こんにちは。
大晦日の今日、今年最後のブログは会社法の過去問です。
6月から約七か月、毎日更新することが出来ました。
読んで頂ける方がいることは励みになり、継続することへの力になりました。
短い期間のわりに、解答が見れないなど、いろんな問題がありましたが、それらをクリアしながらやってきました。
それと、もう少しなんですが、来年のことについて少し考えていました。
憲法や一般知識等の過去問なんかもやった方が良いのか思案中です。
バランスは大切ですから。
今日の過去問は平成18年度問38の問題を○×式でやります。
それでは、早速。
問題
株主総会の決議の内容自体に法令または定款違背の瑕疵がなく、単に決議の動機または目的において公序良俗に反する不法がある場合は、その株主総会の決議は無効とならない。
正解は?
○
今日の問題は全て判例問題ですので難しいです。
ただ、判例は一度覚えてしまえば、変更されない限りは得点源になり得ると思いますのでしっかりと把握しましょう。
念のため、辞書です。
違背=規則・命令などにそむくこと。
公序良俗=公の秩序(社会の一般的秩序)および善良な風俗(社会の一般的道徳観念)のこと。
法令、定款に違背することなく、株主総会で話し合い決議した内容に瑕疵がない場合、決議の動機や目的に不法があっても無効にはならないという判例があります。
昭和31(オ)130 決議無効確認等請求 昭和35年1月12日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻 広島高等裁判所 松江支部
私なんかは不法と言う言葉に引っ掛りそうです。
注意して下さいね。
法令や定款に違背するのはまずいですが、決議の動機や目的に不法があってもOKってことです。
問題
株主は、自己に対する株主総会の招集手続に瑕疵がなくとも、他の株主に対する招集手続に瑕疵がある場合には、株主総会の決議取消しの訴えを提起することができる。
正解は?
○
自己に対する株主総会の招集手続に瑕疵がない=議決権行使
他の株主に対する招集手続に瑕疵がある=議決権が行使できない
原審認定の事実関係の下においては、訴外Eらが総会招集の通知を受けず議決権を行使し得なかつたことが、本件総会の決議に影響を及ぼさないとのことを認めるべき証拠はないとした原審の判断も正当である。
株主は自己に対する株主総会招集手続に瑕疵がなくとも、他の株主に対する招集手続に瑕疵のある場合には、決議取消の訴を提起し得るのであるから、被上告人が株主たるEらに対する招集手続の瑕疵を理由として本件決議取消の訴を提起したのは正当であり、何等所論の違法はない。
昭和41(オ)664 株主総会決議取消請求 昭和42年9月28日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
株主総会の招集手続は瑕疵があってはダメってことですね。
ポイントは自分に対する招集の瑕疵だけでなく、他の株主に対する瑕疵でも訴えることができるってところです。
問題
株主総会において議決権を行使する代理人を株主に限る旨の定款の規定は、株主総会が第三者により撹乱されることを防止して、会社の利益を保護する趣旨にでた合理的理由による相当程度の制限であって、有効である。
正解は?
○
撹乱=かき乱すこと。混乱させること。
この問題は大丈夫ですね。
判例ではありますが納得できる内容そのものじゃないでしょうか。
会社の利益を保護する趣旨にでた合理的理由による相当程度の制限です。
行政書士試験では何度か出ているんじゃないかと思います。
昭和40(オ)1206 株主総会決議無効確認請求 昭和43年11月1日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所
問題
株主総会の決議取消しの訴えを提起した場合においては、その提訴期間が経過した後であっても、新たな取消事由を追加して主張することができる。
正解は?
×
株主総会の決議取消しの提訴期間を確認しましょう。
(株主総会等の決議の取消しの訴え)
第八百三十一条 次の各号に掲げる場合には、株主等は、株主総会等の決議の日から三箇月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができる。当該決議の取消しにより株主又は取締役、監査役若しくは清算人となる者も、同様とする。
一 株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき。
二 株主総会等の決議の内容が定款に違反するとき。
三 株主総会等の決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がされたとき。
2 前項の訴えの提起があった場合において、株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令又は定款に違反するときであっても、裁判所は、その違反する事実が重大でなく、かつ、決議に影響を及ぼさないものであると認めるときは、同項の規定による請求を棄却することができる。
提訴期間は三箇月以内です。
以下、判例の内容です。
株主総会決議取消しの訴えを提起した後、商法二四八条一項(会社法第八百三十一条第1項)所定の期間経過後に 新たな取消事由を追加主張することは許されないと解するのが相当である。
昭和48(オ)794 株式会社総会決議取消請求 昭和51年12月24日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
それと今回、2項は省略しませんでした。
実は2項も問われたことがあるんです。
決議取消しを請求
↓
株主総会等の招集手続又は決議方法が法令又は定款に違反
↓
違反する事実が重大でなく、かつ、決議に影響を及ぼさない
↓
請求を棄却することができる
できる。であって、しなければならないではありません。
出された問題は、うろ覚えです。
かつ、を挟んだ前後の文が変えられていたと記憶してます。
いずれ見ることになると思います。
問題
招集権者による株主総会の招集の手続を欠く場合であっても、株主全員がその開催に同意して出席したいわゆる全員出席総会において、株主総会の権限に属する事項について決議をしたときには、この決議は株主総会の決議として有効に成立する。
正解は?
○
この問題も有名な判例ですね。
株主総会を開くためには、決められている手順があります。
手順にそって招集することで、株主は出席の機会を与えれ、議事及び議決に参加することができます。
この手順を省略した株主総会での決議は、原則は無効です。
ですが、問題にある株主総会の招集の手続を欠く場合であっても、株主全員がその開催に同意して出席した全員出席総会の場合は有効であると判断しています。
株主総会の招集の手続を欠いていても
↓
株主全員が開催に同意して出席
↓
有効な株主総会決議
理由
1.株主は招集手続はないけれども開催に同意して出席し、出席の機会を与えられています。
2.議事及び議決に参加し、議決権を有効に行使することができます。
昭和58(オ)1567 敷金返還 昭和60年12月20日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 広島高等裁判所
今日は判例ですので難しかったですね。
ただ、常識的にそうかなってのもありましたよね。
ポイントを把握できれば問題はないと思います。
今日のところはここまでです。
来年もよろしくお願い致します。m(__)m
良いお年を。。。
参考になった場合にポチッとお願いします。
参考にもならなかったけど足跡残したるって方はこちらをポチッと。