こんばんは。ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も2022年のアーカイブというテーマで、本年6月にお送りさせて頂いた

 

想像力と発掘良品の発掘⑯

 

というシリーズで選んだ作品について総括してみたいと思います。

 

 

 

 

本日は、本シリーズで選ばせて頂いた27作品のうち、1~11番目までの作品をご紹介させて頂きます。

 

 


 

①抵抗(レジスタンス)死刑囚の手記より(1956)

(原題:UN CONDAMNE A MORT S'EST ECHAPPE OU LE VENT SOUFFLE OU IL VEUT)

 

原題は「死刑囚が逃げた、または風がどこから吹いてきて、どこへ行くのかは誰も分からない」。

 

タイトルからもお分かり頂けるように、本作はプリズンブレイク(脱獄)映画であり、同テーマの作品は発掘良品でも「パピヨン」「アルカトラズからの脱出」「穴」「ミッドナイト・エクスプレス」「勝利への脱出」「ナイト・ビジター」など多数セレクトされています😊

 

 

プリズンブレイク映画が人気の理由は、非日常空間の監獄から脱出するという展開がドラマティックだから!

 

孤立無援の囚人が自由を求めて知恵と勇気をふり絞るプリズンブレイクは、我々一般人が体験するかもしれないリアリティのある絶体絶命的映画!!

 

 

ですが本作はドラマティックな脱獄映画ではありません。

 

本作を撮られたロベール・ブレッソン監督は、映画監督になる前に画家や写真家として活躍していた"芸術家としての視点を持つ映画監督"

 

 

そんなブレッソン監督の手で作られた本作は、私語さえ禁じられた囚人たちの絶望的な状況で、石を穿つか如きの精神で奇跡の脱獄を果たした、実在の脱獄犯の姿を淡々と描くドキュメンタリータッチのプリズンブレイク映画なのです…

 

看守に知らる事なく開けたドアの向こうには
果たして希望はあったのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

②スリ(掏摸)(1960)

(原題:PICKPOCKET)

 

本作も「抵抗(レジスタンス) 死刑囚の手記より」を撮られたロベール・ブレッソン監督の作品

 

「抵抗(レジスタンス) 死刑囚の手記より」は、死刑という極限状態に置かれたフォンテーヌ大尉が生き延びるためにあらゆる手を使って脱獄を試みる"生への執着"を描いた作品ではないかと思いますが、本作でブレッソン監督が描いたのは"生への執着"とは正反対の人間の負の感情!!

 

本作は、他者の金を奪う事に楽しみを覚えてしまった青年の荒廃した心の中を描いた"破滅への階段"を描いた作品なのです。

 

「スリだって芸術的な才能なんだ!」

スリという行為に魅了されてゆく

ミシェルという青年の人生を淡々と描いた

人間観察記のような作品なのです。

 

 

 

 

 


 

③不思議惑星キン・ザ・ザ(1986)

(原題:Кин-дза-дза!)

 

本作は1986年にソビエト連邦で公開された幻の作品。

 

ソビエト連邦の崩壊が始まったのがゴルバチョフ書記長が就任した1985年からだと考えるなら、本作が公開された1986年は、国民たちがソビエト連邦という制度が長くはもたないだろうと実感し始めた頃ではないかと推察されます。

 

 

そして、そんな時代に生まれた本作は、永遠に続くと思われた日常から突如切り離された2人のロシア人が、言葉も考え方も全く異なる異邦人との生活を余儀なくされる、今の制度が崩壊した後に待っている世界を描いたようなSF作品です😄

 

ある日突然、異世界に飛ばれてしまった

2人のロシア人の明日はどっちだ!?

 

 

 

 

 

 

④西部の人(1958)

(原題:MAN OF THE WEST)



本作はアメリカで作られた西部劇。

 

これまでの発掘良品で紹介されていた西部劇の殆どは、イタリアやスペインで作られたマカロニ・ウェスタンと呼ばれている作品、もしくはマカロニ・ウェスタンを撮った監督がアメリカで作った作品なのですが、本作以降のシリーズでは1950~60年代に作られたアメリカの西部劇が多く紹介されるようになります🤠😊🤠

 

 

300以上続いた日本の時代劇と異なり、1840~90年の約50年くらいしかない西部開拓時代を舞台にした西部劇は、野望に燃えたカウボーイやガンマンたちが、あっという間に時代の波の中に消え去っていった栄枯盛衰を感じさせるジャンル。

 

邦題の「西部の人」というタイトルとは裏腹に、西部劇らしい人間が登場しない本作は、西部開拓時代の終わりを感じさせるような、ちょっと寂しい冒険活劇なのです…

 

原題も「MAN OF THE WEST」ですが

これは「西から来た男」という意味で

彼は既に終わりつつあった西部劇の世界に

引導を渡すような役割を担っていたのです…

 

列車が通れば西部の世界もおしまい。

無法者たちの夢も露と消えてゆくのです…

 

 

 

 

 


 

⑤悲しみは星影と共に(1965)

(原題:ANDREMO IN CITTA)

 

本作は1965年のイタリア映画。

 

芸術の国イタリアでは、人生とは何かを描いたような悲劇的な結末の映画が多数存在し「自転車泥棒」「ライフイズビューティフル」「ひまわり」などは映画史に残る傑作と呼ばれています。

 

 

そんなイタリア生まれの悲劇は、これまでの発掘良品でも多数紹介されておりますが、本作はそんなイタリアの悲劇的映画の中でも出色の出来の「涙なしには観れない名作」!

 

メインテーマも涙を誘うような曲調!

 

 

第二次世界大戦下でドイツに占領されていたユーゴスラビア(現ユーゴ)の郊外の村に住んでいる若い娘レンカは、ユダヤ人だったために収容所に送られてしまった教師をしていた父親の帰りを盲目の弟ミーシャと共に待っていましたが、ある日ドイツの占領軍の将校から父親が死亡したと伝えられ、途方に暮れてしまいます。

 

レンカたちの父の死は、あっという間に村中に知れ渡りますが、まだ幼く目も見えないミーシャに父が死んだことを伝えられないレンカは、ミーシャの前では何事もなかったように振る舞い続けます。

 

 

他国に占領されるというのは、このような家族の悲劇を生み出す事に繋がって行くのです。

 

レンカもミーシャも普通の子。

けれどナチスドイツに占領された村では

次第に行き場を失ってゆくのです…

 

 

 


 


 

⑥禁じられた恋の島(1962)

(原題:L'ISOLA DI ARTURO)


本作も「悲しみは星影と共に」と同様、切ない愛を描いた作品なのですが、本作を撮られたダミアーノ・ダミアーニ監督は、繊細な恋物語だけでなく、メキシコ革命の風雲児エル・チョンコの栄枯盛衰を描いた「群盗荒野を裂く」や、カトリーヌ・スパークの際どいシーンがある「禁じられた抱擁」など、まったくタイプちがいの作品をたくさん撮られた方!

 

そんな多彩な才能を発揮するダミアーニ監督が本作で描いたのは、自分の父親だと信じている船乗りの男と一緒に海へ出る日を楽しみにしている少年が、船乗りの連れて来た新妻に恋してしまうというストイックでアンビバレントな青春恋愛映画であると同時に、少年の日の終わりを描いた成長譚でもあるのです😉

 

自分を置いて旅に出た船乗りを待つ

健気な新妻を見つめる少年!

自分と同じくらいの年の少女に

恋しながらも見守る少年の胸中とは!?

 

 

 


 

⑦リオ・コンチョス(1964)

(原題:RIO CONCHOS)

 

本作は1964年に公開されたアメリカの西部劇!

 

アメリカの西部劇のイメージといえば、精悍なカウボーイや正義のガンマンたちが悪党を倒す勧善懲悪なヒーロー映画を思い浮かべる方も多いのではないかと思いますが、本作には正義のガンマンも精悍なカウボーイも登場せず、悪を倒すような勧善懲悪な展開の作品もありません汗汗

 

そんな本作は、観終わった後に「人間の本質とは、果たして善なのか?それとも悪なのか?」を考えさせられるような、不思議な後味の西部劇!!

 

 

ストーリーを解説してしまうとご覧になる楽しみを奪ってしまいますので、これ以上詳細を書くのは差し控えさせて頂きますが、本作は私たちがイメージしている西部劇が虚構である事を徹底的に暴いた、西部には正義の味方なんていなかったという事を描いたシニカルな西部劇なのです…

 

奪われた2000丁のライフルを探すため

留置所から釈放されたラシターは

一癖ある仲間たちと旅をする事になりますが

彼らの旅の終わりに待っていたのは

爽快感のある大団円ではなかったのです…

 

 

 

 


 

⑧ビッグ・トレイル(1965)

(原題:THE HALLELUJAH TRAIL)

 

恐らくですが日本版ポスターを見た方の中には、本作を勇壮な戦闘シーンが売り物の本格派な西部劇だと勘違いされてしまうと思いますが、本作はデンヴァーの酔っ払いと、禁酒運動を推進する夫人団と、お酒大好きネイティブ・アメリカンと、禁酒運動の夫人たちを守る事になった騎兵隊の四つどもえの戦いを描いた、コメディタッチの群像劇😆

 

こんな勇壮なポスターですが…

 

アメリカ版ポスターには「FUN! (楽しい)」と

書いてある娯楽作品です😆

 

 

酒をこよなく愛する人たちが大激突する本作は、お酒好きの人は思わずニッコリしてしまうような、煩悩全開の男たちの大乱闘劇なのです!!

 

酒がなくなったデンバーに

大量のウィスキーが輸送される事に!!

果たして酒は無事に届くのか!?

 

 

 
 
 
 
 

 


 

⑨ホドロフスキーの虹泥棒(1990)

(原題:THE RAINBOW THIEF)

 

本作はカルト映画として名高い「エル・トポ」「ホーリー・マウンテン」「サンタ・サングレ 聖なる血」などを撮られたアレハンドロ・ホドロフスキー監督が1990年に撮られた映画!

 

 

ホドロフスキー監督作品はショッキングな展開のものが多く、予備知識なくご覧になるとショックを受けたり、気分を害されたりする方も少なくないのですが、描かれている内容は"人間とは何を糧に生きるべきか?"という哲学的な題材ばかり!!

 

「エル・トポ」は"強さや慈愛を極めた人間は幸福になれるか?"「ホーリー・マウンテン」は"宗教による悟りは人を幸せにするか?"「サンタ・サングレ 聖なる血」は"偏愛や恋慕という感情は実りある人生をもたらすのか?"と言った、軽々に答えを出せないようなテーマの映画になっているのですが、本日の「虹泥棒」で描かれている問い掛けは"大金を所有したり、金を欲し続ける人生にはどんな結末が待っているのか?"という、これまた答えを出すのが難しい問題なのです😅

 

隙あらば、あらゆるものを盗むディマは

大富豪の甥のメレアーグラという男と

同居していましたが、その理由は

大富豪の遺産をメレアーグラが相続すると

目を付けていたから!

 

そんな抜け目のない泥棒ディマの計画は

果たして成功したのでしょうか!?

 

 

 

 


 

⑩1000日のアン(1969)

(原題:ANNE OF THE THOUSAND DAYS)

 

本作はイングランド王のヘンリー8世の妻だったアン・ブーリンを主人公にした時代劇。

 

時代劇と書くと、歴史にご興味のない方に敬遠されてしまうかもしれませんが、アン・ブーリンの夫であるヘンリー8世は、歴史上でもかなり異様な人物であり、ヘンリー8世が登場する作品はどれも、時代劇というよりは野獣のような覇王が荒れ狂う異世界ファンタジーのような展開!!

 

ヘンリー8世は、当時のイングランドで国教だったカトリック教会から破門され、自身で作ったイングランド国教会を成立させてしまいますが、その原因となったのがアン・ブーリンとの結婚話だったので!!

 

アンを側室にしたいヘンリー8世に対して

正妻キャサリンとの離婚を迫ったアン!

ですがアンを正妻に迎えるなら

離婚が許されないカトリック教会から

ヘンリーが破門される事に!!

 

イギリスの歴史を変え、

エリザベス女王誕生の端緒となった

アン・ブーリンの生涯とは!?

 

 

 

 


 

という訳で次回は、想像力と発掘良品の発掘⑯でご紹介させて頂いた11~20作品をご紹介したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

↑次回もよろしくお願いいたしま😄