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矢野大隊長 1月27日~29日 よりつづいております。

 

矢野大隊(臨時編成歩兵第二百三十大隊)

大隊長 矢野 桂二少佐 

昭和18年1月29日  ボネギ右岸陣地

昨日までのコブ山陣地に敵砲撃が集中している様子。

午後も同陣地砲撃継続し、夕刻的偵察部隊が第一線に現れるも直ぐ後退した。

1月30日 ボネギ右岸陣地

午前十時頃、第二師団歩兵団長磐井虎次郎少将からの書簡を持ち以前ラバウルで同室の仲の大橋中佐が「矢野大隊の戦闘を指導する為に派遣された」と陣に現れ伝えられる。

 

唐突な事に驚きと聞くと

「それは師団命令か?」

矢野大隊長が渡された書簡の内容は

矢野大隊は命令あるに関らず勝手に陣を後退し師団の企図、計画に齟齬を来した。

今後斯かる行為があった時は軍律に照らし厳罰に処す。

爾後、大橋中佐の指導を以て戦闘すべし

 

矢野大隊長は磐井少将の指揮下に入る旨の師団命令をまだ受け取っていない

「師団命令があるまでは大橋中佐の指導は受けない。大橋中佐が此処に居るのは勝手だが部下は自分の考えで動かす」

と言い放った。

大橋中佐

閣下は短気な人だからこんな風に書かれたのだろう。

そんなに悪く思うな。

と矢野大隊長のご機嫌をとる。

 

このような事になった原因に思いを走らせる。

水無川の陣地を徹する際、二師団司令部に連絡将校を派遣し、同時に右翼にあった野戦重砲部隊へ陣地を徹する旨の連絡をとったのだが、この野戦重砲部隊より師団司令部に何らかの報告があり、それは我部隊が既に撤退してしまったかの如く誇大に伝わったのが原因ではないかと矢野大隊長は震える手で書簡を読み予想した。

連絡将校の派遣はせず別命あるまで独断で此の地を死守すべしと考えていた矢野大隊長も一刻も早く確認の要ありと連絡将校を派遣、命令を直接聞いた第二師団松本参謀へ派遣。

 

後刻返事が到着。

まだ歩兵団長の指揮下に入る命令を受けていない矢野少佐にこのような書簡を送るとはもっての外だ。

もし事実があれば師団長から言うことであり実情も知らずこのような書簡を持たせるとは何事か。

松本参謀は憤慨しているが続いて師団命令。

爾後磐井旅団長の指揮下へ入り大橋中佐の指導を受ける事となった。

 

矢野大隊長資料からの推定ボネギ右岸陣地布陣図

中々の出来であります。

 

第二師団第二歩兵団長 磐井虎次郎少将についての記述

第二師団歩兵第二十九連隊戦友会 発行 勇〇三部隊戦史 274~275頁

昭和18年1月中旬海岸第一線より撤退を開始し始めた一場面

「退るな、退るのはまだ早い」

怒声がして一人の将軍が後退する兵士の前に立ちはだかった。

その将軍は第二歩兵団長の磐井少将であった。

後退を命ぜられ後退している兵士達はその声に一瞬たじろいだが、止まる者はいなかった。

そのとき、「閣下早くお乗りください」という声がして、急造担架を持った数名の兵士が現れた。

「わしが退らんうちに退るとは何事だ」

独り言を言うと、盤井少将は担架の上に乗るとアグラをかいた。

「それっ、行け」

担架上の兵団長は叫んだ。

しかし、その担架はなかなか持ち上がらない。

あがる筈がない、担架を持っている兵士はマラリアで憔悴しきっているのである。

ようやく前方の兵士が担架を持ち上げたが、後方はなかなか上がらない、とたんに盤井少将の身体はもんどりうって地面に転落してしまった。

「バカ者めっ」

盤井少将は絶叫した。

さっき後退する兵士に「退るな」と怒鳴ったのは「自分が後退してから退れ」という意味だったらしい。

(中略)

盤井少将はガ島へ上陸してまだ一ヶ月半、身体は健康な筈である。

歩いて歩けぬ筈がない。

にも拘わらず担架を作らせ、その上に乗っかって後退する。

担ぐ兵士は飢餓とマラリアのため、生きた屍のように杖をついているのである。

担架上の盤井少将は、なお叫び続けた。

「急げ、急げ、急ぐんだ」​​​​​​​

軍刀を振り回し、担架を担ぐ兵士を叱咤し続けた。

餓島にはこうした将軍もいたのである。

 

此処まで打ち込み・・・ 溜息一つ

勇〇三部隊戦史は歩兵第二十九連隊の下士官・兵が中心となって編纂された戦史なので視点が下士官・兵からとなりこのような記録となったのでしょう。

一つだけ磐井少将を弁護するならば・・・此の時期磐井少将はマラリアに罹患していたという記述をどの書か忘れましたが見たことがあります。

だから何だと言われればそれまでですがマラリアで気が狂っていたのかも知れません。

 

つづく

 


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