観戦記2794 WBAバンタム級王座戦 井上拓真vs石田匠 | 人生マイペンライ

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2024年5月は、日本格闘技において永遠に語り継がれる月になったはずだ。なにせ、井上尚弥選手が4団体統一スーパーバンタム級王座防衛 『観戦記2789』 その2日前には、大阪で西田凌佑選手がIBバンタム級王座を奪取 『観戦記2791』 WBCバンタム級王座は、2月に中谷潤人選手が獲得し保持中 『観戦記2746』 そして、5月6日の東京ドーム大会で元K-1スーパーバンタム級王者の武居由樹選手がWBOバンタム級王座を獲得 『観戦記2793』 井上尚弥選手の弟の井上拓真選手も、WBAバンタム級王座を保持し防衛中。さらにスーパーフライ級でもWBA王者に井岡一翔選手、WBO王者に田中恒成選手が君臨。ライトフライ級でも寺地拳四朗選手がWBA&WBC王者を保持し、フライ級でもWBCでユーリ阿久井選手が王座を保持し、ミニマム級でもIBF王座を重岡銀次朗選手が保持中。

井上尚弥選手がジャーボンテイ・デービスのアメリカで闘っていないという批判に、軽量級の中心は日本だ!と言ったのも嘘ではないだろうし、アメリカのヘビー級が停滞しているのも事実でオレクサンドル・ウシクvsタイソン・フューリーのようにビックマッチの本場も中東になるのではないかという時代。

そんなスーパーバンタム級&バンタム級で、東京ドーム大会が開催できたのも日本が中心と胸を張れるものだろう。4団体4人バンタム級王者で、日本人対決と言ってもWBAバンタム級王座挑戦者決定戦を勝ち抜きランキング1位として東京ドームで王座に挑むのはWBA1位の石田匠選手!

 

1991年11月に大阪府堺市で生まれた‘浪速のプリンス‘石田選手は、16歳の時に国体少年の部バンタム級優勝~井岡ジムに入門し、2009年2月に17歳でタイのタウィーサック・ペッチティーラポンを1RでKOデビュー~2014年5月のブックルック・ゴーナロンサービス戦まで、16連勝9KO(タイ9人、フィリピン1人)2014年8月に、戸部洋平選手の日本スーパーフライ級王座に挑戦し判定勝ちで王座栄冠~12月に、森崎正人選手を5RにTKOで降し初防衛に成功~2015年4月の2度目の防衛戦は、江藤大喜選手に苦戦し2-1で判定勝利~9月の3度目の防衛戦は、木村隼人選手を3-0の判定で降す~大晦日の4度目の防衛戦は、大塚隆太選手を4RにTKO勝ち~2016年4月の5度目防衛戦では、船井龍 一選手に苦戦し2-0の判定勝ち~そして、世界前哨戦として8か月ぶりの試合でタイのスーパーフライ級8位ペツトナムヌン・シーサケットバッタヤーを2RでKOする 『観戦記1284』 2017年4月にも、タイのパティポーン・サイトーンジムを3RでKOする~10月に念願の世界挑戦を、王者カルド・ヤファイの地元イギリスに乗り込むも判定負け 『観戦記1889』

 

2018年2月に再起して4連勝2KO~2019年12月にイスラエル・ゴンサレスと、IBFスーパーフライ級挑戦者決定戦も判定負け 『観戦記2759』

 

2021年11月に再起して、石井渡士也選手に判定勝ち~2021年12月に、元3階級制覇王者の田中恒成選手と対戦も1-2の判定敗け 『観戦記2288』

 

2022年4月に再起して、カルロ・デメシーリョを8RにTKOで降す 『観戦記2781』

 

9月に、アルビン・メディナに判定勝ち~12月にも、ロニー・バルドナドに判定勝ち~2023年6月に、WBA3位としてWBA4位のビクトル・サンティリャンを2-1の判定で降しWBAバンタム級王座挑戦権を獲得。

 

ついに世界王座再挑戦か!?と思われたが、WBAバンタム級王者の井上拓真選手は王座決定戦での栄冠なのに2024年2月に元王者のジェルウィン・アンカハスと初防衛戦 『観戦記27247』 待たされる石田選手は、12月に地元大阪で世界王座挑戦前哨戦でジェームス・パガリングを3RにTKOで降す 『観戦記2783』

 

そして、井上尚弥vsルイス・ネリが開催される東京ドームでついに世界王座再挑戦!挑む王者は、WBAバンタム級王者の井上拓真選手!

 

1995年12月生まれの井上拓真選手は、兄の井上尚弥選手を追うように幼稚園時から元アマチュアボクサーだった父親にボクシングを習う~高校生では、後に3階級制覇する田中恒成選手に2度決勝で負けるなどして1年生時の高校総体1冠。高校3年時の2013年12月に、後のWBOミニマム級王者になる、当時日本ミニマム級8位の福原辰弥選手に判定勝ち~2戦目に元WBAミニマム級王者の宮崎亮選手にKO勝ちした世界ランカーのファーラン・サックリンJrにも判定勝ち。3戦目は、チャナチャイ・ソーシアムチャイに2Rで初のKO勝ち。4戦目は、兄が鮮烈な2階級制覇した前座でオマール・ナルバエスの弟のネストール・ナルバエスに判定勝ち。そしてスーパーフライ級に上げて、2015年7月にOPBFスーパーフライ級2位のマーク・アンソニー・ヘラルドに判定勝ちして兄と同じくデビュー5戦目での東洋太平王座を獲得 『観戦記942』

12月にレネ・ダッケルに判定勝ちし初防衛に成功~2016年5月にアフリザル・タンボレシを2RにTKOで降し2度目の防衛に成功~世界挑戦に向けて東洋太平王座は返上して、9月にフローイラン・サルダールに大差判定勝ち~そして、2016年末にWBOバンタム級王者のマーロン・タバレスに挑戦する予定だったが・・・・右拳を負傷してしまう~2017年8月に1年振りとなる試合で、4度の世界挑戦経験がある日本スーパーフライ級2位の久高寛之選手に判定勝ち 『観戦記1608』 12月に世界戦に向けて待ったをかけてきた、元日本バンタム級王者の益田健太郎選手を判定で降す 『観戦記1618』 2018年5月に、ワルト・サブを1RでKOする~そして、9月にWBCバンタム級挑戦者決定戦としてWBC3位のマーク・ジョン・ヤップに判定勝ち。しかし、ルイス・ネリの計量オーバー~山中さんにKO勝ち 『観戦記1432』 そして王座空位となり、ウバーリ陣営とルーシー・ウォーレン陣営による対戦交渉~入札遅れなどで、12月に井上拓真選手がWBC2位のペッチ・CPフレッシュマートを判定で降しWBCバンタム級暫定王座を獲得 『観戦記1642』

 

2019年1月にウバーリが正規王者になり、11月に拓真選手と王座統一戦も判定負けで暫定王者陥落 『観戦記1835』

 

2021年1月に再起し、東洋太平洋バンタム級王者の栗原慶太選手を9R負傷判定で降し王座奪取 『観戦記2106』11月には1階級上げて、WBOアジア太平洋スーパーバンタム級王座決定戦で元東洋太平洋スーパーバンタム級王者の和氣慎吾選手を大差判定で降し王座栄冠 『観戦記2265』

 

2022年6月にも、日本スーパーバンタム級王者の古橋岳也選手を大差判定でWBOアジア初防衛と日本王座栄冠 『観戦記2430』12月に、元WBFインターコンチネンタルスーパーフライ級王者のジェイク・ボルネアを8RにTKOで降す 『観戦記2499』

 

2023年4月に、WBAバンタム級1位として2位のリボリオ・ソリスとのWBAバンタム級王座決定戦を判定勝ちし王座獲得 『観戦記2573』

 

2024年2月の初防衛戦では、元IBFスーパーフライ級王者のジェルウィン・アンカハスを9RにKOして初防衛に成功 『観戦記2747』

 

歴史的な東京ドーム大会で、わずか2ヶ月と2週間で2度目の防衛戦となる2階級制覇王者井上拓真選手!6年7ヶ月振りの世界王座挑戦を、もがいてもがいて辿り着いた石田匠選手は2度目の世界戦もスタジアムとなる!

 

2024年5月6日 WBAバンタム級王座戦 井上拓真vs石田匠

 

井上拓真 19勝5敗1敗 2度目の防衛戦

 

石田匠 34勝17KO3敗 WBA1位

 

1R、石田選手が、挑戦者らしく前に出ていく~拓真選手はバックステップしながら合わせる

 

拓真選手がスピードあるパンチを出すも、石田選手はカウンターの左!拓真選手はダウン!

 

立ち上がった拓真選手に、石田選手は焦ることなく左を伸ばしていく

 

2R、ガンガン前に出る石田選手が、ジャブを伸ばしながら右ストレート!

 

拓真選手も動きながらジャブを当て、石田選手が入ってくるとアッパー!

 

3R、拓真選手の方が攻め手のバリエーションが多く、スピードある左フックで飛び込む

 

ジャブしか出てこない石田選手に、拓真選手は多彩な左を上下に打つ

 

4R、身長は拓真選手の方が低いが、やはり上の階級でもやっていた通りパワーは上

 

接近戦でも、拓真選手が低い体勢からパンチを当てる~石田選手の左に右クロス!

 

5R、飛び込むスピードで勝る拓真選手が、左を突き刺していく

 

石田選手はカウンターの左を狙うが、拓真選手は出入り速くワン・ツー!

 

6R、石田選手が左を突きながら出てくるが、拓真選手はかわしながら右アッパー!

 

手数は出す石田選手も、リーチは短くも拓真選手がスピードあるコンビネーション

 

7R、拓真選手が手数多く、コンビネーションで3発まで出していく~石田選手が出てきても、かわしながら打ち終わりを狙う

 

出入り速い拓真選手が、当ててはかわし石田選手にダメージを蓄積させていく

 

8R、足を使い、拓真選手が廻りながらも左を突き出し当てていく

 

拓真選手が抜群の距離感で、石田選手のパンチは避け打ち終わりをバシバシ当てる

 

9R、前には出る石田選手も、拓真選手は廻りながら飛び込んできて3発まで打っていく

 

さらに拓真選手が細かく当てていく~アッパーが何度も、効果的に石田選手を捕らえる!

 

10R、ラウンド開始と同時に、両者ともにリング中央に走っていき打ち合う~カウンターの上手さは拓真選手か!?

 

石田選手も、ここは引けない!打ち合いから右ストレートが交差する!

 

11R、ポイントでは厳しいだろう石田選手が出る~接近戦からボディーも、拓真選手のアッパーに身体を起こされる

 

それでも石田選手は、前に出続け自らの生命線である左を当てていく

 

明らかに打たれているのは石田選手だが、素晴らしい気迫で凄まじい打ち合いになる!

 

12R、拓真選手は足を使いながらも、最終ラウンドなのに打ち合いにも応じる!

 

最後まで、拓真選手の石田選手のジャブを外しての右アッパーが素晴らしく試合終了

 

判定は、118-109 118-109 116-111 3-0で井上拓真選手の判定勝ち!

 

見事に井上拓真選手が、ランキング1位の最強挑戦者を大差判定で降しWBAバンタム級王座2度目の防衛に成功!そうなんだよなぁ~拓真選手は日本人選手と闘うと、完璧な格の違いを魅せつける試合ぶりをする。それでも石田選手は1Rにダウンを奪い、私はその時点で泣いてしまうほど15年のキャリアをブツケていったが、前戦で明らかに一皮むけた拓真選手に弾き返された。石田選手は 『自分の出せる力は出せたかなと。出せなかった部分もあるが、結果は結果なので。いいジャブが入って、感触的にも良かったし、タイミングも良かったので乗っていけるかなと思っていました。まぁ、自分が弱かったと言えばそこまでなんですけど、チャンピオンもうまかったですし想像以上に自分のボクシングができなかった。対策されていたというか、自分もワンパターンになってしまって、見ての通りですね。正直、全然諦めきれないです。まだ気持ちも身体も動きますから。話し合うが、燃え尽きてない。今、正直そう思っています。いい景色でしたね。この中で試合できたことはすごく光栄ですし、忘れられない日になりました。けど、このままでは終われないなという気持ちに正直なっています』 と、3度目の世界王座挑戦に向けて現役続行を宣言。

兄の井上尚弥選手に続いてバンタム級4団体制覇を目指す井上拓真選手は 『想像以上の石田選手のジャブのやりずらさで苦戦した。今日は勝てた、それだけがただの収穫。こんな内容では統一戦とは言っていられない。課題をクリアしてもっと強いチャンピオンになりたい』 と話す。

どうしても石田選手寄りに観てしまったが、拓真選手は強かった・・・・この敗者の切なさが 『ボクシングが人生に似ているのでは無く、人生がボクシングに似ているのだ』 の格言を想い出した。

 

★拓真選手の次戦はアントニオ・バルガス?堤聖也選手!?統一戦!? 格闘技blogランキングをクリック格闘技 ブログランキングへにほんブログ村 格闘技ブログへにほんブログ村