コラム第65回 2015年7月31日 「目先のための行動と未来のための行動を、一日の中に」 | GTBコンサルティング 平賀 正志(中小企業診断士)

暑中お見舞い申し上げます。
酷暑も困るけれど、冷房で身体が冷えるのもダメだよなあ・・・と思うこの頃です。


今月は、まず2択問題から行きます。
これを読んでくださる皆様は、

1、明日に締切のモノが仕上がっていない
2、ここ3年毎日コツコツ続けてきたことがある

という2つのことが目の前にある時、どうなさいますでしょうか?

A)明日締切のものを、他のことはさて置いてやるしかない
B)明日締切のものは、何がどうなったって明日までに仕上げるのだから、3年積み上げてきたことを今更ストップするわけにもいくまい

選択は、Aですか?Bですか?

・・・どちらが正解とも間違いとも言えないと思います。
でも、Aを選択なさる方が多いのではないだろうか、とも思います。
どうしてそう思うかと申し上げますと、日本の社長・店長と呼ばれる方々のマインドセットからそうではないかと、予想をするからです…あくまでも予想です。

但し、私が現在一緒に経営改善に取り組ませていただいている社長の方々は、間違いなくAを選択なさっています。どういうことかと申しますと、

「とにかく目先の作業には熱心だけれども、長期的視点での行動が苦手」

である方が多いからです。
そのマインドセット…マネジャーではなく、一技術者になっているのです。
(なってしまっている、と申し上げるべきでしょうか)

先程「どちらが正解とも間違いとも言えない」と申し上げましたけれども、もし社長・店長のように「長」が付くなら(=マネジメントに携わるなら)、目先の作業はもちろん気を付けないといけないわけですけれども、同時に、先々のことも、周囲のことも見ておかなくてはならないのです。

しかし、少々遠い先のことを論理立てて考える、尻に火がついていなくても自律的に行動を重ねていく、ということはなかなかに難しいですね。かつ、技術者として腕に覚えがあるなら、尚のこと、自分が得意なことをやろうとなさる。そりゃ得意ですから、上手に出来もするし、楽しい。そちらに心が向くのは自然の摂理でもありましょう。

ですが私が見る限り、やはり上記のBを選択なさっている社長・店長の方々のほうが、最終的には良い成果を挙げてらっしゃると思います。少なくとも私がお手伝いさせていただいた案件に関しては確実にそうです。

目先のことはそれとして、「会社の先」も見ながら、日々の活動もなさっている。
そうなれば、方向性にブレが出にくいです。
また目先のことは従業員の方々に上手に振り分けてこなされていまして、きちんと「社長業・店長業」をなさっています。本来「長」の付く方はそうあるべきではないでしょうか。


手前味噌の話をしますと・・・

明日までに仕上げなくてはならない提案書があり、その進行状況が芳しくない。
(今もそうです!苦笑)
となれば大抵はそれに掛かり切りになってしまうところですが、私はそうはしません。
そんな状況でも、必ず1時間捻出して運動をします。

なぜなら、提案書は「明日のため」の行動ですが、
それに対し、運動は「自分自身の将来のため」の行動だからです。

将来、健康な身体を維持できていなければ、仕事がこなせなくなるのです。
健康維持は私のように一人きりで仕事をする者にとっては、理論や知識を詰め込むのと全く同等に重要なことです。だって私の代わりはいないのですから。

しかも健康維持は一朝一夕に出来るものではありません。今日運動したから、明日効果があるなどということは有り得ません。日々コツコツとしつこく続けてようやく成果が出ます。しかし、一度効果が現れ出すと、それはある一定の期間継続できます。
(仮に経営コンサルタントをしていなくて、一会社員として働くとしたって、健康でなければ、採用すらしてはもらえないのではないでしょうか)

もし「将来のための行動」を疎かにしてしまったら?
明日は凌げても、3年後にはボロが出ます。
その時になってから嘆いても遅い、ということはご理解いただけるものと思います。
(会社やお店、ないしは組織だって同じことでしょう)


会社なりお店というものは、今日明日だけ存在すれば良いものでもなく、自分の目先の満足のためだけにあるのではありません。ご自身がオーナーとしてお始めになった会社・お店であったとしても、従業員の方々をお雇いになっていたり、多くの取引先や会社・お店を頼りになさっている大勢の市井の方々がいらっしゃる以上、その社会的役割…良いモノを・良いサービスを維持継続して世に送り出すこと・・・がそれらの方々のために必要なのです。
ひいては、そのことが、社長・店長としての評価、会社全体の評価ともなります。

ですから、目先のことに逃げ込まず、そこは周囲の方の助けも借りつつこなしていただき(もちろん目先の約束も守らないといけませんから!)、先々のことを…不透明感の高いこのご時世では、先のことなんて予測は難しいに決まっていますが・・・考えて、きちんと3年後・5年後・10年後に生き残れる会社・お店となれるように、そのための準備をしておく時間も毎日の中からきちんと捻出していただきたいのです。

このことは、なかなかコンサルティングをしていても理解していただきにくい部分ではあるのですが、私はお手伝いさせていただく企業やお店には、今苦しくても、3年後には勝っていただきたいのです。それを切に願っていますし、お手伝いの効果が出るにもそのくらいは掛かるのではないかと思っています。
だから敢えて面倒なことをお願いもします。面倒なお願いをしてしまいますと、嫌われもします。でも、それでも言うべきことは言わなくてはなりません。それと引き換えにフィーをいただくのですから。そして言った以上、中長期的に市場で勝てる企業やお店になっていただきたいですから、さらにプッシュ(=背中を押す)もします。

目先も将来も両立させるのはしんどい、でもそのしんどいことに向き合った方だけが、勝ち残れるのだと思います。
どうせなら、勝ち残りたいと思いませんか?私はそうありたいです。

そうお思いになる方のお手伝いをもっともっとさせていただけることを楽しみにしております。ぜひご一緒させていただきたいものです。

長くなりましたが、皆様冷たいものの飲み過ぎ(=ビール?!)で胃腸こわされませんように。


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