こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑯というテーマで

 

長く熱い週末(1980)

(原題:THE LONG GOOD FRIDAY)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

 
発掘良品とは、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

今月のラインナップはコチラ↑

 

 

 

犯罪都市ロンドンの映画たち!

 

本作は1980年に公開されたロンドンを舞台にしたバイオレンス映画!

 

 

「オシャレ都市ロンドンを舞台にした映画なのにバイオレンス映画?」と不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、身分制度が厳しい上に、たくさんの移民が住んでいるロンドンは、国際都市であると同時に犯罪都市!!

 

 

映画の世界でも「イースタン・プロミス」では人身売買、「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ 」では麻薬売買、「バンクジョブ」では銀行強盗、「堕天使のパスポート」では臓器売買、「ハイエナ」では外国人犯罪などが描かれており、美しいロンドンの街並みの裏には、大勢の犯罪者が蠢いている事がご理解頂けるのではないかと思います。

 

ロンドンにおける不法滞在外国人の

臓器売買の闇が描かれている

「堕天使たちのパスポート」

 


 

本作は、そんな大都市ロンドンの再開発利権を牛耳るマフィアたちの姿を描いたバイオレンス作品!!

 

ロンドンの再開発を俺たちが仕切る!!!

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

後に「モナリザ」でゴールデングローブ賞ドラマ部門主演男優賞を獲得するボブ・ホスキンスが主演した、イギリスのネオ・ノワールを代表する犯罪ドラマ。

英国映画協会『20世紀のイギリス映画ベスト100』21位に選出された。
 

 

 

 

 

…「モナリザ」?

 

 
はい。
 
「モナリザ」は、発掘良品にセレクトされているロンドンにおける少女売春の闇を描いた作品!
 
夜のロンドンにの群れていたました…
 
確かに「長く熱い週末」は、そんな「モナリザ」で主役を演じたボブ・ホスキンス氏が演じている作品。
 
ですがこの解説では内容がさっぱり分からないと思いますので、もう少しだけ詳しく解説させて頂くと、ボブ・ホスキンス氏が演じている主人公ハロルドは、ロンドンの裏社会を牛耳っているギャングのボス。
 
彼はロンドンの再開発事業の利権を手に入れる算段をしていましたが、資金不足を補うためにアメリカ・マフィアのチャーリーと手を組みたいと考え、チャーリーを週末のロンドンに招待する事にします。
 
この再開発計画を見せれば
チャーリーも協力してくれるはずだ!
 
 
ボブの"チャーリーおもてなし計画"は、古き良きロンドンの魅力を満喫できるスペシャル・コース!
 
 
ロンドン塔の近くにあるセント・キャサリン・ドックの近くから遊覧船に乗り込み、タワーブリッジを眺めながら船上パーティを楽しんでもらった後、夜はボブが経営している老舗レストランで豪華なディナーを満喫してもらうというボブの計画は順風満帆に思えました。
 
セント・キャサリン・ドックとは
テームズ河の風光明媚な場所にある
裕福層が使用するヨットハーバーです😊
 
 
ですが、チャーリーをヨットでもてなしていたボブに、彼の腹心のコリンとエリックという男が、何者かによって別々の場所で殺害されたという衝撃的な報告が舞い込んできます!!
 
サウナで刺殺されたコリンと…
 
教会に行っていたボブの母を
迎えに向かったエリックは爆殺!!
 
 
突然の報告に我を失うボブでしたが、悲劇はこれだけで終わりません。
 
何と、チャールズを案内するために向かったボブの所有するレストランも、彼らが到着する前に爆弾によって破壊されてしまったのです!!
 
自慢のレストランが目の前で爆発し
言葉を失ってしまうボブ。
 
 
トラブル続きのボブの姿を見たチャールズは、ロンドンを仕切れていないのなら出資はできないと言い出し、あわてたボブは、週末までにトラブルを鎮圧されてみせると約束は、ロンドン中の悪党たちを一晩で締め上げて犯人を突き止めるよう部下たちに厳命したのです!!
 
お前ら!どの武器を使ってもいいから
絶対、犯人を捜し出せ!
 
 
 
さて、アウトレイジ状態と化したロンドンの夜の街で、ボブは自分たちの計画を邪魔していた組織を特定する事がてせきたのでしょうか?
 
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
 
「おやっさん、お任せ下さい!!」
ボブたちの長く熱い週末の始まりです!
 
 
 
【私の感想】ロンドンの地政学とは?

 

皆様が作品をご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、ロンドンという都市には、どんな地政学的な問題があるのかを理解する上でも参考になる作品!

 

ロンドンは1950年代にも、再開発を巡って貧民街で対立が起こった事がある、土地にまつわる利権が常に渦巻いてきた都市!!

 

近年では2012年のロンドン・オリンピックの際にウォータフロントや、イーストエンドといった古いエリアが、再開発の波に襲われて来たのです。

 

 

もちろん再開発を円滑に進めるには、荒事師たちの協力は不可欠。

 

ですのでロンドンの再開発の裏には、常にドロドロとした利権の奪い合いが発生し続けていたのだと思われれるのです…

 

さて、俺の仕事の邪魔をしたのはお前か?

ボブの仲間たちは、利権の為なら

荒事も厭わないロンドンのギャングなのです!

 

 

そしてもちろん、ロンドンの地政学上の問題は再開発だけではありません。

 

 

大英帝国時代に連れて来た移民の子孫たちの貧民化。

 

ロシ帝国が崩壊した時に逃げて来たロシアのマフィア。

 

第二次世界大戦中に協力を要請したアラブの裕福層たち。

 

そしてイギリスからの独立運動を阻止され続けて来たアイルランド人の独立運動。

 

 

 

そう。

 

ヨーロッパの種々の問題が混然となって生まれたロンドンは、何が起こったとしてもおかしくない火薬庫のような都市でもあるのです…

 

 

私見ですがそんな本作は、ロンドンの再開発問題と、もう一つの地政学上の問題を組み合わせたミステリータッチのバイオレンス作品ですので、ロンドンの歴史を全く知らないと分かりにくく感じるかもしれませんが、逆にこの作品を通してロンドンの地政学に興味を持って頂き、歴史を紐解いて頂いても良いのではないでしょうか?

 

日本のアウトレイジも恐ろしいですが、ロンドンに巣食うアウトレイジ的な悪党たちは、日本人の感覚では信じられないような残酷さを持ち合わせているのです…

 

衆人環視のカーレース会場においても

ギャングたちの抗争は容赦なしあせる

これがロンドン・ギャングの落とし前じゃ!

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

娘の行く末を願い…

というテーマで

 

白い家の少女

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品作品!
「ヤコペッティの大残酷」

 

ボブの身に起こった事件を読み解くヒントに「ロンドンがベルファストになってしまう!」というセリフが登場しますが、これを解説してしまうとネタバレになってしまいますあせるあせる

 

ですが、ベルファストで何が起こったのかは、ロンドンの地政学を知る上でも重要な事。

 

ですのでもしご興味があれば発掘良品の中では「ヤコペッティの大残酷」という映画をご参照頂ければと思います!

 

 

汗

 

または「クライング・ゲーム」という作品でも良いのですが、こちらはもっとネタバレ禁止の内容なのです😅