こんにちは。
年が明けて10日です。
そろそろ平常運転に戻りつつありますね。
お仕事の合間、少しでも時間を見つけては学習を続けましょう。
やらなければ道は開けませんから。。。
今日の過去問は、平成22年度問38の問題を○×式でやります。
新株予約権に関する正誤問題です。
それでは、早速。
問題
新株予約権と引換えに金銭の払込みを要する募集新株予約権の払込金額は、新株予約権が行使されるか否かにかかわらず、その全額を資本金に計上しなければならない。
正解は?
×
今日の1問目はこれですね。
「その全額を資本金に計上しなければならない。」
これ、覚えてますか
資本金とは
(資本金の額及び準備金の額)
第四百四十五条 株式会社の資本金の額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。
2~5 略。
問題では「新株予約権が行使されるか否かにかかわらず、」と言っていますが、、、
募集新株予約権が行使されれば資本金へ、行使されなければ、払込み又は給付が無い訳ですから資本金に計上する必要はないと言うことになるんですが。。。
募集新株予約権を発行した場合、新株予約権者から払い込まれた金額は、「新株予約権」と言う純資産勘定で処理します。
発行時具体例
借方(当座預金) 貸方(新株予約権)
その後、行使されたときに初めて「発行時の払込額」と「行使時の払込額」の合計を資本金勘定へ振り替えます。
行使時具体例
借方(新株予約権) 貸方(資本金)
借方(当座預金)☚権利行使価格
ちょっと変かもしれませんが解ります
そして、問題では、「その全額を」とも言っていますが、ここも注意です。
(資本金の額及び準備金の額)
第四百四十五条
1 略。
2 前項の払込み又は給付に係る額の二分の一を超えない額は、資本金として計上しないことができる。
3 前項の規定により資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない。
4、5 略。
2項と3項の規定ですね。
新株予約権は、最初に①新株予約権を発行した価額と②権利を行使した価額の合計が「新株発行価額」となります。
この払込み額については、二分の一を超えない額は、資本金として計上しないことができます。
これが2項に定められた規定です。
そして、3項、資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければなりません。
つまり、払込み又は給付に係る額は、「全額資本金に」でもないと言うことですね。
問題
新株予約権付社債を有する者は、新株予約権付社債についての社債が消滅した場合を除いて、新株予約権付社債に付された新株予約権のみを譲渡することはできない。
正解は?
○
この問題は、「新株予約権付社債」についてですね。
ちょっと前に見ましたよね。
問題では、
「新株予約権付社債についての社債が消滅した場合を除いて、新株予約権付社債に付された新株予約権のみを譲渡することはできない。」と言っていますが、、、
新株予約権付社債は、ニコイチのと~ってもお得な商品です。(笑)
そのため、どちらかを分離して譲渡することは原則としてはできません。
原則
(新株予約権の譲渡)
第二百五十四条 新株予約権者は、その有する新株予約権を譲渡することができる。
2 前項の規定にかかわらず、新株予約権付社債に付された新株予約権のみを譲渡することはできない。ただし、当該新株予約権付社債についての社債が消滅したときは、この限りでない。
3 新株予約権付社債についての社債のみを譲渡することはできない。ただし、当該新株予約権付社債に付された新株予約権が消滅したときは、この限りでない。
問題は2項の規定ですね。
新株予約権付社債の「社債が消滅」してしまえば、新株予約権付社債ではなく、単なる「新株予約権」です。
と言うことは、1項にあるように譲渡することができます。
また、反対も同様です。
新株予約権付社債の「新株予約権が消滅」してしまえば、新株予約権付社債ではなく、単なる「社債」です。
3項の規定にあるように、こちらも譲渡することができるようになります。
「新株予約権付社債」は、一体的なもの、ニコイチ商品ってのを頭に入れておきましょう。
どちらかが消滅しない限り、分離して譲渡することは出来ません。。。
問題
募集新株予約権の行使に際して出資する金銭その他の財産の価額が新株予約権を引き受ける者に特に有利な金額であるときには、募集新株予約権の募集事項は、株主総会の特別決議により決定しなければならない。
正解は?
×
この問題、「出資する金銭その他の財産の価額が新株予約権を引き受ける者に特に有利な金額であるとき」となっています。
これは、俗に言う「有利発行」と言うものですね。
1問目で新株予約権は、発行時の「発行価格」と権利行使時の「権利行使価格」があるのを確認しております。
問題では、「募集新株予約権の行使に際して」とありますので、後者の「権利行使価格」であるのが解ります。
この場合の「有利発行」は、「募集新株予約権の募集事項は、株主総会の特別決議により決定しなければならない。」のか ってのがこの問題です。
まず最初に、「有利発行」について確認してみます。
(募集事項の決定)
第二百三十八条 株式会社は、その発行する新株予約権を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集新株予約権について次に掲げる事項を定めなければならない。
一 略
二 募集新株予約権と引換えに金銭の払込みを要しないこととする場合には、その旨
三 前号に規定する場合以外の場合には、募集新株予約権の払込金額又はその算定方法
四~七 略
2 募集事項の決定は、株主総会の決議によらなければならない。
3 次に掲げる場合には、取締役は、前項の株主総会において、第一号の条件又は第二号の金額で募集新株予約権を引き受ける者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。
一 第一項第二号に規定する場合において、金銭の払込みを要しないこととすることが当該者に特に有利な条件であるとき。
二 第一項第三号に規定する場合において、同号の払込金額が当該者に特に有利な金額であるとき。
4、5 略。
第1項二号と三号ですね。
二 募集新株予約権と引換えに金銭の払込みを要しないこととする場合には、その旨
三 前号に規定する場合以外の場合には、募集新株予約権の払込金額又はその算定方法
そして、この内容で、3項、募集新株予約権を引き受ける者の募集をすることを必要とする理由を説明すると有ります。
ん、これは、ちょっとおかしいですよね。
先ほど、問題では、「募集新株予約権の行使に際して」と、「権利行使価格」だってのを確認してます。
この3項の内容では、「新株予約権の発行価額」になってしまいますよね。
と言うことで、有利発行にあたるかどうかは、条文では、「新株予約権の発行価額」で判断するってことです。
それともう一つツッコミどころがありますね。
ちょっと細かいんですが、、、
特に有利な金額であるのは
条文では、「払込金額」であり、問題で言う「金銭その他の財産の価額」ではありません。
う~ん、細かい。
最後に、、、
(株主総会の決議)
第三百九条
1 普通決議。
2 特別決議。
一~五 略
六 第二百三十八条第二項、第二百三十九条第一項、第二百四十一条第三項第四号、第二百四十三条第二項及び第二百四十四条第三項の株主総会
七~十二 略
3~5 特殊決議他。
第二百三十八条第二項の株主総会の決議は、「特別決議により決定しなければならない。」ってのは、正しいですね。
この問題、ちょっと細かすぎ。。。
問題
新株予約権と引換えに金銭の払込みを要する募集新株予約権を発行する場合において、募集新株予約権の割当てを受けた者は、払込期間中または払込期日に払込金額の全額を払い込んだときに、新株予約権者となる。
正解は?
×
この問題は、いつ「新株予約権者」となるのか って問題ですね。
新株予約権の定義から確認しておきます。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一~二十 略。
二十一 新株予約権 株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利をいう。
二十二~三十四 略。
新株予約権は、株式会社に対して行使することにより株式の交付を受けることができる権利、つまり、株主になることができる権利です。
そして、
(募集事項の決定)
第二百三十八条 株式会社は、その発行する新株予約権を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集新株予約権について次に掲げる事項を定めなければならない。
一 募集新株予約権の内容及び数
二~七 略
2~5 略。
その新株予約権を引き受ける者の募集をしようとするときに発行するのが、募集新株予約権です。
問題で問われているのは次の条文です。
(新株予約権者となる日)
第二百四十五条 次の各号に掲げる者は、割当日に、当該各号に定める募集新株予約権の新株予約権者となる。
一 申込者 株式会社の割り当てた募集新株予約権
二 第二百四十四条第一項の契約により募集新株予約権の総数を引き受けた者 その者が引き受けた募集新株予約権
2 略。
書かれてますね、、、「割当日に、」
募集新株予約権の割当てを受けた者は、
「払込期間中または払込期日に払込金額の全額を払い込んだときに、新株予約権者となる。」訳ではなく、「割当日に、」募集新株予約権の新株予約権者となります。
それとここのポイントなんですが、
問題に書かれた、「払込期間中または払込期日に払込金額の全額を払い込んだときに、」ですが、
これは、次の条文です。
第二百四十六条 第二百三十八条第一項第三号に規定する場合には、新株予約権者は、募集新株予約権についての第二百三十六条第一項第四号の期間の初日の前日までに、株式会社が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、それぞれの募集新株予約権の払込金額の全額を払い込まなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、新株予約権者は、株式会社の承諾を得て、同項の規定による払込みに代えて、払込金額に相当する金銭以外の財産を給付し、又は当該株式会社に対する債権をもって相殺することができる。
3 第二百三十八条第一項第三号に規定する場合には、新株予約権者は、募集新株予約権についての払込期日までに、それぞれの募集新株予約権の払込金額の全額の払込みをしないときは、当該募集新株予約権を行使することができない。
第二百三十八条第一項第三号に規定する場合=募集新株予約権の払込金額又はその算定方法
第二百三十六条第一項第四号の期間の初日の前日=当該新株予約権を行使することができる期間
この問題、新株予約権者となるのは、その払込みを待たずに、「割当日」だけれども、払込期日までに全額を払わなければ、せっかく割り当てられた募集新株予約権を行使できなくなるって内容です。
そして、その後、払込みをして権利を行使した場合、、、
(株主となる時期等)
第二百九条 募集株式の引受人は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める日に、出資の履行をした募集株式の株主となる。
一 第百九十九条第一項第四号の期日を定めた場合 当該期日
二 第百九十九条第一項第四号の期間を定めた場合 出資の履行をした日
2、3 略。
第百九十九条第一項第四号=募集株式と引換えにする金銭の払込み又は財産の給付の期日又はその期間
つまり、
募集新株予約権を引き受け、割当てを受けたら新株予約権者。
払込期日までに、募集新株予約権の全額の払込みをすることで、募集新株予約権を行使することができる。
権利を行使して出資の履行をした場合、募集株式の株主となると言うことです。
今日の1問目の流れですね。
募集新株予約権の払込みを待たずに「割当て」を受けたら新株予約権者、そして、それに対して支払いをすると発行時になります。
そして、権利を行使すると行使時になります。
混乱しそうなのでしつこく書いてますが、OKですか
権利を行使して出資の履行をすることで「株主」です。
おぉ~ぅ、最後はいろいろ派生して長くなっちゃいました。m(__)m
問題
募集新株予約権の発行が法令もしくは定款に違反し、または著しく不公正な方法により行われる場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときには、株主は、会社に対して募集新株予約権の発行をやめることを請求することができる。
正解は?
○
「株主は、会社に対して募集新株予約権の発行をやめることを請求することができる。」
この内容は、「差止め請求権」ですね。
「法令もしくは定款に違反」、「著しく不公正な方法により行われる」
そして、「株主が不利益を受けるおそれがある」
書かれている内容からは出来なきゃおかしい内容ですが、、、
第二編 株式会社
第二章 株式
第八節 募集株式の発行等
第五款 募集株式の発行等をやめることの請求
第二百十条 次に掲げる場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は、株式会社に対し、第百九十九条第一項の募集に係る株式の発行又は自己株式の処分をやめることを請求することができる。
一 当該株式の発行又は自己株式の処分が法令又は定款に違反する場合
二 当該株式の発行又は自己株式の処分が著しく不公正な方法により行われる場合
募集株式では規定があるんですが、この内容が「募集新株予約権」にもあてはまるのか ってところが問題です。
第三章 新株予約権
第二節 新株予約権の発行
第四款 募集新株予約権の発行をやめることの請求
第二百四十七条 次に掲げる場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は、株式会社に対し、第二百三十八条第一項の募集に係る新株予約権の発行をやめることを請求することができる。
一 当該新株予約権の発行が法令又は定款に違反する場合
二 当該新株予約権の発行が著しく不公正な方法により行われる場合
これは、内容的にも認められないとダメでしょって感じですね。
今日はちょっと細かすぎて冷や汗たらたらです。
最後まで有難うございました。
今日のところはここまでです。
んでまずまた。
ちょっと細かすぎ。。。
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