こんばんは
ご覧頂きありがとうございます
\(^▽^)/
本日も
想像力と
発掘良品の発掘
というテーマで
アメリカン・ヒストリーX
という映画をご紹介したいと思いますので
どうぞよろしくお願いいたします。
結末の示されない映画
分かりやすい映画って楽しいですよね!
正義が最後に勝利したり
相思相愛だった恋人が無事結ばれたり
主人公がサクセスする映画は楽しいですし
観ててスッキリすると思います
ヽ(=´▽`=)ノ
けれど本日の作品は観終わった後
“この問題、あなたはどう考える?”
と、問いかけてくる映画なのです…
アバウトなストーリー
「キネマ旬報社」さんのデータベースによれば
本作の解説は以下の通り
白人至上主義集団のカリスマ的リーダーとなった兄と
彼を崇める弟がたどる心の軌跡を描く問題作。
おおっ!
なんだか大河ドラマみたいな雰囲気の解説ですが
実は本作は、たった一夜の物語!
主人公のダニーはスキンヘッドの高校生。
↑映画の冒頭、教師に反抗的な目を向けるダニー。
スキンヘッドである理由は
ネオ・ナチに傾倒して自ら剃っているから!
彼は、家の車を盗もうとした黒人を殺した罪で
刑務所に服役中の兄デレクの影響で
ネオ・ナチとなった少年でした。
↑ザ・ネオナチという感じの兄デレク!
兄を尊敬するダニーは
学校で課題として出された感想文の題材に
ヒットラーの著書「我が闘争」を選び
人種差別に満ちたレポートを提出した事で
校長に呼び出されて
罰として、彼がネオ・ナチに傾倒する原因となった
兄デレクのレポートを書くよう命じられます。
↑校長が命じたデレクのレポート名は
「アメリカン・ヒストリーX」。
本作では、現在をカラーの映像で
過去を出来事をモノクロで描いています。
ダニーの敬愛するデレクは頭も腕もたち
刑務所に入る前には
地元ネオ・ナチグループのリーダーだった男。
↑弁も技術も優れたデレクは、影響力のある男。
街で幅を利かせている黒人やヒスパニックに
敢然と立ち向かって
暴力で彼らに勝利していくデレクは
ダニーにとっては憧れの英雄だったのです!
↑本日のミッションは、不法移民を雇っている
ヒスパニックのスーパーに乱入しメチャクチャにする事!
続け、野郎ども!!
けれど、ダニーがレポートを命じられた日に
刑務所から出所したデレクは
かつての暴力的ネオ・ナチ青年ではなく
温厚な人柄になっており
ダニーに対しても、ネオ・ナチを辞めるよう
説得してきたのです!!
↑あれ?アニキ雰囲気変わった??
スキンヘッドはどうしたの
さて、デレクは刑務所の中で
一体どんな経験をして来たのでしょう?
そして、そんなデレクの体験を聞いたダニーは
果たしてどんな決断をしたのでしょう?
それは是非、皆さん自身の目で
ご覧になって頂ければと思います。
↑筋金入りのネオ・ナチ青年デレクに何が起こったの?
ストーリーではなくヒストリー
本作は原題も邦題と同じく
アメリカン・ヒストリーX
(AMERICAN HISTORY X)
↑別ポスター。
ヒストリーは歴史という意味ですので
本作は、物語のように完結するものではなく
こういう事がありましたという
アメリカの歴史について描いているなのです。
Xの意味が、数学で使われる「変数」だとするなら
本作は、変数Xによって
アメリカの歴史が変わっていく事を描いた作品。
兄デレクがネオ・ナチに傾倒していった理由も
車を盗もうとした黒人を射殺した理由も
正当性がない訳ではないので
一面で見れば、デレクがネオナチになった理由Xは
憎しみであると考える事ができます。
↑デレクがこんな感じになったのには
黒人によって父親が殺されてた過去があったのです。
けれど、その後刑務所で起こった出来事は
デレクがネオ・ナチに幻滅し
本当に自分の事を助けてくれる人間というのは
人種とは関係ない事に気づきます。
↑出所後に胸のハーケンクロイツを恥じるデレク。
そう。
デレクがネオ・ナチになった理由が
Xという出来事だとしたら
彼がネオ・ナチを辞めようと決心した理由も
別のXという出来事だったのです!
人は自分の身に起きたXという体験によって
ヘイト的な性格にもなり得るし
他者に対して寛容な人間にもなり得ます。
けれど本作のラストには
デレクにとって、衝撃的な第3のXが訪れ
その出来事に対する解答は示されず
映画は静かに終わります…
↑映画の冒頭とラストは海辺の風景。
仲睦まじく飛ぶ鳥は、デレクとダニーの事でしょうか?
憎しみや優しさという小さなXの積み重ねで
人種間の歴史を紡いでいった
多民族国家アメリカは、きっとこれから先も
人々の体験するXによって
歴史が刻まれていく国家なのだと思います…
↑ダニーは、誰も傷つけていない少年。
けれどそんな彼も、デレクの体験を通して憎しみを育み
ネオ・ナチとなっていきました。
これも一つのアメリカン・ヒストリーXなのです…
という訳で次回は
父の魂
というテーマで
チャンプ
という映画を解説してみたいと思いますので
どうぞよろしくお願いいたします。
ではまた(*゜▽゜ノノ゛☆
おまけ
①傷ついた子供の心に忍び込む
ネオ・ナチの手法に興味がある方へ
②アメリカの普通の人々の
人種対立に興味がある方へ(その1)
③アメリカの普通の人々の
人種対立に興味がある方へ(その2)