こんにちは。
いろんな手続があるもんです。
忙しくて手が付けられないってときに、やはり、行政書士の仕事は需要があるんだなと思います。
ただ、同じ手続きでも自治体によって添付物が違ったり、書式が違ったりと事前の情報収集は必要。
情報を探しても見つからない自治体も「ある訳で。」(笑)
岩沼市から富谷市、4つの自治体を掛け持ち中です。
今日の過去問は、令和元年度問8の問題を○×式でやりたいと思います。
行政上の義務の履行確保手段に関し、正誤判定をしてみましょう。
それでは、早速。
問題
行政代執行法に基づく代執行の対象となる義務は、「法律」により直接に命じられ、または「法律」に基づき行政庁により命じられる代替的作為義務に限られるが、ここにいう「法律」に条例は含まれない旨があわせて規定されているため、条例を根拠とする同種の義務の代執行については、別途、その根拠となる条例を定める必要がある。
正解は?
×
今日は、「行政上の義務の履行確保手段」に関する問題です。
1問目は、この問題なんですが、、、
問題は、「行政代執行法に基づく代執行の対象となる義務」に関するものです。
つまり、「行政代執行法」の問題と言うことですね。
この法律は、全六条でした。
それでは、問題を分割して見てみます。
行政代執行法に基づく代執行の対象となる義務は、
①「法律」により直接に命じられ、または「法律」に基づき行政庁により命じられる代替的作為義務に限られる
②ここにいう「法律」に条例は含まれない旨があわせて規定されている
③条例を根拠とする同種の義務の代執行については、別途、その根拠となる条例を定める必要がある
「あれ」って思った方は、条文を読んでますね。
確認してみます。
第二条 法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代つてなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる。
条文前半部分ですべて解決です。
①の「代替的作為義務」は、条文に書かれた「他人が代つてなすことのできる行為」のことです。
ですから、①は正しい。
そして、②。
「法律」に条例は含まれない旨があわせて規定されていると書かれていますが、条文は、「法律=法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。」と言っていますので、ここは×。
当然、「条例を含む。」ですから、③の「別途、その根拠となる条例を定める必要がある」も間違いってことになります。
正しいのは、①の部分だけってことになります。
問題
即時強制とは、非常の場合または危険切迫の場合において、行政上の義務を速やかに履行させることが緊急に必要とされる場合に、個別の法律や条例の定めにより行われる簡易な義務履行確保手段をいう。
正解は?
×
2問目は、この問題です。
「即時強制」
ブログ内検索でもかなりの数が出てきますので、間違ってはいけませんね。
参照記事例
問題を確認してみます。
非常の場合又は危険切迫の場合
ここは問題がありません。
問題は次です。
・行政上の義務を速やかに履行させることが緊急に必要とされる場合
即時強制は、義務の不履行を前提としません。
行政上の義務を速やかに履行させることが緊急に必要とされる場合ってのは、義務の不履行がある場合のことです。
ですから、この問題は×です。
これは似たもので「直接強制」ってのがありましたよね。
違いは、義務の不履行があるかないか。
ある場合は、「直接強制」です。
問題
直接強制は、義務者の身体または財産に直接に実力を行使して、義務の履行があった状態を実現するものであり、代執行を補完するものとして、その手続が行政代執行法に規定されている。
正解は?
×
3問目は、この問題。
2問目で少し見た「直接強制」です。
直接強制は、即時強制と同じように、直接義務者の身体や財産に有形力を行使し、行政上必要な状態を実現するものです。
違いは、義務者の不履行を前提と「するかしないか」の違いでしたね。
直接強制は、1問目の代執行の対象の代替的作為義務だけでなく、非代替的義務、作為・不作為義務等を問わないため、対象範囲が広いのが特徴です。
そのため、効率的に行政目的を実現することができるんですが、権利侵害になる可能性が高く、問題点を含んでおります。
この問題、
「代執行を補完するものとして、」その手続が行政代執行法に規定されていると言っています。
1問目でも書いたんですが、行政代執行法は全六条です。
この法律に規定されている内容は、「代執行」に関するものだけですので、「その手続が行政代執行法に規定されている」ってのは、間違いです。
問題
行政上の秩序罰とは、行政上の秩序に障害を与える危険がある義務違反に対して科される罰であるが、刑法上の罰ではないので、国の法律違反に対する秩序罰については、非訟事件手続法の定めるところにより、所定の裁判所によって科される。
正解は?
○
4問目は、この問題です。
これは、よく見かける問題ですね。
参照過去記事は、
問題を確認してみます。
問題は、行政上の「秩序罰」についてです。
問題では、秩序罰とは、
①行政上の秩序に障害を与える危険がある義務違反に対して科される罰
②刑法上の罰ではない
③国の法律違反に対する秩序罰については、非訟事件手続法の定めるところにより、所定の裁判所によって科される
この3点を言っています。
秩序罰は、行政罰の1つです。
行政罰は、
・刑法典に刑名のある罰を科す「行政刑罰」
・行政上の軽微な義務違反に対して科される「秩序罰」
この2つがあります。
問題が言っている「行政上の秩序に障害を与える危険がある義務違反」=「行政上の軽微な義務違反」のことです。
行政刑罰は、刑法総則の適用がありますが、秩序罰には適用がありません。
ですから、国の法律違反に対する秩序罰の場合、刑事訴訟法は適用されず、非訴訟事件手続法の定めるところにより、所定の裁判所によって科されます。
この問題、①~③すべて、正しい記述です。
それと③のおまけ(笑)。
代表的なものは、「過料」です。
これは、問題に書いてある「国の法律違反」に対するものと「条例上の義務違反」に基づくものがあります。
条例に基づくものは、「何」に定める手続に従い、「誰」により、「どんな形」で科されるか?
「地方自治法」に定める手続に従い、「地方公共団体の長」により、「行政処分」の形で科される。
問題
道路交通法に基づく違反行為に対する反則金の納付通知について不服がある場合は、被通知者において、刑事手続で無罪を主張するか、当該納付通知の取消訴訟を提起するかのいずれかを選択することができる。
正解は?
×
今日の最後の問題です。
問題は、「道交法違反」ってやつですね。
「反則金の納付通知について不服がある場合」
正直、免許を取得してから違反をしたことがないので手続きとかは、わかりません。
早速、調べてみますね。
問題では、
①被通知者において、刑事手続で無罪を主張するか
②当該納付通知の取消訴訟を提起するか
このいずれかを選択することができると言っています。
はたして、、、
これは、判例問題ですね。
昭和55(行ツ)137 行政処分取消昭和57年7月15日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所
道路交通法一二七条一項の規定による警察本部長の反則金の納付の通告(以下「通告」という。)があつても、これにより通告を受けた者において通告に係る反則金を納付すべき法律上の義務が生ずるわけではなく、ただその者が任意に右反則金を納付したときは公訴が提起されないというにとどまり、納付しないときは、検察官の公訴の提起によつて刑事手続が開始され、その手続において通告の理由となつた反則行為となるべき事実の有無等が審判されることとなるものとされているが、これは上記の趣旨を示すものにほかならない。
ここでわかること。。。
反則金の納付の通告を受けても「納付の義務は生じない」ってことですから、この納付の通告には、処分性がないってことですね。
どういう事かと言うと「処分性がない」ってことは、取消訴訟を提起することができないってことです。
ですから、②の取消訴訟を提起するかってのは、間違いってことですね。
引き続き、判例を見てみますね。
道路交通法は、通告を受けた者が、その自由意思により、通告に係る反則金を納付し、これによる事案の終結の途を選んだときは、もはや当該通告の理由となつた反則行為の不成立等を主張して通告自体の適否を争い、これに対する抗告訴訟によつてその効果の覆滅を図ることはこれを許さず、右のような主張をしようとするのであれば、反則金を納付せず、後に公訴が提起されたときにこれによつて開始された刑事手続の中でこれを争い、これについて裁判所の審判を求める途を選ぶべきであるとしているものと解するのが相当である。
①については、正しい記述と言うことです。
ポンポンポン。。。
やったことのない依頼が入る。
メチャクチャ嬉しい。。。
また少し、業務に幅が出てくる。
感謝、感謝。
今日も最後まで有難うございました。
今日のところはここまでです。
んでまずまた。
いつもサンキュウべりマッチョ。。。
来たよって方はこちらをポチッと。