おばんです。
今日は昨日に引き続き遺言を見ていきたいと思います。
遺言は民法の第九百六十条の総則から遺言の撤回及び取消しの第千二十七条まであります。
いつものように過去に問われたものを中心にやりますね。
それと、遺言は民法の第五編の相続の中の第七章にあるんですが、以下に続き節、款と細かく分かれております。
第三編の債権に至っては最少が第三編第○章第○節第○款第○目まであるんですね。
ちょっとこの辺の構造も面白いと思い書いてみました。
それでは、今日も始めましょう。
第三節 遺言の効力
(遺言の効力の発生時期)
第九百八十五条 遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。
2 遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる。
遺言の効力は遺言者が死亡したとき、条件が成就したときから生じます。
(遺贈の放棄)
第九百八十六条 受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる。
2 遺贈の放棄は、遺言者の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。
遺贈の放棄は遺言者の死亡後、いつでもすることができ、そして、死亡の時に遡って効力が生ずるとあります。
例えば遺言者の死亡後、半年たって放棄した場合、亡くなった時に放棄したものとなります。
(受遺者に対する遺贈の承認又は放棄の催告)
第九百八十七条 遺贈義務者(遺贈の履行をする義務を負う者)その他の利害関係人は、受遺者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をすることができる。この場合において、受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは、遺贈を承認したものとみなす。
ポイントは、意思表示をしない場合は承認したものとみなされるってことです。
(遺贈の承認及び放棄の撤回及び取消し)
第九百八十九条 遺贈の承認及び放棄は、撤回することができない。
遺贈の承認や放棄は他人の利害に関係する行為ですので、撤回により不測の事態が発生するのを防止するため認められておりません。
ですが、制限行為能力者が単独で承認や放棄をした場合、詐欺や強迫による承認や放棄などは、撤回が認められる点には注意が必要です。
(包括受遺者の権利義務)
第九百九十条 包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。
包括と言うことは、全体をひっくるめてまとめることでしたね。
同一の権利義務っていうのも分かるような気がします。
(受遺者の死亡による遺贈の失効)
第九百九十四条 遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。
2 停止条件付きの遺贈については、受遺者がその条件の成就前に死亡したときも、前項と同様とする。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
これは、理解できますね。
遺贈される相手が先に亡くなっている訳ですから、効力を生じさせても遺贈する側の意思が無になっちゃいますからね。
但し書きに、別段の意思を表示したときはその意思に従うとあります。
受遺者の相続人でも良いよって場合ですね。
(遺贈の無効又は失効の場合の財産の帰属)
第九百九十五条 遺贈が、その効力を生じないとき、又は放棄によってその効力を失ったときは、受遺者が受けるべきであったものは、相続人に帰属する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
(負担付遺贈の受遺者の免責)
第千三条 負担付遺贈の目的の価額が相続の限定承認又は遺留分回復の訴えによって減少したときは、受遺者は、その減少の割合に応じて、その負担した義務を免れる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
負担付遺贈の場合は、あくまで遺贈される目的の価格内で負担をするってことです。
ですので、減少したときはその割合で負担する義務を免れるって言う訳です。
第四節 遺言の執行
(遺言書の検認)
第千四条 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。
ここで辞書ですね。
検認=遺言の有効・無効を判断する手続ではなく、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続
遺言書には、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言とありましたね。
公正証書遺言は、公証人が作成しているので、改ざんや偽造される可能性はないので検認手続きをする必要はありませんが、自筆証書遺言と秘密証書遺言が検認の対象となります。
(過料)
第千五条 前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。
罰則があるんですね。
勝手には開けられません。
ですが、開けたからと言って遺言が無効になることはありません。
家庭裁判所で検認するのは、遺言書について偽造の疑い等をなくし、相続手続きをスムーズに行なうためのものですので、検認を行わなかった場合、スムーズに進めることはできず、相続登記や預貯金の解約などができないなど、弊害がともないます。
(遺言執行者の指定)
第千六条 遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
2 遺言執行者の指定の委託を受けた者は、遅滞なく、その指定をして、これを相続人に通知しなければならない。
3 遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければならない。
遺言執行者の指定は、遺言で指定し又は遺言で委託できると書かれています。
生前行為ではできないんですね。
遺言の執行者は第三者に指定を委託することもできます。
指定した場合の通知義務や辞職する場合の通知義務も定められております。
(遺言執行者が数人ある場合の任務の執行)
第千十七条 遺言執行者が数人ある場合には、その任務の執行は、過半数で決する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
2 各遺言執行者は、前項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。
過半数で決する、各遺言執行者は保存行為をすることはできるってとこがポイントです。
(遺言執行者の報酬)
第千十八条 家庭裁判所は、相続財産の状況その他の事情によって遺言執行者の報酬を定めることができる。ただし、遺言者がその遺言に報酬を定めたときは、この限りでない。
遺言執行者の報酬は相続財産等の事情により、家庭裁判所が決めるんですね。
但し書きがありますので、基本が家庭裁判所、ただしってことですね。
第五節 遺言の撤回及び取消し
(遺言の撤回)
第千二十二条 遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。
撤回するには方式に従ってするとあります。
これは、方式に従っていれば良いわけで、必ずしも自筆証書遺言は自筆証書遺言の形でしなければならない訳ではありません。
ここはポイントです。
(前の遺言と後の遺言との抵触等)
第千二十三条 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
これは重要なところです。
過去にも問われていますので確実に覚えておきましょう。
(遺言書又は遺贈の目的物の破棄)
第千二十四条 遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす。遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したときも、同様とする。
(遺言の撤回権の放棄の禁止)
第千二十六条 遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができない。
これは、遺言者が、受遺者との間で遺言は撤回しないと契約を結んだ場合でも、その契約自体が無効であり、遺言者は遺言を撤回することができますよって規定です。
遺言者の最後の意思ですからね。
尊重されるべき意思決定と言うことです。
(負担付遺贈に係る遺言の取消し)
第千二十七条 負担付遺贈を受けた者がその負担した義務を履行しないときは、相続人は、相当の期間を定めてその履行の催告をすることができる。この場合において、その期間内に履行がないときは、その負担付遺贈に係る遺言の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
これは、受遺者が負担付遺贈を履行しないときに、本来相続すべき相続人が負担を履行しなさいよと催告できる旨の規定です。
貰うだけ貰って履行しないんかいって言うことです。
相当の期間を定めて催告しても履行しないとき、遺言の取消しを申し立てることができると規定されております。
負担を負うと言う遺贈ですからね。
当たり前ですね。
貰い得は許されません。
全体として、遺言者の最終意思を尊重するってことが十分に理解できる内容です。
ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従うの記載が多々ありますからね。
今日のところはこんなところで。。。
んでまずまた。