こんにちは。
今日は、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」です。
略して情報公開法ですね。
行政不服審査法の過去問が一通り終わったので、以前やっていた、行政法その他の法律を再開と言うことです。
過去問があるからにはやらない訳にはいきませんからね。
最低限、頭に入れておきましょう。
今日の過去問は、平成18年度問26の問題を○×式でやりたいと思います。
Aは行政庁Bに対し、情報公開法に基づいて行政文書の情報公開請求を行った。
BがAの請求に対し一部不開示決定を行ったので、Aは異議申立てまたは情報公開訴訟を提起しようと考えている。
法令および最高裁判所の判例に照らして、○×れって問題です。
それでは、早速。
問題
Aは、異議申立てを提起するか取消訴訟を提起するかを、自由に選択することができるが、一旦異議申立てを行った場合には、異議申立ての結論が出る前に取消訴訟を提起することは許されない。
正解は?
×
この肢はどうですか
そうですね、速攻で×です。
異議申立ては廃止されていますから。
ただ、それだけで×では寂しいですね。
この肢の中身を理解しましょう。
情報公開法は、不服申立前置主義を採用していません。
そのため、行政不服審査法による異議申立て(現在は、審査請求)を提起するか、取消訴訟を提起するか、両方を同時に提起するかは、Aさんの意思によって自由に選択することができます。
これが自由選択主義ですね。
ですので、異議申立てが審査請求になっていれば、前半は○です。
それと肢の後半部分ですが、
行政事件訴訟法
(処分の取消しの訴えと審査請求との関係)
第八条 処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、略。
2 略。
3 第一項本文の場合において、当該処分につき審査請求がされているときは、裁判所は、その審査請求に対する裁決があるまで(審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないときは、その期間を経過するまで)、訴訟手続を中止することができる。
3項ですね。
異議申立て(審査請求)がされている→異議申立て(審査請求)に対する裁決があるまで訴訟手続を中止することができる。
この文脈は、異議申立て(審査請求)の結論が出る前に、取消訴訟を提起することも許されるって内容です。
後半は、×です。
問題
異議申立てに対し、Bは、当初の一部開示処分は誤りであり全てを不開示とするのが妥当であると判断した。この場合、Bは当初の一部開示決定を取り消し、全部を不開示とする決定を行うことができる。
正解は?
×
この肢も速攻で×ですね。
1問目同様、異議申立ては廃止されていますから。
ただ、この問題も、それだけで×では寂しいです。
この肢には、大切なことが書かれています。
Aさんの開示請求に対して、当初は一部の開示はなされていた訳です。
Aさんとしては残りも開示してもらいたいから異議申立てをした訳です。
そしたら今度は行政庁Bが全部を不開示に変更してもOKって内容ですよね。
この内容は、異議申立人に対して不利益に処分を変更するものです。
一部の開示が全部不開示になる訳ですから。
行政不服審査法
(不利益変更の禁止)
第四十八条 第四十六条第一項本文又は前条の場合において、審査庁は、審査請求人の不利益に当該処分を変更し、又は当該事実上の行為を変更すべき旨を命じ、若しくはこれを変更することはできない。
異議申立て(審査請求)をする前よりも、異議申立人(審査請求人)が不利になる裁決をすることは許されないと言うことです。
こんな変更が認められるなら、誰も異議申立て(審査請求)をしないんじゃないでしょうか。
異議申立て(審査請求)の制度自体が無意味になってしまいますよね。
問題
行政文書等の開示請求権はAの一身に専属する権利とはいえないから、Aの死亡後も、当該行政文書の非公開決定の取消を求める訴えの利益は消滅しない。
正解は?
×
一身専属権かどうかですね。
何度か出てきています。
この行政文書等の開示請求権はどうなのかと言うことですね。
これは判例知識です。
平成11(行ツ)251 食糧費情報公開請求事件 平成16年2月24日 最高裁判所第三小法廷 判決 その他 福岡高等裁判所 宮崎支部
本件条例に基づく公文書等の開示請求権は、請求権者の一身に専属する権利であって相続の対象となるものではないから、本件訴訟のうち同被上告人に関する部分は、その死亡により当然に終了しており、原判決中同被上告人に関する部分はこれを看過してされたものとして破棄を免れない。
判例では、請求権者の一身に専属する権利で相続の対象とはならないとしています。
確かに、開示が必要かどうかはAさんと相続人では考え方も違うでしょうからね。
相続人も開示が必要であれば、自ら開示請求をすれば良いと言うことです。
問題
非公開決定の取消訴訟において当該行政文書が書証として提出された場合には、非公開決定の取消を求める訴えの利益は消滅する。
正解は?
×
この問題は、訴えの利益についてです。
行政文書が書証として提出された場合に訴えの利益は消滅するのか
書証=裁判で、文書の記載内容を証拠資料とすること。
これも判例です。
平成9(行ツ)136 交際費等非公開決定処分取消請求事件 平成14年2月28日 最高裁判所第一小法廷 判決 その他 名古屋高等裁判所
本件条例5条所定の公開請求権者は、本件条例に基づき公文書の公開を請求して、所定の手続により請求に係る公文書を閲覧し、又は写しの交付を受けることを求める法律上の利益を有するというべきであるから、請求に係る公文書の非公開決定の取消訴訟において当該公文書が書証として提出されたとしても、当該公文書の非公開決定の取消しを求める訴えの利益は消滅するものではないと解するのが相当である。
書証自体が、裁判所が裁判をするための判断の材料にすぎません。
判例にあるように、公開請求権者には、公文書を閲覧し、又は写しの交付を受けることを求める法律上の利益がある訳です。
裁判所の裁判の材料として出された書証と公開請求権者が公文書を閲覧し、写しの交付を受けることは全然違うので訴えの利益は消滅しないと言うことです。
問題
Bは、非公開決定理由書において付記された理由以外の理由を、取消訴訟段階で主張することも認められる。
正解は?
○
この問題は言い回しが。。。
非公開決定理由書において付記された理由
↓
非公開決定書に書かれた非公開の理由
付記された理由以外の理由
↓
非公開決定書に書かれた非公開の理由の他にある理由
行政庁のBは主張できるのか
平成8(行ツ)236 公文書一部公開拒否処分取消請求事件 平成11年11月19日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所
そして、そのような目的は非公開の理由を具体的に記載して通知させること(実際には、非公開決定の通知書にその理由を付記する形で行われる。)自体をもってひとまず実現されるところ、本件条例の規定をみても、右の理由通知の定めが、右の趣旨を超えて、一たび通知書に理由を付記した以上、実施機関が当該理由以外の理由を非公開決定処分の取消訴訟において主張することを許さないものとする趣旨をも含むと解すべき根拠はないとみるのが相当である。
結論は、取消訴訟で非公開決定の付記理由以外の主張をすることができるということです。
非公開決定書=「○○という理由で、この文書は一部非公開となります。」と付記。
取消訴訟=「××という理由もあったので一部を非公開にしました。」と主張することができると言うことです。
今日は、情報公開法の問題とはなっていましたが、行政不服審査法や行政事件訴訟法の知識で解けた内容ですね。
判例もありましたし。。。
過去問、参考書に書かれているものは押さえておきましょうね。
今日も最後まで有難うございました。
今日のところはここまでです。
んでまずまた。
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