こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑯というテーマで

 

大西部への道(1967)

(原題:THE WAY WEST)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

★発掘良品の発掘とは?

 
発掘良品とは、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

今月のラインナップはコチラ↑

 

 

 

異様なポスターの西部劇

 

本作は1970年に公開された西部劇!

 

原題の「THE WAY WEST」も邦題の「大西部への道」も、西部を生きる男たちの旅を感じさせるような雰囲気を感じさせるタイトルですね😊

 

日本公開時のチラシのキャッチコピーは

 大西部への道…それは血と汗にまみれた

 輝ける勝利への道!

 壮大なスケールと激烈な感動の

 堂々たる本格西部劇!!

というカッコいいものです。

 

 

ですが、アメリカ版のポスターに描かれているのは、カウボーイによって処刑されるブーツの男の姿!

 

 

そんな異様なシーンが描かれる「大西部への道」は、自分の住んでいる土地を捨てて、他の場所へ移り住もうと考える人々の思考や行動が描かれている人間観察記のような西部劇なのです…

 

子供と一緒に死刑を執行する男!

これが大西部への道なのか!?

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

A・B・ガスリー・ジュニアのピュリッツァー賞を受賞した雄大な叙事詩的小説をベン・マドウが脚色、「マクリントック」のアンドリュー・V・マクラグレンが監督したオレゴン・トレイル踏破の壮挙を描いた西部劇。

撮影は、「騎兵隊」のウィリアム・H・クローシア、音楽はブロニスロー・ケイパーとマック・デイヴィッドが担当した。

出演は「巨大なる戦場」のカーク・ダグラス「アルバレス・ケリー」のリチャード・ウィドマーク、「エル・ドラド」のロバート・ミッチャム、「捜索者」のハリー・ケイリー・ジュニア、ローラ・オルブライトほか。

製作は「キャット・バルー」のハロルド・ヘクト。
 

 

 

 

 

はい。
 
解説にある通り本作は、1847年にミズーリ州からオレゴン州に移り住もうと考えた1000人の人々が、100台の幌馬車でアメリカを横断する雄大な叙事詩的小説を1本の映画にまとめたもの!!
 
 
 
1000人!?
 
 
はい。
 
当時、不況に苦しんでいたミズリー州のインディペンデンスの町の人々は、アメリカ最西部のオレゴン州には、未開の大自然があると聞きつけて我先にと移住に名乗り出た結果、町中の農家の人々がオレゴンに向かう事となってしまったのです!!
 
みんなで行こう!オレゴンへ😆
 
 
ん?
 
でも、アメリカ中部のミズーリからオレゴンまではかなり距離があるのに、女の子はピクニック気分みたいですね汗汗
 
 
 
はい。
 
旅に参加した殆どの人たちは、オレゴンまでの距離がどのくらいかも知らず、道中がどれだけ過酷なのかも全く分かっていなかったのです!
 
どう見ても旅が過酷なだと理解していない人々。
 
 
そんな人々を先導するのは元上院議員のウィリアム・J・タドロック。
 
ミズーリで選挙に敗れたタドロックは、オレゴンに新しい街を建造して政治家として再起しようと考え、オレゴンまでの道を知っているディック・サマーズという男に道案内を依頼して大西部への道を歩み始めたのです。
 
オレゴンに作る町の設計図を用意し
かの地で再起を図ろうとしているタドロック。
 
オレゴンへの道を知っている唯一の人物
ディック・サマーズでしたが、彼は
愛するネイティブ・アメリカンの妻を亡くし
隠遁生活をしていました…
 
 
 
さて、果たしてタドロックとサマーズは、移住を夢見る1000人もの農民を無事にオレゴンへと導く事ができたのでしょうか?
 
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
 
私物を自分で運ぶ農民たちは
渡河するたけで事故を起こしてしまいます。
 
そんな農民たちを率いたオレゴン行は
果たして成功するのでしょうか?
 
 
 
【私の感想】世界は移民でできている

 

皆様が作品をご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、本作はオレゴンに向かった様々な人々の人間ドラマを描いた群像劇。

 

 

新天地を作ろうとするタドロックや、農民たちを無事にオレゴンまで導こうとするサマーズなどは目的意識がしっかりしていますが、新婚旅行中にも関わらず別の女性に手を出す男や、オレゴン行きが辛くなって「カリフォルニアの方が楽そうだ」と仲間を動揺させるような事を言う人間がいたりして、彼らの道程は決して平坦なものではありません。

 

 

ですがそんな農民たちは一体どうして、どんな場所かもよく理解していないオレゴンへと向かう決断をしたのでしょうか?

 

 

恐らくですがそれは、今まで自分が住んでいた土地で行き詰ってしまったから!

 

 

 

映画の冒頭、ミズーリにちゃんと家がある人たちも、もっと良い場所があるに違いないと信じて、新天地を求めてオレゴンへと旅経って行くのです…

 

こんな土地にいても未来がない!

そんな妻に従い、自分の家を捨てて

オレゴン行きを決める男。

 

 

 

そう。

 

この世の中には、自分が今住んでいる土地より豊かな場所で暮らしたいという、現実逃避のような理由で、他の地域に移り住もうと考える人も存在するのです。

 

 

 

私見ですがそんな本作は、大西部への道を突き進む人々の開拓者魂を描いた群像劇であると同時に、自分の住んでいる土地に不満があると、豊かな土地を目指して移り住もうと考える移民の人々のマインドを描いた興味深い作品。

 

彼らは、自分たちはアイルランド人だと言っていますので、アイルランドからミズーリへと移り住んだ後で、より豊かなオレゴンへと向かって行きますので、もしオレゴンでも行き詰ってしまったら、きっと新たな場所を求めて移住するのではないでしょうか?

 

彼らは開拓者魂を持つ気高い人々か?

それとも豊かな土地を簒奪する侵略者か?

 

 

日本の世論とは異なり、アメリカでは移民に対して寛大な考え方を持つ方が少なくないと思われますが、その理由は恐らく、自分自身の先祖も、豊かなアメリカを目指して他国から移り住んだ人々の子孫だからではないでしょうか?

 

白人が入植する前は、アメリカ全土に住んでいたネイティブ・アメリカンは、豊かな土地を求めて移り住んできたヨーロッパ人の入植者たちによって、住んでいた土地を簒奪されていったのです…

 

自分の土地で自助努力するのではなく

豊かな土地を求めて移住するという開拓者には

土地の簒奪者という裏の顔もあるのです…

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

ロンドン版アウトレイジ

というテーマで

 

長く熱い週末

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品作品!
「ロンサム・ダブ」

 

本作と同様、テキサスのロンサム・タブという町から、5000キロ離れたモンタナに移住しようとするカウボーイたちを描いたTVドラマ。

 

こちらは農民ではなくカウボーイたちなので、作品のテイストは人生を賭けて新天地へと突き進む男たちのドラマとなっているのです🤠🤠🤠