こんにちは。
早いもので2月に入りました。
今一番の願いは何ですか
寒いのは苦手なんで、早く暖かくなってほしいですね。
ただ、自然には逆らえませんので待つしかないんですが、早く暖かくなるとそれだけ歳をとるのも早くなる訳で「それも困ったもん。」
何でもそうですが表裏一体。
得るものがあれば、何かしら失っているものがあるはずです。
気付くことは大切です。
今日の過去問は、平成21年度問27の問題を○×式でやりたいと思います。
代理に関する次の記述を、民法の規定及び判例に照らして、正誤判断してみましょう。
それでは、早速。
問題
Aの代理人Bが、Cを騙してC所有の建物を安い値で買った場合、AがBの欺岡行為につき善意無過失であったときには、B自身の欺岡行為なので、CはBの詐欺を理由にした売買契約の取消しをAに主張することはできない。
正解は?
×
今日の問題は、「代理」についてです。
最初に「代理」について、確認しておきます。
代理=代理人が本人のためにすることを示して法律行為をし、その効果を本人に帰属させるもの
代理行為が成立するには「3つの要件」が必要です。
代理の内容から解ることではあるんですが、、、
1.代理権があること
2.代理人が本人のためにすることを示すこと
3.法律行為が有効であること
それでは、1問目の問題を確認して見ますね。
問題には、「Aさんの代理人Bさんが、」とありますので、1.の基本代理権については問題ありませんね。
そして、「Cさんは、売買契約の取消しをAさんに主張することはできない。」とありますので、この契約がAさんのためになされたことであるってのをCさんは知っている訳ですから2.も問題はありません。
問題は、「Cさんを騙してCさん所有の建物を安い値で買った場合」です。
「騙して」る訳ですね。
ただ、「AさんがBさんの欺岡行為につき善意無過失であった」とも書かれています。
つまり、Aさんは、BさんがCさんを「騙した=詐欺」ことを知らない訳です。
このケースで、問題では、「Bさん自身の欺岡行為なので、CさんはBさんの詐欺を理由にした売買契約の取消しをAさんに主張することはできない。」と言っている訳です。
う~ん、問題の言わんとしているところは解りますね。
Aさんは、「善意無過失」。。。
ただ、これで良いんでしょうか
まぁ、良い訳ないじゃないですかってことです。
(代理行為の瑕疵)
第百一条 意思表示の効力が意思の不存在、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。
2 略。
書かれてますね。
代理行為における意思の不存在・瑕疵等については、「代理人を基準」に判断するってことです。
と言うことは、たとえAさんがBさんの詐欺について「善意無過失」であっても、Cさんは、Bさんの詐欺を理由に売買契約の取消しをAさんに主張することができるってことです。
問題
A所有の建物を売却する代理権をAから与えられたBが、自らその買主となった場合に、そのままBが移転登記を済ませてしまったときには、AB間の売買契約について、Aに効果が帰属する。
正解は?
×
2問目は、この問題です。
「Aさん所有の建物を売却する代理権をAさんから与えられたBさんが、」とありますので基本代理権はありです。
ただ、「自らその買主となった」、「そのままBさんが移転登記を済ませてしまった」とあります。
何やら複雑そうな感じがしますね。
この内容で、「AさんとBさんの間の売買契約について、Aさんに効果が帰属する。」のか ってのがこの問題です。
それでは、確認してみます。
「自らその買主となった」ってのは、自己契約と言われるものです。
(自己契約及び双方代理)
第百八条 同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
「自らその買主となった」=相手方の代理人となった
この条文では、「となることはできない。」、つまり、自己契約及び双方代理は原則出来ませんと言ってる訳です。
原則
原則=あらかじめ許諾した行為
この文言があるからですね。
と言うことは、この行為は、Aさんの許諾がない限り、無権代理行為になると言うことになります。
(無権代理)
第百十三条 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
2 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。
つまり、この問題では、Aさん本人の追認がなければ、Aさんに効果は帰属しないと言うことになります。
問題には、追認云々は書かれていませんので、「Aさんに効果が帰属する。」と言うことにはなりません。
とすると、「そのままBさんが移転登記を済ませてしまった」についてはどうなるのか ってことですが、、、
移転登記を済ませてしまったとしても売買契約実体が「無権代理行為で追認のないもの」です。
と言うことは、売買契約そのものが成立しません。
そのため、この登記は無効と言うことですね。
問題
Aは留守中の財産の管理につき単に妻Bに任せるといって海外へ単身赴任したところ、BがAの現金をA名義の定期預金としたときは、代理権の範囲外の行為に当たり、その効果はAに帰属しない。
正解は?
×
この問題の内容、ありそうな感じですよね。
Aさんが、海外へ単身赴任した。
赴任する前に、
Aさん「留守中のこと(財産の管理)は、お前(妻Bさん)に任せる。」
そう言って赴任先に行ってしまった訳です。
そう言われたBさん、現金を自宅に置くのは危ないですから「Aさんの現金をAさん名義の定期預金」とした訳です。
これ、Aさんの現金を「Bさん名義の定期預金」にした訳ではありません。
ですから、その行為自体に問題はありませんよね。
問題では、この行為(Aさんの現金をAさん名義の定期預金)は、「代理権の範囲外の行為に当たり、その効果はAに帰属しない。」と言っている訳です。
どうなんでっか ってところです。
確認してみますね。
Aさんは、「単に妻Bさんに任せる」と言った訳です。
単に任せる=権限を定めない代理権と言うことです。
つまり、
(権限の定めのない代理人の権限)
第百三条 権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一 保存行為
二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
妻Bさんは、第百三条の規定により、保存行為、利用行為、改良行為の範囲内で代理権を有していると言うことになります。
それでは、現金を定期預金にする行為は何に当たるのか と言う問題になりますね。
この現金を定期預金にする行為は、「利用行為」にあたります。
利用行為=管理行為の一つ。財産をその性質に従って利用・収益する行為。例)金銭を銀行に預ける。家屋を賃貸するなど。
と言うことは、この行為は、「権限の定めのない代理人」の代理権の範囲内の行為と言うことになります。
であれば、効果は、「Aさんに帰属する。」と言うことになりますよね。
問題
未成年者Aが相続により建物を取得した後に、Aの法定代理人である母Bが、自分が金融業者Cから金銭を借りる際に、Aを代理して行ったCとの間の当該建物への抵当権設定契約は、自己契約に該当しないので、その効果はAに帰属する。
正解は?
×
この問題も複雑そうです。
未成年者Aさんが、相続により建物を取得した。
その後、Aさんの法定代理人である母Bさんが、金融業者Cさんから金銭を借りなければならない状態になった。
法定代理人である母Bさんは、お金を借りるときの担保がなかったんでしょうね、Aさんが相続した建物に、Aさんを代理してCさんのために抵当権を設定したようです。
問題では、この「建物への抵当権設定契約は、自己契約に該当しないので、その効果はAさんに帰属する。」と言っている訳です。
先ほど見たんですが、、、
自己契約とは、「同一の法律行為について、当事者の一方が相手方の代理人となること」を言いました。
法定代理人である母Bさんは、Aさんの代理人ではありますが、相手方Cさんの代理人ではないので、自己契約には該当しません。
そのため、「自己契約にあたらない。」って言うのは間違いではありません。
それでは、、、この問題の内容をよく考えて見ましょう。
法定代理人Bさんの借入金をAさんの相続した建物で担保する訳です。
当たり前ですが、母Bさんにとっては、「利益」になり、Aさんにとっては、「不利益」になる行為です。
こう言った行為を「利益相反行為」と言います。
(利益相反行為)
第八百二十六条 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
1項にありますね。。。
利益相反行為をする場合には、親権の濫用から子の利益を保護するために、「特別代理人の選任」を家庭裁判所に請求しなければなりません。
「特別代理人を選任」し、特別代理人がAさんの代理人となって契約することで、親権の濫用にあたるかどうかを判断することができる訳です。
つまり、そうすることで「子(Aさん)の利益」を保護することができると言うことです。
それでは、「特別代理人の選任」を請求することなく利益相反行為をした場合には
その場合は、「無権代理行為」として扱われることになります。
その結果、Aさんの追認がなければ、「その効果はAさんに帰属しない。」と言うことになります。
この問題の最後に判例を、、、
昭和34(オ)1128 持分移転登記抹消登記手続履行請求昭和37年10月2日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 広島高等裁判所
親権者自身が金員を借受けるに当り、右債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、仮に右借受金を子の養育費に充当する意図であつたとしても、同法条所定の利益相反する行為に当るから、子に対しては無効であると解すべきである。
問題
建物を購入する代理権をAから与えられたBが、Cから建物を買った場合に、Bが未成年者であったときでも、Aは、Bの未成年であることを理由にした売買契約の取消しをCに主張することはできない。
正解は?
○
この問題では、Aさんが建物を購入する代理権をBさんに与えたようです。
ただ、そのBさんが「未成年者」だったってことのようですね。
問題では、「Aさんは、Bさんが未成年であることを理由にした売買契約の取消しをCさんに主張することはできない。」と言っています。
これ、基本的なことですが、
(代理人の行為能力)
第百二条 代理人は、行為能力者であることを要しない。
行為能力者=法律行為を単独で有効に行なうことのできる能力を有する者。行為能力の制限を受けない者のこと。
問題のBさんは未成年者です。
未成年者は「行為能力者」でしょうか
そうですね、「制限行為能力者」です。
制限行為能力者=未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人
第百二条で、「代理人は、行為能力者であることを要しない。」と言っています。
と言うことは、代理人が制限行為能力者であっても、代理人になれるってことですね。
これは、代理行為の効果は「本人に帰属」するってところがミソです。
つまり、代理人が不利益を被るおそれがないと言うことですね。
代理人となった制限行為能力者を保護する必要がないからと言うことです。
この問題、Aさんの意思によって、未成年者のBさんに代理権を与えている訳です。
つまり、代理行為の効果が「本人に帰属」するってのは、未成年者のBさんがどんな契約をしても「Aさんに帰属」することになる訳です。
未成年者のBさんが不利益を被ることはありません。
したがって、Aさんは、Bさんが未成年者であることを理由にして売買契約の取消しをCさんに主張することはできないってことになります。
今日もいろいろ楽しめましたね。
今日のところはここまでです。
最後までありがとうございました。
んでまずまた。
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