こんばんは。ご覧頂きありがとうございます😊

 

本日も想像力と発掘良品の発掘というテーマで

 

楽園の瑕  終極版

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

ウォン・カーウァイ監督作品鑑賞のコツ その4

 

TSUTAYA発掘良品でセレクトされているウォン・カーウァイ監督の作品も本日で最後!

 

けれど、恋する惑星、天使の涙、ブエノスアイレスという人気3部作と比べると、本作は知名度が今一つのあまり知られていない作品あせる

 

 

けれど、前回までに説明させて頂いたウォン・カーウァイ監督作品の特徴は

 

特徴①

登場人物の心の中の色が映像化されている

 

 

特徴②
他者と繋がれない人間の孤独が描かれている

 

 

特徴③

アウトサイダーの孤独な心が描かれている

 

という3つでした。

 

 

ですが実は、ウォン・カーウァイ監督の作品をより深く理解する上では、本日の作品で解説させて頂く

 

特徴④

登場する男たちは、侠の心の持ち主である

 

という視点を理解して頂く事がとても重要となって来るのです😄

 

 

 

アバウトなストーリー 

 

「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば本作の解説は以下の通り。

 

ウォン・カーウァイ監督、クリストファー・ドイルが撮影を担当し、レスリー・チャンやトニー・レオンら豪華キャストが出演したアクションドラマ。伝説として語り継がれる剣士たちの壮絶な戦いと青春群像を鮮烈な映像で描く。1994年公開の『楽園の瑕』をカーウァイ監督自身が修正・再編集した<終極版>。

 

あら汗

 

今までの作品とは違って、なんだか淡泊な解説ですね…

 

 

けれど、これは仕方がない事!

 

本作は、日本人には馴染みがない金傭という香港の小説家の書いた武侠小説の映画化のため、日本人にはストーリーやキャラクターが理解しにくい映画となっているのです。

 

 

ちなみに本作の原題は

 

東邪西毒

↑こちらが原題です。

 

 

東邪西毒…
 

なんか禍々しいタイトルですね汗

 

 

けれどこれは、金傭の武侠小説「神雕剣侠」に登場する、二人の強い武術家のあだ名(東邪=黄薬師、西毒=欧陽鋒)なので、原作をご存知の方にとっては、項羽・劉邦とか、曹操・劉備みたいな親しみやすいタイトルなのだと思います😊

 

↑未見ですが、神雕剣侠はドラマにもなっているようですね!

 なんだか面白そうです!

 

 

という事は、本作は東邪と西毒が激しいバトルを繰り広げるアクション大作?

 

 

いいえ。

 

 

原作を読んでいないので正確な事は分かりませんが、本作で描かれているのは、若き日の東邪と西毒の友情の物語!

 

けれど二人は、自分の辛い心境を相手に語らないために、本作の二人も恋する惑星や、天使の涙や、ブエノスアイレスの登場人物たちのように、他者には理解してもらえない心の中の辛さを抱えて苦しみながら生きているのです!

 

↑もちろん、こういうバトルシーンもあるのですが…

 

↑劇中の殆どのシーンは、西毒(欧陽鋒)のモノローグです。

 

 

若き日の欧陽鋒は、砂漠の中の一軒家で、殺し屋斡旋業をしている男。

 

↑殺し屋ではなく、依頼人に殺し屋を斡旋している男です。

 

 

そんな西毒の元には、毎年同じ季節に黄薬師と呼ばれる剣士が訪ねて来ます。

 

↑長髪の美男子剣士東邪(黄薬師)。

 

 

けれどある年、欧陽鋒の元を訪れた黄薬師は手土産として、飲むと過去を忘れてしまう酒を持ってきて、一緒に飲まないかと誘って来たのです!

 

 

…過去を忘れる酒?

 

 

という事は、黄薬師には忘れたい過去があるって事?

 

そして、その酒を欧陽鋒に勧めたという事は、欧陽鋒に忘れたい過去がある事を知っているって事?

 

 

 

さて、過去を忘れる酒を求める二人には、一体どんな過去が隠されていたのでしょうか?

 

それは是非、皆さん自身の目でご覧になって頂ければと思います。

 

↑多くを語らない東邪と西毒には、一体どんな過去が…

 

 

 

侠という生き方

 

中国における侠という考え方は、多くを語らず、自分のためではなく、友や恋した人間のために命を捧げる事ができる滅私な人生を選んだ漢たちの事!

 

西毒は、かつて自分が愛した人に裏切られたにも拘わらず、その愛を貫く事を決意し、砂漠で一人で暮らしている男。

 

↑西毒の愛していた女性は、彼が成功するのを待ちきれず

 西毒の兄と結婚してしまっていました…

 

 

他人の妻を愛してしまった東邪は、他の女性を愛さないと誓って生きており、彼を愛した別の女性が精神的に追い詰められても、その誓いを破りません。

 

↑東邪に受け入れられなかった女性は、悲しみのあまり

 男装して西毒のところへ行き、妹を殺して欲しいと頼みますが、

 その妹とは普段の姿をしている自分の事だったのです…

 

 

そう。

 

 

侠とは正邪ではなく、どんなに辛くても、自分の意志を貫いて生きて行く事を決意する強さの事!

 

 

東邪も西毒も、己の決めた進むべき茨の道を歩み続ける孤高の漢たちだったのです!

 

 

ちなみに、この侠の生き方がご理解できれば、ウォン・カーウァイ監督の最大のヒット作である「花様年華」の主人公が何も言わずに恋人と別れた理由も、「グランド・マスター」で詠春拳の達人であった葉問(イップマン)が恋した女性と結ばれなかった理由も、ご理解できるのではないかと思います😊

 

↑ラスト15分がミステリアスな「花様年華」。

 

↑実はこう見えてラブストーリーの「グランド・マスター」

 

 

ウォン・カーウァイ監督の作品は、そんな他者が語らない心の奥底を垣間見せてくれるような、繊細で純粋な想いが描かれた映画たちなのです…

 

 

 

 

という訳で次回は

 

天才が天才と出会う時

というテーマで

 

カストラート

 

という映画を解説してみたいと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします😘

 

 

 

ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆

 

合格おまけ合格