素顔を描く『東条英機と阿片の闇』 太田 尚樹 | ぷぷぷ日記

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更新は思いついたとき。

大東亜戦争ものって、ぼちぼち冊数を読んできたつもりだけど、
何もわかってない自分に また気づく。「東条ってこんな人だったのか~~~」と。

東条といえば、「過激な陸軍をひきいて太平洋戦争に突入した大立者」 と思ってたけど、
この本によると、そうではない。東条は、気が小さくて、小役人タイプのマジメな男。
リーダーシップもカリスマ性もなく、陸軍のトップになったのも、ホントたまたま・・・・
人に「何で、あいつが大役に?」と言われるような人物だったようです。

 なるほど・・・・マリアナ沖大敗のあと、東条が首相を降りても、なかなか終戦にならなかったのが不思議な気がしたのですが、東条が陸軍をひっぱって戦争をやっていたわけでなく、単に押されて役をこなしていただけとすれば、納得できます。東条も、やはり開戦時に不戦をとなえて「臆病者」のレッテルを貼られれば、危うい立場になったと筆者はのべています。

この本でショックだった事実は、関東軍が阿片を資金源とするため生産地を占領したり生産者から買い上げ売りさばき・・・・と大々的に阿片を商売にしていたこと。結果的に、敵側に資することにもなっていたそうな。東条はこれで個人的にも莫大な蓄財をして、後の政治運動資金にあてたそうです。 
 日本人が中国で、廃人を量産する阿片という汚い商売をせっせとやっていたことが、とても残念です。

もうひとつは、日本の情報管理のワケのわからないお粗末さ。
東条いわく、海軍がミッドウェーでひどい損害をこうむったことを、具体的に知らなかったというのです。負けたくらいはわかっていたが、主要な空母を失う大損害だったとは思わなかったらしい。
海軍の戦力がそんなにないと知ってたら、わしはインパールはやらなかった、だそうです。

はあ? ですよね。 

首相が海軍の戦力を知らずに、どうやって適切な判断ができるというのでしょう。
海軍が、艦が沈むたびに生存者を隠したり激戦地へ送ったりして沈没を秘した…
というのは、あくまで国民の士気をそがないためだと思ってました。まさか大本営にも隠していたとは???? 陸軍憎し、だけのことでしょうか。
陸軍と違って世界の現実を知っている海軍は戦況の苦しさ、この戦争の無謀さがよくわかっていた、という話をよく聞きますが、これでは陸軍ときちんと情報をやらなかった海軍のせいで暴走が止まらなかった、とも言えます。インパールだけではありません。ガダルカナルなんかも、どうなんでしょう? 補給ができないなんて、陸軍は知らなかったのでは??? 

あきれますね。日本人っていったい、って思ってしまいます。戦争責任は誰のものでしょうか。
●前線の様子も戦力も把握していなかった大本営。そこで面子のためか保身のためか情報交換がきちんとできなかった幹部たち。
●やたら精神論に走って無謀な作戦を実行した将官たち。
●日本は負けるとわかっていても、長いものにまかれて発言しなかった将官、政治家たち。
●東条も止まることができないくらい、暴走していた過激右翼な将兵。軍人だけでなく、民間人にももちろん過激な人間がたくさんいて、要人を暗殺するくらい行動力がありました。
●日本の進撃に浮かれていた一般の日本人。日露戦争後のポーツマス条約を不満とした「日比谷焼打ち事件」以降、日本人はどんどん好戦的になっていたのでは・・・
●日本の世論を好戦的にした新聞、ラジオ。アジア人を差別的に見下し、すぐれた日本人は西洋人には負けてはならないという論調を盛り上げ続けた。

日本人は戦争責任はA級戦犯のえらかった人のものだと思っている。
庶民は召集にとられたり空襲にあったり、ひたすら被害者だと思っている。
ほんとうにそうでしょうか。
責任はもっと細かく考えて見なければならないのでは・・・A級戦犯だけが悪かったという話ではないでしょう。
このままでは、次の時代へ行ってはいけない、と思いました。