こんばんは。
息抜きをするのも、集中して勉強するのも、有意義なGWをお過ごしですか
後半戦に差し掛かっていますが、毎日の努力は必ずや結果に結びつくと信じて頑張りましょう。
昨日は、初月給を頂いた息子さんからお食事に誘って頂きました。
就職したての頃の自分を思い出しました。。。
今日の過去問は、平成30年度問26の問題を○×式でやりたいと思います。
ある市立保育所の廃止に関する会話を受けてCが論点を整理した次の記述のうち、法令及び最高裁判所の判例に照らして、正誤判定をしてみましょう。
設例
A:友人が居住している市で、3つある市立保育所を廃止するための条例が制定されるらしいんだ。この場合、どうしたら、条例の制定を阻止できるのだろうか。
B:議会への働きかけも含めていろいろ考えられるけれども、その他、何らかの訴訟を提起することも考えられるね。
C:行政事件訴訟法と地方自治法を勉強するいい機会だから、すこし考えてみよう。
それでは、早速。
問題
特定の市立保育所の廃止条例の制定に関する議決を阻止するため、一定数の選挙人の署名により、地方自治法上の直接請求をすることができる。
正解は?
×
今日の1問目は、この問題です。
よく問われる問題なんですが、地方自治法上の「直接請求」についてですね。
問題の内容を確認してみます。
「一定数の選挙人の署名により、」
これは、大丈夫ですね。
一定数の選挙人の署名=選挙権を有する者の総数の五十分の一以上の者の連署
問題は、前半部分です。
「特定の市立保育所の廃止条例の制定に関する議決を阻止するため、」
ここなんですが、気になるところはありませんか
そうですね、「議決を阻止するため、」
条文を確認してみますね。
地方自治法
第五章 直接請求
第一節 条例の制定及び監査の請求
第七十四条 普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者は、政令で定めるところにより、その総数の五十分の一以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例の制定又は改廃の請求をすることができる。
2 略。
3 普通地方公共団体の長は、第一項の請求を受理した日から二十日以内に議会を招集し、意見を付けてこれを議会に付議し、その結果を同項の代表者に通知するとともに、これを公表しなければならない。
4 議会は、前項の規定により付議された事件の審議を行うに当たつては、政令で定めるところにより、代表者に意見を述べる機会を与えなければならない。
5~9 略。
制定=立法機関が一定の手続きによって法律・規則などを定めること。
改廃=法律や規則などを改正したり、廃止したりすること。
代表者から請求できるのは、「条例の制定又は改廃」です。
意味はご覧頂いた通りなんですが、一定数の選挙人の署名を集めても「議決を阻止する」ことは出来ません。
ただ、4項、、、「議会は、代表者に意見を述べる機会を与えなければならない。」
「いやいや、廃止されたらかないませんがな。」っては、議会に言えるってことですね。
よく問われるところですので手順を確認しておきます。
・選挙権を有する者が、その総数の五十分の一以上の者の連署を集める
・代表者から、普通地方公共団体の「長」に対し、条例の制定又は改廃の請求をする
・普通地方公共団体の「長」は、請求を受理した日から二十日以内に議会を招集し、意見を付けてこれを議会(代表者は意見を言える)に付議する
・その結果を代表者に通知するとともに、公表する
付議=会議にかけること。また、ある案件に付け加えて討議すること。
この流れで解るんですが、最終的には「議会」が判断することになります。
それと、大丈夫だとは思いますが、、、
条例からは、地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものは除かれます。
これは、よく見かけるところですよね。
問題
特定の市立保育所を廃止する条例の制定行為については、住民訴訟によってその差止めを求めることができる。
正解は?
×
この問題は、「住民訴訟」についてです。
1問目で確認してますので、「特定の市立保育所を廃止する条例の制定行為」ってところは問題がないのが解りますよね。
問題は、後半、、、
「住民訴訟によってその差止めを求めることができる。」
う~ん、たしか、住民訴訟は4つ出来たはずで、「差止めの請求」もありましたよね。
4つ、、、大丈夫ですか
んじゃ、これは正しいのか
いやぁ~、、、
地方自治法
(住民訴訟)
第二百四十二条の二 普通地方公共団体の住民は、前条第一項の規定による請求(住民監査請求)をした場合において、同条第四項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第九項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第四項の規定による監査若しくは勧告を同条第五項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第九項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第一項の請求(住民監査請求)に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもつて次に掲げる請求をすることができる。
一 当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求
二 行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求
三 当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求
四 当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。ただし、略
2~12 略。
一号から四号ですね、、、一号に「差止めの請求」があるんですが、、、
ってことは、○
住民訴訟は、「住民監査請求前置主義」です。
住民監査請求を確認してみましょう。
地方自治法
(住民監査請求)
第二百四十二条 普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担があると認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によつて当該普通地方公共団体のこうむつた損害を補塡するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。
2~9 略。
住民監査請求は、「違法若しくは不当な財務会計上の行為」について認められるものです。
と言うことは、「特定の市立保育所を廃止する条例の制定行為」は、住民監査請求の対象外の行為ってことになりますので、住民訴訟を提起することは出来ませんよね。
住民訴訟の一号、「差止めの請求」は、「違法若しくは不当な公金の支出」を差し止めるってことになります。
問題
特定の市立保育所のみを廃止する条例の効力を停止するために、当該条例の効力の停止の申立てのみを、それに対する抗告訴訟の提起の前に行うことができる。
正解は?
×
この問題は、いかがでしょうか
問題には、「特定の市立保育所のみを廃止する条例の効力を停止する」とありますが、、、
これは、「執行停止」のことを言っているんですね。
そして、問題後半、、、
「当該条例の効力の停止の申立てのみを、それに対する抗告訴訟の提起の前に行うことができる。」
ここは、「のみを、」、「前に」には、反応しなければなりませんね。
行政事件訴訟法
(執行停止)
第二十五条
1 処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。
2 処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(執行停止)をすることができる。ただし、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によつて目的を達することができる場合には、することができない。
3~8 略。
執行停止は、「処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、」裁判所に申し立てることでできるものです。
ですので、効力の停止「のみを、」、抗告訴訟(処分の取消しの訴え)の提起の「前に」することは、できないんですね。
まぁ、仮にできたとしても「ただし書き」があるんで、条件にあてはまってしまう場合は、することができません。
条件=処分の執行又は手続の続行の停止によつて目的を達することができる場合
問題
条例の制定行為は、普通地方公共団体の議会が行う立法行為に属するが、一般的に抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解されている。
正解は?
×
「条例の制定行為は、普通地方公共団体の議会が行う立法行為に属する」
これは、問題ないですよね。
問題は、後半の
「一般的に抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解されている。」
一般的に
行政処分に「当たるか当たらないか」ですから、判例ってことになります。
ちょっと長めに抜粋します。(笑)
平成21(行ヒ)75 横浜市立保育園廃止処分取消請求事件 平成21年11月26日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
条例の制定は、普通地方公共団体の議会が行う立法作用に属するから、一般的には、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるものでないことはいうまでもないが、本件改正条例は、本件各保育所の廃止のみを内容とするものであって、他に行政庁の処分を待つことなく、その施行により各保育所廃止の効果を発生させ、当該保育所に現に入所中の児童及びその保護者という限られた特定の者らに対して、直接、当該保育所において保育を受けることを期待し得る上記の法的地位を奪う結果を生じさせるものであるから、その制定行為は、行政庁の処分と実質的に同視し得るものということができる。
また、市町村の設置する保育所で保育を受けている児童又はその保護者が、当該保育所を廃止する条例の効力を争って、当該市町村を相手に当事者訴訟ないし民事訴訟を提起し、勝訴判決や保全命令を得たとしても、これらは訴訟の当事者である当該児童又はその保護者と当該市町村との間でのみ効力を生ずるにすぎないから、これらを受けた市町村としては当該保育所を存続させるかどうかについての実際の対応に困難を来すことにもなり、処分の取消判決や執行停止の決定に第三者効(行政事件訴訟法32条)が認められている取消訴訟において当該条例の制定行為の適法性を争い得るとすることには合理性がある。
以上によれば、本件改正条例の制定行為は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解するのが相当である。
書かれていますね。
・条例の制定行為は、普通地方公共団体の議会が行う立法作用に属する
そのため、「一般的には、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるものでない」ことはいうまでもない
問題では、「一般的に抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると解されている。」と言っていますので、×ってことになります。
ただ、この判例では、「市立保育所を廃止する条例は、例外として、抗告訴訟の対象になる行政処分に該当する」と言う結論を出しています。
「また、~」の理由も目を通してくださいね。。。
問題
処分の取消判決や執行停止の決定には第三者効が認められているため、市立保育所廃止条例の制定行為の適法性を抗告訴訟によって争うことには合理性がある。
正解は?
○
今日の最後の問題です。
「市立保育所廃止条例の制定行為の適法性」
問題では、「抗告訴訟によって争うことには合理性がある。」と言っています。
「適法性」を争う、、、「違法性」を争う、、、
私的には、「違法性」を争うって書かれることには違和感がないんですが、ときどき、「適法性」を争うってのに出くわします。
ちょっと拒否感って言うか何ちゅうか変な感じがしますが、いかがでしょうか
まぁ、問題はそこではなんですけどね。(笑)
それでは、問題に入りますが、、、
これ、説明は必要ですか
必要な人~
「シ~~~~ン。」
まぁ、そうでしょう。。。
不要な人~
。。。
不要な人が多数ってことで今日はこの辺で、、、
ちゃんと読んでくれているんですね。
ありがとう
これは、前問「また、~」の理由に書かれている内容です。。。
「処分の取消判決や執行停止の決定に第三者効が認められている取消訴訟において当該条例の制定行為の適法性を争い得るとすることには合理性がある。」
今日も最後まで有難うございました。
今日のところはここまでです。
んでまずまた。
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明日午前中の無駄話は、GW休みのため、休載致します。☚一度書いてみたかった。(笑)
夕方には更新しますからね。
一般知識等、個人情報保護関係を予定しております。
いつもサンキュウべりマッチョ。。。
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