こんにちは。
年末=大掃除
そんな図式が思い浮ぶんですが、普段から気を付けておけばやる必要はないんですよね。
これは、試験勉強も同じです。
普段からやっていれば試験前に徹夜をする必要はありません。
効率、記憶の定着、その辺を考えればどっちが良いかはわかりますよね。
さぁ、あなたはどっち
今日の過去問は、平成22年度問6の問題を○×式でやりたいと思います。
租税法律主義を定める憲法84条について、最高裁判所の判例の考え方として、正誤判定してみましょう。
それでは、早速。
問題
市町村が行う国民健康保険の保険料は、被保険者において保険給付を受け得ることに対する反対給付として徴収されるから、憲法84条は直接適用される。
正解は?
×
今日の問題は、「租税法律主義を定める憲法84条について、最高裁判所の判例の考え方」についての問題です。
最初に憲法84条を確認しておきましょう。
日本国憲法
第八十四条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。
書いてますね、、、
あらたに租税を課す、現行の租税を変更する→「法律又は法律の定める条件による」
この条文、第七章 財政のところにあるんですが、この意味するところは、行政側が勝手に租税を課したり、変更することはできず、「法律に則って」行われなければならないと言うことを言っているんですね。
次に、この条文に出てくる「租税」について確認しておきます。
租税=国又は地方公共団体が収入を得る目的をもって、一般統治権に基づいて、法定要件に該当するすべての国民 (個人及び法人) から反対給付を約束することなく強制的に徴収する金銭。
ここで問題を見てみます。
市町村が行う国民健康保険の保険料=保険給付を受け得ることに対する反対給付として徴収される
↓
憲法84条は直接適用される。
租税は、「反対給付を約束することなく強制的に徴収する」ものです。
と言うことは、「国民健康保険の保険料」は、租税ではないので憲法84条は適用されない ですね。
平成12(行ツ)62 国民健康保険料賦課処分取消等請求事件 平成18年3月1日 最高裁判所大法廷 判決 棄却 札幌高等裁判所
市町村が行う国民健康保険の保険料は、これと異なり、被保険者において保険給付を受け得ることに対する反対給付として徴収されるものである。
中略
したがって、上記保険料に憲法84条の規定が直接に適用されることはないというべきである。
この問題、最後の結論だけ違ってますね。
問題
市町村が行う国民健康保険の保険料は、租税以外の公課ではあるが、賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有するので、憲法84条の趣旨が及ぶ。
正解は?
○
租税以外の公課
公課=国又は地方公共団体によって課される租税を除く負担金の総称。加算金・延滞金・罰金・過料・社会保険料など。
問題では、国民健康保険の保険料は、「賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有する」と言っていますね。
この保険の制度、日本は、国民皆保険制度です。
日本に住んでいる限りは必ず何らかの保険に加入しなければならない訳ですが、仮に会社を退職して国民健康保険の加入義務が発生した場合、国民健康保険の加入手続きをしなくても強制的に加入させられることになります。
これは、国民健康保険が法定強制保険だからですね。
ですので、問題で言うところの「賦課徴収の強制の度合いにおいては租税に類似する性質を有する」訳です。
それでは判例を確認してみますね。
先ほど見た判例、「旭川市国民健康保険条例訴訟」から抜粋です。
租税以外の公課であっても、賦課徴収の強制の度合い等の点において租税に類似する性質を有するものについては、憲法84条の趣旨が及ぶと解すべきであるが、その場合であっても、租税以外の公課は、租税とその性質が共通する点や異なる点があり、また、賦課徴収の目的に応じて多種多様であるから、賦課要件が法律又は条例にどの程度明確に定められるべきかなどその規律の在り方については、当該公課の性質、賦課徴収の目的、その強制の度合い等を総合考慮して判断すべきものである。
書かれてますね。
「憲法84条の趣旨が及ぶと解すべきである」
この問題のポイントは何でしょう
1問目と大きく違うところがありますよね。
1問目は、「憲法84条は直接適用される。」でした。
この問題は、「憲法84条の趣旨が及ぶ。」です。
この違いですね。
つまり、通常は「保険料」であれば憲法84条が適用されることはありません。
ただ、国民健康保険は法定強制保険であり、「賦課徴収の強制の度合いにおいて」は、租税に類似する性質があるため、憲法84条の趣旨が及ぶと言うことです。
「保険料」であっても「強制性」、「租税との類似性」により、憲法84条があてはまることもあり得るということですね。
問題
国または地方公共団体が、特別の給付に対する反対給付として徴収する金銭は、その形式を問わず、憲法84条に規定する租税に当たる。
正解は?
×
こ、これは、、、
へぐっちゃいましたね。。。
1問目で見た内容ですね。
市町村が行う国民健康保険の保険料=保険給付を受け得ることに対する反対給付として徴収される金銭
これは、憲法84条に規定する租税にはあたらない ですね。
最初に見た、「租税」にも反対給付を約束することなく強制的に徴収する金銭って書かれてましたよね。
一応、判例を確認しておきます。
国又は地方公共団体が、課税権に基づき、その経費に充てるための資金を調達する目的をもって、特別の給付に対する反対給付としてでなく、一定の要件に該当するすべての者に対して課する金銭給付は、その形式のいかんにかかわらず、憲法84条に規定する租税に当たるというべきである。
問題
国民健康保険税は、目的税であって、反対給付として徴収されるものではあるが形式が税である以上は、憲法84条の規定が適用される。
正解は?
○
この問題、国民健康保険料ではありませんね。
国民健康保険税
目的税
「反対給付として徴収されるものではあるが形式が税である以上は、憲法84条の規定が適用される。」
ん、どういうこと
順を追って見ていきますか。。。
国民健康保険法
(保険料)
第七十六条 市町村は、当該市町村の国民健康保険に関する特別会計において負担する国民健康保険事業費納付金の納付に要する費用、財政安定化基金拠出金の納付に要する費用その他の国民健康保険事業に要する費用に充てるため、被保険者の属する世帯の世帯主から保険料を徴収しなければならない。ただし、地方税法の規定により国民健康保険税を課するときは、この限りでない。
2、3 略。
1項で、「市町村は、国民健康保険事業に要する費用に充てるため、被保険者の属する世帯の世帯主から保険料を徴収しなければならない。」と規定しています。
この書き方、以前見た「その他の」ですね。
つまり、「国民健康保険事業費納付金の納付に要する費用」、「財政安定化基金拠出金の納付に要する費用」は、「国民健康保険事業に要する費用」の例示と言うことですね。
そして、ただし書きです。
「地方税法の規定により国民健康保険税を課するときは、この限りでない。」
地方税法
(国民健康保険税)
第七百三条の四 国民健康保険を行う市町村は、当該市町村の国民健康保険に関する特別会計において負担する次に掲げる費用に充てるため、国民健康保険の被保険者である世帯主に対し、国民健康保険税を課することができる。
一 国民健康保険法の規定による国民健康保険事業費納付金の納付に要する費用
二 国民健康保険法の規定による財政安定化基金拠出金の納付に要する費用
三 その他国民健康保険事業に要する費用
2~28 略。
ん、これちょっと面白いですね。
一号と二号は、国民健康保険法では、「その他の」として「国民健康保険事業に要する費用」の例示扱いでしたが、地方税法では、一号~三号で、しかも「その他」として規定されています。
その他=並列でしたね。
こう言ったところは、独学だとちょっとわかりません。m(__)m
戻りますね。。。
国民健康保険法第七十六条(保険料)の規定は、市町村が「保険料」と「保険税」のどちらかを選択することができることを規定していると言うことですね。
そして問題では、この「国民健康保険税」は、目的税だと言っている訳です。
目的税=使途を特定して徴収される租税のこと
使途を特定して徴収される租税のこと→「国民健康保険事業に要する費用」 ってことです。
これは、「保険料」と「保険税」では意味合いが違うんですが、「国民健康保険事業に要する費用」のためって考えると「目的税」ってことになりますよね。
なるほどですね、、、
内容を把握したところで判例を確認してみます。
市町村は、国民健康保険事業に要する費用に充てるために、世帯主から保険料を徴収するか(法76条本文)、目的税である国民健康保険税を課することになる(地方税法703条の4第1項)ところ、被上告人市は、保険料を徴収する方式を採用している。
中略
国民健康保険税は、前記のとおり目的税であって、上記の反対給付として徴収されるものであるが、形式が税である以上は、憲法84条の規定が適用されることとなる。
これは、問題通りですね。。。
最後に、
国民健康保険の「保険料」は、法定強制保険であり、「賦課徴収の強制の度合いにおいては、租税に類似する性質がある」ため、憲法84条の趣旨が及ぶ。
国民健康「保険税」は、目的税であり、反対給付として徴収されるものではあるが、「形式が税である以上」は、憲法84条の規定が適用される。
今日は、1肢少なかったですが、ここまでです。
最後まで有難うございました。
んでまずまた。
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