おばんです。
少し行政法が続きましたので今日は民法をやろうと思います。
先日、同期の先生と遺言について電話でお話をしました。
昨日も、あるところでそんな話題になりまして、ちょっと勉強したらって誰かに言われているような気がしたので今日のタイトルです。
遺言(ゆいごん)とは、
死後のために生前に言い残す言葉。
自分の死後のために、財産の処置などを言い残すこと。
と出てきます。
条文を確認してみましょう。
第九百六十条 遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。
この遺言(ゆいごん)、第九百六十条にこの法律に定める方式に従うとあります。
この定められた方式に則って、自分の死後に法律上の効果を発生させる目的で書くものが遺言(いごん)書となります。
ゆいごん=いごんは同じものなんですが、法律に携わる方には、法律上の効果ってところを重視するからなのでしょうか、いごんと表現する方が多いようです。
第九百六十一条 十五歳に達した者は、遺言をすることができる。
第九百六十二条 第五条(未成年者の法律行為)、第九条(成年被後見人の法律行為)、第十三条(保佐人の同意を要する行為等)及び第十七条(補助人の同意を要する旨の審判等)の規定は、遺言については、適用しない。
第九百六十五条 第八百八十六条(相続に関する胎児の権利能力)及び第八百九十一条(相続人の欠格事由)の規定は、受遺者について準用する。
第九百六十三条 遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。
十五歳に達した者、制限行為能力者も遺言をすることができます。
成年被後見人ついてのみ、要件が定められております。
第九百七十三条 成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない。
2 遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押さなければならない。ただし、秘密証書による遺言にあっては、その封紙にその旨の記載をし、署名し、印を押さなければならない。
遺言をする内容については以下に定められております。
第九百六十四条 遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。ただし、遺留分に関する規定に違反することができない。
ここで辞書です。
包括=全体をひっくるめてまとめること。
特定=特にそれと指定すること。
遺留分=相続人に法律上確保された最低限度の財産。
何となくイメージできると思います。
包括は、全ての財産を○人で○分の一ずつとか、特定は土地は○○へ山は○○へとかですね。
遺留分は法律上認められた権利です。
これに違反することはできません。
亡くなった方の意思は尊重すべきですが、例えば、「自分が死んだら全財産を寄付します」と言う遺言書が出てきた場合、遺留分権利者がそれで良いと納得していれば問題ありませんが、身体も悪いし働くこともできない、生活するためにはってこともあるでしょう。
第千三十一条 遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。
この遺留分の減殺請求は、受遺者又は受贈者に対し意思表示で行えます。
必ずしも裁判上の請求による必要はありません。
それでは、どのくらい行使できるのかってとこですが。
第千二十八条 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
一 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一
二 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の二分の一
まず、兄弟姉妹以外の相続人とあります。
そうです。
兄弟姉妹には遺留分はありません。
と言うことは、直系尊属(父母)は三分の一とあり、前号に掲げる場合以外(配偶者、子)は二分の一と決められております。
具体例
1500万円の財産を残して亡くなった場合
父母は500万円(二人でですので一人当たり250万円です)、配偶者又は子は750万円(二人でですので一人当たり375万円です)。
残りは被相続人の意思で自由に処分できます。
父母のみの場合、1000万円、配偶者又は子の場合、750万円は意思通りに処分することができるってことです。
第千四十二条 減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。
最初に戻ります。
この法律の定める方式とは?
第九百七十五条 遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。
第九百六十七条 遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。
普通の方式が三種類ありますよと書かれています。
特別の方式も許されるんですね。
第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
自書や印など条件がありますけど、これが一般的なものなんでしょうね。
第九百六十九条 公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人二人以上の立会いがあること。
二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
三 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
四 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
五 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
第九百七十条 秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
二 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
三 遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
四 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
2 第九百六十八条第二項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。
第九百七十四条 次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。
一 未成年者
二 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
三 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
推定相続人や未成年者が遺言の証人です、立会人ですって言うのは普通に考えて?おかしくねってなりますよね。
最後に特別方式による遺言です。
第九百七十六条 死亡の危急に迫った者の遺言
第九百七十七条 伝染病隔離者の遺言
第九百七十八条 在船者の遺言
第九百七十九条 船舶遭難者の遺言
と四つ民法には記載されております。
中身は時間があるときにでも確認していただければと思います。
あっちいったりこっちいったりしてしまいましたが、今日のところはこんなところで。
んでまずまた。