おばんです。
今日も一日寝不足気味にスタートを切った訳ですが、何とか無事美味しいお酒が飲めそうです。
今日は、昨日の抵当権の過去問を予習部分も含めてやってみたいと思います。
行政書士試験でも記述式を含め、問われることの多いところです。
今日は平成20年度問31の問題を○×式でやりましょう。
AさんはBさんに金銭を貸し付け、この貸金債権を担保するためにBさん所有の土地の上に建っているBさん所有の建物に抵当権の設定を受けて登記を備えた。
この内容をもとに、民法の規定及び判例に照らして検討しなさいってことですね。
では、早速。
問題
抵当権設定登記後にBが同抵当建物をEに賃貸した場合、BのAに対する債務不履行後に生じた賃料について抵当権の効力が及ぶので、抵当権の実行としてAはこの賃料から優先的に弁済を受けることができる。
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正解は?
○
抵当権設定者B ⇔ 抵当権者A
抵当権設定登記後(債務不履行)
↓ ↓ ↓ ↓ ↙
賃借人E(賃料)
略図ですがこんな感じですね。
これは、昨日やりましたが、まずは最初に辞書です。
債務不履行=債務者が正当な事由がないのに債務の本旨に従った履行をしないこと。履行遅滞・履行不能・不完全履行の三つに大別される。
第三百七十一条 抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。
この条文は、抵当権自体が抵当権設定者に目的物の使用収益する権利があるため、原則的に果実には及ばないっていう規定でした。
今回、Bさんは借りたお金を返すことができていません。
抵当権を設定した後にBさんが受け取った賃料(抵当不動産の果実)から優先してAさんは返してもらうことができますよっていう規定です。
この場合の果実は、法定果実、天然果実を問わないんでしたね。
問題
Aの抵当権が実行された場合、抵当権設定時に建物内に置いていたB所有の家電製品のテレビには抵当権の効力は及ばない。
正解は?
○
これも昨日やりましたね。
付加一体物です。
(抵当権の効力の及ぶ範囲)
第三百七十条 抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産に付加して一体となっている物に及ぶ。
建物と土地は別物の不動産です。
それと付加一体物には付合物と従物がありましたね。
問題のテレビが従物にあたるかってことですが、従物とは、継続的に主物の経済的効用を高めるためのものです。
例えば畳やふすまなどは建物の経済的効用を高めるものですし、安易に切り離しが不可能です。
いやいやいや、外れるでしょって言われれば外れるんですが、それでは、建物の経済的効用を高めません。
テレビはどうでしょう。
建物の効用を高めるものとは言えないでしょうし、移動も安易に出来てしまいます。
建物を売買するときをイメージしてみましょう。
畳やふすまなどは一括して同じ運命をたどると考えられますがテレビはどうでしょうか?
賃貸なんかは残置物として次の人が使用するってこともあるかもしれませんが、売買の場合は置いてあっても処分するのに費用がかかるだけで建物購入者としては望まないんではないでしょうか。
問題
抵当権設定時にB所有の土地の登記名義はCであった場合でも、抵当権実行により買受人Dのために法定地上権が成立する。
正解は?
○
(法定地上権)
第三百八十八条 土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。
抵当権設定者B ⇔ 登記名義人C
(所有権者) (土地の名義人)
抵当権設定登記時
↓ ↓ ↓ ↓
買受人D
(抵当権実行による)
最初にBさん所有の土地の上に建っているBさん所有の建物に抵当権の設定を受けて登記を備えたと条件がありました。
これは、判例もあります。
土地と建物の所有権があれば登記名義まで同一である必要はなく、土地の移転登記が未了であっても法定地上権の適用はあります。
昭和45(オ)989 建物収去土地明渡等請求および建物退去土地明渡等反訴請求 昭和48年9月18日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所
問題
抵当権設定登記後にBが同抵当建物をHに賃貸してHがその旨の登記を備えた場合、抵当権実行による買受人Iからの明渡請求に対して、賃借人Hは、明渡しまでの使用の対価を支払うことなく、6ヶ月の明渡猶予期間を与えられる。
正解は?
×
抵当権設定者B → 建物買受人I
(所有権者) (抵当権実行による買受)
抵当権設定登記後
↓ ↓ ↓ ↓ ↙ (明渡し請求)
賃貸人H
(賃貸借の登記)
(抵当建物使用者の引渡しの猶予)
第三百九十五条 抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(抵当建物使用者)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。
一 競売手続の開始前から使用又は収益をする者
二 強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者
2 前項の規定は、買受人の買受けの時より後に同項の建物の使用をしたことの対価について、買受人が抵当建物使用者に対し相当の期間を定めてその一箇月分以上の支払の催告をし、その相当の期間内に履行がない場合には、適用しない。
普通に考えましょう。
建物の明渡を猶予されても、家賃を払うのは当たり前の話です。
2項にありますが支払いを怠ると六箇月猶予の期限の利益を失う事になってしまいます。
明渡しまでの建物の使用の対価の支払いは必要です。
問題
抵当権設定登記後にBが同抵当建物をFに賃貸した場合、対抗要件を備えた短期の賃貸借であっても、賃借人Fは抵当権実行による買受人Gに対抗できない。
正解は?
○
抵当権設定者B → 建物買受人G
(所有権者) (抵当権実行による買受)
抵当権設定登記後
↓ ↓ ↓ ↓ ↙↗
賃貸人F
(賃貸借の登記)
(不動産賃貸借の対抗力)
第六百五条 不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずる。
おぉ~、登記すれば対抗できるんだって思ったあなた、ちょっと気が早いですね。
その後その不動産について物権を取得した者に対しても、とあるじゃないですか。
この問題は抵当権設定登記後にFさんは建物を借りて賃貸借の登記をしています。
登記は、対抗要件具備の先後によって優劣が決定されるんでしたね。
抵当権設定の方が先ですので、抵当権の実行による買受人には対抗することはできません。
これね、Fさんは抵当権の登記がされた建物ってのを承知で借りているので、買受人のGさんから「抵当権があることをしってて借りたんでしょ。」って言われたら何も言うことはできません。
また、不動産屋さんも抵当権が設定されているってのはキチンと説明しなければなりませんので知らなかったとは言えません。
ただ、このケースでもFさんが買受人Gさんに対抗するべき手段が実はあるんですね。
(抵当権者の同意の登記がある場合の賃貸借の対抗力)
第三百八十七条 登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。
2 抵当権者が前項の同意をするには、その抵当権を目的とする権利を有する者その他抵当権者の同意によって不利益を受けるべき者の承諾を得なければならない。
1項に書かれてますね。
賃貸借を登記する前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をする+その同意の登記するってことです。
まぁ、現実的に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をするってのは、何故抵当権を設定しているのかってことを考えると難しいとは思いますよね。
この内容を見て頂きますと賃貸借の登記と抵当権者の同意の登記は全然別物であるってことが分かっていただけると思います。
この問題の対抗要件ってのは一般的な登記のことで抵当権者の同意の登記ではありません。
仮に同意の登記の問題とするならば、混乱させることはせず、同意の登記と言う言葉が問題に記されるはずです。
ここ注意です。
深く考えると裏側に回りますからね。
長くなりましたが、今日のところはここまでです。
んでまずまた。