コラム第63回 2015年5月31日 「計画(予定)と約束」 | GTBコンサルティング 平賀 正志(中小企業診断士)

もう既に夏の気配、というか完全に夏がやって来たかのような日々です。
春の過ごしやすい時季がどんどん短くなってしまっているように思われます。
ですが、私達のライフスタイルがシンプルなものになっていかない限りは地球温暖化とともに、この傾向も改善はしないのでしょうね。


さて、これを読んで下さる皆様は、きっと日々のビジネス活動の中で、いろんな計画を立て、予定を決めて行動をなさっていると思います。

その立てた計画、決めた予定、その通りになさっていますでしょうか?
例えば、どなたかと面談をする予定を立てたとしましょう。必要な準備をし、遅刻せず、きちんと予定通りに面談が行なえたでしょうか?相手の方も同じようになさったでしょうか?

「そんなこと、当たり前のようにやっているよ」

ということであれば、結構です。
ですが、案外これが疎かになっている経営者の方が多いのです。
上述の「計画」や「予定」、要は「約束事」ということになるのでしょうけれど、これを守る守らないは、些細なことかもしれませんが、長い目で見れば、すごく大きな差になると思います。


過日こんなことがありました。
とあるドナー様(=支援機関)からのご依頼で、とある企業様の経営支援に伺いました。経営者の方と面談し、最後に次回のミーティングの日程を決めて、その日までにお互いにこなしておく宿題(課題や調査など)を設定しました。

それで、その約束した当日。
私は自分の課題を資料にまとめ、手に携えて、5分前に企業様へ伺いました。
しかし、オフィスには鍵が掛かっていて、どなたもいらっしゃいません。近隣に数ヵ所事務所や倉庫のある企業様ですので、それらのどこかにはいらっしゃるのかもしれません。ですが、オフィスで決めた日時に面談をする、と約束していますから、そこへ来ていただかないと困りますし、下手に動いて入れ違いになるのは避けたいというのもあります。

で、オフィスの前で待てど暮らせど、経営者の方はみえません。
仕方なく、作業場へ伺いました。すると、

「あれっ、先生(=私のこと)、今日は何の御用で?」

と、その経営者の方。今日は約束していた面談の日だと申し上げましたら、

「あれっ、今日って○日でしたっけ?勘違いしてるなァ」

とおっしゃいます。拍子抜けしました(苦笑)。やっていただくことにしていた宿題ももちろん「忙しくて出来ていない」とのこと。
日頃お忙しくされていることは百も承知していますから、仕方ないか、とも思いもするのですが、こういう状態(=約束をきちんと果たせていない)では、私に対してばかりか、通常のお取り引き先に対しても、取り決めたことをやっていただけていないのではないかと心配してしまいます。

その日のミーティングは、そういう状態(私がこなした調査だけが机上にあって、その部分の話しか進まない。経営者の方の宿題部分は次回へ繰越)でしたから、成果は半分です。ドナー様の費用対効果も半分しかない、ということになってしまったと言って過言ではないでしょう。

この例(実例です!)が、企業様・事業者様のビジネスの本流や大筋にどの程度影響を与えるのかは正確な測定はできません。何故なら、看板の力や技術的能力の大きさでカバーできてしまうこともあるからです。

ですが、大きな目で見て、経営の結果が出るかどうかは、やろうと決めたこと(それが他社への約束であっても、自身への約束であっても)を、如何に忠実にこなすか、なのではないかと私は思います。

例え高度な技術を持っていたとしても、決められた納期に製品として出荷できなければ、利益にはつながりません。納期を守らないことによる「信用を失うこと」が、何よりも問題です。
取引先を見下せるような立場の強い企業なら、そういう失礼があってもやっていけるのかもしれませんが、通常はそういうことは通用しないはずです。

ですので、

「いついつまでに、これをやる」
「今年いっぱいには、この実験を成功に導く」
「○日▲時に、A社と面談。その時に必要なものはZ資料とY図だ」

ということであれば、絶対にその約束を守っていただきたいと思います。どんな小さなことであっても。
私自身、厳しくそれを守るようにしています。
もちろん過去に100%守れて来たわけでありません。失敗もしております。その時は誠実に先方に謝罪し、何ヵ月(場合によっては何年)も掛けて信頼を取り戻せるよう努力します。加えて、「出来ない約束をしない」ようにもします。

そうやって、当たり前のことが当たり前に出来て初めて、世間に判断していただける対象となれるのではないでしょうか。そして、それは事業を続けていく以上、事業を辞めるその日まで、不断にやり続けなければならないのだと思います。


皆様のところでは如何でしょうか?
もし、思い当たる節があれば、ぜひ改善していただけたらと心から祈念致します。



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