こんにちは。
3月19日、選抜高校野球開会式の予定の日に、自主的な開会式が行われました。
出場が決まっていた花咲徳栄(埼玉県)の校内グラウンドで行われたもの。
監督からの提案と言うことのようですが、事前に抽選会を行うなど、大会を実感させることが出来たようです。
経験することで気持ちを切り替える、、、良い指導者に恵まれたチームだと思います。
夏が楽しみですね。
今日の過去問は、令和元年度問32の問題を○×式でやりたいと思います。
建物が転貸された場合における賃貸人(建物の所有者)、賃借人(転貸人)および転借人の法律関係に関する記述について、民法の規定及び判例に照らして、正誤判定をしてみましょう。
それでは、早速。
問題
無断転貸において、賃貸人が転借人に建物の明渡しを請求したときは、転借人は建物を使用収益できなくなるおそれがあるので、賃借人が転借人に相当の担保を提供していない限り、転借人は、賃借人に対して転貸借の賃料の支払を拒絶できる。
正解は?
○
今日は、「転貸借」、賃貸人(建物の所有者)、賃借人(転貸人)及び転借人の法律関係に関する問題です。
この○○人ってのをしっかり把握しないとぐちゃぐちゃになっちゃいますので注意しましょう。
1問目は、この問題なんですが、「無断転貸において、」。
無断転貸と言うことは、建物の所有者である賃貸人の承諾がないってことですね。
この場合に、
賃貸人が転借人に建物の明渡しを請求したとき、
これ、賃借人(転貸人)を飛ばしてるってことですね。
問題では、「転借人は建物を使用収益できなくなるおそれがあるので、賃借人(転貸人)が転借人に相当の担保を提供していない限り、転借人は、賃借人(転貸人)に対して転貸借の賃料の支払を拒絶できる。」と言っています。
どうでしょうか ってことなんですが、、、
これ、問題に書かれた通りでしょうね。
賃貸人(所有者)に建物の明渡しを求められたら、無断転貸の転借人は、建物を使用収益できなくなるってのはわかりますよね。
そうなった場合の担保がなければ、賃借人(転貸人)に対して賃料の支払を拒絶できるってことを言ってる訳です。
昭和49(オ)161 建物明渡請求昭和50年4月25日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
所有権ないし賃貸権限を有しない者(賃借人=転貸人)から不動産を貸借した者(転借人)は、その不動産につき権利を有する者(賃貸人=所有者)から右権利を主張され不動産の明渡を求められた場合には、貸借不動産を使用収益する権原を主張することができなくなるおそれが生じたものとして、民法五五九条で準用する同法五七六条により、右明渡請求を受けた以後は、賃貸人(転貸人)に対する賃料の支払を拒絶することができるものと解するのが相当である。
( )書きで入れてみましたが、、、そうすると最後の賃貸人ってのに違和感が。。。(笑)
無断転貸ですからね、賃貸人と賃借人って見方です。
そこに本来の所有者が出てきて、自分は、転借人だったってことになる訳です。
(有償契約への準用)
第五百五十九条 この節の規定は、売買以外の有償契約について準用する。ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
(権利を失うおそれがある場合の買主による代金の支払の拒絶)
第五百七十六条 売買の目的について権利を主張する者があるために買主がその買い受けた権利の全部又は一部を失うおそれがあるときは、買主は、その危険の限度に応じて、代金の全部又は一部の支払を拒むことができる。ただし、売主が相当の担保を供したときは、この限りでない。
この問題は、正しい記述です。
問題
無断転貸であっても、賃借人と転借人間においては転貸借は有効であるので、原賃貸借を解除しなければ、賃貸人は、転借人に対して所有権に基づく建物の明渡しを請求することはできない。
正解は?
×
2問目も同じ、「無断転貸」の問題。
問題を確認します。
「賃借人(転貸人)と転借人間においては、転貸借は有効である」
これは、大丈夫ですね。
賃貸人云々は、この契約には関係ありません。
あくまで、転貸人(賃借人)と転借人間においては、転貸借は有効です。
ここは、問題ではありません。
問題は、賃貸人(建物の所有者)です。
問題では、「原賃貸借(賃貸人と賃借人[転貸人])を解除しなければ、賃貸人は、転借人に対して所有権に基づく建物の明渡しを請求することはできない。」と言っています。
この部分です。
無断転貸ですからね、賃貸人が転借人になにか義務を負うようなことはありませんよね。
と言うことは、、、
昭和25(オ)87 建物収去土地明渡請求昭和26年4月27日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 名古屋高等裁判所
土地(建物)の所有者たる被上告人(賃貸人)は民法六一二条二項に基いて、D(賃借人=転貸人)に対する賃貸借を解除すると否とにかかわらず、又賃借人たるD(賃借人=転貸人)の承諾を要せず、右D(賃借人=転貸人)の賃借権が罹災都市借地借家臨時処理法一〇条、一一条によつて被上告人(賃貸人)に対抗し得べきものであると否とに関係なく、(所有権者にその占有を対抗できない占有者たる)上告人(転借人)に対して、直接本件土地(建物)の明渡を請求し得るものと解すべきであつて、原判決も同旨の判断に出でたものであることは明らかであるから、論旨はすべて理由がない。
ハッキリと書いている判例で良いのがないのでこれで。
土地に関するものですが、同じ不動産ですからね。
( )書きしておきます。
この肢は、間違いですね。
念のため、参照条文を。
(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
第六百十二条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。
問題
賃貸人の承諾がある転貸において、賃借人による賃料の不払があったときは、賃貸人は、賃借人および転借人に対してその支払につき催告しなければ、原賃貸借を解除することができない。
正解は?
×
今日の3問目は、この問題です。
「賃貸人の承諾がある転貸」
このケースで、「賃借人(転貸人)による賃料の不払があったとき」が問題です。
これ、記憶ありませんか
過去問ありましたよね
この問題では、「賃料の不払があったとき」、以前は、賃借人の「債務不履行」って書き方でした。
この記事ですね。
判例は、以下のものです。
昭和33(オ)963 建物収去土地明渡請求昭和37年3月29日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
ポイントを抜粋しときます。
「転貸借」は、基本の「賃貸借」があって成り立つもの。
賃料の不払いがあるってのは、その基本の関係性が揺らぐ訳です。
判例では、
「賃貸人は、賃借人に対して催告するをもつて足りる」
問題では、
「賃借人および転借人に対してその支払につき催告しなければ、」
ですから、この問題は、間違いです。
転借人に連絡をして、
「支払いの機会を与えなければならないものではない」ってことも言っています。
ここも合わせて覚えときましょう。
問題
賃貸人の承諾がある転貸において、賃貸人が当該建物を転借人に譲渡し、賃貸人の地位と転借人の地位とが同一人に帰属したときであっても、賃借人と転借人間に転貸借関係を消滅させる特別の合意がない限り、転貸借関係は当然には消滅しない。
正解は?
○
4問目は、この問題。
3問目同様、「賃貸人の承諾がある転貸」。
問題を確認してみます。
賃貸人が当該建物を転借人に譲渡。
と言うことは、問題にあるように、「賃貸人の地位と転借人の地位」が同一人に帰属しますよね。
このケースを問題にしています。
問題では、「賃借人(転貸人)と転借人間に転貸借関係を消滅させる特別の合意がない限り、転貸借関係は当然には消滅しない。」と言っています。
転貸も契約と考えれば、当然のような、、、
判例を確認します。
昭和33(オ)890 家屋明渡並びに損害賠償請求昭和35年6月23日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所
原判決認定のように家屋の所有権者たる賃貸人の地位と転借人たる地位とが同一人に帰した場合は民法六一三条一項の規定による転借人の賃貸人に対する直接の義務が混同により消滅するは別論として、当事者間に転貸借関係を消滅させる特別の合意が成立しない限りは転貸借関係は当然には消滅しないものと解するを相当とする。
と言うことで、この肢は、正しい記述です。
参照条文を見ておきますね。
(転貸の効果)
第六百十三条 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負う。後段略。
2 略。
第五百二十条 債権及び債務が同一人に帰属したときは、その債権は、消滅する。ただし、その債権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。
問題
賃貸人の承諾がある転貸であっても、これにより賃貸人と転借人間に賃貸借契約が成立するわけではないので、賃貸人は、転借人に直接に賃料の支払を請求することはできない。
正解は?
×
今日の最後の問題です。
この問題も「賃貸人の承諾がある転貸」についてです。
問題では、
・これにより賃貸人と転借人間に賃貸借契約が成立するわけではない
・賃貸人は、転借人に直接に賃料の支払を請求することはできない
この2点を言っています。
最初の「賃貸借契約」。
これは大丈夫ですね。
「契約」とあるように、賃借人(転貸人)と転借人の間の契約ですから、「賃貸人と転借人間に賃貸借契約が成立するわけではない」ってのは、当然のことです。
ですから、前半は、正しい記述。
2点目、、、
「賃貸人は、転借人に直接に賃料の支払を請求することはできない」
これは、どうでしょうか
これ、条文を4問目で確認しましたよね。
(転貸の効果)
第六百十三条 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負う。後段略。
2 略。
条文に書かれたこの義務には、賃料を直接「賃貸人」に支払うことも含まれています。
ですから、賃貸人は、転借人に、直接に、賃料の支払いを請求することができるってことになります。
問題後半は、間違いです。
ただ、この規定、ちょっと明確ではありません。
ですので、4月から以下のように法改正がなされます。
(転貸の効果)
第六百十三条 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人(転貸人)との間の賃貸借に基づく賃借人(転貸人)の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。後段略。
2、3 略。
( )書き、入れときました。
どうですか
改正されることにより、賃貸人と転借人との法律関係がかなり明確になってますね。
幻のセンバツ
「中止は仕方がない。」
言葉だけで片付けるのは簡単。
生徒のために考えて行動にうつす、、、
経験を積むことで気持ちを切り替えることもできるでしょう。
良い指導者とはかくあるべきなんだろうなと考えさせられました。
今日も最後までありがとうございました。
んでねぃ。
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