こんにちは。
今日から基礎法学をやってみようと思います。
本試験では、毎年2問、昨年は何故か刑法が1問出ましたが。。。
2問のうち1問を確実に取りましょうって案内が多いようですが、それには過去問知識は最低限押さえなければなりませんね。
繰り返し問われるものもありますので、2問Get出来るように頑張りましょう
今日の過去問は、平成18年度問2の問題を○×式でやりたいと思います。
それでは、早速。
問題
地方公共団体は、条例により、その区域内に住所のある外国人に対して、当該地方公共団体の長および議会の議員の選挙権を付与することができる。
正解は?
×
この肢は、「見たことある~。」って方もいるかも知れませんね。
条例で外国人に選挙権を付与することはできるのか
まず基本。。。
地方自治法
第十八条 日本国民たる年齢満十八年以上の者で引き続き三箇月以上市町村の区域内に住所を有するものは、別に法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。
普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有するのは、「日本国民たる年齢満十八年以上の者で引き続き三箇月以上市町村の区域内に住所を有するもの」です。
書いてますね、「日本国民たる」。
地方自治法と言う法律に決められているものを、下位法(この表現は適当かはご勘弁。)の条例で別の定めができる
これは、日本国憲法に定めがありましたね。
日本国憲法
第八章地方自治
第九十四条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
法律の範囲内ですね。
と言うことは、、、
判例も同様に示しています。
平成5(行ツ)163 選挙人名簿不登録処分に対する異議の申出却下決定取消 平成7年2月28日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 大阪地方裁判所
憲法九三条二項は、我が国に在留する外国人に対して地方公共団体における選挙の権利を保障したものとはいえないが、憲法第八章の地方自治に関する規定は、民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解されるから、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。
参照
第九十三条
1 略。
2 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
外国人に対して地方公共団体における選挙権を付与するためには、「法律をもって」措置を講ずる必要があり、条例によってすることはできないと言うことですね。
問題
父母がともに外国人である場合において、子が日本で生まれたときは、その子は、日本国民となる。
正解は?
×
これは身近な例で考えると解りやすいと思います。
日本人のご夫婦で、奥さんが妊娠中ですが新婚旅行にオーストラリアへ行きました。
急に産気づいて赤ちゃんが生まれたとき、赤ちゃんがオーストラリア国籍になる
これは、国籍法と言う法律に定めがあるんですが、血統主義です。
国籍法
(出生による国籍の取得)
第二条 子は、次の場合には、日本国民とする。
一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であつたとき。
三 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。
この問題は、父母がともに外国人です。
この内のいずれかを満たしていれば良いのですが、一号から三号まですべてがあてはまりませんので、子が日本で生まれたとしても、その子は日本国民とはなりません。
問題
ともに外国人である者が日本において婚姻する場合の婚姻の成立および効力については、日本の法律による。
正解は?
×
これはどうでしょうか
例えば、日本の規定より若い年齢で婚姻することができる国があり、日本人がそこで婚姻をしようとしたとしても、それは認められないのではないでしょうか。
法の適用に関する通則法
(婚姻の成立及び方式)
第二十四条 婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による。
2、3 略。
日本の規定より若い年齢で婚姻することができる国があったとしても、日本人の場合、婚姻の成立は、日本の法律によると言うことです。
それと婚姻の効力です。
(婚姻の効力)
第二十五条 婚姻の効力は、夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法による。
三つ書かれていますね。
・夫婦の本国法が同一である場合はその法律
・その法律がない場合で夫婦の常居所地法が同一であるときはその法律
・そのいずれの法律もない場合は夫婦に最も密接な関係がある地の法律
外国人同士が日本で婚姻する場合の婚姻の成立及び効力は、「日本の法律による。」とは限らないと言うことです。
問題
外国人は、法令または条約により禁止される場合を除いて、私法上の権利を亨有する。
正解は?
○
この肢は大丈夫ですね。
基本的なところですよね。
第一編 総則 第二章 人 第一節 権利能力です。
第三条 私権の享有は、出生に始まる。
2 外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。
2項がほぼそのままですね。
私権とは
私権=私人としての権利。所有権などの財産権、身分権、人格権などなど
これは、原則は私権あり、例外(法令や条約で禁止)は私権なしと言うことです。
問題
外国人が日本国外において犯罪を行った場合には、日本の刑法が適用されることはない。
正解は?
×
この肢は刑法の問題ですね。
行政書士試験では、あまり見かけるものではありません。
まぁ、範囲外ではあるんですが、試験で問われた以上、この内容だけは記憶しておかねばなりません。
(国内犯)
第一条 この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。
2 日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても、前項と同様とする。
刑法は、第一条にあるように、日本国内において罪を犯したすべての者に適用されます。
外国人もですね。
これは、属地主義と言われるものです。
2項で、国外にある日本船舶、日本航空機内も同様と定めています。
日本船舶内、日本航空機内は日本国内と同じと言う考え方ですね。
それでは、問題にある外国人が日本国外において犯罪を行った場合には、日本の刑法が適用されることはないのか
(すべての者の国外犯)
第二条 この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯したすべての者に適用する。
一 削除
二 第七十七条から第七十九条まで(内乱、予備及び陰謀、内乱等幇助)の罪
三 略
四 第百四十八条(通貨偽造及び行使等)の罪及びその未遂罪
五 略
六 第百六十二条(有価証券偽造等)及び第百六十三条(偽造有価証券行使等)の罪
七 第百六十三条の二から第百六十三条の五まで(支払用カード電磁的記録不正作出等、不正電磁的記録カード所持、支払用カード電磁的記録不正作出準備、未遂罪)の罪
八 略
内容的に見かけそうなものを残してみました。
外国人が日本国外において犯罪を行った場合ですが、第二条は、日本国外において罪を犯したすべての者に適用されます。
ですので、「日本の刑法が適用されることはない。」とは言えません。
これを保護主義と言います。
日本人・外国人を問わず、日本国外において、日本国の国益を侵害する一定の重大な罪を犯した場合、犯人の国籍や犯罪地がどこであるかを問わず自国の刑法を適用するという考え方です。
問題の幅が広いですね。
深く学習をする必要はないと思います。
もちろん深く見る時間も取れないとは思いますので、得点を獲れるところを中心に、それ以外のところは過去問知識は押さえとくって感じで進めましょう。
今日も最後まで有難うございました。
今日のところはここまでです。
んでまずまた。
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