おばんです。
今日は地方自治法から住民監査請求を見ていきたいと思います。
似たもので直接請求の六つの中に事務監査請求ってのがありましたので、比較しながら違いを覚えましょう。
よく問われているところですので確実に記憶するように努めましょう。
それでは、条文から。
(住民監査請求)
第二百四十二条 普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもつて予測される場合を含む。)と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によつて当該普通地方公共団体のこうむつた損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。
1項から長いですね。
まず最初に請求権者ですが、一番最初に書かれています。
普通地方公共団体の住民はと言うことで、住民であれば一人でも法人でも請求できるんですね。
住民である限り、年齢、国籍、選挙権の有無を問いません。
直接請求の事務監査請求は、選挙権を有する者と言う要件と政令の定めるところにより、その総数の五十分の一以上の者の連署が必要でした。
違いますね。
ちなみにこの事務監査請求の署名ですが、告示があった日の翌日から起算して1カ月以内に集めなければなりません。
署名活動は告示があった日から行え、あらかじめ署名を集めてから監査を求めることはできません。
また、監査を求める相手ですが、住民監査請求も事務監査請求も監査委員に対して監査の請求を行います。
これは同じです。
住民監査請求は監査委員が監査をするか判断します。
ですが、事務監査請求は議会で監査を行うかが判断されます。
ここが違いますね。
地方自治法施行令
第九十九条 第九十一条から第九十八条まで、第九十八条の三及び前条の規定は、地方自治法第七十五条第一項(事務監査請求)の規定による普通地方公共団体の事務の監査の請求について準用する。
同施行令
第九十八条 略。
2 普通地方公共団体の長は、地方自治法第七十四条第三項の規定による議会の審議の結果を条例制定又は改廃請求代表者に通知するとともに、これを告示し、かつ、公衆の見やすいその他の方法により公表しなければならない。
地方自治法
第七十四条 略。
2 略。
3 普通地方公共団体の長は、第一項の請求を受理した日から二十日以内に議会を招集し、意見を附けてこれを議会に付議し、その結果を同項の代表者に通知するとともに、これを公表しなければならない。
それと求めることができる内容ですが、住民監査請求は、違法若しくは不当な財務会計上の行為や怠る事実があると認めるとき、監査、当該行為を防止し、又は是正等の必要な措置を講ずべきことを請求することができる権利です。
直接請求の事務監査請求は、普通地方公共団体の事務の執行に関して違法若しくは不当な財務会計上の行為や怠る事実だけではなく、事務の執行全般について行えます。
事務監査請求は要件が厳しい分、範囲が広いですね。
2 前項の規定による請求は、当該行為のあつた日又は終わつた日から一年を経過したときは、これをすることができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
住民監査請求は、請求期間の制限があります。
当該行為のあつた日又は終わつた日=違法若しくは不当な財務会計上の行為や怠る事実があった日から一年となっております。
直接請求の事務監査請求はどうだったでしょうか?
事務の執行全般と言うこともあるんでしょう、請求期間の制限はありませんでしたね。
3 第一項の規定による請求があつた場合において、当該行為が違法であると思料するに足りる相当な理由があり、当該行為により当該普通地方公共団体に生ずる回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、当該行為を停止することによつて人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがないと認めるときは、監査委員は、当該普通地方公共団体の長その他の執行機関又は職員に対し、理由を付して次項の手続が終了するまでの間当該行為を停止すべきことを勧告することができる。この場合においては、監査委員は、当該勧告の内容を第一項の規定による請求人に通知し、かつ、これを公表しなければならない。
結構有名なフレーズです。
普通地方公共団体に生ずる回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、当該行為を停止することによつて人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがないと認めるとき、理由を付して次項の手続が終了するまでの間当該行為を停止すべきことを勧告することができる。
ここで条文にあります、次項の手続です。
請求に理由があると認めるときは、普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関又は職員に対し期間を示して必要な措置を講ずべきことを勧告し、勧告の内容を請求人に通知し、かつ、これを公表。
請求に理由がないと認めるときは、理由を付してその旨を書面により請求人に通知するとともに、これを公表。
4 第一項の規定による請求があつた場合においては、監査委員は、監査を行い、請求に理由がないと認めるときは、理由を付してその旨を書面により請求人に通知するとともに、これを公表し、請求に理由があると認めるときは、当該普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関又は職員に対し期間を示して必要な措置を講ずべきことを勧告するとともに、当該勧告の内容を請求人に通知し、かつ、これを公表しなければならない。
5 前項の規定による監査委員の監査及び勧告は、第一項の規定による請求があつた日から六十日以内にこれを行なわなければならない。
六十日以内にこれを行なわなければならないと規定されております。
直接請求の事務監査請求にはこう言った期間はありませんでした。
6 監査委員は、第四項の規定による監査を行うに当たつては、請求人に証拠の提出及び陳述の機会を与えなければならない。
7 監査委員は、前項の規定(請求人)による陳述の聴取を行う場合又は関係のある当該普通地方公共団体の長その他の執行機関若しくは職員の陳述の聴取を行う場合において、必要があると認めるときは、関係のある当該普通地方公共団体の長その他の執行機関若しくは職員又は請求人を立ち会わせることができる。
住民監査請求では、請求人に証拠の提出及び陳述の機会を与えなければならない旨の規定があり、また、陳述の聴取を行う場合に、必要があると認めるときは、関係のある当該普通地方公共団体の長その他の執行機関若しくは職員又は請求人を立ち会わせることができると規定されております。
事務監査請求は監査をし、結果を報告するだけのようですので随分違いますね。
8 第三項の規定による勧告(停止勧告)並びに第四項の規定による監査及び勧告(住民監査請求)についての決定は、監査委員の合議によるものとする。
住民監査請求の監査及び勧告についての決定は監査委員の合議によるものです。
また、直接請求の事務監査請求は監査の結果に関する報告の決定は監査委員の合議によるものとなっております。
9 第四項の規定による監査委員の勧告があつたときは、当該勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員は、当該勧告に示された期間内に必要な措置を講ずるとともに、その旨を監査委員に通知しなければならない。この場合においては、監査委員は、当該通知に係る事項を請求人に通知し、かつ、これを公表しなければならない。
最後は結果ですね。
勧告に従い必要な措置を講じ、その旨を監査委員に通知する。
監査委員は、通知に係る事項を請求人に通知し、かつ、公表する。
無事、地方財政の健全性が図られることとなりました。
めでたしめでたし。。。
最後にポイントを一つ。
住民監査請求は、監査の結果に不服がある場合には住民訴訟を提起することができますが、事務監査請求については、訴訟等で争うことはできません。
住民監査請求は、違法又は不当な財務会計上の行為に関するものでしたね。
大切な財務に関するものだけは訴訟を認めるってことです。
確かに、事務監査請求は事務の執行全般についてですので、財政に関わらない、些細な事項についても監査請求をすることができます。
何でもかんでも訴訟って訳には行きませんよってことですね。
今日のところはここまでです。
んでまずまた。