こんにちは。
「反社会的勢力」、、、かかわっちゃイケない訳なんですが、知っててかかわるってことがあるんだろうか
モノホンをみると怖くて近寄れませんけど、、、ある意味同種だと違うんですかね。(笑)
最近は、身近に「反会社的勢力」を見かけるんですが、会社の決まりを守れない人が多いのにはビックリです。
今日の過去問は、平成26年度問35の問題を○×式でやりたいと思います。
利益相反行為に関する記述について、民法の規定及び判例に照らし、正誤判定をしてみましょう。
それでは、早速。
問題
親権者である母が、その子の継父が銀行から借り入れを行うにあたり、子の所有の不動産に抵当権を設定する行為は、利益相反行為にあたる。
正解は?
×
今日は、「利益相反行為」に関する問題です。
利益相反行為=当事者の一方の利益が、他方の不利益になる行為のこと。
よく例として書かれているのが、会社と取締役、子と親権者の関係がありますね。
民法の規定を確認しておきましょう。
(利益相反行為)
第八百二十六条 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
1項、2項ともに、「特別代理人」の選任を請求しなければならない旨を定めています。
特別代理人
特別代理人=通常の法定代理人(子に対する親権者、被後見人に対する後見人、会社に対する取締役など)の利益と本人の利益が衝突する場合に選任される代理人。
それでは問題を確認してみましょう。(笑)
登場人物は、「親権者である母」、「その子」、「継父」です。
継父=母の夫で、実父や養父ではない人。
つまり、母の再婚相手ですね。
問題では、その再婚相手が「銀行から借り入れを行う」に際して、母親が子の不動産に抵当権を設定する行為を「利益相反行為」にあたると言っている訳です。
どうですか ってのが、この問題です。
早速、条文に照らしてみます。
「親権を行う父又は母とその子」が利益相反の対象です。
問題では、たしかに「親権者である母」が、子の不動産に抵当権設定行為をしています。
ただ、その行為は、母の利益になる行為ではなく、「継父」の利益になる行為です。☚ここポイント
継父が養子縁組をして「親権」を持っているなら別ですが、「親権者である母」と言う書き方から「継父」とは養子縁組がなされていないであろうと言うのが読み取れます。
と言うことは、利益は「継父」にある訳ですから、「親権者である母」と「子」の利益相反行為にはなりません。
一応、判例も確認しておきます。
昭和31(オ)888 抵当権設定登記等抹消請求 昭和35年7月15日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
上告人の親権者(母)であつたDは、当時その夫であつたE(上告人には継父にあたる)が被上告人から金員を借受けるについて、上告人の法定代理人として、上告人を債務者とし、上告人所有の本件各不動産に抵当権を設定し、かつ判示賃借権設定の契約を締結し、それぞれ判示登記を経由したというのであるが、右金銭貸借、抵当権設定等は、Dはその夫たるEのためにしたものであつて、D自身の利益のために為されたものでないことは原判決の認定するところである。
とすれば、右の行為をもつて、親権者たるDと上告人との間の民法八二六条にいわゆる「利益が相反する行為」というにあたらないとした原判決は正当であつて、論旨は採用することはできない。
問題
親権者が、自らが債務者となって銀行から借り入れを行うにあたって、子の所有名義である土地に抵当権を設定する行為は、当該行為がどのような目的で行なわれたかに関わりなく利益相反行為にあたる。
正解は?
○
2問目です。
1問目で「利益相反行為」のポイントを確認していますので、理解できていれば、この問題は大丈夫ですね。
問題を確認してみましょう。
・親権者が、自らが債務者となって銀行から借り入れを行う
つまり、借入金は、債務者である親権者に入る訳です。
問題では、この場合に「子の所有名義である土地に抵当権を設定する行為」は、当該行為がどのような目的で行なわれたかに関わりなく利益相反行為にあたると言っています。
どうですか ってのが、この問題です。
確認してみましょう。。。
利益(借入金)=親権者
不利益(抵当権設定)=子
利益相反行為=当事者の一方の利益(親権者)が、他方の不利益(子)になる行為のこと。
図式的には、「利益相反行為」そのものです。(笑)
ただ、 どうなんだろう って内容が、問題には書かれています。
それは、「当該行為がどのような目的で行なわれたかに関わりなく」
図式的に当てはまっていれば、「どのような目的で行なわれたかに関わりなく」利益相反行為になるのか ってところです。
昭和34(オ)1128 持分移転登記抹消登記手続履行請求昭和37年10月2日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 広島高等裁判所
親権者自身が金員を借受けるに当り、右債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、仮に右借受金を子の養育費に充当する意図であつたとしても、同法条所定の利益相反する行為に当るから、子に対しては無効であると解すべきである。
親権者の借入金が、「子の養育費に充当する意図であつたとしても、」利益相反する行為に当る。
この問題は、「親の債務を子が担保している」ので、子が財産で不利益を受け、親が借入金で利益を得ているってことです。
「どのような目的で行なわれたかに関わりなく」ってことですね。
余談です。。。
借入金=個人や企業や政府などが、所要資金を銀行等の金融機関や他の個人、企業等から、返済期限や金利等、諸条件を定めて借入すること。
借受金=現金の受入れがあった場合に、適切な勘定科目又は金額が未定であるような場合、それが確定するまで一時的に収容しておく仮の勘定。
問題
親権者が、自己の財産を、子に対して有償で譲渡する行為は当該財産の価額の大小にかかわらず利益相反行為にあたるから、その子の成年に達した後の追認の有無にかかわらず無効である。
正解は?
×
この問題、私的にはなかなか馴染めなかった問題です。
引っ掛りポイント、、、(笑)
「親権者が、自己の財産を、」つまり、子の財産ではないってところですね。
引き続き、、、
子に対して有償で譲渡する行為=売買ですよね。
この行為が、「当該財産の価額の大小にかかわらず利益相反行為にあたる」
なんのこっちゃ って感じでした。
まぁ、とどのつまりは、「親権者が、自己の財産を、」子に対して有償で譲渡(売買)する行為で、子の財産から利益(代金)を得ているってことですね。
この場合、価格が適正であっても、子の財産で親権者が利益を得ますので、「利益相反行為」にあたります。
と言うことは、利益相反行為をする場合には「決め事」がありましたよね。
「特別代理人の選任」
この方の選任を家庭裁判所に請求しなければなりません。
なぜ、特別代理人を選任するのか
特別代理人は、法定代理人(子に対する親権者)の利益と本人の利益が衝突する場合に選任される訳です。
利益が衝突するってことは、法定代理人が自己の利益を過剰に追求してしまう恐れがある訳ですね。
それを、第三者である特別代理人を選任して、公平な判断をしてもらうために選任する訳です。
ちょっと判例を確認してみます。。。
昭和45(オ)1150 建物収去土地明渡請求 昭和46年4月20日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 名古屋高等裁判所
親権者が民法八二六条に違反して、親権者と子の利益相反行為につき法定代理人としてなした行為は民法一一三条所定の無権代理行為にあたる旨の原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯できる。
民法八二六条に違反=特別代理人の選任
(無権代理)
第百十三条 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
2 略。
首肯=うなずくこと。納得し、賛成すること。
判例では、特別代理人を選任せずに親権者(法定代理人)が直接行った利益相反行為は、「無権代理行為」だと言っています。
無権代理行為ってことは、無効ではなく、その子が、成年に達した後に追認をする余地はあるはずです。
(追認の要件)
第百二十四条 追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければ、その効力を生じない。
2、3 略。
取消しの原因となっていた状況が消滅した後=その子が成年に達した後
ですから、その子が成年に達した後の追認の有無にかかわらず無効ってのは、間違いってことですね。
問題
親権者が、共同相続人である数人の子を代理して遺産分割協議をすることは、その結果、数人の子の間の利害の対立が現実化しない限り、利益相反行為にはあたらない。
正解は?
×
本日の4問目です。
問題前半に、「親権者が、共同相続人である数人の子を代理して遺産分割協議をすること」とあります。
これ、条文の2項ですね。
(利益相反行為)
第八百二十六条
1 略。
2 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
「その一人と他の子との利益が相反する行為」ってことです。
問題では、「遺産分割協議をした結果、数人の子の間の利害の対立が現実化しない限り、利益相反行為にはあたらない。」と言っています。
ん~~~、条文を読むとそうはとれません。
例えば、A、B、Cと子が3人いて、親権者がAについて親権を行使する場合、BとCについては、親権者は、「特別代理人」の選任を請求しなければなりませんよね。
とすると、「遺産分割協議」のために親権を行使するのは、利益相反行為になると思いませんか
問題は、「数人の子の間の利害の対立が現実化するか、しないか」ってところではないでしょうか
「数人の子の間の利害の対立が現実化しない限り、利益相反行為にはあたらない。」と言っている訳ですから。。。
昭和46(オ)675 登記抹消等請求 昭和49年7月22日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所
民法八二六条二項所定の利益相反行為とは、行為の客観的性質上数人の子ら相互間に利害の対立を生ずるおそれのあるものを指称するのであつて、その行為の結果現実にその子らの間に利害の対立を生ずるか否かは問わないものと解すべきであるところ、遺産分割の協議は、その行為の客観的性質上相続人相互間に利害の対立を生ずるおそれのある行為と認められるから、前記条項の適用上は、利益相反行為に該当するものといわなければならない。
利益相反行為とは、「現実に利害の対立を生ずるか否かは関係なく、行為の客観的性質上数人の子ら相互間に利害の対立を生ずるおそれのあるもの。」であれば良い訳です。
共同相続人である数人の子を代理してする親権者による遺産分割協議=利益相反行為
利害の対立を生ずるおそれがあるだけで、「利益相反行為」になる訳です。
実際に利害の対立が現実化するかどうかは関係ないってことですね。
あくまで、遺産分割協議の行為の客観的性質上、利益相反行為と判断されます。
問題
親権者が、他人の金銭債務について、連帯保証人になるとともに、子を代理して、子を連帯保証人とする契約を締結し、また、親権者と子の共有名義の不動産に抵当権を設定する行為は、利益相反行為にあたる。
正解は?
○
今日、最後の問題です。
問題を確認してみましょう。
・親権者が、他人の金銭債務について、連帯保証人になる
これは、よくある 話です。
それとともに、子を代理して、子を連帯保証人とする契約を締結するとも書かれています。
まぁ、実際の所、子に保証するほどの財産があるとは思えませんので、現実的な問題とも言えませんが(笑)、そう言う設定ですね。
子としてみれば困ったもんですよね、、、そんな親。。。
この場合に、問題では、「親権者と子の共有名義の不動産に抵当権を設定する行為は、利益相反行為にあたる。」と言っています。
どうでしょうか ってのが、この問題です。
第1点、親は、連帯保証人です。それと抵当権設定者です。
第2点、子も連帯保証人にさせられ、親権者と共有名義の不動産に抵当権を設定、抵当権設定者として保証に参加(笑←不謹慎ですね。)
どう考えるか
親権者サイドから見れば、子が連帯保証人兼抵当権設定者として加わることで、自分の財産が減るリスクが減少します。
つまり、共有不動産が競売されれば、自分の財産も減りますが、子の財産も減る訳です。
と言うことは、子の財産で、親権者の責任が軽減される訳です。
その分の不利益を免れているってことになりますよね。
昭和43(オ)783 土地建物所有権移転登記抹消登記手続(本訴)家屋明渡(反訴)請求 昭和43年10月8日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
原判決がその挙示の証拠のもとにおいて確定した事実、とくに昭和三五年三月一〇日DからEに対する金三五万円の貸付について同人の懇望により、被上告人B5が、みずからは共有者の一員として、また、未成年者であつた被上告人B2、同B3、同B4の親権者としてこれらを代理し、さらに、長男被上告人B1の代理人名義をかねて、右債務について各連帯保証契約を締結するとともに、同一債務を担保するため、いわゆる物上保証として本件不動産全部について抵当権を設定する旨を約しその旨の設定登記を経た。
これらの具体的事実関係のもとにおいては、債権者が抵当権の実行を選択するときは、本件不動産における子らの持分の競売代金が弁済に充当される限度において親権者の責任が軽減され、その意味で親権者が子らの不利益において利益を受け、また、債権者が親権者に対する保証責任の追究を選択して、親権者から弁済を受けるときは、親権者と子らとの間の求償関係および子の持分の上の抵当権について親権者による代位の問題が生ずる等のことが、前記連帯保証ならびに抵当権設定行為自体の外形からも当然予想される。
被上告人B2・同B3・同B4の関係においてされた本件連帯保証債務負担行為および抵当権設定行為が、民法八二六条にいう利益相反行為に該当すると解した原判決の判断は、当審も正当として、これを是認することができる。
最後、ちょっと長かったので強制的に分割しました。(笑)
これでも、、、
今日も最後までありがとうございました。
んでまずまた。
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