自然と音楽の森

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洋楽の楽しさ、素晴らしさを綴ってゆきます。

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ASTRAL WEEKS
Van Morrison
released in 1968

アストラル・ウィークス
ヴァン・モリソン


 あ、長いです、この記事。
 長いのが苦手な方は拾い読みもしくはスルーお願いします。
 久し振りでもあるし、長くてもそのまま出させていただきます。

 昨秋、ヴァン・モリソンの半生記を読了しました。
 入院中に読み切るつもりが、2泊3日では終わらず、その後家ですぐに読了しました。

『ヴァン・モリソン 魂の道のり』
ジョニー・ローガン(著)/丸山京子(訳) 大栄出版

 1994年出版だから、もう四半世紀も前に(!)書かれた本で、ヴァン・モリソンについてはその後も音楽人生は続いており、この1冊で今のヴァン・モリソンを知ることはできません。

 しかし、今に至る流れは十分以上に理解し把握できます。
 そういう点では良書といえるでしょう。
 まあ実際、ヴァン・モリソンは、その頃からはほとんど変わっていないのですが・・・
 ディスコグラフィーもついていて、作品毎の曲解説もあり、読了後も傍らに置いてしばしば目を通しています。

 著者はやや辛口の人で、ジャーナリスティックといえばそうだけど、この本のゲラ刷りが出来てヴァン・モリソン本人に見てもらったところ、
半分はボツになりやり直しさせられたとまえがきにあっては、期待半分不安半分ではありました(半分読者への煽りだろうけど)。
 でも実際に読むと、本人や関係者のインタビューを多く取り上げ、「事実」に即した書き方をしていたのは好印象でした。

 ただ1点。
 今となってはヴァン・モリソンを代表する名曲中の超名曲であるHave I Told You Latelyについての記述、売れ線を狙った「つまらない歌」といった趣旨のことが書かれていたのは、驚いたというか悲しかったというか唖然としましたね。
 まあ、カヴァーしたロッド・スチュワートのおかげもありますが、この本が出た頃にはそこまでの名曲になるとは想像できなかった、と考えれば仕方ないかな、とは思いますが。
 でも、この人ほんとにこの曲を聴いて心が動かされなかったのか、という大きな疑問は、人として、残りはしました。



 閑話休題。

 僕は、実は、ヴァン・モリソンの大ファンですが、ASTRAL WEEKSが苦手でした。

 僕が初めて買ったヴァン・モリソンのアルバムは1992年のHYMNS TO THE SILECEでしたが、いきなり余談、実は、ロッドのを聴いていたく感動したHave I Told You Latelyがそのアルバムに入っていると勘違いし、新譜として出た直後に中古CD店で見つけて飛びついたら入ってなかった、というもの。
 (もしかして中古に売った人も僕と同じ勘違いをしたのかも)。
 しかしヴァン・モリソンという人に興味を持ち、その少し後に何かアルバムを聴いてみようと思ってCDを買ったのが、このASTRAL WEEKSと次作MOONDANCEでした。
 (その直後にベスト盤も買いました、もちろんHave I...確認して)。
 当時はネット時代はまだでしたが、ロックの名盤紹介的な本は世の中に出回っていて、何か聴いてみようと思えばそれを参考にするわけで、その2枚を選んだのは至極当然でした。
 (今でも最初の2枚となるとやっぱりそれになるでしょうけれど)。

 MOONDANCEはもちろん一発でアルバム全体が気に入りました。
 今でも好きなロックアルバム10枚選ぶとなると必ず入ります。
 一方で、ASTRAL WEEKS、正直、「むむむ・・・」、でしたね。
 何だろう、この「小難しさ」は。
 この2枚が連続して作られたアルバムであるのは謎ですらあったし、しかも、「小難しい」アルバムの方をより若い時に作ったというから、この人どうなっちゃってるんだろうという思いは最初からありました。
 半生記を読んで、やっぱりヴァン・モリソンは「分からない人」であり、「魂の人」であって、彼のすることには理屈も何もない、ということは分かりましたが。

 ASTRAL WEEKS。
 しかし一方で、ヴァン・モリソンの大ファンを自称する僕としては、その代表作と言われるこれが苦手だなんて、自分としてもどうなんだろう、それでいいのかぁ、困ったものだ、と。
 ブログでも書かないといけないだろうしという邪念もあり、買ってからずっと、このアルバムを「好きになろう」として、1年に1回くらい、ずっと聴き続けてきました。

 でもやっぱり、だめでしたね、入ってこなかった、一昨年までは。
 そもそも音楽を「好きになろう」とするのは間違いだと言う人もいますから、そんな努力は意味がなかったのかもしれない。
 まあ、いつかきっと好きになるだろうと思いつつ、年中行事としてCDを聴き、いや、かけ続けてきました。
 実はその間に国内リマスター盤、海外リマスター盤と、2回も買い足していてそれもきっかけになるかとも思ったのですが、やはり、だめでした。

 でも、このアルバムが苦手なのは、きっと僕だけじゃない。
 3年前、ピーター・バラカンさんの本『わが青春のサウンドトラック』が講談社+α文庫の新刊として出直した際すぐに買って読みましたが、バラカンさんはそこで、まだ10代の頃に聴いたASTRAL WEEKSは正直よく分からなかったと書いています。
 しかも次作MOONDANCEは一発で気に入ったというから僕と同じ。
 まあバラカンさんの場合は若かったということもあるはずですが、やはり同じように感じていたことが分かってなんだかほっとしました。

 それが昨年、僕は突如、「これはいい!」と。

 きっかけは、車です。
 昨年、中古ですが車を新しくしました(また日産車です)。
 その車は、CDをハードディスクに取り込んで聴くことができて、車にCDを積んでおく必要がなくなり、便利になりました。
 最初の頃は車に乗る度に好きなアーティストのCDを数枚持ち込んではHDDに録音していました。
 ヴァン・モリソンは当然の如く最初の方に録音を始め、事実上のデビュー作であるこのASTRAL...から録り始めましたが、録音が終わって別の日にかけたところ、初めて、すごくいい! と。

 でも、じゃあ、どうしてすごくいいと感じたのか。
 詳しくは自分でも分からないけれど、音楽なんて、同じものでも或る日突然違って聞こえてきて評価が変わることがざらにあるというのが僕の持論、今回ついにそれきたのでしょう。

 それからしばらく車の中でこのアルバムを聴き続けました。
 聴いていると、かつて好きになろうと「努力」したかいがあって、ほとんどの曲は断片的にでも覚えていて、ああこの曲か、と思いながら聴き進めてゆきました。

 どうしてすごくいいと感じたのか分からないと書きましたが、車だから、というのはあるかも。
 正直、家にいるときほど真剣には聴かないですよね。
 根詰めないというか、だから気軽に音楽に接することができる。
 結局、好きになろうと根詰めて聴いていたのは間違いだったと自ら証明したようなものですが・・・(笑)。

 逆に、どうして今までいいと感じなかったのかは、はっきりと見えてきました。
 要因は4つ、ひとつずつ挙げますが、よくよく考えると4つも要因があるのだから苦手なはずだ、と(笑)。


①リズムとテンポ

 ASTRAL WEEKSの曲はほとんどがスロウテンポで、ジャズっぽいとでもいえばいいのかな、普通のロックの前に進むビートではないし、フォークの切れもない。
 例えば、次作MOONDANCEの1曲目And It Stoned Meのように同じスロウテンポだけどポップス的にいい感じに流れているのではなく、なんというか、後に引きずられるような、前に進みたくても進めない、そんな感じのリズムとビート。
 でもかといって重たいわけではなく、ただ引きずられるだけ。
 はっきりいって、すっきりしない、消化不良、もったいつけられたような音楽、そこが僕は苦手だったのでしょう。

 昨年から、そこが、リズムとテンポが気にならなくなりました。
 こういうのもあるんだと楽しめるようになった、というか。
 そうなると曲はいいので、歌の良さもすっと入ってきました。


②似たような曲が多い

 しかもこのアルバム、3拍子か4拍子か、暗いか明るいか、ジャズかトラッドかという些細な違いはあるにしても、8曲すべて似たような曲が並んでいるのです。
 1曲だめならアルバム8曲すべてだめ、となり兼ねないでしょうね。
 逆にいえば、1曲気に入ればすべてが最高ともなり得るわけで。
 リズムとビートが苦手で似たような曲が並んでいる、と。

 歌うことが大好きな僕としていえば、口ずさめない曲ばかりというのも痛手でしたが、しかし、そこも気にならなくなりました。
 ただ、でも、まだ口ずさむには至っておりませんが。


③曲がいつ終わるか分からずだらだらと続くように感じる

 曲がいつ終わるのか先が見えない、だから余計すっきりしない。
 曲の流れに沿って使用楽器が変わったり追加されたりと、一応それなりの工夫はされているのですが、でも、常識的にいってそろそろ終わりそうだなという盛り上がりを見せたにもかかわらず、そこから1分くらいそのまま、もしくはまた展開するというのは、ポップソングとしてみれば疲れますね。
 アートとしてみればいいのでしょうけれど、僕は、どちらかといえばアートよりポップが好きですから。


④「哲学的」「崇高」というイメージ

 ヴァン・モリソン全体にいえますが、特にこのアルバムは、「哲学的」「思索的」「崇高」「高尚」「スピリチュアル」などと言われていた(る)みたいですが、よくよく考えると、僕はそういう外野の声に惑わされていたのかもしれない。
 おまけに僕は「哲学的」とかそういうのが苦手だから。
 でも今は、「スピリチュアル」というのが、精神的に「崇高」なわけではなく、彼の音楽が「理性」のフィルターを通さず直接的に「魂」から湧き出た「だけ」もの、というくらいの意味だと思うようになりました。
 それと、本を読んで感じたのは、ヴァン・モリソンという人は別に「哲学的」なわけでもないし、「思索的」と感じられる歌詞も、実はそれほど深く考えたモノではない、ただ彼自身が複雑な人、というだけで、それこそ「スピリチュアル」なものに過ぎないのだと。
 ただし、それが出来るのは音楽的に「崇高な魂」を持っている希有な人だから、なのかもしれないですが・・・

 ヴァン・モリソンは「魂の人」、そうです。
 半生記を読んで僕の頭にそのことがはっきりと刻まれました。
 歌詞の繰り返しや不自然で不気味なスキャットなどは、すべて彼の「魂」から発せられるものだとしか思えなくなり、頭で考えずに音楽を感じられるようになった。
 その点でやはり本を読んだのは良かったですね。
 例のスキャットもやっぱりおもしろ可笑しいし。

 余談として、ヴァン・モリソンの歌詞はよくボブ・ディランと並び称されている(た)そうですが、本の著者にいわせれば、ボブ・ディランがそれこそ「文学的」によく練られた歌詞を書くのに対して、ヴァン・モリソンは単に「スピリチュアル」、魂の赴くままに言葉を並べつつ音楽的な響きに重きを置いているだけで、ディランとはまるで違う、薄っぺらい内容なのだそうで。
 この辺は英語が母語ではない僕には分からないことでした。

 本には著者のこんな見識も書かれていました。
 ASTRAL WEEKSは一部のマニアに「名盤」として「祭り上げられていた」(だけな)のではないか。
 このアルバムをいいと言うことで俺は音楽がよく分かるんだ、あるいは、他とは違うほんとうのファンなんだと言いたい、そういう指標として見る向きもあったのではないか、と。
 これは、特にネットの時代になって、そういう人が散見されるようになった気がしないでもないですかね。
 本が書かれた頃はまだインターネットは普及していなかったですが、そういう意識みたいなものは昔からあったんだと。
 しかもそれは日本だけではなく英米でも。

 なんて書くと不公平、無責任ですかね。
 僕にもそういう面が、まったくないとは言い切れないかも。
 そもそも日本では人気がないヴァン・モリソンを大好きだと公言している時点でお前もそういう人間なんだろうと突っ込まれるかもしれない、と自ら危惧してはいます。

 でも、僕はほんとうにヴァン・モリソンが大好きなのです。
 ヴァン・モリソンが好きだからといって人より音楽(ロック)がよく分かっている、と気取るつもりもない。
 何でか分からないけれど、とにかく僕には「合う」んです。
 合うか合わないかは感性の問題だから、より音楽を知っていて理解が深い証拠とはならないはず。
 ヴァン・モリソンの音楽を「高尚だ」「崇高だ」と思ったこともない。
 ゼム時代の名曲Gloriaなんて、歌詞の内容は他愛ないものだし。

 そうそう余談をひとつ。
 本の中で、ゼム時代だったか解散後かは忘れましたが、ヴァン・モリソンがロンドンのクラブでギグを行った際に、最前列「かぶりつき」で見ていたひとりがジミ・ヘンドリックスだった、という逸話が紹介されていましたが、さもありなん。
 ジミはGloriaを聴いてどうしても自分のモノにしたかったのだろうなと想像しました。
 事実、ジミヘンのGloriaはあまりにも素晴らし過ぎるから。

 で、僕は逆に、ASTRAL WEEKSが分からないと言うことで、意図的に「音楽が分かっている人間ではない」ことを前面に出していたのでは、と言われるかもしれないですね。
 基本、へそ曲がりですから、僕は・・・(笑)。
 何であれ、ただ単に、ヴァン・モリソンは僕には「合う」んです。


 さて、もう既に長いですが、せっかく好きになったので、曲の話も全曲書いてみますかね。

 

 なお、このアルバムは、アルバムはA面B面それぞれにタイトルがついています。
 

A=Part One : In The Beginning
 

B=Part Two : Afterwards



A=Part One : In The Beginning

1曲目 Astral Weeks
 ♪ででってってででんてって ででってってでんでんてってという3拍子の不思議なリズムのギターリフで開幕。
 最初から印象には残りました、冒頭だし、フレーズも覚えやすい。
 でも、アルバムの1曲目としてあまりにも変だ、とマイナスの方でより印象に残ってしまったかもしれない。
 これがケルト風の音楽なのか、高尚な音楽なのか、などと若い頃から考え続けてもいました。
 歌としても、歌メロがあるようでないようで崩して歌う、喋る、叫ぶ。
 この歌を我々素人はどう口ずさんだらいいんだ、って。
 "To be born again"とだけ気持ちを込めて歌ってみてもねぇ。
 でもやはり音楽として聴くと、聴きどころ満載。
 ヴァン・モリソンは管楽器の使い方がロックミュージシャンの中では図抜けている、と本にもありましたが、その通りで、主張はしないけれどうまいタイミングで入るピッコロなど、事実上1作目からヴァン・モリソンの管楽器のセンスは感じられます。
 複数のギターの絡みも面白いしよくきくと高度でもあるし。
 ミュージシャンはレコード会社が雇って録音に臨んだ作品ですが、だからバンド的ではないといえばそうだけど、でもこれは事実上のデビュー作だから仕方なかったのでしょう。
 でもだから、このアルバムについて演奏技術面での話をするのは、もしかしてヴァン・モリソン自身は好まないかもしれないですね。
 やっぱり最後まで変なリズムで、ジャズっぽいのかな、ラテンの香りがほのかに散りばめられている不思議な曲。
 だんだんと言葉が少なくなっていく歌の終わらせ方は最高ですね。


2曲目 Beside You
 この曲に至ってはリズムがないとすらいえる。
 演奏を流しておいて気ままに心の在り方を歌ったり叫んだり。
 でも、なぜか不思議とこの変な歌い方に"Beside You"という言葉の響きが合うんですよね。
 印象に残ったこるかどうかでいえば、残ります、とっても。
 ヴァン・モリソンは詩人というよりは音楽家であって、歌いたいという気持ちに合った音を単語として選んでいる。
 その最たるものが、同じ言葉の執拗な繰り返し。
 本でも、同じ言葉の執拗な繰り返しは、自分の声も楽器として認識し作用させることで音楽のイメージを膨らませている、という趣旨のことが書かれていて納得しました。
 それにしても3'08"から始まる繰り返しはヴァン・モリソン史上でも特に耳について離れない印象的なものですね。
 ♪ピーゼンドピーザウト て聞こえるけれど何と言っているのか、"You breathe in, you breathe out"、ううん、分からない。
 とにかくこの曲はヴァン・モリソンの「芸」史上最強に炸裂です。
 この曲もサイドのメランコリックなギターがラテン風ではありますね。


3曲目 Sweet Thing
 タイトルの如く、少し、少しだけ、爽やかになってきた。
 ここまでの2曲が2曲だから、これは軽快な曲といっていい。
 演奏隊が刻むリズムは1曲目と同じ変な3拍子。
 この曲なん「普通にやれば3拍子にすることもなかったのでは。
 普通にやればスマッシュヒットくらい行けそうなキャッチーさがある。
 ヴァン・モリソンという人はキャッチーな音楽は嫌いなのか、とすら訝しがってしまう。
 まあ、時代に流されて周りと同じことをやってもだめだと、この頃既に気づいていたかもしれないですが。
 途中にちょっとだけ助けに来たようにスタッカートでぶつ切れに入るストリングスの音が妙に印象的。
 あああと、この曲は他より唸らずがならずに歌うのが聞きやすいかも。


4曲目 Cyprus Avenue
 この曲は一見普通のフォークソングっぽいイントロから入るんだけど、歌が始まると3拍子なんだか4拍子なんだか分からなくなる。
 バロック風の装飾音が「チャララン」と入っていい感じなんだけど、なぜバロック風なのかは分からない。
 フィドルも入るし、とにかくヴァン・モリソンという人は小さい頃からいろんな音楽を貪欲に聴いてきたことはよく分かります。
 そのフィドルの音があっちの世界の入口をちらと見せてくれますが、気持ちいいと感じるか不気味と感じるかは、その時の気持ち次第。
 一応曲の後半にはそれなりに盛り上がるんだけど、でも歌い方は流れをあまり意識してはいないかな。
 聴き終わると、不思議となんだか落ち着く曲ですね。



Part Two : Afterwards

5曲目 The Way Young Lovers Do
 これがですね、今回、えっこんな素晴らしかったのかと発見した曲。
 やっぱりラテン風なんですよね、時代の音でもあったのかな。
 マイナー調のこの曲はまるで怒っているように聞こえる。
 やっぱり3拍子でこれはもろにジャズ風。
 2番から入るホーンが怒りを助長しているような響きで、ヴァン・モリソンの歌もそこからさらにヒートアップします。
間奏は、ラテン風味のジャズっぽいトランペットソロ。
 ジャズはよく知らないで無責任に言ってしまえば、フレディ・ハバードみたいな間奏。
 ソロのはじめでヴァン・モリソンもスキャットで対抗しようとするのも、おいそりゃ無茶だよとツッコみたくもなる、無謀な人(笑)。
 彼の管楽器のセンスが図抜けていることがよく分かります。
 これは、何とかシングルにしようと仕立て上げればそれなりのものにはなったんじゃないかな、そんな気なかったでしょうけど。
 このアルバムにあって、曲の持つパワーは大きい1曲です。
 もうちょっとで口ずさめるんだけどなあ、そこは惜しくもあります。


6曲目 Madam George
 本ではこの曲を特に押していました。
 でも、これ、本を読む前に車で聴き始めて、よく聴くと"Madam Joy"と歌っているように聞こえたんです。
 ”George"の"ge"の音は入っていない。
 そう聞こえるのは単に彼の癖なのだろうと思っていましたが、本を読むと、まさに"Madam Joy"に聞こえると書いてあってびっくり。
 実際ヴァン・モリソン本人も、なぜ曲名がMadam Georgeになったのか分からないと発言していたそうで、まあいい意味テキトーな人ですからね。
 で、いつものGuessの勘繰りですが、"Madam Joy"だとあまりにも「怪しい」のでタイトル変えたのかな、と。
 この曲は4拍子でジャズではなくトラッド風。
 ストリングスのアレンジに高揚感があるんだけど、でも多分、クスリによる高揚感ではなく、マダム・・・まあそういうこと。
 いや、これもやっぱり「あっちの世界の入口」感が。
 で、やっぱり曲がいつ終わるか分からない(笑)。
 まあでもこれ、慣れるとずっとこの世界に浸っていたいと思ってしまうから、もうこれは完全にやられましたね。
 しかしそれにしてもこれは、いったん静かになり、終わると感じさせて感ら、引っ張り過ぎ、じらし過ぎ。
 そうか、これはじらされた歌なのか、なら合点。
 なんであれ、ヴァン・モリソンが気持ちよさそうに歌っていて、ほっとするものはありますね。
 さよならしているはずなのに心地よいとはこれいかに。

 ところで、このアルバムのストリングスのアレンジ、どこかで聴いたことがある感覚だなあと思って聴いてきましたが、
分かった、分かりました。
 R.E.M.でした。
 OUT OF TIMEとAUTOMATIC FOR THE PEOPLEのストリングスのアレンジ、「あの世の入口感」の出し方が、R.E.M.は影響受けたというか、参考にしたのかもしれない。
 ちなみにAUTO...の方のストリングスのアレンジは、かのジョン・ポール・ジョーンズが担当していますが、バンドとしての音の出し方という点で。
 まあ、違うかもしれないですけどね、でも、大好きなアーティスト同士の似たところを見つけるとやっぱり嬉しくなりますね(笑)。


7曲目 Ballerina
 これも本で評価が高かった、名曲扱いでした。
 で、やっぱりスロウテンポで、アップライトベースの叩きつけるような高音フレーズが印象的。
これはやっぱりジャズなのかな。
 5'20"の「ちょっとらっかちょっとらっかちょっとらっか」と繰り返すところは、ごめんなさい、本人至って真面目に取り組んでいるのでしょうけれど、どうしても笑いがこみ上げる。
 まあ、真面目だから滑稽、ということもあるでしょうし、もしかして本人も「そこ笑うところだから」と思っているのかも。
 そうですね、高尚な音楽ではないのでただ楽しめ、と。
 ところで、ヴァンさんが♪ばぁ~れりぃい~なぁ~~とねちっこく歌ったところで、バレエを踊る女性の姿がいっこうに頭に浮かんでこないのはどうしたことか・・・
 バレリーナが足を壁に充てて伸ばしながら準備体操している、或いは踊りの合間に小休止しているところを、窓の外からこっそりのぞいてし まった、そんな感じの曲かもしれない。
 名も知らぬ寂しいバレリーナよ、出ておいで、と。
 妄想かもしれない、余計なお世話かもですけどね。
 ショーやオーディションに向けて必死に練習して充実した日々を送っているのかもしれないし。
 でも、ヴァン・モリソンにはそうは見えなかった。
 俺が助けてやる。
 そんなところにも彼らしさが感じられる1曲です。


8曲目 Slim Slow Slider
 ロック的な頭韻を踏んだタイトルに、おっやるじゃん、と。
 それにしてもこのタイトルはかっこいいですね。
 かっこいいと思わせるところもあるんですね、ヴァン・モリソンにも。
 曲はやっぱりスロウテンポのジャズっぽい曲ではありますが。
 「あなた」がどこかに行ってしまうのをただ見送る、寂寥感、はかなさ、虚しさが漂う曲。
 でも息苦しさはなくて、ヴァン・モリソンの「魂」は、それも自然なこととして受け止めている、どこかすがすがしさがある。
 曲の最後にドアを乱打するようなパーカッションの音が入り、それまでいい感じで歌っていたソプラノサックスが突然乱れ、あまりにも急にフェイドアウトして曲が終わる。
 やりようがなかったのかもしれないけれど、でも、断片だけをつないだ心象風景を終わらせるには、もうこれしかないという素晴らしい終わり方。
 

 こうしてイメージが膨らんで、持続して、さらには人から人に伝染してゆく、それがこのアルバムの魅力なのでしょう。
 20年以上が経って、ようやく、よぉうやく、分かりました。



2019年1月30日 美瑛朝の風景

 ところで。
 本を読んでASTRAL WEEKSが好きになった副産物として、1975年のVEEDOM FLEECEもようやく心の底からいいと思えるようになりました。
 あのデカい犬のジャケットのやつですが、VEEDOM FLEECEは、ASTRAL WEEKSの「続編」的なものとして捉えられているということが分かり、そうかそういうことかと思ったのでした。
 実際にリズムとテンポが普通ではない曲が多いのですが。


 最後にもうひとつだけ本の感想。


 ヴァン・モリソンはほぼ見た目通り「偏屈な人」であるのはよく分かりました(笑)。
 その偏屈さゆえに、プロモーションに真剣に取り組まず、インタビューもおざなりで嫌みすら言ったりしていたことで、彼は「売れっ子」「大スター」になる道を自分から閉ざしていた。
 なんとももったいない話ですが、でも一方で、「大スター」にならなかったがために、縛りが少なく、大好きな音楽をずっと続けてこられたというのはなんとも皮肉なことだと。

 しかも、です、ヴァン・モリソンは昨年12月にも新作THE PROPHET SPEAKSを出し、ここ3年でなんと5枚目となるアルバムを出したとんでもないじいさんですが、この本を読むと、今のその姿がきわめて自然に映るのです。
 

 そう、これがまさにヴァン・モリソンがやりたかったこと。
 思い浮かぶままに曲を作って録音する、ただそれだけ。
 この世でいちばん幸せなプロフェッショナルミュージシャン。
 それがヴァン・モリソンという人なのではないかと思います。

 

立秋も過ぎたお盆の今、なぜ5月・・・?!

遠出が続く5月、久し振りに洋楽ドライブCD-Rを作りました。

という記事を上げたつもりでいたのが、勘違い、上げる作業が途中のままになっていたことに、あろうことか数日前にようやく気づきました・・・

というわけで副詞が多過ぎましたが、今回は21曲、早速いきます。


◎1曲目



 I Can't Explain
 The Who
 (1965)

ザ・フーの1960年代の発掘音源ライヴが発売されました。
僕も久し振りにザ・フーを聴いて、やっぱりここで心が釘付けに。
これはCD-Rの曲の流れ的に2曲目に入れたかったのですが、
1曲目に入れる適当な曲が今回他に思いつかず、
むしろこれが1曲目にふさわしいと(というか普通そうですよね)。
アップテンポでパワフルだけど繊細かつセンチメンタル。
こういう曲ってめったにない、さすが。



◎2曲目


 I'm Gonna Getcha Good
 Shania Twain
 (2002)

最近シャナイア・トウェインがここによく出てくる、今気づいた。
これは弟の車に乗る用事があった時に、USBを挿した
カーステレオから流れてきて強く印象に残りました。
でも、はい、僕は正直、シャナイアの低音が苦手なんです、ええ。
重たくて押し殺したようなあの声が窮屈で、この曲は特に、
アルバムUPをよく聴いていた頃に気になった。
でも今回、それは彼女の「妖艶さ」であり歌手としての魅力である
ということがよく分かりました。
この曲は ♪げっちゃぐぅ~ど と歌う部分が出来た時点で
もうシャナイアと彼女の陣営の勝ち、それほど魅惑的な歌い方。
聴いてゆくとそこ以外も歌メロがいいし、もうお気に入り。
CD-Rを作ると1曲か2曲何度も何度も繰り返し聴く「はまる」曲が
必ずあるんだけど、今回はこれですね。
こればっかり10回くらい繰り返したり。
しかっし、それにしてもシャナイアのこのPVの衣装といったら・・・
黒豹のイメージなのでしょうね、歌の通りに。



◎3曲目


 That's What I Like
 Bruno Mars
 (2016)

ブルーノ・マーズの時代といっていいのでしょう、この曲は今年の
グラミー賞「最優秀年間楽曲賞」Song Of The Yearを受賞。
この賞を取った曲には昔から一目置いてきていますが、
僕も現金なもので、取ったとなるとこの曲への見方が急変(笑)。
ごめんなさい、でも僕はこの曲があまり印象に残っていなくて、
久し振りにアルバムを聴き、ここに入れて聴くことにしました。



◎4曲目


 Fly Like An Eagle
 Steve Miller Band
 (1976)

前回この記事を上げてから4ヶ月余りの間で、僕の身に
直接起こったことではないものとして最大の出来事が
フィラデルフィア・イーグルスのスーパーボウル制覇でしょう。
まさか僕が生きているうちにこの夢がが叶うとは!
ほんとうはその日に記事を上げるつもりでいたのですが、
気がつくと翌日になっていてもう上げる気が失せていました。
でも今となっては上げるべきだったと少々後悔しています。
話せば長くなるのでやめますが、ここから5曲は
フィラデルフィア・イーグルスに関係する曲を並べました。

ロック界で鷲の曲といえばやっぱりこれにとどめを刺すでしょう。
自由に向かって飛び立ちたい。
でも自由を手にするには勇気が要る。
不安のその先に自由があるのです。
ロックの楽曲として最高の1曲、至宝ですね。



◎5曲目


 Eagles Fly
 Sammy Hagar
 (1987)

イーグルス優勝で僕は長袖半袖Tシャツたくさん買いました。
その中の1枚には"Fly Eagles Fly"の文字が。
とくればもう反射的にサミー・ヘイガーこの1曲。
この曲は、ヴァン・ヘイレン東京ドーム公演において、
サミー1人のセットの時にアコースティックギター弾き語りで
歌ってくれたのが、今でも映像として頭に甦ります。
貼り付けた映像はヴァン・ヘイレンのものとして上げられており、
まさにこんな感じだったなあと懐かしく思いました。
しかしここに入れたのはサミーのアルバムに収録された
普通のロックヴァージョン、もちろんそれも素晴らしいのですが。
この曲もやっぱりどこか不安に感じさせるものがある。
アメリカの国鳥はハクトウワシですが、アメリカの人はきっと、
ただぼけーっと「鷲が飛んでるなぁ」とは思わないのでしょうね。
そう思うのはむしろバーダーだけかもしれない(笑)。



◎6曲目


 Streets Of Philadelphia
 Bruce Springsteen
 (1993)
 
ブルース・スプリングスティーンのこれは
映画『フィラデルフィア』のテーマ曲。
シングル曲でありオリジナルアルバム未収録のため、
僕はこの曲をあまり聴いてこなかったので、今回入れることに。
映画は、当時はそのような言葉はまだなかったけれど、
"LGBT"問題を真正面から捉えたものとして大いに話題に。
映画のテーマ曲もこれとニール・ヤングの2本立てのような
感じで大きく取り上げられ、こちらはTop10ヒットとなりました。
そして映画とこの曲のプロモーションビデオの監督、
ジョナサン・デミは昨年亡くなりました。
この曲も不安の先に光があるように感じられますね。
ボスの曲にしては珍しくキーボードが強く印象に残ります。
そしてもうひとつ、ボスもこの当時流行っていたこの
跳ねたリズムを取り入れたか、と、その頃一部のロックファンの
間で密かに話題になっていたことも付記しておきます。


◎7曲目


 Then Came You
 Dionne Warwick & The Spinners
 (1974)

フィラデルフィアといえば「フィリーソウル」。
フィリーソウルといえばこの人たち、という2組を続けましょう。
先ずはスピナーズ。
もっともスピナーズはデトロイト出身で最初はモータウンにいた
いわば「移籍組」なのですが、まあそれはいいでしょう。
スピナーズを入れるぞ、とCD-Rを作る際に決めたのですが、
はて、どの曲を?
僕はスピナーズはベスト盤を含め数枚CD持ってますが、
ごめんなさい、正直それほど聴いてきていなくて、
有名な何曲かを知っているくらい。
そこであらためてWikipediaを見ると、なんと、
ディオンヌ・ワーウィックと共演してビルボードNO.1になった曲がある、
ということが分かってベスト盤を見ると、入っていた、か。
まあいい。
なんだか爽やかで心地よい曲ですが、軽い響きの中にたっぷりと
情感がこもったディオンヌの声はこの曲にぴったりですね。
今回「発見」して大好きになった1曲です。



◎8曲目


 Love Train
 O'Jays
 (1972)

そしてフィラデルフィアコーナーのラスト。
フィリーソウルといえばこの人たち、オージェイズ。
ここまで不安を抱えてきていたけれど、ここはひとつ
ぱーっと明るくとにかく前向きにいきましょうか。
ふと思ったのですが、これはかの有名なインプレッションズ
People Get Readyの明るい面を強調したかった曲かもしれない。
「ほんとうの」アメリカという国は誰でもウェルカムなのだよ、
というメッセージを、時代感覚とともに強く感じました。

なお、フィラデルフィアといえば忘れてはならないのが
ダリル・ホール&ジョン・オーツですが、
今回は曲のバランスを考え、敢えて外しました。
でも忘れていないことを表すため、ここに一筆加えておきます。



◎9曲目


 My Favorite Things
 Jewel
 (2011)

僕の洋楽ソースのひとつ、「吉田類の酒場放浪記」。
オープニングで、誰だったか忘れましたがこの曲が使われていて、
うちにCDがある中からジュエルのを入れることにしました。
これ、「大好きなこと」を歌っているはずなのに、
なんでこんなに暗いんだろう。
そう思って歌詞をネットで見ると、つらい時期に
大好きなことを思い出して頑張ろうという歌のようで納得。
映画『サウンド・オブ・ミュージック』挿入歌、映画は観たのだけれど、
この曲のシーンは覚えていません・・・
というわけで、貼り付けたYou-Tube映像はその映画のシーン、
ジュリー・アンドリュースが歌っているものです。
ジュエルのがYou-Tubeにはなかったこともあって。
このところ作るCD-Rにジュエルが毎回のように出てきますが、
やっぱり僕は彼女の声が大好きなようです、はい。



◎10曲目


 Raindrops Keep Fallin On My Head
 B.J.Thomas
 (1969)


B・J・トーマスが歌うこれ、昔っから雨が降るとよく口ずさみます。
今回は春先の次のCD-Rを考え始める頃に口ずさんだのですが、
それは、降るものが雪から雨に変わる頃、ということなのです。
この曲、表向きは一見明るい曲に聞こえますが、でも
どこか虚しさや寂しさが漂っていることを感じます。
映画の結末を知っていればそれがなぜかは分かるのですが、
なんとも奥の深い味わいある曲ですね。
ところでこれ、"Raindrops keep falling"ってうまく言えない。
若い頃何度も何度も歌ったけれど、"P""S""k"の三つ続く子音が
どうもスムーズに言えないし、"p"と"f"にしたってそう。
それはきっと僕がネイティヴスピーカーじゃないから、
それはもちろんあるだろうけれど、でも実はこの曲の中で
"Raindrops are"と歌い変えている部分があるので、
きっとネイティヴでも言いにくいのでは、と思ったりもします。
僕の中ではバート・バカラックといえばこの曲です。



◎11曲目


 Slippin' And Slidin'
 John Lennon
 (1975)

CD-R後半戦スタート、まずは景気よく一発。
NHK「笑う洋楽展」、番組が3月で終了してしまいました。
まあ、今は同じ二人で同じような「笑う洋楽園」を放送していて、
いわゆる「ロス」状態にはなっていないのが幸いですが、
でも正直僕は音楽の楽しさに焦点を当てた「展」の方が好き。
これは番組終わり近くの「被ってる」というテーマの回に
取り上げられていて、番組で紹介されたテレビのライヴ映像は、
ジョン生前最後に人前で歌った時のものだと言われると、
やっぱり某かの感慨のようなものがありますね。
その映像ではバンドメンバーが被り物をしていましたが、
「被っている」にはそれ以外(以上)の意味があるそうです。
でも僕にはなののことだかさっぱり分かりませ~ん(笑)。
なんてカマトトぶってみました(死語か?)
しかしみうらじゅん氏が「ジョンやっぱりかっこいい」と呟いて、
その言い方がリアルで、うんうんそうだよなあと共感を覚えました。
でも一方みうらさんは、こんな人だったら身内で酔っ払いでも許す
と言ってたけど、僕はそれはどうかなあ、と真面目に答えてみる。
貼り付けたのはその「笑う」で紹介された映像、お楽しみあれ。



◎12曲目


 You Won't See Me
 Anne Murray
 (1974)

「カナダの歌姫」アン・マレー。
ビートルズのカバーですが、ジョン・レノンが1975年の
グラミー賞授賞式で久し振りに人前に出ることになり、
楽屋にいたアン・マレーの姿を見つけて自らにじり寄り、
あなたのこの歌は僕が聴いたビートルズのカバーで
いちばん素晴らしい、と話しかけたのだとか。
そういう時のジョンって少年のような瞳だったでしょうね。
ビートルズではアルバムの中の1曲ですが、
それを自分のものにしたアン・マレーも素晴らしい。
後半のたたみかけるような1人コーラスは、もしかして
ビートルズのオリジナル以上のアイディアの勝利でしょう。
貼り付けたYou-Tube映像は、"Anne Murray and Chicago"
となっていますが、あのシカゴと共演したのではなく、
シカゴにある農場で歌っている映像のようです、念のため。
まあそれでも彼女の歌の素晴らしさは分かりますね。
こんなところで歌うんだ、という驚きもいくばくかありますが(笑)。



◎13曲目


 Positively 4th Street
 Bob Dylan
 (1965)

このCD-Rは曲と曲、アーティストとアーティストの
「つながり」を考えて曲を並べています。
ここは、ジョン・レノンがボブ・ディランのこの曲を好きだった、
というつながりでこれが頭に浮かびました。
これもシングル曲でアルバム未収録のためあまり聴いてきておらず、
この場で聴きなじもうかという1曲。
ぱっと見(聴き)、いかにもボブ・ディランという一般のイメージに
ぴったりの曲だとあらためて思いました、時代感覚も含めて。
でもよく聴くと、同じ8小節を歌詞だけ変えて延々と繰り返すという、
実はかなり人を喰った曲であることが分かります。
もちろん、人を喰うこと自体がディランらしさなのでしょうけれど。
ぞしてその歌メロが耳にこびりついて離れない。



◎14曲目


 I'm Walkin'
 Tom Petty & The Heartbreakers

そして「ディランの子ども達」トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ。
昨秋大往生したファッツ・ドミノのカバー集から。
トムの音楽の先達への敬意をあらためて感じますね。
軽いのりでさらっとやってのけるところが、逆に。
そしてやっぱりトムがアメリカでこれほどまでに支持されるのは、
この「スウィング感」を自然に出せるからなのかもしれない、と。
トムたちが心からスウィングを楽しんでいることが伝わり、
こちらも自然と楽しくなってしまう。
こんな楽しさってある?
シャナイアとともに今回「はまった」曲、いつも繰り返しかけてます。



◎15曲目


 Landslide
 Fleetwood Mac
 (1975)
 
ここのつながりは、スティーヴィー・ニックスはかつて
トム・ペティとのデュエット曲を大ヒットさせたということ。
先日「ベストヒットUSA」でフリートウッド・マックが話題となり、
スティーヴィー・ニックスについての一悶着に触れたところで
流れてきたこの曲がやっぱり素晴らしかった。
カントリー調というよりもうほとんどカントリーといったこの曲、
僕は二十歳の頃に知りましたが、この曲がアメリカでは
人気があると聞いて最初はなぜか分かりませんでした。
でも、今となってはもうそれがなんとなく分かります。
アメリカとはそういう国、このような曲が受けるのでしょう。
もちろん今は大好きですよ。
スティーヴィー・ニックスもカントリーっぽいのが似合うし、
僕の彼女もカントリーっぽい曲が大好きなのでした。



◎16曲目


Torna A Surriento
Luciano Pavarotti

このCD-Rではつながりを大切にすると書きましたが、
一方で、大きく展開する部分も交えてゆきます。
もちろん無理のない流れの中でということにはなりますが、
これがですね、自己満足ですが、うまくはまると楽しい。
ルチアーノ・パヴァロッティは折に触れて1曲挟み込みたいと
常々考えていて、今回はこの曲が聴きたくなったのですが、
この曲はこの辺りに置くと先に決めて前後の曲を考えると、
自分としては意外とうまくそして面白くつながったかな、と。
この曲は小さい頃に日本語の歌詞でも聴いていたので、
「帰れよ~ 我を捨つるな~ 帰れソレントへ 帰れよ~」
と、パヴァロッティに日本語でも歌って欲しかったですね。



◎17曲目


 Scream
 Janet Jackson & Michael Jackson
 (1995)

長崎銘菓「シースクリーム」をご存知ですか?
黄桃とパイナップルが乗った四角いショートケーキ。
知らなかった。
弟が録画して観ていた刑事ドラマで村上弘明が食べていて
興味を持ち、ネットで探すと冷凍物の通販があったので、
早速取り寄せて食べてみました。
おいしい。
少し解けた頃のクリームとスポンジに味わいがあった。
また取り寄せようと思う。
それを食べている時ふと頭に浮かんだ歌が「スクリーム」、
ジャネット・ジャクソンとマイケル・ジャクソンのこれでした。
大スター兄妹初共演が当時話題になりましたが、MTVではよく
観て聴いてはいたけれど、音楽としてはあまり聴いてこなかった。
しょ~~じきいえば大好きな曲というわけではなかったのですが、
楽しいしカッコいいし、こういうのがあってもいいかなと思って。
そして予想通り、今回ここに入れたことで、以前よりぐっと
この曲を好きになりました。
サビの"Stop pressuring me"の歌詞が一カ所だけ、
"f"で始まる4文字単語に置き換わっているのは、
ちょっとおふざけが過ぎるんじゃないとは思いますが(笑)。



◎18曲目


 Nikita
 Elton John

ここでよく話題にするHBCラジオ「バン・バン・レイディオ」で、
2月にこれがかかっていて、これもMTV時代によく観て
聴いていたけれど、じっくり聴いたことはなかった、と。
で実は、当時僕はこの歌い方が好きじゃなかった。
今は気にならない。
曲も昔はかかっているとなんとなくいい、くらいだったけど、
今はほんとうにいいと思う。
バッキングのカッカッと鳴るギターがいいですね。



◎19曲目


 American Tune
 Paul Simon
 (1973)

今年に入ってから、クラシックですが、ひとりの指揮者が指揮した
演奏を集めたボックスCDを何名か、何点か買いました。
そのひとり、ひとつが、サー・ジョン・エリオット・ガーディナーが
ドイツグラモフォンに録音した物の中から、宗教合唱曲や
オペラといった歌物を中心としたボックス。
その中のJ.S.バッハ「マタイ受難曲」を聴いていたところ、
耳になじんだ旋律が流れてきました。
あれ何の曲だったっけと思う間もなくすぐに、それが
ポール・サイモンの声に変換されて頭の中に流れました。
American Tune、僕がポール・サイモンでいちばん好きな
「ひとりごと」に入っていてここ15年で聴きなじんできた曲ですが、
バッハのマタイから旋律を引いていたことは知らなかった。
ポール・サイモンのこの曲をよく聴くようになってから、
バッハのマタイを聴いたのは初めてだったかもしれない。
それにしてもこの歌メロはしみてきますね。
引用したというよりは、ポール・サイモンの心の言葉が、心の
底の方に幼い頃からずっとあったマタイの旋律とふと結びついた、
それくらい自然に感じられます。



◎20曲目


 Have I Told You Lately
 Van Morrison
 (2018)

ヴァン・モリソン。
なんという人でしょう!?!
4月に新作YOU'RE DRIVING ME CRAZYをリリース。
昨年9月から9ヶ月で新作を3枚も出している。
これはオルガン奏者のジョーイ・ディフランチェスコとの
共同名義になってはいますが、それにしても旺盛な創作意欲。
今回はジャズッぽいというよりはジャズアルバム。
自分の曲を幾つかリメイクしていますが、その1曲がなんとこれ、
Have I Told You Latelyでびっくり。
リメイクすることがびっくりなのではなく、その出来映えに。
もうまるで違う、軽い軽~い曲に変貌を遂げています!
あの名曲をおちょくっているのか!
と机を3回叩きたくなるくらい、まったくイメージが違う。
昔の僕ならそうしていたかもしれない。
でも、今はこれはこれでいい、楽しめます。
だけどやっぱり真摯にカバーしたロッド・スチュワートも、
これを聴いたらやっぱり驚くだろうなあ。
これはヴァン・モリソンのロック的「照れ隠し」なのでしょうね。
おそらく欧米ではすっかりポピュラーでスタンダードな曲に
なったことへのアンチテーゼかもしれないし。
僕は今回の新作で初めて聴きましたが、You-Tubeを見ると、
その前に録音録画したと思われる同じスウィングヴァージョンの
ライヴ映像がありました。
こんな感じです、はい。
なんであれ、一筋縄ではいかないおじいさんです、はい(笑)。
そしてこのペースとはいわないけれど、この先も1年に1枚でも
2枚でも新作を聴かせ続けてほしい。
トム・ペティ亡き今、余計にそれを願います。



◎21曲目


 Let's Go Crazy
 Prince
 (1984)

前にも言いましたが、僕が作るCD-Rの編集方針は、
ラストは明るくてどこか抜けた感じの曲にしたい。
今回はプリンスのこれに。
最初の方がいい曲かもしれないですが、車でCDを聴くと
エンドレスになるので、これでまた最初からと考えることもできます。
この曲はこの中では最も聴いた回数が多いと思う。
それでも敢えて入れるのは、先日の「ベストヒットUSA」において、
この曲が持っているパワーを小林克也さんがうまく言い表していて、
そうだよなそういう曲だよなあといたく感心したからなのでした。
で、その話を聞いて、僕はプリンスが死んだ直後に
今はWhen Doves Cryはほとんど顧みられていない、
という主旨の嘆き節のような記事を上げていましたが、
やっぱり曲の力としてはLet's Go Crazyの方がはるかに上だな、
ということに、ま、気づかされ反省したのでした。
この曲が世の中にあってほんとうによかったですよね!




いかがでしたか!
もちろん小林克也さん風に。

最近は、こちら側の思いだけで曲を聴くのではなく、
曲に身を委ねるようになってきているようで、
以前よりも曲に対して気持ちが純粋に入っていけているのを感じます。
多分、以前のような妙なこだわりがなくなっているからでしょう。

CD-R、一度作ると、時間や流れの関係で
落とさざるを得なかった曲が出てくるので、
またすぐにそれらを入れて作りたい、といつも思いますね。

また作ったらここに上げます。
01
20180128A


 10日ほど前にまた彼女と富良野美瑛に撮影などを目的とした小旅行に出ました。

 今回はその時のために作ったCD-Rの曲紹介です。



◎1曲目


 Broken Record
 Van Morrison
 (2017)

 1曲目はまだ湯気が出るくらい最新のヴァン・モリソンから。
 いやぁ、この曲とってもとってもとっても気に入った!
 自分の単語連発癖をついに歌にしてしまったなんて!
 スウィング感が1曲目にもふさわしい。
 そして何度聴いても可笑しくて楽しくてしょうがない!


◎2曲目


 Signed, Sealed, Delivered I'm Yours
 Michael McDonald
 (2004)

 前回マーヴィン・ゲイ「悲しいうわさ」のマイケル・マクドナルドによる素晴らしいカヴァーを入れましたが、その流れで今回もスティーヴィー・ワンダーのこれを。
 というか、前回こっちを入れようとしてCDを聴いたところマーヴィンの方が気に入ってしまい入れたということがあって、なんだか申し訳なくて、入れないわけにはゆかなかった。
 とんでもない、大正解、これは大好きになりました。
 "signed, sealed, delivered"という言葉のリズムが最高にいい。


◎3曲目


 I Love You Always Forever
 Donna Lewis
 (1996)

 ドナ・ルイスのこれは東京にいた頃毎日のようにMTVで聴き、シングルCDを買ったくらいに気に入った曲ですが、ひと月ほど前に「バンラジ」でかかっていたので入れようと。
 究極のかわいらしい声ですかね、もうこの声だけでいい。
 は言い過ぎ、というのもこの曲の「裏聴きどころ」は、サビの部分のリズムのグルーヴ感、心地よさなのです。
 というのも、この曲のベースは元ザ・ファームそして元ブルー・マーダーのトニー・フランクリン。
 かつて何かのテレビのインタビューで本人が答えていたのを見て、現金な僕は(笑)、はあそうだったのか、どうりですごいはずだ、と。
 まあだから知らないで聴いたらそこまですごいと思ったかどうか、自分でも自信はないのですが、でもやっぱりこのリズム感が、あまりにも心地よい、ということは言っておきます。


◎4曲目


 Ramblin' Man
 The Allman Brothers Band
 (1973)

 これは彼女が好きなドラマで使われていた曲。
 が、実はですね、僕は彼女に言われるまでこの曲を事実上「知らなかった」のでありました。
 つまり家にCDはあるけどまともに聴いていなかったという。
 あらためて聴くと、とってもいいじゃないですか。
 カントリー調のブルーズロックとでもいいますか、それにのっかった気が抜けたように歌う素軽い歌メロもまたいいですね。


◎5曲目


 Ramblin' Gamblin' Man
 Bob Seger
 (1969)

 ここで僕お得意の(!?)言葉遊びチェインリアクション。
 ボブ・シーガーのこれ、オリジナルは1969年ですが、うちにオリジナルスタジオヴァージョンの音源がないことが分かり、1976年のLIVE BULLETから取りました。
 この曲は知っているという程度でほとんど聴いてきていないため、今回僕の心にとっても新鮮で強力に映り、もはや大のお気に入りの1曲になりました。
 曲もだけど、ボブ・シーガーの歌い方がかっこいい。


◎6曲目


 Hoochie Coochie Man
 Eric Clapton
 (1994)

 そして今度は"man"つながりのエリック・クラプトン。
 これは年末に何の脈略もなくサビが口を突いて出てきて、それからそこばかり時々口ずさんでいました。
 まあ口ずさむのであれば誰のでもあまり変わらないかもだけど、僕が口ずさんだのは一応なじみのあるクラプトンの方ということで。
 ううん、これについて何を言えばいいのだろう。
 もうただただいい。


◎7曲目



 Every Kinda People
 Robert Palmer 
 (1978)

 ロバート・パーマーのこれは「バンラジ」でかかっていたもの。
「バンラジ」ではよくかかる曲がほとんど決まっているのですが、これはそうではなく、ちょっと珍しい選曲だなと聴き入りました。
 というかすいません、これもベスト盤持っているけれど、ラジオでかかった時は誰の何という曲か分からず、聴いていくうちに声とサビの歌詞でなんとか分かったというもの。
 この際だからCD-Rに入れて聴きなじもうと。
 で、これですね、きっとロバート・パーマーはマーヴィン・ゲイのWhat's Goin' Onのような曲を作りたかったんだろうなって。
 カリプソ風にしてごまかそうとしているけれど、もう丸見え(笑)。
 でもそんなところがとっても気に入りました。


◎8曲目


 High Enough
 Damn Yankees
 (1990)

 ダム・ヤンキーズのこれも「バンラジ」でかかっていたもの。
 この曲がヒットした頃はラジオで聴くくらいだったので、なんだか半分懐かしくなってCD-Rに入れることに。
 それにしてもこれはいかにもアメリカンロックというハイトーンヴォイスが炸裂していますね。
 歌メロ素晴らしく、CD-Rのいいアクセントにもなります。


◎9曲目


 Save The Best For Last
 Vanessa Williams
 (1992)

 続いてこのヴァネッサ・ウィリアムスも「バンラジ」から。
 ううん、これはほんとうにいい歌ですね。
 でも実は僕、なぜか、洋楽はずっと聴いていたはずなのに、この曲がヒットした頃のことはまったく覚えておらず、2年くらい後にMTVで観て聴いて曲を知ったという。
 ビルボードで1位になっていたのに、自分でも不思議。
 まあそれはともかく、僕はこの人、それまで歌い方がもう少ししっとり系だと思っていたのですが、今回聴いて、結構コケティッシュな声でもあることに気づきました。
 これも大好きですね。
 でも僕は、"Sometimes the sun goes 'round the moon"という歌詞を聴く度に「それはナイナイ」とツッコミ入れたくなります(笑)。


◎10曲目


 Mind Games
 John Lennon
 (1973)

 ジョン・レノンです。
 今年になって2度ほど彼女とカラオケに行きました。
 もちろん僕は1曲を除いて洋楽しか歌いませんでしたが、これは1回目に行った時最後に歌おうと予約したところ、時間切れになって歌えなかったので、2回目の最初に歌ったもの。
 上手い下手は別として、これは歌いやすかったです。
 そして今回"Yes is surrender"という歌詞、なんとまあ含蓄のある言葉であることと、あらためてジョンのすごさが分かりました。


◎11曲目


 We're Gonna Groove
 Led Zeppelin
 (1982)

 レッド・ツェッペリンです。
 ジョン・ボーナムの死後に出たCODAから1曲選びました。
 ううん、これはただなんとなく入れたいと思っただけかな。
 最近やっぱり僕はZepが大好きなんだと再確認しているところ。
 この曲はギターもベースもドラムスもヴォーカルもスリリング。
 やっぱりこれがZepなんだなあと。


◎12曲目


 Don't Get Me Wrong
 The Pretenders
 (1986)

 プリテンダーズのこれも直近では「バンラジ」で聴いたもの。
 この曲は「定番」、僕はこのCD-Rの選曲に当たって、まあ元々そういう人間だからか(笑)「定番」は選ばないようにする、というか自然とそうなる傾向が強いのですが、今回は敢えて定番も入れてみました。
 それでどう感じたかというと、華やかさが増したような。
 そうか、僕にはそういう要素が欠けているんだ、と。
 まあいい、これは出た時から大好きな曲だから。


◎13曲目


 Stray Cat Strut
 Stray Cats
 (1981)

 ブライアン・セッツアーの日本ツアーが今まさに行われていますね。
 最初の公演が札幌でしたが、僕は行かなかった、行きたかったけど。
 ブライアン・セッツアーが札幌に来るというので「バンラジ」でも特集があり、この曲もかかっていた、あれ、別のHBCの番組だったかな・・・
 ともかくこの曲、当時は正直あまり好きではなかったけれど、30年以上を経て今はこのブルージーさがたまらない。
 それにしてもブライアン・セッツアーのギター、ビブラートのかけかたが尋常じゃない、すごすぎる。
 僕は密かに自分のリアルタイムで出てきたロック系ギタリストの中で、ブライアン・セッツアーが一番上手いのではないかと思っています。


◎14曲目


 Fall On Me
 R.E.M.
 (1986)

 R.E.M.を今回はどうしても1曲入れたくて、何にしようかと、入れるならベスト盤に入った曲がいいなあということで、CDを手に取る前に頭に浮かんだのがこの曲。
 よかった、雰囲気合っていた。


◎15曲目


 War
 Edwin Starr
 (1970)

 これも「バンラジ」、僕はども定番ではない曲に反応するようで(笑)。
 それにしてもエドウィン・スター迫真の歌唱がすごすぎる。
 しかしメッセージ性の濃いこれをモータウンはよく許したなと別のところでも感心したりして。
 テンポが上がったところのベースラインが素晴らしいのもさすがはモータウン。


◎16曲目


 The First Time Ever I Saw Your Face
 Roberta Flack
 (1969)

 ロバータ・フラックのこれはクリント・イーストウッドが監督としてデビューした主演映画「恐怖のメロディ」(原題PLAY MISTY FOR ME)の挿入歌としてリリース2年後にNo.1ヒットとなった曲。
 映画も観ましたが(恐いですねぇ)、この曲はなんというか、僕のツボにはまらなくてなかなか覚えられない。
 いつか覚えたいと思ってついに今回CD-Rに入れたというもの。
 もう10回以上聴いているけれど、そうですねやっぱりなんというか、僕とはあまり相性が合わない曲だなあ、と。
 聴いている瞬間はなかなかいいなと思ってはいるのですが、口ずさむとかそういうことはまだないですね。
 この先どうなるか、もちろん聴き続けてゆくけれど。


◎17曲目


 Wait For Me
 Daryl Hall & John Oates
 (1979)

 ダリル・ホール&ジョン・オーツのこれ、僕が彼らを聴き始めて最初の頃、洋楽ってんないい曲があるんだと思った曲。
 これも「バンラジ」でかかっていましたが、これが入ったオリジナルアルバムはほとんど聴くことがないので他の番組でかかる曲よりは擦れていなくて新鮮に響いてきました。
 やっぱりいいよなあこの曲は。


◎18曲目


 Wrathchild
 Iron Maiden

 アイアン・メイデンです。
 唐突過ぎるでしょうか。
 そうですよね、前も後も雰囲気がいい曲だから。
 はっきり言って僕はメイデンが好きだからこうしましたが、もしこれと同じ曲でCD-Rを作る方がいらっしゃるのであれば、ここは外した方がいいかもしれない、と敢えて言っておきます。
 今回はブルース・ディッキンソンが歌ったヴァージョンを入れましたが、この曲はギターリフも含んだベースラインの動きがよくて、メイデンはやっぱりあり得ないくらいに進化したブルーズなのだ、という思いをまた新たにしました(受け入れられないでしょうけれど)。


◎19曲目


 All At Once
 Whitney Houston
 (1985)

 そしてホイットニー・ヒューストンというこの流れ・・・(やや自虐的)。
 これ、ダイアナ・ロスが紹介するこの映像は「笑う洋楽展」で使われていたものですが、それを観てからずっとこの曲が僕の頭の中に小さく残り続けていて、別にそれで困りはしないけれど、ここはひとつ解放するためにCD-Rに入れて聴かなければと。
 ううん、それにしても素晴らしい、やっぱり大好きだこの曲。
 最近ホイットニー・ヒューストンを聴くことが多くなってきましたが、そういえばそろそろ命日ですね、2月11日。


◎20曲目


 Calling America
 Electric Light Orchestra
 (1986)

 今回結局半分は「バンラジ」でかかっていた曲、これもそう。
 この曲は出た頃から密かに好きな曲でしたが、今回ここに入れてもう「密か」ではなくなりましたね(笑)、はい、大好きです。
 CD-Rの最後は明るくてちょっとユーモラスな曲を入れたいという方針があって、これはそこにもはまった、もう最初っからこの位置に入れると決めて選曲編集を進めてゆきました。
 ちなみにこの2曲は"All""Call"で頭韻を踏んでいます、念のため。


◎21曲目

 
 American Girl
 Tom Petty & The Heartbreakers
 (1976)

 トム・ペティの死因が正式に発表されました。
 複数の薬剤摂取の結果による偶発的な薬物中毒。
 要するに"overdose"、薬の過量服用でした。
 トムには持病とし肺気腫、膝痛、そして股関節骨折を抱えており、そのために服用していた薬が原因になったとのことで、決して麻薬系のものではありません。
 ありませんが、やはり事実を知るとショックですね。

 トムの死、僕はまだ何も癒えていません。
 今回もとにかくトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの曲を入れたくてこれにしましたが、でも音楽を聴く以上明るく行きたいのでここは、前の曲でアメリカを呼んでそれに答えてアメリカ娘としました。
 ジェフ・リンとトムでトラヴェリング・ウィルベリーズつながりでもあるし。
 でもやっぱり聴いていると、もう死んでしまったことを強く意識する。
 意識してゆかなければいけないのだ、と、その後また思う。
 だけど音楽は永遠、アメリカ娘もずっと若いままでいるでしょう。
 溌剌とした歌い方、生きのいい演奏、素晴らしいですね。


02
20180128B

 いかがでしたか!

 今回は結構ハードな曲が多い、ロック色が濃い印象かな。

 写真1枚目は富良野「春よ来いの木」、2枚目はJR富良野線ディーゼルカー。

 次のCD-Rはもう曲集めを始めています。
 もう少し大人し目になればいいかなと思いつつ。

 最後は犬たち3ショットにて。


03
20180128C
20171231VMSW


 大晦日。

 今はもうそれほどたくさんCDを買っていないので、昨年までのように新譜だけでTop10というわけにもゆかず。
 そこで今年は弟が買ったものも含めて、よく聴いた洋楽新譜CDをすべてさらりと紹介します。



☆1枚目

ROLL WITH THE PUNCHES
Van Morrison
(2017)

 今年いちばんよかったのはやっぱりヴァン・モリソン!
 昨年も新譜を出しましたが、もう出るのかと驚いた。
 しかもというかしかしというか、これが素晴らしい!
 正直、ここ10年くらいのヴァン・モリソンの新譜ではいちばん好きです、もちろん他も素晴らしいのですが。

 音的にいえば「ロック以前のR&Bヒット曲」といった趣き。
 強調したいのは「ヒット曲」という部分、つまり聴きやすい。
 ブルーズなんだけど完全なブルーズではなくて、かといってソウルとまでは至っていない。
 歌手でいえばボビー・ブルー・ブランドのような味わい。

 ジェフ・ベックが参加しているのも大きい。
 ヴァン・モリソンに名のあるアーティストが参加するのは珍しい。
 しかもそれが超大物ジェフ・ベックとくれば、お得感満載(笑)。
 ジェフとは60年代ロックの興隆期に競い合ってきたわけだし、ジェフもまた「ロック以前のR&Bヒット曲」が大好きなのでしょうね。
 当然のことながらギターも攻めていて、その部分は今までのヴァン・モリソンにはなかった醍醐味です。

 僕のベスト曲は2曲目Transformation。
 ぐにょっとしたバラード風のスロウな曲ですが、この味わい深さがたまらない。
 大物がもうひとりクリス・ファーロウが参加していますが、彼の暖かくてユーモラスな低音がここでは抑え気味にヴァン・モリソンを支えています。
 当然彼が前面に出た曲もありますが、これもまたいい。

 もう1曲、サム・クックのあのBring It On Home To Me。
 僕ですら中学時代から知っていたもう手垢まみれのこの曲、まだこんなやり方があったのかと驚き感動しました。
 もうこれは完全にヴァン・モリソンの曲といえますね。

 今年のベストはヴァン・モリソンのこれです!

 そして僕のベスト曲を。




 Transformation
 Van Morrison
 (2017)




☆2枚目

 VERSATILE
 Van Morrison
 (2017)

 ヴァン・モリソンはしかも、2年連続の上に1年2枚!!

 こちらは「多様性」というタイトル通り、自作曲からガーシュウィンやコール・ポーターといったスタンダード、「想い出のサンフランシスコ」といった有名曲までを集めた1枚。
  ROLL...がR&Bサイドならこちらはジャズサイド。
  どちらもヴァン・モリソンの根幹をなす音楽であるわけですが、ジャズが好きというよりはジャズが当たり前に身の周りにある、ヴァン・モリソンとはそういう人なんだと思いました。

 正直いうと僕はROLL..の方が断然好きです。
 僕はジャズにはあまりなじんできていないロック人間である、ということがよく分かりました。
  その上かつての僕はアルバム至上主義者だった名残りで、ROLL...のようにぴしっと筋が通ったアルバムの方を、うん、今でもやっぱりどちらをといわれれば取りますね。
  もちろんこのアルバムも素晴らしいと思うし好きですが。
  ただ、ROLL...はしっかりとアルバムを聴く時に聴きたい1枚ですが、VERSATILEは逆に気軽に聴けるのはいい点ですね。

  僕のベスト曲はヴァンさん自作のBroken Record。
  冒頭からスウィングでのせてくれますが、タイトルの如く、"Talking like this"と執拗なまでに繰り返す。
  ヴァン・モリソン得意技早くも炸裂ですが、もしかしてほんとうにあの言葉の繰り返しはまるで擦り切れたレコードのようだ、と言われたことがあるのかも。
  その自分に向けた茶化し精神がたまらない。

  もう1曲カヴァーでBye Bye Blackbird。
  僕はジョー・コッカーで知った曲ですが、やはり全然違う。
  真面目に歌ったジョー・コッカーが聴くと怒るんじゃないか、というくらいに手を抜いています、もちろんいい意味で、そのぬるさが持ち味でしょうね。

 タイトルの「多様性」は生き物に関わる僕としても大切にしたい言葉ではあります。
 
  2017年の洋楽はヴァン・モリソンの年でした!
 


☆3枚目

THE GREATEST HITS LIVE
Steve Winwood
(2017)

  スティーヴ・ウィンウッドのこれが素晴らしい!
  その通り、トラフィックから2000年代のソロまでを、ライヴで振り返る素晴らしい企画、演奏、そして歌。

  僕のベスト曲はThe Low Spark Of High Heeled Boys。
  こうした企画盤、ベストやライヴって、知ってはいたけれどこんなにいい曲だったかと思い直すことが多いですよね。
  今回はこれがそうでした。
  トラフィックが一度解散し再結成した1971年の曲で、それが入ったアルバムも好きですが、アルバムだと流れて聴いて曲として浮かび上がりにくいのかもしれない。

 カヴァーもあります。
  ティミ・トーマスのWhy Can't We Live Together。
  2003年のABOUT TIMEからの曲ということになりますが、僕はそのアルバムがスティーヴのそろではいちばん好きで、その時からこれは大好きだったので、これが入っていたのはいろんな意味で嬉しかった。
  これももう完全にスティーヴの曲になっていますね。

  そしてWhile You See A Chanceでは、2011年にエリック・クラプトンと札幌に来てくれた時のことを思い出し、また違った趣きと感動がありました。
  当然というかこのアルバムにエリックはいないですが。

  エリック絡みでもう1曲、
  ブラインド・フェイスのHad To Cry Today。
  パワフルさは微塵も失われていない。
  円熟はしているけれど若さも保っている。
  スティーヴ・ウィンウッドとはそんな恐るべき人なのです。

  80年代男としてはThe Finer Thingsが入っていないのがまあ残念ですが、こういう企画ではそれを言ってもしょうがない。
  スティーヴ自身もその曲は好きじゃないかもしれないし(笑)。
  まあでも最高に素晴らしいベストライヴアルバムです。



☆4枚目

CARRY FIRE
Robert Plant
(2017)

ロバート・プラント。
元レッド・ツェッペリン。
もちろんそのことを僕も常に意識しますが、悲しいかな、と言っておく、今のアルバムを聴く時にはもうそのことを頭から追いやってしまいたい。

 今の彼の音楽は「中東風エスニックアコースティック路線」。
 前々作、前作ととっても気に入っていたのですが、今回もやっぱりそれと同じかそれ以上に気に入った。
  つまり僕はこの路線がそもそも好きなのでしょう。
  人それぞれだから、プラントにはツェッペリンのようなハードロックを今でも求めているというのであればそれでいい。
  だけどやっぱり、プラントがやりたいことに素直に耳を傾けて、この路線も聴いていただきたいというのが本音ではありますね。
  ただ時々、ツェッペリン時代の自分をまるでおちょくるかのような今回でいえば2曲目冒頭のハードなギターのような音が混ざるのは、さすが英国人と思わざるを得ない。

  僕のベスト曲は3曲目Season's Song。
  穏やかに愛を語るバラード風の曲ですが、よぉ~く聴くと、Aメロの歌メロがエルヴィス・プレスリーのDon't Be Cruelに似てる。
  そうだった、プラントはエルヴィスフリークでもあるんだ。うん、悲しいかなと言ったけど、やっぱりツェッペリンとは切り離せない、昔の上に今がある。
  でも、だからこそやっぱり聴いてほしいのです。
  この曲のタイトルもいいですよね。
  そういう世界観もまた僕は好きなのです。



☆5枚目

NOW
Shania Twain
(2017)

  シャナイア・トウェイン実に17年振りの新作。
  僕も期待していましたが、ビルボードアルバムチャート初登場No.1を記録。
  アルバムとして端的にいえば聴きやすくていいです。
  You're Still The OneやUpのようなキラーチューンはないけれど、曲はどれも歌心をしっかりと刺激してくれる。

  全体のイメージはカントリーというよりはアメリカーナかな。
  少なくともどカントリーではないし、かといってテイラー・スウィフトのような王道ポップスでもない。
  もしそうだとすればこれからも期待できますね。
  でも10年も待てない、3年以内に次作を出して欲しいな。

  ベスト曲は2曲目Home Now。
 アメリカのカントリーサイドからアイルランドにつながる。
 カントリーといえばカントリーだけど、カントリーも含めたものがアメリカーナだということなのでしょうね。

 このアルバムも根詰めて聴くというよりは気楽に聴きたい1枚。
  もちろん僕にとっては、です。



☆6枚目

GIVE MORE LOVE
Ringo Starr
(2017)

 今朝6時のNHKニュースで、リンゴ・スターに英国ナイトの称号が送られることになったと聞きました。
 これでリンゴも「サー」になるわけですが、嬉しいことです。
  そう、NHKではリンゴは今でも音楽活動をしていることを殊更強調していたのですが、そこは本人も強調したいところで、ちょっとだけNHKを見直しました(笑)。
  今回もオールスターのメンバーのスティーヴ・ルカサーをはじめ、ジョー・ウォルシュ、ピーター・フランプトン、ジェフ・リン、デイヴ・スチュワートといった旧友総出でリンゴを支える。
 ほんとうに人徳の厚い人なのですね。

 アルバムはもうリンゴといえばこうという音で、それが嫌いなら聴かなければそれでいい、ただそれだけ。
 曲はすべてリンゴと参加メンバー誰かの共作ですが、僕としては1曲は有名な曲のカヴァーを入れてほしかった。
 というのも5年前の前々作に収められていたバディ・ホリーのThink It Overがよかったからで、前作は(今見直すと)すべてオリジナル曲だったから、僕も古いねぇ、となるのかな。
 リンゴはまだまだ元気で音楽を楽しんでほしいですね。



☆7枚目

THE VISITOR
Neil Young and Promise Of The Real
(2017)

  12月に出たばかりでまだ数回しか聴いていないニール・ヤング&プロミス・オヴ・ザ・リアルの新作。
  ニール・ヤングは今年は過去音源発掘シリーズのHITCHHIKERも出ていましたが、純粋な新録音であるこちらを取り上げることにします。

  バンド名はついているこれはニール・ヤングの今のハードな面を出すためのバンドということになるでしょう。
  今回は妙なフレーズが耳にこびりつく曲が多いですね。
  典型的なのがベスト曲でもある5曲目Carnival。
  珍しくラテンのノリにラテンっぽい哀愁系の歌メロで"Carnival"とコーラスを繰り返すサビは、な、な、なんだ、と。
  でも何度か聴くとやっぱり心のどこかに突き刺さって来るのがニール・ヤングのニール・ヤングらしいところで、
  そこはいささかも失われていないのはよかったです。
  これから聴いてゆくかな。



☆8枚目

DARK MATTER
Randy Newman
(2017)

 ランディ・ニューマンのこの新譜は8月に出ていたことを12月になって知り慌てて買ったもの、間に合ってよかった。

 ランディ・ニューマンって「大阪のおばちゃん」みたい。
 男性ですが「おばちゃん」。
  いやこれは僕の勝手なイメージでしかないのですが、そうかそういうノリの人だったかとあらためて思いました。

  音楽でいえば、この人は南部のスウィング感覚が体の芯までしみ込んでいる人なのだとこちらも再認識。
  ロックンロールとかできないのかなぁ。
  あ、別にやらなくてもいい、人それぞれ個性があるから、でもロックンロールを変に歌う「大阪のおばちゃん」を勝手に想像してひとりで笑ってしまう僕なのでした。
  まあ、楽しめる1枚、いい意味で相変わらず、よかったです。
  まだ数回しか聴いていなくてベスト曲は選べませんでした。



☆9枚目

HERE
Alicia Keys
(2016)

  2016年後半に出て昨年取り上げなかった2枚にも触れます。

 アリシア・キーズ現時点での最新作。
  これがですね、正直最初は「むむむっ」と。
 生の感覚というか、ちょっと昔風にいえばアーシーな音。
  都会的に洗練されたネオソウルとは違う。
  こんなざらざらした音もできたんだって、ひとまず感心。

  でも、2009年リリースのTHE ELEMENT OF FREEDOMを2000年代で好きなアルバムTOP10くらいに好きな僕としては、これはちょっと違うのではないかと。
  買って10日ほどで何度か聴いて、暫く塩漬けにしておいて、この記事を書くのに10か月ぶりくらいに聴いたのです、実は。
  印象は変わらなかった。
 でも、その音が好きになっていた自分がいた。
  遅くなりましたがこれから聴き込んでゆくつもりです。
  だからこのアルバムのベスト曲はまだ選べません、悪しからず。



☆10枚目

DARKNESS AND LIGHT
John Legend
(2016)

 なんだ、結局10枚になりましたね(笑)。

  ジョン・レジェンドのこれも2月に既に出ていたことを知り、やはり慌てて買いました(慌てる必要ないのかも、ですが)。
 まあAll Of Meのような大量殺戮キラーチューンはそうめったに出るものではないとして、それは事前からそうだろうとは思っていましたが、それを抜きにすればやっぱりいい歌が多くて素晴らしい。
  Love Me Nowなんて最高レベルのヒット曲だし。
  ただこれ、All...とは正反対、アップテンポでなんだか焦るような、煽るような感じの曲ではあります。

  今回は音楽的ギミック感に凝っている曲が多くて、作り込んでいる感じが強く、その点ややロック寄りかもしれない。
  そしてだから僕はそこが好きなのかもしれない。
  しかしその割に全体的に落ち着いた雰囲気なのは、もはや10年選手となった貫禄がもたらすものなのでしょう。

  ベスト曲は1曲目I Know Better。
  これですが、最初に聴いてローリング・ストーンズのYou Can Always Get What You Wantに似てるなぁ、と。
 パクリとかではなくて、でも雰囲気似せてるかもしれない。

  ジョン・レジェンドは僕の中で安定期に入りました。
  今回記事のために久し振りに聴いて、やっぱりよかったし。




クラシックからも新録音の新譜を1枚。



SIBELIUS
Leif Ove Andsnes
(2017)

  クラシックで新録音の新譜は今年はこれ1枚しか買っておらず、しかもこれも12月になってから知ってのものでしたが、買ってからは毎日聴いているので取り上げました。

  日本盤には「悲しきワルツ~シベリウス」と邦題がついていますが、その通り、シベリウスのピアノ小品を集めた1枚です。
  最近ショパン以外のピアノ曲を聴きたくて(ショパンはあるから)、でもピアノソナタとなると多少は構えて聴かなきゃと思ってしまう、何かいいのがないかなと思っていたところでこれをネットで発見。
  感情が零れ落ちてゆくような繊細な響きの音は冬によく合う。
  アンスヌスはノルウェイのピアニスト、フィンランドではないですが、まあ北欧ということでイメージは損なわれるものではないですね。
  ただ、録音の音が低くて音が小さいのがやや難点かな。
  そういうイメージの曲に合っているといえばそうかもですが。





そして、うん、やっぱり今年はこれに触れないわけにはゆかない。

 GREATEST HITS
 Tom Petty & The Heartbreakers
 (1993)

  トム・ペティの死。
  いまだにそれを語りたいとは思えない。
  さすがにもう受け入れてはいるのですが。

  シャナイア・トウェインがビルボード初登場No.1の週に2位だったのがトム達のこのベスト盤でした。
  もう14年前に出たアルバムですが、それが2位まで上がる、シャナイアが相手じゃなきゃ1位だったかもしれないというくらいにトム・ペティはアメリカで広く親しまれ人気があったんですね。





 Refugee
 Tom Petty & The Hearbreakers
 (1979)


 
 さて、今年もお読みいただきありがとうございました。

 どれくらいのペースになるか分からないけれど、来年もまたよろしくお願いします!



20171223ChristmasCake



 天皇誕生日。
 そしてクリスマスイヴの前日。
 いつの日からかわが家では、この日にクリスマスケーキを食べるようになりました。

 今年もパールモンドール「チョコ生」。
 今年「も」と書きましたが、昨年はいつもとは違うバタークリームのケーキを選びました。 
 それもおいしかったですが、でも食べて割とすぐに、やっぱり毎年同じのがいい、と・・・

 来年以降もこれで決まり。
 だからもう記事を上げなくていいのかな・・・!?・・・(笑)・・・


 そして、僕が今年のクリスマスソングと決めた1曲。

 Have Yourself A Merry Little Christmas

 Wikipediaによれば、この曲はヒュー・マーティン&ラルフ・ブレイン作。
 1944年MGM映画「若草の頃」(原題"Meet Me In St. Louis")の中でジュディ・ガーランドによって歌われたのが最初。
 後にフランク・シナトラが歌詞に手を加えて再録音され、より広く知られ親しまれるようになったという曲。


 まずはオリジナルのジュディ・ガーランドから。




 Have Yourself A Merry Little Christmas
 Judy Garland


 この曲はおそらく日本ではそれほど知られていないのでは。
 日本における洋楽クリスマスソングの鉄板2曲、マライア・キャリー All I Want For Christmas Is You、ワム! Last Christmasには知名度は遠く及ばない。

 でも実はこのHave Yourself A Merry Little Christmas、わが家にはクリスマスアルバムが80枚以上あって、その中に約430曲が収められていますが、この曲は4番目に多く録音され、28枚に収められているのです。
 80枚以上の中にはヴァリアス・アーティストものもありますが、この曲はそうではなくいちアーティストのクリスマスアルバムの2枚に1枚は入っているという感じかな。

 その中から今回はこちら、カーペンターズを。




 Have Yourself A Merry Little Christmas
 Carpenters


 この曲のどこがいいかを僕なりに分析すると、AメロからBメロへ、小さいながらも劇的な変化をする流れ。
 Bメロの切なさが効いていますね。
 短い中にも変化がある、曲作りの上手さだと思います。
 もちろん、歌メロが素晴らしいことこの上ない。

 先ほど歌詞に手を加えたとありますが、確かに"next year"より"from now on"の方が言葉の響きがいいし、言葉の意味にも含蓄がありますね。

 この曲は、ちょっとした問題を抱えた人に対してクリスマスを祝いましょうと呼びかける歌。
 うまく行っていないふたり、かな。

 カレン・カーペンターの声はそんな気持ちをなぞっていて、曲によく合ってますね。


 歌詞を意訳してみました。


***

 あなたもささやかにクリスマスを祝いましょう
 心に明かりをともしながら
 そうすればもうトラブルなんて見えなくなりますよ

 あなたもささやかにクリスマスを祝いましょう
 クリスマスまでの日々を楽しく振る舞いながら
 そうすればトラブルなんてどこかに行ってしまいますよ

 さあ、昔の楽しかった黄金の日々のように
 親しく信じ合える友だちもまたきっと集まってくれますよ

 わたしたちがいつしか一緒に過ごすようになったら
 もし運命がそうさせてくれるならだけど
 ツリーのてっぺんに輝く星を掲げましょう
 あたなもささやかにクリスマスを祝うんですよ

***


 この曲は女性も男性も歌っているので、語尾に困りますね、というか僕はうまくないですね(笑)。

 この曲は他に、ボブ・ディランもロッド・スチュワートもそしてサラ・マクラクランも歌っています。

 
 というわけでもうひとり、男性代表ロッド。




 Have Yourself A Merry Little Christmas
 Rod Stewart

 今年のクリスマスソング、前回のサラとこの曲がいちばんしみてきました。

 
 さて、この曲は4番目に録音が多いと書きましたが、もちろんというか上位3曲、気になりますよね。
 ええ、僕だって意地悪じゃない(笑)、上位3曲を含め、録音の多いTop5を記しておきます。


1位:Silent Night 「きよしこの夜」 41
2位:The Christmas Song
(Chestnuts Roasting On An Open Fire)  33
3位:White Christmas 32
4位:Have Yourself A Merry Little Christmas 28
5位:O (Oh) Holy Night 26

 マライアやワムは新しめの曲なのでカヴァーとなるとまだまだ少ないですね。


 クリスマスソングもあと2日で聴き終りですね。

 今年はクリスマスソングの話をあまりできなかったけれど、ひとまず今回はこの辺で。


20171208SarahMcLachlan

 ◎Song For A Winter's Night
 ▼ソング・フォー・ア・ウィンターズ・ナイト
 ☆Sarah McLachlan
 ★サラ・マクラクラン
 released in 2006 from the album WINTERSONG
 2017/12/8


 12月といえばクリスマスソングですね。
 HBCラジオ洋楽リクエスト番組「バンラジ」でも、今は1日1曲はクリスマスソングがかかっています。

 今回はサラ・マクラクラン2006年のクリスマスアルバム、WINTERSONGから。

 クリスマスソングやクリスマスアルバムが大好きな僕ですが、今年はこに戻りました。

 クリスマスアルバムは、アレンジなどにあまり凝らずちゃちゃっと作ったといった感じのものがよくあります。
 僕はこれ、いい意味で言っています(言葉としては違うかもですが)。
 そういう作りの方がむしろ楽しい雰囲気がまっすぐ伝わってくる。
 その代表がビリー・アイドルのクリスマスアルバム HAPPY HOLIDAYS でしょうね、僕も今年もう3回聴いています。

 もちろん本格的に作られて落ち着いた雰囲気のアルバムもあります。
 ロッド・スチュワートの MERRY CHRISTMAS がその代表かな。

 いずれにせよ、クリスマスアルバムというのは基本、そのアーティストのいわば「本線」とは別のところにあります。
 
 サラ・マクラクランのこれはしかし、本気度が違う。
 力の入れようが、普通のオリジナルアルバムとまったく違わない。

 何が違うのか。
 このアルバムには、楽しいだけではない、苦悩、葛藤、といったより人間的なものを随所に感じるのです。

 クリスチャンの人にとってクリスマスとは、ただ楽しく過ごすだけではない、自分について、人間について考える時期なのかな、と思わされます。
 もっとも僕はクリスチャンではないので、そういうことを考えることまでは分かりますが、その内容については想像できない部分はあります。

 
 やっぱりサラ・マクラクランのこれは、僕の中で永遠のNo.1クリスマスアルバムであると、今年あらためて思いました。

 曲いきましょう。
 いちばん好きなのはこれです。





 Song For A Winter's Night
 Sarah McLachlan
 (2006)

 サラの声、楽器の音、すべての音が聖夜にはかなく舞う雪のよう。
 
 イメージとしては、少し大変な時期を過ごしてきて迎えたちょっとしんどいクリスマス。
 
 クリスマスの夜、手紙を読みながらひとりで過ごしている。
 恋人と離れ離れで暮らしている、戦地に赴いているのかもしれない。
 もしかして別れた、或いは、死別したのか。
 そこまで詳しくは書かれていないですが、そういう人もいることを歌うことで、2人で、みんなで楽しく過ごすことのありがたさが伝わってきます。


 この曲は、サラと同じカナダのシンガーソングライター、ゴードン・ライトフットがオリジナル。




 
 Song For A Winter's Night
 Gordon Lightfoot

 ゴードン・ライトフットは、いかにも1970年代シンガーソングライターの人といった趣きの、冒頓とした味わい、静かで優しい歌心が持ち味。
 
 
 サラのクリスマスアルバムからもう1曲。





 River
 Sarah McLachlan
 (2006)

 ジョニ・ミッチェルの有名な曲ですね。
 ジョニのファンには申し訳ないけれど、僕はサラのこちらの方が好きです。

 こちらも憂いがある、楽しいだけのクリスマスではないですね。
 やはりクリスマスは何かを思う時期であると。

 寂しいクリスマスソングといえばBlue Christmasも有名ですが、こうした曲を、恋人や家族そして仲間と一緒に聴くことで、自分たちが幸せであることを実感するのかもしれない。

 そしてどちらもクリスマスソングとしてリリースされたわけではない、最初はオリジナルアルバムに収められていた曲ですが、サラはそれを本格的なクリスマスソングに仕上げています。

 
 最後にもう1曲。
 サラのクリスマスアルバムWINTERSONGは、この曲から始まります。




 Happy X'mas (War Is Over)
 Sarah McLachan
 (2006)


 今日は12月8日、ジョン・レノンの日ですね。

 
 最後に僭越ながら一句。
 
 レノン忌のAbove us only sky也 樹翔




20171123Dogs


 洋楽ドライブCD-R「新作」の記事です。

 今回は長距離ドライブではなく市内巡りでしたが、次の長距離ドライブが12月に入ってからになるので、毎月作って上げるという意味でもこの日にしました。

 遠出していないので写真も家の犬たち、留守番でしたが。

 21曲、では早速。


◎1曲目


 The Waiting
 Tom Petty & The Heartbreakers
 (1981)

 10月に来日公演を行ったジャクソン・ブラウンが、コンサート1曲目でトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのこれを歌っていたと聞いていたく感銘を受けました。
 ジャクソン・ブラウンにぴったりな選曲、聴きたかったなあ。
 トム・ペティがいかにミュージシャン仲間に愛されていたかをあらためて知らされるとともに、うん、寂しさが増してきました。



◎2曲目


 Home Now
 Shania Twain
 (2017)

 シャナイア・トウェイン実に15年ぶりの新作NOW!がビルボード誌アルバムチャート初登場1位を獲得。
 やはりというか、そうなりますよね、僕だって期待していた。
 アルバムは10月から週に3、4回聴き続けていますが、インパクトが大きい曲はないけれど平均的にいいですね。
 そこから1曲入れたくて、選んだのがこれ。
 スコティッシュというかケルティックというか、イントロのバグパイプ風の音が郷愁を誘いますね。

 余談ですが、シャナイアが1位になった週に2位になったのが、直前に亡くなったトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのグレイテスト・ヒッツだったのでした。



◎3曲目


 Let's Stay Together
 Al Green
 (1971)

 今回ももちろんありますよ、「バンラジ」でかかった曲。
 HBCラジオの洋楽リクエスト番組「バン・バン・レディオ」。
 この曲はノンジャンルの時間帯に流れましたが、聴きながら、申し訳ないけれどその直前にかかっていた1990年代のヒット曲とは「格」が違うなあと呟いてしまいました。
 ただ古いというだけではもちろんない、「格」。
 その時はFMで聴いていましたが、ベースとドラムスのタイトさ、こんなにすごい演奏だったのかとそこにも唸らされました。



◎4曲目


 It Takes Two
 Marvin Gay & Kim Weston
 (1966)

 前回に続いてのデュエットシリーズ第2弾ということで、マーヴィン・ゲイ&キム・ウェストンのこれを選びました。
 このCD-Rを作っているとよくチェインリアクションになります。
 前回ロッド・スチュワートの曲を入れ(今回もありますが)、ロッドがティナ・ターナーとこの曲を歌ったアルバムについて話題にし、そこからつながってオリジナルに戻りました。
 マーヴィン・ゲイは若い頃は爽快ではつらつとした曲が似合っていたんだなあってあらためて思いますね。
 マーヴィン・ゲイは1970年代「シンガーソングライター」時代が高く評価されていますが、僕は60年代「ソウル歌手」時代も、今はむしろそちらの方がいいというくらいに大好きです。



◎5曲目


 I Heard It Through The Grape Vine
 Michael McDonald
 (2003)

 ジョン・レジェンドが何かのチャリティのために、スティーヴィー・ワンダーのSigned, Sealed, Delivered I'm Yoursをカヴァーしたと
 ネットでニュースを見ました。それ入れたいけれどまだCD化されていない(ネット配信はあるのかもしれないけれど)。
 じゃあということでオリジナルも含め他の人のその曲をと思い、マイケル・マクドナルドのモータウンのカヴァーアルバムに入っているのを思い出して久し振りにCDをかけたところ、件の曲よりもこっちに強烈に引き込まれてしまった。
 マイケルもモータウンのカバープロジェクトの最初としてこの曲を選んでいるだけに、さもありなんですね。
 そして今回はマーヴィン・ゲイの曲が2曲ということに。
 


◎6曲目


 The Mayor Of Simpleton
 XTC
 (1989)

 XTCのこれも「バンラジ」でかかっていたもの。
 懐かしさ半分、XTCを僕はあまり聴いてきていなくて、これは当時「ベストヒットUSA」で聴いたのかな、他だったかな、とにかくいいなと思いつつお金を出して聴こうとは思わなかった。
 実は今これにはまってます、はまりました。
 サビ=Bメロのうねうね進む歌メロがたまらなくいい。
 全体の音がビートルズっぽいところにあのうねうねが面白い。
 もちろん、うねうねした上でいい歌メロなのですが。



◎7曲目


 Hold Me Now
 Thompson Twins
 (1984)

 これも「バンラジ」、ヒットした高校時代以来というほどではないにせよ実に久し振りに聴き、昔思っていたよりもずっといい曲として響いてきました。
 最近、僕はもう高校時代から気がつくとアメリカンロックに偏って聴いていたことを再認識し、CD-Rに入れる曲も半ば無意識にアメリカに偏ってきているので、ブリティッシュ勢はタイミングが合えば積極的に入れたいと思い、今回は2曲続けてみました。



◎8曲目


 I Started A Joke
 Bee Gees
 (1968)

 ビー・ジーズ初期の曲、「笑う洋楽展」で取り上げられました。
 ビー・ジーズは車にベスト盤が積んであっていつでも聴けますが、そのCDを見ると、なんと、この曲が入っていない。
 ならば入れなければ、と。
 これはとってもとってもいい曲ですね、まごうことなき名曲。
 でも笑うで紹介されたこの曲のプロモがなんだか可笑しい。
 人より大きなサイケデリック風の絵がスタジオに設置され、その間でロビン・ギブが歌い他のメンバーが演奏する。
 その絵の可笑しさが悲しさを誘う。
 まあ歌のモチーフには合っているんだけど、でも僕としては、せっかっくのしっとりとした曲で笑いを取ってどうするの、と・・・
 でもみうらじゅん氏と安斎肇氏には大うけで、「鏡」がテーマのこの回の最優秀作品賞に輝きました。
 大学時代の友だちS君がディスコになる前のビー・ジーズが大好きで、特にこの曲をよく口ずさんでいたのを思い出します。



◎9曲目


 Every Rose Has Its Thorn
 Poison
 (1988)

 ポイズンのこれは彼女が好きなドラマで流れていた曲。
 ヘヴィメタル系バンドのアコースティックな音、流行りましたが、この曲はその中でもひときわ輝く名曲だと今も思います。
 正直、僕はこのバンドが特に好きというわけではないのですが、そんなアーティストでも1曲は大好きな曲があるものですよね。



◎10曲目


 For You Blue
 The Beatles
 (1970)

 ビートルズのこれ、何のきっかけもなしに口ずさんだ曲。
 ジョージ・ハリスンがカントリーブルーズをジョーク混じりにやっていて、そのジョークをジョン・レノンのラップスティールギターが強調している楽しい曲。
 ジョージ・ハリスンが言うには、この曲にエルモア・ジェイムスは参加していませんが(笑)。
 この曲を口ずさんだのをきっかけで逆にエルモア・ジェイムスを久し振りに聴いたりもしました。
 ここでは、少なくとも体裁は本格的カントリーのポイズンからロック寄りに戻す緩衝地帯という意味でここに入れました。
 で、この曲ってどうなんだろう、例えばビートルズの曲の人気投票をしたらどれくらい、真ん中より下かな。
 きっとそうだろうなあ、僕はかなり好きなんですけどね。



◎11曲目


 No Matter What
 Badfinger
 (1970)

 前回、レオ・セイヤーのMore Than I Can Sayを取り上げ、彼女が邦楽でこれに似た曲があったはずだけど思い出せない、と書いたところ、長渕剛に似た曲があるという書き込みをいただき(情報ありがとうございます)、調べたところありました。
 「夏の恋人」という曲、CMでも使われていたということで、僕もかすかに聞き覚えがありました。
 しかし、You-Tubeで「夏の恋人」を聞いたところ、もっと似た曲があることに気がついた、それがバッドフィンガーのこれでした。
 聞けば聞くほど似ていると思うようになりましたが、でも、レオ・セイヤーのそれとバッドフィンガーのこれは、わあ似ている、というほどには似ていないのも不思議といえば不思議ですね。
 この曲は元々大好きなのでこうして聴けてよかったです。
 そしてビートルズからはアップルつながりということで、というより、バッドフィンガーはビートルズの弟分と当時は言われていたそうですから。
 と、この辺り、ポイズンを除いてブリティッシュな雰囲気。
 


◎12曲目


 Batdance
 Prince
 (1989)

 プリンスのこれ、「バンラジ」で久し振りに聴いて楽しかった。
 この曲は歌よりもエスニック風なリズムのギターを♪てんでんでれんて てんでんでれんて といった具合に口ずさむことが多いですね。
 あと叫ぶのは「農協牛乳」かな(笑)、と思ったのですが、昨年出たベスト盤に入っているショートヴァージョンは、なんとその「農協牛乳」のパートがまるまるカットされている・・・
 確か5分以上あるはずなのに4分台と短かったので、嫌な予感はかすかにしたんですけどね・・・まあ仕方ない。
 ところで偶然ですが、こうして並べてみると、No Matter WhatとBatdanceのイントロ最初のギターの音が似ていることに気づきました。




◎13曲目


 Tonight's The Night
 Rod Stewart
 (1993)

 10月の美瑛撮影小旅行の帰りはちょうど「バンラジ」の時間で、彼女と美瑛からの帰りのドライブで聴きますと投稿したメッセージが読まれましたが、そこで番組から贈られたのがロッド・スチュワートのこの曲でした。
 DJの高島保さんが歌詞を和訳して紹介していたのだけれど、まあ、「今夜きめよう」という邦題通りの内容を包み隠さず歌うきわめてストレートな曲ということで、ラジオで聴いていて嬉しかったけれど微妙にこっぱずかしかった・・・(笑)。
 今回はUnpluggedヴァージョン、ロン・ウッドもいることだし。
 ロッド自作の曲ですが、ロッドが書く曲は激的な変化なしに淡々と流れていくものが多いけれど、歌メロは素晴らしい。
 No.1に輝いたこれはソングライターとしてのロッドの代表作でしょう。



◎14曲目


 Show Me The Way
 Peter Frampton
 (1975)

 ここ数年親しくお付き合いさせていただくようになった方と、先日初めて仕事以外でゆっくりと話す機会を持てました。
 その方は音楽が好きで自分でもフュージョン系のギターを弾いて時々人前で演奏しておられるのですが、ロック系は10代だった70年代のものは結構お好きということで、話がたどり着いたのがピーター・フランプトンでした。
 あれです、あれ、有名なライヴからの1曲ですが、その方はこの曲はすごいとほめていた。
 で、ですね、はい、僕はそれ、今まで何度か聴きましたが、すごくいいと思ったことがなかったので、この曲もほんとうに印象くらいしか覚えていませんでした。
 ここでしっかりと覚えたいです。



◎15曲目


 Always
 Atlantic Starr
 (1987)

 久し振りに「吉田類の酒場放浪記」を観ました。
 番組では最初の駅と街を紹介するコーナーで類さんのバックに洋楽のヒット曲が流れていますが、これはそこでかかっていた曲。
 アトランティック・スターは自分では積極的には聴かないですが、ラジオやテレビでこの曲がよく流れ、それを聴く度に、いいなあとある種の感慨にふけります。
 しかし、これは1987年のNo.1ヒット曲ですが、その年僕は大学生、この曲は高校時代に聴いたものだとずっと勘違いしていました。
 でも、この曲は1980年代前半の雰囲気を色濃く残していますよね。
 リアルタイムだった僕らの世代には洋楽が輝いていた時代の。
 そしてこれは80年代必殺ラヴバラードの決定打といえるかも。



◎16曲目


 Blueberry Hill
 Elton John

 ファッツ・ドミノが亡くなりました。享年89 R.I.P.
 決して早世ではなくむしろ大往生といえるだろうから、残念で寂しくはあっても悲しいとは感じませんでした。
 ファッツ・ドミノは以前トリビュート盤の記事を上げ、おかげさまで非常に多くの方々に読んでいただいていますが、今回はそこから僕がいちばん好きなエルトン・ジョンのこの曲をもって哀悼の意を表させていただきます。
 僕の知り合いでキーボードを弾きながら歌うアマチュアミュージシャンの女性がいらっしゃるのですが、その方がこれを聴いて「ピアノが超絶に上手い」と言いました。
 ピアノが弾けない僕にはそれがどう「超絶に」上手いのか分からないのが残念ですが。



◎17曲目


 Brown-Eyed Handsome Man
 Paul McCartney
 (1999)

 エゾリスの顔がアップで撮れた写真があり、見ると目が茶色でかわいらしく、それでこの歌を思い出して口ずさみました。
 でもそのリズム感やテンポはチャック・ベリーのオリジナルではなく、ポール・マッカートニーのカヴァーのものでした。
 その後でカケス(亜種ミヤマカケス)も撮影、顔をアップで見たところやはり目が茶色で、またこの歌を口ずさみました。
 これからは茶色の目を撮る度に口ずさむかも(笑)。
 ウィックスのアコーディオンがずっと気持ちよさげに鳴るこのアレンジは洒落てて楽しくていいですね、今回はまりました。
 正直、これが入ったアルバムRUN DEVIL RUNは、聴き込んだといえるほどには聴いてこなかったので余計に。



◎18曲目


 Only You (And You Alone)
 Ringo Starr
 (1974)

 プラターズのあまりにも有名なこの曲、僕だって、両親の影響で小学生の頃から知っていたくらい。
 リンゴ・スターがこの曲をカヴァーするにあたって、彼の歌手としてのキャラクター上、熱唱することはせず、(大きな)鼻先に引っかけてクールに歌う、この意外性がいい。
 と思っていたのですが、ジョン・レノンのWONSAPONATIMEが出た時、それに収録されたこの曲のデモを聴いて、リンゴのこのヴァージョンほぼそのままであることを知った。
 (イントロがジョンのStand By Meにそっくりなのはご愛嬌)。
 そうか、セッションか何かの時にジョンがお得意の半分ふざけたように歌ったのが気に入って、リンゴはそのまま録音したのかなって。
 (違ったらごめんなさいですが)。
 ここ3曲はビッグネームが歌うカヴァー曲でつなげてみました。



◎19曲目


 A Woman Needs Love (Just Like You Do)
 Ray Parker Jr. & The Raydio
 (1981)

 「バンラジ」でかかったレイ・パーカーJr.&ザ・レイディオのこれ、もはやブラコンAORのスタンダードといえる曲ですよね。
 僕もこれ、かのGhostbustersの前から誰の何という曲か聞き知っていたくらいに日本でもヒットし聴き継がれている。
 以前から入れる候補にあって何度も考えてきたのを、ついに今回入れることにしましたが、そこでふと気づいた。
 この曲は、どの位置に入れてもCD-Rの流れに合うんです。
 結局ラスト前前のここになりましたが、それまで何度も何度も入れる場所を考えてはまた変えてを繰り返しました。
 なんでだろう、不思議な響きを持った曲ですが、ちょっとだけ思うのは、明るくてこの先が続く感じがするのが、エンドレスに聴く車のCD-Rにはいいのかもしれない。



◎20曲目


 Cruisin'
 Smokey Robinson
 (1979)


 最後の前。
 CD-R作りで特に気を使うのがここ、ラスト前の曲なんです。
 イメージ的にはコンサートの本編最後の曲がこの場所で、そのまま終わってもいいけれどアンコールがあってもいい。
 そんな雰囲気の曲を選びたいのですが、今回どうしてもここが埋まらなくて困っていました。
 レイ・パーカーJr.の曲でもよくてそれに決まりかけていたところ、「吉田類の酒場放浪記」を見ていたら流れてきたのが、スモーキー・ロビンソンのこれ、「ビンゴ!」と直感しました。
 どっしりとしてかつ明るい、そして先に続きそう。
 そしてスモーキー、落ち着きますね。



◎21曲目


 Take It Easy
 Jackson Browne
 (1973)

 最後は元気はつらつなこれ、むしろ1曲目向きかもしれないけれど、車で聴くとまた1曲目につながることだし。
 そして今回ジャクソン・ブラウンの話題で始めたので、締めもジャクソン・ブラウンにということで、イーグルスではなくこちらにしました。
 日本では間違いなくジャクソン・ブラウンでいちばん有名な曲でしょうけれど、ジャクソン・ブラウンの、という認識は低いかもしれないですね。





 いかがでしたか!


 さて、12月はどんなCD-Rに。
 て、すっかり月刊化していますね(笑)。



 最後はゴーストバスターズのゴーストのような雪の写真にて。


20171123GhostSnow
20171104TomPetty1

 THE LAST DJ
 Tom Petty & The Hearbreakers
 ザ・ラスト・DJ
 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ
 (2002)

 蝶、いや超久し振りにアルバムの(長い)記事。
 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズが2002年に発表した作品。

 僕は当時、「ついに彼らはこんなにも素晴らしいアルバムを作ったか」といたく感動したものです。
 彼らはこの後2枚のスタジオアルバムを作っていますが、「エンターテイメントとしてのロックミュージック」という点でいえば、これがいちばんよくできたアルバムだと今でも思う、今回聴き直しあらためてそうも思いましたし。

 当時の僕は「エンターテイメントとしての」という条件がつかない、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの最高傑作と思った。
 しかし、その後2作を聴いた今はそうは思わない。
 MOJO、HYPNOTIC EYEと、異様なほどに研ぎ澄まされた感覚、あまりにもストイックで求道的な作品を聴いてしまうと、このアルバムは贅肉が多すぎていささか太っちょに感じられます。

 本人たちがそれで構わないというのであればいいのだけれど、でも、トム達は実際にあれだけストイックで求道的な作品を2枚も作ってしまったのだから、これが完成形とは思っていなかった。
 むしろ、やり過ぎてしまったことを反省して次に進むことにした。
 このアルバムは商業ロックの「総括」として捉える方が自然です。
 実際このアルバムから次作MOJOまでの間は8年あいており、その間にキャリアを総括するようなLIVE ANTHOLOGYを出し、半ば活動休止状態になっていたことこからも、このアルバムの後
次に進むための相当な心構えが必要だったことが窺えます。

 ただし、(言いたくないけど)最後2作の求道精神がきつい、という人にはむしろこれは聴きやすくていいでしょう。
 曲はいいのはもちろん、仕掛けも多いし、メッセージ性もある、それをうまくエンターテイメントとしてまとめた作品ではあります。

 このアルバムの半分ほどの曲は、音楽業界やそれを牛耳る人を皮肉った内容となっています。
 全体がそうであるならこれは「コンセプトアルバム」と呼べるのでしょうけれど、残り半分はそうではない。

 音楽業界を皮肉った曲といえば僕が真っ先に思い浮かべるのは、ジョン・フォガティのアルバムCENTERFIELDの幾つかの曲。
 ジョン・フォガティはクリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル時代の不当な契約により10年ほどレコードを出せなかった。
 ようやく解放され出すことができたのがそのアルバムでしたが、僕はその背景を知っていたので、高校時代に買ったLPにあるMr. Greed「どん欲男」という曲名からすぐに内容が想像できました。
 さらには豚のアニメが踊るビデオクリップが面白いVang Cunt Danzも同じ人のことを歌った曲であったりと。
 ただですね、その皮肉られた対象の人が実は僕が好きな映画10本に入る『アマデウス』を制作した人だと後で知って、なんとも複雑な思いにはなりましたが、まあこれは余談。

 トムに話を戻すと、しかし今作のトムは、ジョン・フォガティのように実際に自分が被害や影響を受けたリアルな話というよりは、寓話化して表現しているだけと受け取れます。
 大なり小なり思う部分はあったのでしょうけれどこれはひとつのショーであって、ジョン・フォガティほど重くない。

 どちらのモチーフの曲にも共通したテーマがありますが、それは
 「見えないものの大切さ」
 それは夢だったり、信念だったり、感情だったり、純真さだったり。
 トムにはそうしたものはお金では買えないしお金で動かすこともできないというひとつの信念がある。
 そのことを象徴しているのが、小さい頃夢中になった「DJ」だったのでしょう。





 1曲目 The Last D.J.
 タイトルから想像できるのは、例えばバグルスのVideo Killed A Radio Starだったり、クイーンのRadio Ga-Gaだったりという、音楽を通して時代の流れ、時代に置いて行かれることを表しているということ。
 ここではアナログからデジタルへの移行によりアナログ的なものが追いやられてしまうことを危惧している。
 "The last human voice"というくだりがそれを象徴しています。
 ただですね、それから時代が一回りを過ぎた今、ここで危惧されたほどアナログ的なものは死んでいないですよね。
 音楽でいえばむしろここ数年でレコードも復活してきている。
 多分トム達も、アナログ的なものが死ぬまでは至らないだろうという「読み」はあったと思う、願望以上に確かな「読み」が。
 しかしそれをショーとして表現しきるためにここでは妥協せず危惧する部分を中心に据えたのではないかな、と。
 この曲はまあいかにもトム・ペティらしい憂いがありながらも、基本アップテンポのロックンロールに適度に心地よい歌メロで、トム達の中でもポップな曲としては上位に来るでしょう。
 アルバムのつかみは最強。


 2曲目 Money Becomes King
 子どもの頃はお金に踊らされなかった。
 或いは、昔は世の中お金がすべてではなかった。
 若い頃はお金のために音楽をしていたわけではなかった。
 しかし、今やお金は王様となった。
 大仰なストリングスとほの暗さがノスタルジーを煽るミディアムスロウの曲。


 3曲目 Dreamville
 「夢の村」というタイトルの通り、夢のような生活への憧れを歌う。
 しかし子どもの頃はそうだったのではないかという思いもあるが、それは幻想だったと大人になると気づく。
 たおやかできれいな響きだけどどこか寂しい、青空を見上げた時の虚しさのような曲。


 4曲目 Joe
 この曲でトムは壊れます。
 1'11" ♪みゅぅぅぅ~~~ぢぃぇっっっくぅ
 ジョーはレコード会社のCEOで、音楽により世の中を動かす人。
 かわいい女の子をステージに上げてそれなりの演奏をすれば音楽は売れるという安易な発想を持っている。
 歌詞を読んで、何となく日本のYAという人を思い出した・・・
 アルファベットと数字が名前の女性アイドルグループのボス。
 トムはそれをあくまでも架空の物語として皮肉ったのだろうけれど。
 そのアイドルの音楽について歌うトムの声が、壊れている。
 トムの声は正直、苦手な人は苦手だと思う。
 癖がある、ちょっと嫌みっぽく聞こえてしまう。
 最後の呟きも嫌みたっぷり。
 トムはそれを知ってか知らずか、ここでその声を最強の武器として嫌みたっぷりに"music"と歌う。
 最初に聴いて僕は「ついにやってしまったか」と思った。
 あの声にしてこの曲。
 そういう意味ではトムの歌手としてのひとつの頂点かもしれない。
 そして蛇足ながら、この曲を最初に聴いた当時、僕は芥川龍之介の「河童」を思い出しました。
 人々の心に害を与える音楽を作る河童の名前が「ロック」だった、ということを。


 5曲目 When A Kid Goes Bad
 子どもが悪くなる時。
 自嘲的に物事を捉えるロックな考えでいうとそれは、子どもがロックミュージックを聴くようになった時。
 しかしこのアルバムは「信念を曲げるな」がテーマであり、そのためには「子どもの心を持ち続けること」と説いている。
 曲は鈍色の雲のような重たさ。
 ルーツが見えやすい古臭いR&Bヒットソング風だけど、歌の17小節目から10小節に及ぶパッセージではサイケデリック風の味付けになるのが面白い。


 6曲目 Like A Diamond
 この曲はあの素晴らしいトムのソロ2作目WILDFLOWERS(記事こちら)の経験が生かされている、夢見心地の美しい曲。
 ダブルトラックで歌うトムの声もノスタルジーを感じさせる。
 「彼女はまるで太陽にさらされたダイナモンドのように輝く」と控えめに美しさを称えているけれど、聴きようによっては、彼女は「永遠の存在」になってしまったの? と思わなくもない。
 トムの個性である「陰り」が曲に深みを持たせています。


 7曲目 Lost Children
 ブルーズ風の大仰なギターリフによるイントロに続いて、素っ頓狂な高い声でまろやかに歌い始めるトム。
 この感覚はこの人このバンド独特のもので誰も真似できない。
 ほんと、ギターからトムの声の切り替わりがユーモラスであり、考えさせられる。
「失われた子どもたち」というタイトルだけ余計に。
 彼らも当たり前にブルーズが大好きなことが分かり、ある意味ほっとする曲ではないかとも思う。
 ギターリフの上にのっかってくるマイク・キャンベルのギターソロもブルージーというよりはブルーズ。
 ベンモント・テンチのオルガンはトラフィック風と言ってしまおう。
 60年代英国ブルーズの香りがアメリカの中に復活した曲。


 8曲目 Blue Sunday
 カントリー調ではないけれどアコースティックギター基調の曲。
 やっぱりトムの声は素っ頓狂と感じる、かも。
 曲全体は落ち着いているのに、声は宙に浮いている。
 よぉく読むと性的な比喩が使われている(うまくいかなかった)。
 それもそのはず、彼女と何かがすれ違っている。
 セブンイレブンで出会った2人の恋は短かった、のか。


 9曲目 You And Me
 これもWILDFLOWERSの流れといっていい。
 軽やかなリズムと歌メロに心が踊り浮いてくる、この中では珍しく陰りがあまり感じられない爽やかな曲。
 短いけれど、ほんといい意味でそれだけの曲。
 トムのベースが目立つ、ベース好きトム好きにはたまらない。


 10曲目 The Man Who Loves Women
 毎日誰かに一目惚れしてしまう惚れっぽい男の歌。
 つれがちゃんといるにもかかわらず。
 フレンチポップ風の軽やかな響きはトム達には珍しいスタイル。
 でも、フレンチというところがこのモチーフに合っている、というかもうこれしかないという旨味。
 "Women, women,women"と猫みたいに歌うトムが意外とかわいらしかったり!?
 しかも、ゲストのコーラスがリンジー・バッキンガム。
 女ったら・・・失礼、なんともユーモラスな曲。
 そのコーラスの入り方、そこにしか使われない旋律など、なんとも素晴らしいいアイディア。
 そして余談というか、リンジーの加入と入れ替わりフリートウッド・マックを辞めたボブ・ウェルチの初ソロ作がFRENCH KISSだったことを思い出したりもします。


 11曲目 Have Love, Will Travel
 明るい曲が続き、結局は希望に満ちたままアルバムは終わる。
 と思わせる1曲で、ラストという雰囲気がする曲。
 救われたというか、道の前に希望が転がっている、そんな響き。
 最初の8小節のAメロが終わったところで入る、「じゃらじゃらじゃららーん」という強烈なギターリフがあまりにも印象的で、気がつくと歌ではなくそれを口ずさんでしまう。
 カントリーロック風だけど味付けはやっぱりブルーズという1曲。
 さて、実はアルバムはまだ終わりではない。
 その証拠にというか逃げるようにこの曲はあっさりと終わる。
 そして。


 12曲目 Can't Stop The Sun
 音楽業界を皮肉った曲でアルバムは幕を下ろします。
  あなたはたとえ僕のお金を持ち去ろうとも
  僕のマイクをオフにしようとも
  あなたには感じとれない僕の心を盗むことはできない
 トムが音楽をしたいという気持ちは太陽と同じ。
 誰にも止められない。
 そう歌うこの曲はまるで太陽を覆い隠す灰色の雲。
 聴いていると気持ちがふさいでしまう響き。
 もしかしてほんとうにトム達はこの頃はもうやってゆけないと思い詰めていたのかもしれない。
 それが最初に書いたバンドのこの後につながってゆく。
 曲の中で一度しか出てこない中間部で"Hey Mr. Businessman"と歌う旋律があまりにも物悲しく、かつこれ以上ないというほどに美しいのは、音楽業界に対する最大級の皮肉と受け取れます。
 ブルーズフィーリングに溢れるカッコいい曲ですが、そのカッコよさゆえに余計に重くのしかかってきます。
 すごい、こんな曲を作ってしまったなんて。


20171104TomPetty2


 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ

 最後のアルバムが最高傑作だったというアーティストを僕は他には知りません。
 
 ビートルズは、最後に作ったABBEY ROADを最高傑作とすることはできるかもしれないですが、これは好みの問題を別としても異論がありそうなところであり、しかもリリース順ではLET IT BEの方が後ですし。
 普通は、最高傑作を作るとそこから先は壁を打ち破れないで終わるか趣味の世界に走って長く続けるかのどちらかになるものでしょう。

 トム達はこのアルバムをものにした後にまた壁を破った。
 しかも二度も続けて破った。
 その間にキャリアを一度総括する必要はあったのですが、それでも成し遂げた。
 HYPNOTIC...を聴いて、次はどんなアルバムを作ってしまうのか想像すると恐ろしくもあった。
 一方、正直にいえば、この後は趣味の世界でソフトランディングしてゆくかもしれないとも思った。
 僕はファンだから、それはそれでも構わなかった。
 少なくともずっと買って聴き続けてゆける。

 それが終わってしまった。

 趣味の世界でいいから続いて欲しかった。

 最後に最高傑作を作ったあまりにも偉大なバンドとして、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズは歴史にのその名を刻むことになるのでしょう。
 それがよかったのかどうか。

 今は、それはよくないとしか言えません。


 トム・ペティ、ありがとう。
 これからも聴き続けます。






20171024

 本日はまた写真撮影小旅行に出ています。
 今回も新しい洋楽CD-Rを作りました。

 の前に写真、10月23日(月)、札幌でも雪が降りました。


◎1曲目


 I Wanna Be Your Lover
 Prince
 (1979)

 今回はプリンスでスタート。
 このCD-Rの選曲は既に前回小旅行の後から始めていましたが、さて、この曲がどこでリストに入ってきたのか、忘れてしまった・・・
 まあいい、この曲は大好きだし1曲目にはふさわしいから。



◎2曲目


 Get Together
 The Youngbloods
 (1967)

 ヤングブラッズのこれは以前「吉田類の酒場放浪記」で使われていたと記事にしましたが、爾来、その番組を観る度に、僕の頭の中にこの曲が流れるようになりました。
 そしてその番組で聴いてからこの曲のことをほんとうに大好きになりよく口ずさむようにもなりました。



◎3曲目


 Wild World
 Mr. Big
 (1993)

 HBCラジオの洋楽番組「Bang Bang Radio!」通称「バンラジ」が、野球中継の季節が終わりまた週5で放送されるようになりました。
 彼女とよく聴いていますが、これはそこでかかった曲。
 オリジナルはキャット・スティーヴンスですが、僕がこの曲を知ったのはMr.Bigのこのヴァージョンでした。
 ヒットした当時より今の方が好きだな、うん。



◎4曲目


 You Are Everything
 Diana Ross & Marvin Gaye
 (1973)

 前回の美瑛撮影小旅行で立ち寄ったドイツ風カフェ「ランド・カフェ」ではメロウな洋楽ヒット曲が流れていて、ダイアナ・ロス&マーヴィン・ゲイのこれもかかりました。
 他にはシンディ・ローパーTime After Time、クリストファー・クロス「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」などなど。
 でも冷静に聴くとこれ、ダイアナ&マーヴィンの「調和」というよりむしろ「対決」みたいな感じもしますね。
 マーヴィンは一緒に歌う女性シンガーを好きになってしまうといい歌いい曲いい演奏ができる人だったそうですが、ということは、ダイアナは・・・



◎5曲目

 
 Everybody Needs Someone Sometimes
 Jewel
 (2001)

 前回のCD-Rにジュエルを入れてから、僕の中でジュエル再評価の流れができて、久し振りに棚から手に取って聴いたのがこれが入ったアルバムTHIS WAY。
 10年以上聴いていなかったのでところどころ忘れていたけれど、やっぱり素晴らしいアルバムだと再認識。
 中でもこれ、そうそう、最初に聴いた時、ローリング・ストーンズのHonkey Tonk Womenに似てるなぁと思ったっけ。
 極北のアラスカ出身ジュエルがアメリカ南部風の曲に挑戦し見事こなしてみせたという図式ですが、何をやってもやっぱり声がいい、これに尽きますね。
 長い眠りから覚めて、これもまたより好きな曲になりました。



◎6曲目


 Honkey Tonk Women
 Rolling Stones
 (1969)

 というわけでローリング・ストーンズ本家登場?!
 似てるといってもぱくりとかそういうことではなく、あくまでも全体の雰囲気とリズムつまりサウンドプロダクションですね。
 しかしその範疇でいえばやっぱりよく似てる。
 ストーンズは基本オリジナルアルバム単位で聴いていてベスト盤はほとんど聴かないので、例えばこの曲のようにアルバム未収録のシングル発売のみの曲はそれまであまり聴いてこなかった、だから入れました。



◎7曲目


 Till There Was You
 The Beatles
 (1963)

 ストーンズに続いてビートルズ。
 「続日本人の英語」マーク・ピーターセン(著)岩波新書
 今読んでいますが、その中でマークさんは"meadow"という言葉のアングロサクソン的な響きが大好きだと書いています。
 僕も好きなんです、アングロサクソン的というのは別として、何かいい響きの言葉だなって昔から思っていて、同じ単語が好きな人に出会って驚いたり喜んだり。
 その"meadow"という言葉がこの曲に出てきます。
 Then there was music and wonderful roses
 They tell in sweet fragrant meadows
of dawn and dews
 というBメロの部分ですが、そもそも僕がこの"meadow"という単語を覚えたのがこの曲でした。
 "meadow"という単語は、この曲の美しくも寂しい響きをまさに1語で象徴していると僕は思っています。
 そこに"fragrant"という単語がついていればなおのこと。



◎8曲目


 Battle Of Evermore
 Lovemongers
 (1991)

 ラヴモンガーズとはなんぞや?
 ハートのアン&ナンシー・ウィルソン姉妹のプロジェクト。
 もちろんこの2人が歌っていますが、彼女たちがレッド・ツェッペリン・フリークであるのは有名な話ですが、Zep4枚目の3曲目に収められたこの曲をカヴァー。
 グランジを扱った映画『シングルズ』のサントラのリマスター盤CDを弟が買ってかけていたところ、この曲が聞こえてきてCD-Rに入れることを即決。
 彼女たちの妖艶さにこれは非常によく合っていますね。
 まるで妖精が辺りあちこちに潜んでそう。



◎9曲目


 Take It On The Run
 REO Speedwagon
 (1981)

 彼女は「ホームタウン ~僕らの再会」という海外ドラマが好き。
 洋楽ヒット曲が劇中で使われていますが、一緒に観ていたところ
 流れてきた1曲がREOスピードワゴンのこれでした。
 これはずっといつかCD-Rに入れようと思っていた曲ですが、ついにその時が来ました。



◎10曲目


 Mass Tequilla
 Sammy Hagar
 (1999)

 NFLも「第1クォーター」を終了。
 今年は応援しているチームがみな成績がよく、特にフィラデルフィア・イーグルスは6試合を終えた時点で5勝1敗、32チーム中唯一の1敗という驚くべき展開に。
 既に0敗のチームはなく、今年は混戦模様ですね。
 イーグルスには気を抜かないで最後まで行っていただきたい。
 毎年楽しみなのがオードリー司会の日テレ「NFL倶楽部」。
 番組ではパンチの効いた洋楽曲がよく使われますが、
 サミー・ヘイガーの強烈なブギー・チューンのこれ、次週のスケジュールのコーナーで元気よくバックに流れています。
 まあ言ってしまえば飲み過ぎたことを自慢するアホみたいな曲ですが、サミーが歌うと某かの戒めにもなってしまう不思議。




◎11曲目


 The Great Beyond
 R.E.M.
 (1999)

 2017年10月8日(日)の「笑う洋楽展」、お題は「歌うコメディアン (アメリカ編)」。
 そこで紹介されたアンディ・カウフマンの映像が衝撃、いや笑激的。
 派手なつなぎを着てI Trusted Youとただ繰り返すだけでしたが、その仕草、表情、アクションが面白すぎ、みうらじゅん氏も安斎肇さんも大爆笑、当然その回の最優秀作品賞に輝いた。
 ミロス・フォアマン監督、ジム・キャリー主演の映画『マン・オン・ザ・ムーン』はアンディ・カウフマンの伝記映画で、僕も当時劇場に観に行きましたが、R.E.M.がサントラを担当しテーマ曲を歌っていることも観に行ったひとつの理由でした。
 そもそも1992年の曲Man On The Moonの歌詞にもAndy Kaufmanが出てきて、僕はそこで彼の名前を知り、映画で彼がどんな人かを知りました。
 「大いなる向こう側の世界」、この曲はMan On The Moonの続き、でもアンディは月にはいなかったのかな。
 イントロから時々入る固い音のギターのアルペジオが好き。



◎12曲目


 You Belong With Me
 Taylor Swift
 (2009)

 「バンラジ」は午後7時からですが、たいていはその少し前からHBCラジオをかけて待っています。
 直前の番組が「井手大介の心の音楽」で、基本的にはJPOPのリクエスト曲がかかるのですが、先日は珍しくテイラー・スウィフトのこれがかかりました。
 井手さんがどんな人かを僕は知らないのですが、曲を聴いてこれってテイラー・スウィフトがカントリーやってた頃の曲ですよね、と話していて、僕はテイのカントリー時代の曲はよく知らなくて、どうやらこれが日本では人気があるらしいと分かり、早速CD-Rに入れることにしました。
 だから他の曲と違ってまだなじみがない曲、これから慣れよう。



◎13曲目


 Someplace Else
 George Harrison
 (1987)

 ジョージ・ハリスンのこれはプリンスを除けば今回唯一特にきっかけもなくただ頭に浮かんで口ずさんだ曲。
 でも今回、これを、トム・ペティに贈る曲にしようと。
 トラヴェリング・ウィルベリーズを通して友情を深めたジョージとトム、今頃は「どこか他の場所」で、たばこをふかしながらセッションしているかも。
 感傷的なメロディにエリック・クラプトンのギターが突き刺さる。
 隠れた名曲と僕は信じています。



◎14曲目

 
 Walls (Circus)
 Tom Petty & The Heartbreakers
 (1996)

 2017年10月2日、トム・ペティ。
 同じ月のCD-R、やはりミニ特集をすることにしました。
 最初はこれ。
 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズがサントラを担当した映画『彼女は最高』 SHE'S THE
ONE からのシングルカット曲ですが、僕はこのアルバムをあまり聴いてこなかったので、まずはこの曲からなじみになろうと。
 皮肉っぽいけど優しい、そんなトムらしい前向きな曲。



◎15曲目


 Leave Virginia Alone
 Rod Stewart
 (1995)

 ロッド・スチュワートのこれはトム・ペティの書き下ろし。
 当時日本でも話題に、、、ならなかった。
 ロッドが好きな友だちSと新譜として出たこれを聴いて、感想を求めましたが、Sは口を濁すだけ。
 あのトム・ペティが作ったんだよ、カバーじゃないんだよ、ロッドのために書いたんだ、すごいことなんだよと力を込めて話してもSは立て板に水。
 そんなことを思い出しました。
 アメリカでもスマッシュヒットにまでは至らなかったこれ、数多あるロッドのヒット曲の中でも印象が薄い、そうですかね。
 余談、しかしロッドはこの後同じアルバムからのLady Luckがドラマで使われ日本で大ヒットしさすがと思わされました。



◎16曲目


 Hard Luck Woman
 Kiss
 (1976)

 トムの死に際し、キッスのポール・スタンレーも追悼文を寄せていますが、曰く、俺たちの前座だった頃からトムの音楽は大好きでずっと聴いている。
 そういうことがあったんだ。
 キッスの曲を選ぼうと思っていたらたまたま「バンラジ」でかかったこれを入れることにしました。
 ところでこの曲やっぱり、ロッド・スチュワートのMaggie Mayにサウンドプロダクションが似てますよね。
 ということでロッドの次に入れたのは、まあ偶然です、はい。



◎17曲目


 Rainy Day Woman #12 & 35
 Tom Petty & The Heartbreakers
 (1993)

 ボブ・ディラン30周年記念コンサートのライヴ盤から。
 この曲は10月1日より前からここに入れると決めていましたが、それは別に何かを予感したとかではなく、トムの曲を毎回選ぼうとするのは僕には当たり前のことですからね。
 ネットでボブ・ディランについて書かれた文章を見て、この曲名を目にした瞬間頭の中に流れてきたのが、なぜかボブ・ディランのオリジナルではなく、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのこれでした。
 アップテンポでいかにも彼ららしい仕上がり。
 "Everybody must get stoned"のところで会場も歌うのが、やっぱりアメリカはすごいなあと思いました。



◎18曲目


 Heartbreaker
 Dionne Warwick
 (1983)

 トム・ペティ&ザ・「ハートブレイカー」ズの後にこれ、まあいってみれば洒落のようなもの。
 でも、トムの死により心が傷つくのは洒落では済まない・・・
 「バンラジ」でかかったこれを聞いた彼女、これはビー・ジーズの曲だとひとこと。
 半分当たり、歌っているのはディオンヌ・ワーウィックだけど、作曲者はビー・ジーズのバリー・ギブ。
 でもビー・ジーズが歌うヴァージョンも聴いたことがあるという。
 僕も聴いたことがある、ライヴのメドレーの1曲だけど。
 これが出た中学の頃、あの歌いいよねってみんなが言っていた。
 僕も中学時代からずっと大好きな曲です。



◎19曲目

 
 More Than I Can Say
 Leo Sayer
 (1980)

 これも「バンラジ」でかかり、彼女がこの曲いいねとひとこと。
 続けて、邦楽でこれと似た曲があるけど思い出せない、と。
 ううん、僕も分からないけれど、洋楽の中でもいかにも日本で受けそうな雰囲気の曲ではありますね。
 オリジナルはソニー・カーティス&ジェリー・アリスンによる1960年の曲ですが、レオ・セイヤーのこのカバーはビルボード最高2位の大ヒットを記録しました。



◎20曲目


 Short People
 Randy Newman
 (1977)

 最後はランディ・ニューマンに明るく締めてもらいましょう。
 「背が低い人には生きる価値がない」と歌うこの曲、当時は物議をかもしたそうで、皮肉屋ランディ・ニューマンらしいといえばそうだけど、まあそうなるでしょうね。
 この曲は、「笑う洋楽展」のコメディアンの回でチェビー・チェイスがコメディ番組で歌うライヴものが取り上げられていましたが、チェビーは歌詞を変えて歌い、むしろそういう人たちを応援する歌にしていました。
 で、チェビー・チェイスといえば、ポール・サイモン1986年のYou Can Call Me Alのビデオクリップに出てポールと一緒にコメディタッチで歌って踊っていたことを思い出す。
 当時は2人の顔が似ているからと言われていましたが、ポール・サイモンは背が低いことで有名であり、実はこの曲が背景にあってつながっていたのかって今更ながら分かりました。

 そして僕もちょっとだけ遊んでみた。
 最後「背の低い人」の歌が終わり、カーステレオでCDが最初に戻るとそこには(背の低い)プリンスの曲が、というわけ。




 いかがでしたか!

 「バンラジ」が週5になり、車用CD-R作りのペースがますます早くなりそうです。




20171014TomPetty


 トム・ペティの死がまだ信じられません。

 でも、日常生活のふとした瞬間に、ああもういないんだなあと思うことが多々ある。

 どちらがほんとうなのだろう。
 自分でも分からなくなっています。

 トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのアルバム記事(長いの)を上げるつもりでいますが、長い記事は久しく書いていないので、なかなか進みません。

 記事の間が空き過ぎるのもどうかと思い(どうでもいいか)、今回は短い話題をひとつ挟みます。




 
 数日前、もうそろそろ先週号になるその時点での最新のビルボード誌レギュラーチャートのウィークリーアルバムチャートでトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのGREATEST HITSが2位に入りました。 
 なんとこれが1993年リリース、ほぼ四半世紀ぶりのチャート返り咲き。
 繰り返し、2位です、古いやつとか、ロックとか、そういうのではなく最新の。

 1位はシャナイア・トウェインのNOWが獲得。
 まあ仕方ないですね、待望の新譜、僕もそれ聴いてますし。
 ただ、トムさんたちは1位が1枚しかなかったので、ここはひとつ、1位になってほしかった。
 
 さらには、トムのソロで1994年のWILDFLOWERSが27位、2000年に出た編集盤ANTHOLOGYが31位に再チャートイン。

 それだけトム・ペティがアメリカでは知名度も高いし、
絶大な人気を誇っていた、いや、いることがあらためて分かりました。


 (日本とは違う、なんて野暮なことは言わない、あ言ったか・・・)


 今回はWILDFLOWERSからさらに1曲。




 House In The Woods
 Tom Petty
 (1994)

 トムは今頃もしかして、森の中の家でワルツをバックにリスと戯れているかもしれない。