うそつき | プリンシペ・オリエンタルのブログ

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誰も知らない元覆面ルチャドール(プロレスラー)“プリンシペ・オリエンタル”のブログです。リングネームだったプリンシペ・オリエンタル=東洋の王子様。しかし、素顔は王子とはかけ離れた男であります。今はプロレスとはまったく関係ない毎日を送っています。

平成31年4月22日にスルガ銀行熱海駅支店に行きました。

 

固定資産税・都市計画税を支払うためです。

 

受付の札を取ると、こんな記載になっていました。


平成15年1月1日。

 

元号が変わることに伴うシステム変更の過程なのでしょうか。

 

16年3か月あまりの間、呼ばれることなく待ち続けているかのようです。

 

おもわずネタにしてしまいたくなるようなうそです。

 

 

 

以前、内回りの山手線に乗っていたときのことです。

 

上野駅を出たあたりで、並走している電車を指さして若いお父さんが小学生くらいの男の子にこう言っていました。

 

「あれはスカイラインだよ」

 

京成スカイライナーのことを言いたかったのだと、すぐに察しました。

 

スカイラインは日産です。

 

しかし、指さす電車を見れば、それはいわき行きのJRの特急「スーパーひたち」でした。

 

若いお父さんは愛息に対して、ダブルでうそをついていたことになります。

 

「違いますよ。あれは、スーパーひたちですよー」

と、やんわりと呟くのも彼らの後学のためかもしれませんが、そのときは聞かぬふりをしたままに鶯谷のラブホテル街の車窓を迎えました。

 

その流れでいえば、「湘南新宿ライン」を「湘南新宿ライナー」と呼ぶ老夫婦も、熱海辺りの東海道線車内で何度か耳にしたことがあります。

 

 

 

「固有名詞と数字は間違えないように」

 

元上司によく言われました。

 

細かいことはいちいち言わない上司でしたが、そのことは徹底されました。

 

人名はもちろんのこと、たとえば外資系ホテル名。

 

活字にする際、半角スペースや「・」の有無など気にしたものです。

 

間違えれば悪気はなくても、うそつきになってしまうのです。

 

 

 

東京の東中野駅近くに、かつて古い居酒屋がありました。

 

店外には「お気軽にお入りください」などと書かれた紙が貼られており、一見すると庶民的な雰囲気の店なのですが、実際には客を選ぶクセのある店でした。

 

若い時分に訪れた際、店内はガラガラなのに、

「きょうは予約でいっぱいなんですよー」

と断られました。

 

その後、前述の上司など実績のある常連客と共に行く機会を増やした後にはすっかり顔なじみとなり、いつでも歓迎されるようになりました。

 

そうなってからわかったことなのですが、独り客や一見客に対しては例外なく、

「きょうは予約でいっぱいなんですよー」

のコトバが浴びせられていたのです。

 

「客を選ぶのか?」

という批判もあるでしょうが、街中の個人店においては、そういう選別も必要だったのでしょう。

 

うそも方便、ということだったのでしょうか。

 

ちなみにこの店は、今では駐輪場に姿を変えています。

 

 

 

手元の辞書を開いて「うそ」を見ました。

 

 

 

①本当でない事を、人をだますために言うこと。いつわり。

②正しくないこと。誤り。

 

 

 

①はあきらかに悪意があるものであり、②は無知や誤解からくるものです。

 

「スカイライン」のお父さんは②です。

 

東中野の居酒屋は①かもしれませんが、当事者である自分はだまされた感はありません。

 

むしろ、昔ながらの居酒屋の客としてふさわしい風体になるべく試練だったと今では思えます。

 

 

 

おそらく、「本当のこと」や「正しいこと」しか許されないような世界は、息苦しいはずです。

 

固有名詞や数字だけが真実ではないからです。

 

「正しくないこと」の中にこそ、おもしろいこともあるからです。

 

 

 

しかしながら、前述①の「本当でない事を、人をだますために言うこと」を恥じらいもなく実行する人にはなりたくありません。

 

それが公人ならなおさらです。

 

わずか数年前の自身の言動すら「記憶にございません」などとよく言えたものです。

 

30年前のきょうは、祖母とカステラを食べながらビルマで戦死した祖父の話を交わし、日本ハムはロッテ相手に勝利して村田投手の200勝を阻止したようです。

 

20年前のきょうは、沼津の呑み屋で朝まで呑み続けたようです。

 

10年前のきょうは、高田馬場で職場の卓球大会があり、その後、池袋のホテルで立食パーティーだったようです。

 

アリバイは、完璧。

 

どんな時代も、うそつきにはなれません。