梅雨空の下、ジメジメ→カンカン照り→うすら寒さ…と、私にとっては、身体的に最も厳しい季節がやって来ております。この時季はとにかく体調管理が大変ですが、皆様におかれましても、心身のご健康第一で日々のお仕事に取り組んでいただきたいと思います。
「インバウンド」という言葉があちらこちらにて氾濫するようになりました。
観光立国を目指す日本ではありますが、特に外国人の方々への対応は、ひいき目に見ても、まだまだだと言わざるを得ません。
そういうことを目の前で見ましたので、書き連ねてみたいと思います。
(但し、これは統計情報でもなんでもなく、私の一次情報であることをまずお断りしておきます)
「目の前で見た」というのは…私のタイ人の友人夫妻(タイ在住)とその夫妻の姪(大阪在住)が観光で京都に遊びに来てくれ、2日間だけではあったのですが(6月15日と17日)、ベッタリと市内観光に同行して、彼らの行動とその彼らに対応する人々の様子をつぶさに観察した、ということであります。
1、驚いたこと
インバウンド観光について良く言われることの一つに「イスラムの方々は寺社にあまり興味を持たない」というものがあります。建物としては興味はなくはないとのことですが、イスラム教では偶像崇拝が禁じられているため、お寺の本堂(ご本尊がある)や神社の本殿(神様が祀られている)ところへは彼らは基本的には近付かないらしいのです。
そして、私はそのことが「イスラムの方々だけだ」と思っていたのですが、なんとそのタイ人の夫妻も「日本のお寺に興味がない」と言うのです!京都へ来てお寺に行かなくてどうする?ってところではあるのですが。彼ら曰く「お寺の建物や本尊だったら、タイのもののほうが大きいし、豪華だから」とのこと。
タイの方々皆さんがそのように考えはしないでしょうけれど、京都には著名仏教寺院があるからと胡坐をかいていてはいけない、という解釈をしておきたいです。つまりそれ以外に観光のお客様に楽しんでもらえるものをたくさん発掘しておく必要があるということです。
2、免税対応
消費増税に苦しむ昨今ではありますが、それでも欧米諸国のVAT掛け率に比べれば低めの日本ではあります。しかし市中でのショッピングで免税措置が受けられれば、海外からの観光の方には有難い話のはずです。それで多くの大型小売店舗(百貨店など)では、きちんと免税書類作成サービスのカウンターを設置して対応しているところが増えてきています。
ですが、百貨店や大型家電店以外での対応はほとんどしてくれるところがありません。
京都市中心部にあります商店街の中の著名大手チェーンの靴小売店でも、外国居住者向けの免税販売対応は、全くやっていないそうです。その小売店は、ラインの幅もアイテムの深さも相当しっかりした品ぞろえの良い店で、かつ価格も非常に良心的です。ですから免税販売対応がないのは、非常に惜しい。
実は免税店になるのはそこまで難しいものではありません。次のリンクをご覧ください。
http://www.mlit.go.jp/kankocho/tax-free/howto.html
ここに書かれていることをクリアするだけです。少し意欲のあるお店なら対応することで差別化もできると思うのですが。ご興味ある小売店の方は是非トライなさってみてください。
とはいえ、日本の場合、元々百貨店の小売価格は高いですから、免税販売対応をしていないディスカウント店で税込で買うほうが安い、ということも免税対応が進まない要因なのだろうか、とも思いました。
3、日本の化粧品・スキンケア商品
外国人女性には日本の化粧品、スキンケア商品は抜群の人気があるようです。かつ日本で買えば輸出入コストが掛からない分、多少なりとも割安になるので、たくさん買って帰ろうとするようです。爆買いなさる観光客の方々のお気持ちが少しわかった気がしました。
そのタイ人の奥さんと姪っ子も、新京極(京都市内中心部のショッピングストリート)のディスカウントドラッグストアで、お気に入りの日本製の洗顔フォームを見つけるやいなや、「一人2個まで」の限定商品だったので、彼女のご主人ばかりか私にまで現金を手渡して、「買ってきて!」という始末。しかし、その商品にはタイ語はおろか、英語の表記すらないのに、です。
全く同じものがタイで売られているらしく(タイで売られているものには、きちんとタイ語で説明書きがなされているとのこと)、日本語でしか書いてなくても問題ない!らしいです。
日本の工業製品への信頼度の高さが窺えました。
4、雨対応の小物
雨季のある東南アジアの女性達は、カラフルな傘が大好き。お土産にもちょうど良い価格らしく、折り畳み傘をこれまた何本もお買い上げ。こんな感じのものです。

私自身は、傘に非常に無頓着です(イギリスに住んでいたせいか、少々の雨では傘を差しませんし、仮に傘を差す場合でもその傘はとても古くて、誰かが間違って持っていっても怒りもしないような代物です)。ですので、女性方がどういう傘に興味を持つものなのか、よくわかっておりませんでしたが、良い勉強になりました。
たった2日間ではあったのですが、いろいろと気付くことがありました。
自分達だけであれこれ想像したり、判断したりするよりも、こうやって一緒にくっついて行動して観察すれば、例え限定的なシチュエーションであっても、理解できることが多くあるのです。
私はたまたま外国在住経験があり、今でも海外の方と仕事をさせていただく機会があります。そしてその仕事の機会を個人的な友人関係にまで昇華できている幸運にも恵まれていまして、そのことに非常に感謝しております。
皆様の場合はそうはいかないのかもしれませんが、日本も「内なる国際化」も結構進んでいます。留学生や日本人伴侶を持つ外国の方々の存在です。そういった方とのコンタクトは各地の国際交流団体や自治体の国際関係部署を通じてイベント等にて取ることは可能だと思われます。あとは皆様に飛び込んでいく勇気があるかどうか。そういう関係からインバウンド対応に役立つヒントを得られるというようなことはきっとたくさんあるのではないでしょうか。
今月は四方山話的で少々取り留めのない感じになりました。
こういうインバウンド対応へのお手伝いも大変得意としておりますので、ぜひお声いただけましたらと思います。
