら・・・


フロントとセンターは同じ向きで縦に重ねると磁石がくっ付くのに対して、ダブル・シングルコイルの2つは磁石が反発し合うのね。


磁極を反対にしてコイルの巻き方も反対にすることで、波形を反転させたまま、逆位相を保っている。といった感じでしょうか。

やはりダブル・シングルコイルに使うシングルコイルは、位相だけでなく磁極のS極とN極の向きやコイルを巻く方向にも決まりがあるということで、ブレンダー配線やダブル・シングルコイルをやってみておかしい場合は、位相や磁極の向きを確認した方が良さそうですね。


ということで、正体不明のピックアップを交換する際には

・「同相」と「逆相」

・「正位相」と「逆位相」

・「逆位相」と「位相が異なっている」


などの違いや意味を理解する必要があり、


1、位相チェックはテスターで行い、
2、磁極の向きは磁石がくっ付くか反発し合うかどうかで確認する。

ということが肝心かと。



【位相チェックの仕方】
抵抗値はデジタルマルチメーターで測定した方が正確ですが、位相のチェックはアナログテスターで抵抗値のモードにしてテスターの赤をHOTに、黒をCOLDに繋いで、ドライバーの先でポールピースをコンコンと叩いた時にテスターの針が左に振れれば「逆位相」で右に振れれば「正位相」です。


正位相か逆位相かで性能は変わりませんし、どちらが正解というわけでもないのですが、

フロントとリアなど複数のピックアップをミックスして使う場合には位相を合わせないと交流信号の波形の波を打ち消し合ってしまい、低音が削られてスカスカの鼻をつまんだようなフェイズトーンになってしまいます。

(実際にはピックアップの種類によってはさほど鼻をつまんだような音でもなかったりしますので、位相が合っていないことに気付かない人もいると思います。)

一本のギターの中で位相が揃っていればいいので、正位相なら全て正位相、逆位相なら全て逆位相にすればOKです。

もちろん狙って位相を反転させてフェイズトーンを出すのもありです。

で、私ちょっと勘違いしていたのですが、ディマジオとダンカンでは位相が異なると思ってたんですけど、異なるのは配線の色で、どちらも説明書通りに配線すれば正位相でした。

今どきのピックアップは4芯シールドなので配線の仕方で自由に変えられますが、単芯シールドなど、シールド線がCOLDと共用のものは位相を逆向きに出来ません。


ネットで調べると、Fenderのピックアップは逆位相で、ディマジオやダンカンとは位相が異なるので注意しましょう。とのことでした。



ちなみにうちにあるピックアップを色々とチェックしたら、国産はどれも逆位相でした。

(「正位相」のピックアップ)
・Gibsonの57’Classic
・ディマジオ各種
・ダンカン各種
・Washburnの421、423
・PhotogenicフライングV
・Barclayレスポール ・ゴールドトップ


(「逆位相」のピックアップ)
・FenderテレキャスターのP.U.
・SquierのストラトのP.U.
・マツモク工業のMMK-61
・AriaPro IIのEXTRA-III
・AriaPro IIのClassic Power
・GrecoのEG-380のP.U.
・GrecoのSCREAM’IN
・不明の国産P.U.
・Barclayレスポール ・カスタム
・YibuyのP-90


興味深いのが、同じBarclayでも作りの良い国産っぽいレスポール ・カスタムは国産と同じ逆位相で、韓国製っぽい作りのレスポール ・ゴールドトップは正位相だったことや、
同じP-90でも中国製のYibuyは逆位相で、韓国製Barclayに搭載されているものは正位相だったことです。


ということで・・・



位相は問題なさそうなので、汚れているP.U.カバーを綺麗にしようと思ったら、
汚れが頑固過ぎてアルコールでもコンパウンドでも落ちないので



ピックガードやノブなどのプラスチックパーツと一緒に丸ごとぬるま湯に入れて洗剤でジャブジャブ洗いました。



まぁ洗ったので気持ちいいけど汚れを落とすのは限界がありますよね。




あとパールのシートがぐるーっと一周剥がれていたのがさらに剥がれたので接着します。



これが意外と大変で、上にめくれようとする性質があるので強力に接着する必要があるうえに、接着剤によってうまくくっ付かないないものがあったりして苦労しました。

買い替えようと思って探しても、ダブル・シングルコイル用なんて無いんですよね。


耐熱1,000度Cで熱にも水にも強い値段の高い接着剤がよく付くことが判明し・・・

接着して重りを乗せているところ。




さて・・・


ブリッジのスタッドボルトが汚いので



綺麗にして・・・






ブリッジもめちゃ汚いので・・・





全て外して灯油漬けにします。


グヘヘへヘヘ!!




バイクのキャブのオーバーホールみたいな感じで楽しいです。



FERNANDESの刻印入りのブリッジもピカピカになりました。





おぉー、
先生!!綺麗になりました!!



やっぱ部品一つ一つのモノがいいです。

さすが国産ですよね。


MADE IN CHINA製品が普及する前はこの国産が当たり前過ぎて、国産であるFernandesの良さが見えてなかったようなところはありますね、多分。

そもそも「ジャパン・ヴィンテージ 」という言葉が誕生したのはMADE IN CHINA製品が普及してからだと思うんですよ。


「なんだ、国産か。」から、
「お、国産じゃん。」に、
変わったわけです。


でもこれから中国製もノウハウや考え方が育ってくるとクオリティが上がってくると思うんですよ。

逆にGibsonやFenderは質が落ちたりして、国産も廉価版は中国製だし、

世界の楽器はどのように進展していくのでしょうか・・・



さて・・・


早くダブル・シングルコイルの音を確認したいですねー。


下倉オリジナルとはいえ、Fernandesの製品なので普通にちゃんとしたハムバッカーの音が出ると思っているんですけどねー。


まぁもしイマイチだったらピックガードごと2ハムバッカーにしちゃえばいいわけだし(笑


で、あとはまだネックを外してみてもいないんですよねー。


今日はここまで!!



(続き)