こんばんは。

ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘⑮というテーマで

 

ロンサム・ダブ

第3章 大平原(1989)

(原題:LONESOME DOVE : THE PLAINS)

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

★発掘良品の発掘とは?

 

発掘良品とは、TSUTAYAさんによる新作・旧作、有名・無名、公開・未公開ではなく「面白い」を基準に作品をセレクトし、毎月紹介してくれている映画ファンたのための素晴らしいシリーズ。

本シリーズは、そんな発掘良品の全作品を5~6年かけてご紹介させて頂こうという超長期目標のシリーズとなっております😄

 

↑今月のラインナップの詳細はコチラ!

 

 

 

 

西部劇入門③「退場のドラマ」 

 

TSUTAYA発掘良品シリーズで選ばれている作品は、映画もしくはTV映画がほとんどなのですが、第73~74弾の「ロンサム・ダブ」と、第88弾の「警察署長」という作品だけは、TVの連続ドラマ!

 

映画と違ってTVドラマをネタバレしないように1話ずつ紹介していくのは、ちょっと難しいのですが、本作は西部劇の事をよく知らない方にも、西部劇の世界観や魅力がよく伝わってくる作品だと思いましたので、「ロンサ・ダブを通じて知る西部劇の魅力」というシリーズで1話ずつ紹介させて頂ければと思っています🤠

 

 

 

 

起・承・転・結の「転」にあたる本作では「西部劇における退場の美学」というテーマでお届けしたいと思います!

 

↑第三章の主役は去り行く人々です!


 

 

アバウトなストーリー 

 

「ハピネット・オンライン」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

『ロンサム・ダブ 第三章 ~大平原~』

ガス(ロバート・デュヴァル)は、凶悪な先住民ブルー・ダックに誘拐されたロレーナ(ダイアン・レイン)を連れ戻し、仲間に合流した。

旅の途中、残忍な殺しをする馬泥棒を追う保安官と遭遇したガス達は、元テキサスレンジャーの経験を活かし協力する。

しかし、追いつめた馬泥棒の中にジェイク(ロバート・ユーリック)がいることを知る。彼は泣きながら逃がしてくれと叫ぶが、ガスはそれを許すことができなかった。

そして、西部の掟によって、ジェイクは処刑されることになるのだった…。

 

ハピネット・オンラインさんのサイトはコチラ

 
 
はい。
 
ハピネットさんの解説にあるように、本作では第2章で様々なトラブルの元凶となったジェイクが処刑されてしまいます。
 
アーカンソーの酒場でトラブルを起こして、10年ぶりにロンサ・ダブへと戻って来たジェイクは、ウッドローにワイオミングへの移住を決断させ、ロレーナにロンサ・ダブから脱出させる夢を抱かせ、アーカンソーの保安官ジョンソンを義理の息子のジョーと共に旅立たせる遠因を作った男!
 
↑本作で狂言回しのような役柄のジェイク!
 
 
ジェイクの行動がキッカケで行動を開始したウッドローも、ロレーナも、ジョンソンも、彼ら自身が選んだ運命を受け入れ、旅路の中で今までの人生では味わった事のないような経験を積んでいきます。
 
けれど当ジェイクだけは、自分の意思で行動している訳ではありません。
 
博打に目がないジェイクは、一緒に旅をする覚悟を決めたロレーナを裏切ってカジノで浴び惚けていただけでなく、その場にいた銀行強盗たちと意気投合して、ロレーナを見捨てて強盗団の仲間入りをしてしまいます!
 
↑愛する人もワイオミングの夢も
 あっという間に捨ててしまったジェイク。
 
 
ですが実際に彼等と行動を共にしたジェイクは、彼らは銀行強盗などではなく、気の向くままに人を殺して旅しているシリアルキラーのような存在!!
 
つまり、かつて野盗などの悪党から人々を守る存在だったテキサスレンジャーズに所属していたジェイクは、気が付けばテキサスレンジャーズに退治されるような悪党へと堕ちてしまっていたのです!!
 
↑馬を連れたカーボーイを発見し
 「あいつらぶっ殺そう!」と言い出す男たち!
 …こいつら銀行強盗なんかじゃないあせるあせる
 
 
さて、自分の意思とは真逆の選択を強要される事となったジェイクは、一体どのような最期を遂げる事となってしまったのでしょうか?
 
それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。
 
↑行く先々で何の罪もない人を殺す強盗の頭目!
 俺は一体どうしてこんな奴らの仲間に汗
 
 

 

【私の感想】 死を想う事で自らを省みる

 

皆様がご覧になる楽しみを奪わないよう、これ以上詳細を書く事は差し控えさせて頂きますが、ジェイクの死は本作のごく一部のストーリーでしかなく、第2章の終盤から本作のラストまでは、それまで登場して来た人々が、様々な理由で死亡していきます!

 

 

渡河中に川蛇に噛まれて死ぬ少年、ネイティブ・アメリカンの殺し屋に襲撃されて殺されたジョンソンの仲間たち、そして前夫への愛が忘れられず夫のジョナサンと実の息子ジョーを捨てたエルマイラや、ガスとウッドローの良き友であり、優秀なレンジャーだったジェイクの相棒のディーツにも非業な死が待ちうけていました。

 

↑優秀なレンジャーのディーツは

 モンタナへの旅に必要不可欠な人材でしたが

 盲目の子供を助けたのが仇となり

 ネイティブ・アメリカンに殺されてしまいます…

 

 

ですが生き残ったガスとウッドローの仲間たちは、彼らの死を悼みながらも前へと進んで行き、そんな彼等を観ている私たち視聴者は、人間の死に際について想いを馳せる事となるのです…

 

↑人殺し&馬泥棒として吊るされるのも人生…

 

↑愛に狂った末に絶望し、死地へと赴いた

 エルマイラの選択もました人生なのです…

 

 

そう。

 

死ついて考える事が希薄になった現代とは違い、未開の荒野が広がる西部の世界は、死と隣り合わせの世界!

 

けれど死が身近なものであるからこそ、西部劇の登場人物たちは、自分がどう生きるべきなのかについて、常に自問自答しながら生きていたのではないでしょうか?

 

 

中世ヨーロッパで「常に死について想いを馳せ、生にて考えなさい」という意味の言葉を「メメント・モリ」と言い、日本でも「養生訓」などを筆頭に「死について考え、生き方を改めるための哲学」は無数に存在しています。

 

私見ですが西部劇といのは、アメリカ人にとってのメメント・モリや養生訓のような「死を想い、生きる事について考える話」という側面もあるのではないでしょうか?

 

 

西部開拓時代というのは、1860年代から1890年代までの僅か30年の出来事!

 

開拓者もレンジャーも無法者たちもカウボーイも消滅した今、彼らにとって生死観を考える最も身近な時代を舞台にした西部劇は、彼らの死について想い、自分たちの生き方を振り返るための物語なのではないかと思うのですが、皆様はどう思われますでしょうか?

 

↑尚、発掘良品シリーズでは、第120弾前後より

 知られざる西部劇が沢山セレクトされています!

 順調に行けば、私のブログでは

 2023年にはご紹介できると思いますので

 どうぞご期待下さい😊 (「脱獄」より)

 

 

 

 

 

という訳で次回は

 

人生とは何だ!

というテーマで

 

ロンサム・ダブ 第4章 帰郷

 

という作品を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

★おまけ★

併せて観たい発掘良品!
「デリンジャー」

 

西部劇と並ぶ、アメリカ人り生死観を語る時代と言えば大恐慌&禁酒法時代!

 

ボニー&クライドと同時代に、無手勝流の武装強盗として名を馳せ、当時発足直後だったEBIのフーバー長官から「社会の敵ナンバーワン」と呼ばれたジョン・デリンジャーは、30年代のアメリカ大恐慌時代を熱く太く生き、そして去っていったのです…