こんばんは。
ご覧頂きありがとうございます😊
本日も想像力と発掘良品の発掘⑯というテーマで
長く熱い週末(1980)
(原題:THE LONG GOOD FRIDAY)
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
★発掘良品の発掘とは?
今月のラインナップはコチラ↑
本作は1980年に公開されたロンドンを舞台にしたバイオレンス映画!
「オシャレ都市ロンドンを舞台にした映画なのにバイオレンス映画?」と不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、身分制度が厳しい上に、たくさんの移民が住んでいるロンドンは、国際都市であると同時に犯罪都市!!
映画の世界でも「イースタン・プロミス」では人身売買、「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ 」では麻薬売買、「バンクジョブ」では銀行強盗、「堕天使のパスポート」では臓器売買、「ハイエナ」では外国人犯罪などが描かれており、美しいロンドンの街並みの裏には、大勢の犯罪者が蠢いている事がご理解頂けるのではないかと思います。
ロンドンにおける不法滞在外国人の
臓器売買の闇が描かれている
「堕天使たちのパスポート」
本作は、そんな大都市ロンドンの再開発利権を牛耳るマフィアたちの姿を描いたバイオレンス作品!!
ロンドンの再開発を俺たちが仕切る!!!
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。
…「モナリザ」?
皆様が作品をご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、ロンドンという都市には、どんな地政学的な問題があるのかを理解する上でも参考になる作品!
ロンドンは1950年代にも、再開発を巡って貧民街で対立が起こった事がある、土地にまつわる利権が常に渦巻いてきた都市!!
近年では2012年のロンドン・オリンピックの際にウォータフロントや、イーストエンドといった古いエリアが、再開発の波に襲われて来たのです。
もちろん再開発を円滑に進めるには、荒事師たちの協力は不可欠。
ですのでロンドンの再開発の裏には、常にドロドロとした利権の奪い合いが発生し続けていたのだと思われれるのです…
さて、俺の仕事の邪魔をしたのはお前か?
ボブの仲間たちは、利権の為なら
荒事も厭わないロンドンのギャングなのです!
そしてもちろん、ロンドンの地政学上の問題は再開発だけではありません。
大英帝国時代に連れて来た移民の子孫たちの貧民化。
ロシ帝国が崩壊した時に逃げて来たロシアのマフィア。
第二次世界大戦中に協力を要請したアラブの裕福層たち。
そしてイギリスからの独立運動を阻止され続けて来たアイルランド人の独立運動。
そう。
ヨーロッパの種々の問題が混然となって生まれたロンドンは、何が起こったとしてもおかしくない火薬庫のような都市でもあるのです…
私見ですがそんな本作は、ロンドンの再開発問題と、もう一つの地政学上の問題を組み合わせたミステリータッチのバイオレンス作品ですので、ロンドンの歴史を全く知らないと分かりにくく感じるかもしれませんが、逆にこの作品を通してロンドンの地政学に興味を持って頂き、歴史を紐解いて頂いても良いのではないでしょうか?
日本のアウトレイジも恐ろしいですが、ロンドンに巣食うアウトレイジ的な悪党たちは、日本人の感覚では信じられないような残酷さを持ち合わせているのです…
衆人環視のカーレース会場においても
ギャングたちの抗争は容赦なし
これがロンドン・ギャングの落とし前じゃ!
という訳で次回は
娘の行く末を願い…
というテーマで
白い家の少女
という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
★おまけ★
併せて観たい発掘良品作品!
「ヤコペッティの大残酷」
ボブの身に起こった事件を読み解くヒントに「ロンドンがベルファストになってしまう!」というセリフが登場しますが、これを解説してしまうとネタバレになってしまいます
ですが、ベルファストで何が起こったのかは、ロンドンの地政学を知る上でも重要な事。
ですのでもしご興味があれば発掘良品の中では「ヤコペッティの大残酷」という映画をご参照頂ければと思います!
あ
または「クライング・ゲーム」という作品でも良いのですが、こちらはもっとネタバレ禁止の内容なのです😅