こんばんは

ご覧頂きありがとうございます

\(^▽^)/




本日も

花様年華


という映画を通して

想像力と
ウォン・カーウァイ

というテーマで

お送りしたいと思います。






ウォン・カーウァイ監督の作品は

言わぬ恋

↑口にはしない恋…






相手を想っていても口にせず

想い続けるからこそ

いじらしくもあり、もどかしくもあります。






花様年華は

そんな

言わぬ恋を極めたような作品。







お互いが愛し合い始めているのに

絶対にそのことを口にしない男と女は

女の夫が海外から帰ってくることを知り

会うのを止めることを決意。

↑もう会わないことにしよう。





けれど

会えないのに近くにいることに耐えられない男は

シンガポールへ行くことを決意します。

↑会えないのに近くにいるのが
耐えられないんだ…





そして、それを伝えた夜

女は

今夜は帰りたくない

と告げるのです。

↑今夜は帰りたくない…





と、ここまでの展開は

とっても分りやすいですね

ヽ(=´▽`=)ノ





けれど、この映画は

ここからラストまでの20分が

謎めいているのです

(-"-;A



★ご注意★

ここから先は
ラストまでの内容を説明しています

これからご覧になる方は
どうぞご留意頂ければと思います。






荒っぽく、この後の流れを説明すると



別々の部屋で
ラジオから流れる花様的年華という
曲を聴く二人。





切符がとれたら
僕と一緒に行こうという男

切符が取れたので
一緒に連れて行ってという女





話は唐突に
一年後のシンガポールに移る





シンガポールで
男に無言電話をかける女

部屋で何かを探す男。


二人は結局再開しない。




突然
3年後の香港の話になる





昔住んでいたアパートに
戻ってきた女は
そこで暮らし始める




同じアパートに男も訪ねてくるが
住んでいた部屋の家主も
別人になっていたので帰っていく。





時は移ろい
あの頃の名残は何もなかった

というテロップが入る




男はカンボジアに行き

人のいない寺院で
石壁に向かって何かしている




おしまい。



という展開です。





これは難解ですね

(;´Д`)ノ




では順番に、謎解きをしていきましょう!




花様的年華の歌詞


二人が聴いている歌の歌詞を見ると
彼らの心情は理解できます。

内容は…

花様的年華(花のような歳月)
月様的精神(月のように丸い心)
氷雪様的聡明(氷のような聡明さ)
美麗的生活(美しい生活)
多情的眷属(情に厚い親戚)
圓満的家庭(円満な家庭)
驀地裏這孤島籠罩著(突然この孤島に立ち込める
惨霧愁雲, 惨霧愁雲(ひどい憂いの霧
啊, 可愛的祖国(ああ、愛すべき祖国よ、いつになれば
幾時我能夠投進你的懐抱(あなたの懐に飛び込めるだろう
能見那霧消雲散(この霧が晴れるのを見れるのだろう
重見你放出光明(あなたの輝きを再び見れるのだろう
花様的年華(花のような歳月
月様的精神(月のように丸い心



この歌を黙って聴いている二人。



つまりこれは

二人が
心からお互いを想っている


というシーンだと考えられます。





切符が取れたと言った
のは何?


ここは分りにくいのですが

切符がもう一枚取れたから
僕と来ないか?

というのは

ありえない内容なのです。




何故なら、切符は

彼女に購入を頼んでいる

はずですから

どうして彼が

もう一枚取れるのでしょう?





そして、もう一つ

このセリフのシーンでは

電話が鳴る音やタイプを打つ音がしますが

画面の受話器は

持ち上げられることはありません。

↑受話器は持ち上げられません。




そう…


僕と一緒に来ないか



彼の心の中で想ったことであって

実際には、口にしてはいないのです。


↑このセリフの後に映される彼の顔。

これは
僕と一緒に来ないか?
と誘う顔ではなないですよね…



また

タイプを打つ音もしますが

彼女がタイプを打っている形跡もありません。



女は、男がいなくなった部屋で

哀しい顔をしています。


↑こちらも
一緒に連れて行って
という顔ではありません。




つまり二人は

花様的年華のように相手を慕いつつ

本当の想いは口にせず

お別れしたということなのです。





だから当然

男はシンガポールに行くのです







では、何故女は一年後に
シンガポールに行ったのでしょう?





もし、終った恋なら

会いに行く必要はないですし


まだ続いている恋なら

会わないのはおかしいですね。






けれど女は

男の部屋までわざわざ行き

電話で男を呼び出したにも関わらず

結局会わずに帰ります。





何の理由もない訳ないですね。





ここに

前回の複線が登場するのです。





女が男の部屋を見回し

様々な物の匂いをかいでみますが

他の女性の形跡は見当たりません。




けれど唯一あったのは…

以前、男の部屋に置いてきた
自分のスリッパ


だったのです。


↑あ…



彼女は

そのスリッパを履いて少し考え

彼に電話をしますが

無言で帰ってしまいます。

↑何かを考えています…


↑その後、やっぱり言えない
という表情で
去っていくのです。




自分を愛している形跡があったのなら

喜んでもいいはずですね。




けれど

何かを伝えたかったけれど

伝えずに去っていった。





この何か

3年後のシーンで明らかになります。





なぜ、3年後の香港なのか?



はい。

3年後である理由は

観客に

女がシンガポールに行った理由を
説明するため


なです。





香港で分ったこと(その1)


香港で久しぶりに

昔住んでいたアパートに行った女は

元家主に

夫とはまだ結婚しているが

今度はアメリカに長期出張だと言います。




つまり、一度帰ってきた夫は

またいなくなっているということです。



女は、家主が引っ越すことを知り

この家に住むことにします。






香港で分ったこと(その2)


男も香港に行き

昔住んでいた部屋に行きますが

彼の家主も既にいなくなっています。



男が、新しい住人に

隣に誰が住んでいるのかと聞くと

奥さんと可愛い子供が
住んでいる


と、教えられます。




はい。



もうお分かりですね!




女が一年後のシンガポールに行った理由は

子供を出産したことを
告げようとした


からだと思われます。




前述のように

彼女は夫とは別れていないので

この子供は恐らく

あの一夜で生まれた男との子供。





彼女はシンガポールに行き

そのことを伝えて

駆け落ちしようと考えていたようなのです。

↑シンガポールに来た時
彼女の薬指には結婚指輪がありません。

彼と一緒になろうという決意で
来たのではないでしょうか?




けれど、男がまだ

彼女だけを愛してくれているのを

スリッパで知り

彼女は、彼とのストイックな愛が

永遠に続くことを確信して帰って行ったのです。





一方の男は

彼女ことを愛し続けていましたが

訪れた香港には既に彼女の痕跡はなく

スリッパもなくなりました

⑧の時は移ろい
あの頃の名残は何もなかった



だから男も

女との関係を永遠のものにしようと

考えたのです。





⑨カンボジアに行った理由


彼はシンガポールで会社の仲間に

昔の人が、秘密を抱えた時に

山に行って穴をみつけ秘密を囁いた後

その穴を土で埋める

という話をしています。

↑変なことをしているのではなく
大事な秘密を永遠のものにするという
ストイックな行動なのです。




そう!

彼女への愛を永遠とするために

彼が行った行為は

山ではなく、神聖な寺院へと行き

そこの穴に

彼女を愛している

という秘密を告げて土で埋めたのです。





そしてその穴には

今では草が生えているのです…





という訳で、この映画は

ウォン・カーウァイ作品には珍しく

二人は結ばれているのです

ヽ(=´▽`=)ノ




そして、このエンディングを

幸福と考えるか、不幸と考えるかは

観客の私たちに委ねられているのだと思います。





言わぬ恋とは

心の中で繋がり続ける恋の事。





彼ら二人は、会うことがなくても

一生、想い続けていくのではないでしょうか?






という訳で次回は

ウォン・カーウァイ
ワールド・ワイドへの道


というテーマで

マイ・ブルーベリーナイツ

という映画を解説してみたいと思います。




ではまた(*^ー^)ノ


↑一瞬だけ登場する子供。

この子供の成長を見せるために
1年+3年の年月が必要だったのです。

彼女はもう
孤独ではないですよね
ヽ(=´▽`=)ノ