こんにちは。
今日はクリスマスですね。
年齢的にテンションMAXってことにはならないんですが、やはりちょこっとくらいは食べたいかなとは思いますね。
まぁ、息子さんも大きいんで今更「ケーキ、ケーキ」とは騒がないんで良いんですけど。
ただ、今日は無理だな。。。
交代制で夜は兼業ちゃんです。帰りは1時半頃、日にちが変わっちゃってます。
今日の過去問は、平成27年度問32の問題を○×式でやりたいと思います。
AがBに対して電器製品を売却する旨の売買契約に関し、民法の規定及び判例に照 らして検討してみましょう。
両債務に関する履行期日は同一であり、AがBのもとに電器製品を持参する旨が約されたものとする。
それでは、早速。
問題
Aが履行期日に電器製品をBのもとに持参したが、Bが売買代金を準備していなかったため、Aは電器製品を持ち帰った。翌日AがBに対して、電器製品を持参せずに売買代金の支払を求めた場合、Bはこれを拒むことができる。
正解は?
○
今日の問題は、AさんとBさんの間の電器製品の売買契約です。
条件と言うか約束事がありますね。
両債務に関する履行期日は同一、これは「同時履行の抗弁権」が付いていると言うことですね。
そして、電器製品は、AさんがBさんのもとに持参する「持参債務」と言うことです。
この問題では、Aさんが履行期日に電器製品をBさんのもとに持って行ってますが、Bさんが売買代金を準備していなかった。
そのため、Aさんは、いったん電器製品を持ち帰ったって経緯があります。
そして、翌日、Aさんが、「電器製品を持参せずに売買代金の支払を求めた場合、Bさんはこれを拒むことができる。」のかって言う問題です。
(同時履行の抗弁)
第五百三十三条 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
有名な条文ですよね。
「相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。」
この同時履行の抗弁権は、双務契約における「当事者間の公平」を規定したものです。
ですから、条文からはBさんは、拒むことができそうですが、問題は、Aさんが一度は電器製品を持参していると言うところになるんでしょうね。
昭和32(オ)391 引受債務金請求 昭和34年5月14日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 高松高等裁判所
双務契約の当事者の一方は相手方の履行の提供があつても、その提供が継続されない限り同時履行の抗弁権を失うものでないことは所論のとおりである。
判例の内容に副って考えてみると、この問題、Aさんは一度電器製品を持参しています。
つまり、Aさんは、「履行の提供をしている」訳です。
本来であればBさんは、「履行遅滞」に陥りますので、Aさんは、「履行の請求、契約の解除、損害賠償の請求」のいずれかをすることができます。
Aさんは、この中から「履行の請求」を継続することにしたと言う訳です。
そして、判例では、
Bさんの「同時履行の抗弁権」を消滅させるには、「履行の提供を継続」してしなければならないと判断した訳です。
これは、Aさんのように「電器製品を持参せずに売買代金の支払を求めた場合」に支払いを認めると相手方であるBさんに先履行を強いることになるからですね。
とすると、同時履行の抗弁権の「当事者間の公平」が達成できなくなりますよね。
ですので、この問題は、「Bさんはこれを拒むことができる。」は、正しい肢と言うことになります。
問題
履行期日にAが電器製品を持参したにもかかわらず、Bが売買代金の支払を拒んだ場合、Aは、相当期間を定めて催告した上でなければ、原則として本件売買契約を解除することができない。
正解は?
○
この問題を確認してみます。
Aさんは、履行期日に電器製品を持参しています。
Bさんは、それなのに代金の支払を拒んだって内容ですね。
「Aさんは、相当期間を定めて催告した上でなければ、原則として本件売買契約を解除することができない。」ってのが、この問題です。
これは、債務不履行の履行遅滞ですね。
遅行遅滞=債務が履行期にあり、履行することが可能なのに債務者の責めに帰すべき事由によって債務が履行されないこと。
この問題は、履行遅滞に基づく解除権の行使についてと言うことですね。
と言うことは、条文を覚えている方はそこで終了ですね。。。
(履行遅滞等による解除権)
第五百四十一条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。
相当の期間=これから準備をして履行をする期間ではなく、すでに準備をしているものが履行をするために通常要する期間。
催告=一定の行為をすべきことを相手方に要求する通知(意思の通知)。
これを例にしてみますね。
例えば、
Aさんが3日以内(相当の期間)に支払うようにBさんに催告(意思の通知)し、それでも履行しない場合に解除することができると言うことです。
もちろん、その期間内にBさんが支払うこともあるでしょう。
そのため、「その期間内に履行がないときは、」契約の解除をすることができると規定していると言うことです。
それと判例ですが、、、
「解除権を行使するための履行の提供は一度で良い」って判断しています。
これは、同時履行の抗弁権とは違い、既に「履行遅滞」に陥っているので履行の提供を何度しても「無駄!」(by軽部さん)ってことでしょうね。
解除権を行使するためには、前提として、「相当期間を定めて催告する」こと、そして、その期間内に「履行がないこと」が必要です。
問題
Bが履行期日を過ぎたにもかかわらず売買代金を支払わない場合であっても、Aが電器製品をBのもとに持参していないときは、Aは、Bに対して履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことはできない。
正解は?
○
この問題、今まで見てきた内容から解けちゃいますね。
まず、問題の内容は、
Aさんが、電器製品をBさんのもとに持参していない
そして、Bさんが、履行期日を過ぎたにもかかわらず売買代金を支払わない です。
今日の問題の前提は、Aさんの「持参債務」で「同時履行の抗弁権」が付いていると言う約束がなされています。
Bさんにしてみれば、履行期は過ぎてますが電器製品を受け取っていません。
と言うことは、代金を支払う義務はありません。
Aさんにしてみれば、自分が電器製品を持参していないので「くれ。」とは言えませんよね。
(債務不履行による損害賠償)
第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。
問題の損害賠償請求権は、債務者が債務不履行に陥ることで発生します。
この場合の債務不履行は、「履行遅滞」ですね。
そして、その履行遅滞には、4つの要件があります。
1.債務が履行期にあること
2.履行期を徒過したこと
3.債務者の責めに帰すべき事由に基づく履行遅滞であること
4.履行しないことが違法であること
1~3は問題になりませんね。
この問題は、「4.履行しないことが違法であること」が問題になります。
ですが、今日の前提は、「同時履行」です。
つまり、Aさんが電器製品を持参しない限り、Bさんは、「同時履行の抗弁権」を主張することが出来る訳です。
Aさんは、自分が債務を履行しないのに、Bさんに対して、「履行しないことは違法である」と言うことはできません。
そのため、Aさんは、Bさんに対して履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことはできないと言うことです。
問題
履行期日になってBが正当な理由なく売買代金の支払をする意思がない旨を明確に示した場合であっても、Aは、電器製品の引渡しの準備をしたことをBに通知して受領を催告しなければ、Bに対して履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことができない。
正解は?
×
この問題は、「履行期日になってBさんが正当な理由なく売買代金の支払をする意思がない旨を明確に示した場合」についてです。
問題では、「Aさんは、電器製品の引渡しの準備をしたことをBさんに通知して受領を催告しなければ、Bさんに対して履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことができない。」と言っています。
「売買代金の支払をする意思がない」、つまり、裏を返せば、「電器製品を受け取るつもりはない」ってことですね。
問題は、意思を明確に伝えられたAさんが、「電器製品の引渡しの準備をしたことをBさんに通知して受領を催告する」と言う手間を掛けさせるのかどうかってことですね。
昭和29(オ)522 家屋明渡請求 昭和32年6月5日 最高裁判所大法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所
債権者が予め弁済の受領を拒んだときは、債務者をして現実の提供をなさしめることは無益に帰する場合があるから、これを緩和して民法四九三条但書において、債務者は、いわゆる言語上の提供、すなわち弁済の準備をなしその旨を通知してその受領を催告するを以て足りると規定したのである。
(弁済の提供の方法)
第四百九十三条 弁済の提供は、債務の本旨に従って現実にしなければならない。ただし、債権者があらかじめその受領を拒み、又は債務の履行について債権者の行為を要するときは、弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば足りる。
そして、債権者において予め受領拒絶の意思を表示した場合においても、その後意思を翻して弁済を受領するに至る可能性があるから、債権者にかかる機会を与えるために債務者をして言語上の提供をなさしめることを要するものとしているのである。
しかし、債務者が言語上の提供をしても、債権者が契約そのものの存在を否定する等弁済を受領しない意思が明確と認められる場合においては、債務者が形式的に弁済の準備をし且つその旨を通知することを必要とするがごときは全く無意義であつて、法はかかる無意義を要求しているものと解することはできない。
それ故、かかる場合には、債務者は言語上の提供をしないからといつて、債務不履行の責に任ずるものということはできない。
つまり、買主が支払う意思がない旨を明確に示した場合に、損害賠償責任を問うためには受領の催告が必要だとしている点で間違いです。
問題
Bが予め受領を拒んだため、Aは履行期日に電器製品をBのもとに持参せず、その引渡しの準備をしたことをBに通知して受領を催告するにとどめた場合、Bは、Aに対して、電器製品の引渡しがないことを理由として履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことはできない。
正解は?
○
この問題は、「Bさんが予め受領を拒ん」でます。
もう一度条文を確認します。
(弁済の提供の方法)
第四百九十三条 弁済の提供は、債務の本旨に従って現実にしなければならない。ただし、債権者があらかじめその受領を拒み、又は債務の履行について債権者の行為を要するときは、弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば足りる。
前段ですね。
「弁済の提供は、債務の本旨に従って現実にしなければならない。」
そして、現実にすることによって、「債務の不履行によって生ずべき一切の責任を免れる。」訳です。
(弁済の提供の効果)
第四百九十二条 債務者は、弁済の提供の時から、債務の不履行によって生ずべき一切の責任を免れる。
この問題では、「Bさんが予め受領を拒ん」でいますので、現実の提供は不可能です。
そこでクローズアップされるのが、後段の規定と言うことです。
Bさんがあらかじめ受領を拒んだのに「現実の提供が必要」だとするのは、Aさんにとっては酷な話です。
そのため、「口頭の提供で足りる」と規定されていると言うことです。
口頭の提供=弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をする
Aさんは、「引渡しの準備をした」ことを「通知」して「受領を催告する」にとどめたとありますので、「口頭の提供」はしていると言うことになります。
ですので、Aさんには債務不履行はありません。
そのため、Bさんは、Aさんに対して、「電器製品の引渡しがないこと」を理由として履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことはできません。
今日のところはここまでです。
最後までありがとうございました。
んでまずまた。
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