ケルン市立歴史文書館続報・ホルガー・ジモン博士インタビュー | 緑の錨

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歴史家の山本尚志のブログです。日本で活躍したピアニストのレオ・シロタ、レオニード・クロイツァー、日本の歴史的ピアニスト、太平洋戦争時代の日本のユダヤ人政策を扱っています。

デジタル・ケルン歴史文書館のHPで、連絡先として『プロメテウス』があげられていますが、その代表者として名前の挙がっている研究者が、ホルガー・ジモン博士(PD Dr.Holger Simon)です。

さて、ジモン氏が、3月13日という比較的早い時期に、デジタル・ケルン歴史文書館についてインタビューに答えておりますので、紹介しておきます。このインタビューからも、ジモン氏が歴史研究者として史料について見識があり、Web-2.0の方法論によって、インターネットの力で悲劇的な状況を克服はできないまでも、状況を改善したいと考えていることが読みとれるように思います。

Digitale Schatzkiste für Kölner Archivgut

私は前に書きましたように、少なくとも規模の非常に大きなデジタル史料館に関しては、Web-2.0に依拠したシステム構築に懐疑的なのですが、それでも、ジモン氏の語っている内容がきわめて理想主義的で、善意に満ちていて、力強いものであることに感銘を受けました。

私はデジタル文書館というシステムにおいて、アクセスする人たちによる自発的なチェックと、その結果のデジタル文書館に対する反映が、専門家による慎重な管理に代わり得るものではないと思っています。

そこで、私の意見としては、デジタル・ケルン歴史文書館の立ちあげに際して見られた理想主義と自発的な献身を維持したまま、史料の吟味と目録作成についてはやや慎重に、デジタル文書館構築を進めていくことになればよいと期待しています。

いずれにしても、現在、進行中と伝えられている、デジタル・ケルン歴史文書館の人々と、ケルン市立歴史文書館のアーキヴィストたちによる共同作業が実現して、堅実に問題に対処すれば、建設的な方向を見いだせるのではないかと思います。