観戦記2793 WBOバンタム級王座戦 ジェイソン・マロニーvs武居由樹 | 人生マイペンライ

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格闘技を愛し50歳過ぎても殴り合う

《本日のDVD鑑賞》

 

かつて日本では、具志堅用高さんのプロ9戦目でWBAライトフライ級王座栄冠が長らく最速世界王者として君臨していた。1987年10月に井岡弘樹さんが、同じくプロ9戦目でWBCミニマム級王座を決定戦で獲得 『観戦記215』 1991年9月には、辰吉丈一郎さんがプロ8戦目でWBCバンタム級王座を奪取。2006年7月にも、名城信男さんがプロ8戦目でWBAスーパーフライ級王座を奪取。2011年2月には、井岡一翔選手がプロ7戦目でWBCミニマム級王座を奪取。2014年4月に、井上尚弥選手がプロプロ6戦目でWBCライトフライ級王座を奪取。2015年5月には、田中恒成選手がプロ5戦目でWBOミニマム級王座を決定戦で獲得 『観戦記888』

やはり、王座決定戦が3戦と多くスーパーフライ級(52.163kg)以下が多い。日本人世界王者の多くがスーパーフライ級以下を占めておいるので、辰吉丈一郎さんのバンタム級(53.524kg)での8戦目というのは特筆されるものだろう。

辰吉さん、井岡一翔選手、井上尚弥選手、田中恒成選手などはアマチュアでも有名でプロ転向時から注目を集めていた。そして、プロ9戦目なのでけっして最速記録などでは無いが、辰吉丈一郎さんと同じくバンタム級で、具志堅用高さんと同じわずかプロ9戦目で世界王座挑戦するのが元K-1スーパーバンタム級王者の武居由樹選手!

 

1996年7月に東京都足立区生まれた武居選手は、母子家庭に育ったらしく素行の悪さからわずか10歳の時に住み込みで子供を預かりキックボクシングを教える「パワーオブドリーム」の古川会長の家で育つ~高校時代にはボクシングの主将をするなど格闘技により更生する~2014年11月のKrush.47に18歳でデビューし、たすく選手を1RでKOする~しかし、2015年1月のKrush.49で佐野天馬選手、4月のK-1で西京春馬選手にいずれも0-2の判定負け~8月のWindy Fightで萩原秀斗選手に1RでKOしてWINDY KICKスーパーフライ級王座を獲得~10月のKrush.59で亀本勇翔選手に判定勝ち、12月のKrush.61で勝大選手を1RでKO、2016年2月のKrush.63で軍司泰斗選手に判定勝ち~4月、Krush.65からの53kg初代王座決定トーナメントで隆聖選手を2RにKO~6月のKrush.66で上羽優希選手と決勝戦で闘い1RにKOして王座獲得 『観戦記1147』 10月のGRACHAN&BFCで伊藤佑一郎選手に大差判定勝ち~12月のKrush.71で、隆聖選手を3RにKOして53kg王座の初防衛に成功~2017年4月のK-1 第二代スーパーバンタム級王座決定トーナメントに参戦し、1回戦でアントニオ・オルデンを3RにKO~準決勝で石田圭祐選手を1RでKO~決勝では久保賢司選手に判定勝ちし王座栄冠。

9月のK-1でも英雄伝説57kg級王者の伊澤波人選手を3RでKO~11月のK-1でビクトー・サラビアを1RでKO~2018年4月のKS‘FESTA.1で久保賢司選手との再戦を1Rに豪快にKOしてK-1スーパーバンタム級王座の初防衛に成功 『観戦記1594』

 

8月のK-1でも、アクラム・ハミディを1RでKOする~12月のK-1では、タイのヨーブアデーン・フェアテックスのミドル&ヒザに大苦戦も延長で判定勝ち~2019年3月のKS‘FESTA.2ではサンドロ・マーティンを1RでKOする~そして、スーパーバンタム級王座(55kg)を保持したまま!6月のK-1スーパーバンタム級トーナメントに参戦!1回戦では、村越優汰選手から勝利しているアレックス・リーバスを1RにKOする~準決勝でも、元NJKFバンタム級王者の玖村修平選手を1RでKOする~決勝戦では、Krushスーパーバンタム級王者の玖村将史選手も2RにKOする 『観戦記2017』 12月のK-1でも、スリヤンレック・オーボート・ガムビーに判定勝ち~2022年3月のK-1では、デンサヤーム・アユタヤファイトジムに判定勝ち 『観戦記2728』

 

そして、蹴れないほどの深刻な怪我をしたらしく欠場が続く~K―1退団が発表されてボクシングに転向。

2021年3月に、2016年12月のKrush.71以来の後楽園ホールでデビューして2017年中日本新人王の高井一憲選手を1RにKO 『観戦記2386』 9月には、5戦負け無し全KOの竹田梓選手も1RでKOする

 

12月の3戦目では、前戦で辰吉寿以輝選手と引き分けた今村和寛選手に3戦連続の1RKO勝ち 『観戦記2435』 2022年4月の4戦目は、日本スーパーバンタム級16位の河村真吾選手を2Rに凄まじいKOをする 『観戦記2607』

 

8月に、東洋太平洋スーパーバンタム級王者のペテ・アポリナルに挑戦し5RにTKO勝ちで王座栄冠 『観戦記2695』 2022年12月にも、東洋太平洋10位のブルーノ・タリモを11RにTKOで降し初防衛に成功 『観戦記2751』 2023年7月に54kg契約で、フィリピンバンタム級王者のロニー・バルドナドを3RにKOする 『観戦記2765』

 

12月に54.5kg契約で、元WBC米大陸バンタム級王者のマリオ・ディアスを2RにKOで降す 『観戦記2782』

 

そして、ボクシングファンにはバンタム級リミット118パウンド(53.524kg)で闘ったことがないのにバンタム級王座挑戦か!?との声もあったが、ついにWBOバンタム級王者ジェイソン・マロニーに挑戦!

 

1991年1月に生まれた‘The Smooth One‘ジェイソン・マロニーは、双子の弟が元WBAスーパーフライ級王者のアンドリュー・マロニー。アマ歴は80戦程あるらしく、23歳の2014年8月にデビューしてガオタワン・シットサイトーンに1RでTKO勝ち~その後も3連勝3KOで、2015年12月にマークイル・サルバーニャとWBAオセアニアスーパーバンタム級王座決定戦で対戦し5Rに棄権に追い込み王座獲得~2016年3月、ジュニアバジャワを4RにTKOで降し初防衛に成功~ノンタイトル戦を3連勝2KOし、10月にゲルポール・バレロを7RにTKO勝ちし2度目の防衛に成功~12月にも、エンリケ・ベルナシュを6RにTKOで降し3度目の防衛に成功~2017年2月のノンタイトル戦も判定勝ちし、6月にはエマヌエル・アルメンダリスを5RにTKO降しWBAオセアニアスーパーバンタム級王座の4度目の防衛に成功~8月にもロリト・ソントナを大差判定で降し、5度目の防衛に成功~10月に1階級落とし、ジュリアス・キサラウェとWBAオセアニアバンタム級王座決定戦で闘い1RにKOし王座獲得~2018年2月にはインマヌエル・ナイドジャラと、WBAオセアニアバンタム級王座の初防衛戦とコモンウェルス英連邦バンタム級王座決定戦で対戦し3RにTKO勝ち~5月に、元WBAスーパーフライ級王者の河野公平選手と2度目の防衛戦を6RにカットによるTKO勝ち 『観戦記2022』 10月にWBSSバンタム級トーナメントに出場し、1回戦でIBFバンタム級王者のエマヌエル・ロドリゲスと対戦も1-2の判定負け 『観戦記1599』

2019年3月に、クリス・ポリーノを5RにTKO勝ちしてWBAオセアニア王座の3度目の防衛に成功~6月にも、グッドラック・レマを3RにKOしてWBAオセアニア王座の4度目の防衛に成功~早くも11月に5度目の防衛戦となり、WBA9位のディクソン・フローレスを2RにKOする 『観戦記2042』 そして本来ならば2020年4月に開催予定だった、井上尚弥選手とWBOバンタム級王者のジョンリエル・カシメロとの統一戦のアンダーカードに出場予定もコロナウィルスの影響で中止~6月にオスカル・ネグレテと対戦をする予定も、試合の11日前にネグレテに網膜剥離が発覚。急遽、WBAスーパーバンタム級5位のレオナルド・バエスと対戦し7R終了時にTKO勝ち 『観戦記2050』

 

2021年8月に再起し、ジョシュア・グリアを判定で降しWBCバンタム級シルバー王座を獲得~2022年4月に、フランシスコ・ペドロサ・ポルティージョを判定で降す~6月にも、アストン・パクリテを2RにTKOで降しWBCシルバー王座の初防衛とWBOインターナショナル王座も獲得~10月に、WBC1位のナワーポン・ソールンヴィサイとのWBCバンタム級王座挑戦者決定戦を判定勝ちして挑戦権を獲得~井上尚弥選手が4団体バンタム級王座を返上し、5月にWBO1位のジェイソン・モロニーと2位のビンセント・アストロラビオとWBOバンタム級王座決定戦で対戦し判定勝ちで王座栄冠。

 

2024年1月に、WBO10位のサウル・サンチェスを2-0の判定で降し初防衛に成功。

 

本来ならば、この試合の翌週に双子の弟アンドリュー・マロニーがWBCスーパーフライ級暫定王者決定戦を行う地元オーストラリアのリングで防衛戦でもいいが、東京ドームのビックマッチで他のバンタム級王座戦も組まれると日本に見参!これまでK-1には元ボクシング王者の肩書でローキックを蹴られ敗退するボクサーが多く参戦したが、元K-1王者が6回戦から全勝全KOでボクシングの世界戦の舞台に辿り着く!

 

2024年5月6日 WBOバンタム級王座戦 ジェイソン・マロニーvs武居由樹

 

ジェイソン・マロニー 27勝19KO2敗 2度目の防衛戦

 

武居由樹 8勝8KO無敗 WBO5位

 

1R、武居選手が、ジャブをポンポン出しながらボディーも低くて律儀に謝る

 

マロニーはカウンター狙いか!?自分からは仕掛けない~武居選手が踏み込んでボディーも、またも低く注意を受ける

 

2R、廻るマロニーを武居選手が追うが、マロニーもカウンターを狙う

 

マロニーからも攻めていく~武居選手は遠い距離からボディーも、ローブローの裁定で減点1

 

3R、手数少ないマロニーが、やっとジャブを出していく~しかし、武居選手の遠い間合いに闘いづらそう

 

武居選手が、ローブローの裁定を恐れず左ボディーで飛び込む!

 

4R、ペースを変えたいマロニーが強引に詰めてきて、武居選手を押し倒すように当たっていく

 

マロニーが右から入っていく~前に出てくるマロニーに、武居選手は右アッパー!

 

5R、やはり、マロニーは武居選手の距離感に闘いづらそう~武居選手が右フックで飛び込む

 

マロニーもジャブを当てていくが、武居選手は貰いながらも左を返す!

 

6R、マロニーが、ガードを固めながら突進してくる~武居選手は廻りながらショートのワン・ツー!

 

突っ込んでくるマロニーに、武居選手は動き廻りながらボディー!

 

ラウンド終了際にも、武居選手がボディーから右フックを効かせる

 

7R、このラウンドは、マロニーは足を使い廻る~しかし、突然ワン・ツーで飛び込んでくる!

 

武居選手はジャブから左ボディー~しかし、動き廻りながら攻めるマロニーに、武居選手は疲れてきたかクリンチ

 

8R、マロニーが出ていき右ストレート~武居選手が押し返えそうとしたところに、マロニーのワン・ツー!武居選手は一瞬、腰が落ちる!

 

武居選手の運動量が落ちる~マロニーは細かく当てていく

 

9R、やはり、マロニーが前に出て手数多い~武居選手は打ち終わりに左を振っていく

 

武居選手が変則的な右アッパーを突き上げる~武居選手が動き廻り当てるも、マロニーは追い回してくる

 

10R、顔にはなかなかヒットしないが、再び武居選手が左を振っていく!

 

しかし、マロニーもガードを固めて前に出る~ジャブは当たるが、ストレートは武居選手避ける

 

11R、まだまだスタミナが残っているマロニーが、細かく動きながら飛び込んでくる!

 

武居選手はボディー~距離を取りながらも、武居選手らしい遠い間合いからのワン・ツー!

 

12R、ポイントは厳しいだろうマロニーが出る~武居選手も未知のラウンドだが、まだまだ足は動いている

 

しかし、マロニーが詰めて右!武居選手効いたか!?さらにマロニーが右!

 

明らかに疲れた武居選手が時計を見る~武居選手打たれるも、なんとかダウンはせずに試合終了!

 

判定は、111-116 111-116 110―117 3-0で武居由樹選手が判定勝ちで新王者!

 

最後は何とも冷や冷やしたが、見事に武居由樹選手が全勝でWBOバンタム級王座を獲得!武居選手はK-1時代からの極め言葉をアレンジして 『こんにちは、足立区から来た武居が東京ドームで世界チャンピオンになりました!12R結構きつくて、KOで勝ちたかったけれど、マロニー選手が強いって分かってから必死に練習できた。マロニー選手のおかげで強くなれた。ありがとうございました。』 と話す。父親代わりだったパワー・オブ・ドリームの古川会長もリングに上がり、あの「悪ガキ・ガチンコ物語」のヨシキが世界王者になるというドラマ以上の完璧なストーリー。

採点表を見ると、ジャッジ3者が武居選手に10点を付けたのは1R、3R、4R、5R、6R、10R、11R。マロニーにジャッジ3者が10点を付けたのは、7R、12Rのみの完勝。

試合翌日の大橋ジムでのインタビューでは、大橋会長が試合1ヶ月を切った段階で井上尚弥選手とマススパーをして、マロニー戦の12Rのような状態になりその経験が生きたと笑って話していた。初の世界王座挑戦で初の12Rまでいった闘いを制し、より強くなっただろう武居選手の初防衛戦は・・・・当初はWBO1位のレイマート・ガバリョとの指名防衛戦が有力といわれていたが、ガバリョが4日後の5月10日にメキシコの健文・トーレスに1RでKO敗けを喫してランキングを落とす~7月7日のWBCバンタム級王座挑戦者決定戦に出場する予定の元WBCフライ級王者の比嘉大吾選手がWBOバンタム級1位にランキングされる!

 

★武居由樹vs比嘉大吾のKOマシーン対決の世界王座戦・・・・観たい 格闘技blogランキングをクリック格闘技 ブログランキングへにほんブログ村 格闘技ブログへにほんブログ村