新潮文庫 ローマ人の物語6・7(単行本では ローマ人の物語 第3弾)
ローマ人たちが小さな国で共和政を始めたのが前509年。本編『勝者の混迷』の年表はカルタゴを滅亡させた前146年から始まっている。ローマ人たちはここまでで共和政を350年間続けてきたことになる。
カルタゴの強敵に翻弄される中、政治の約束事にいろいろな特例を設けたり法を変えたりして戦時を乗り切ったローマ人たちだった。しかし、非常事態を乗り切った今、ローマは地中海全域に影響を及ぼす大国となり、内政問題が大事となる。政治のかたちも変革を迫られる時期に来た。
国の成長をつぶさに見ていくのがこの物語のおもしろさであるが、本編では政治の基本について、その原点を洗い出すようなエピソードの連続である。
●特権階級と貧困層の格差をどう解決すればよいか
●外国から安い食料が輸入されると自国の農民がたちゆかなくなる
●貧困層に福祉を与えても仕事がなければ解決にはならない
●選挙権は属州民にも与えるべきか
このような問題を解決すべく、平民代表のクラッスス兄弟や独裁権をもって元老院補強を試みたスッラなどの改革の闘いが興亡する。これを読んでいると政治の問題というのはいつの世も同じなんだなと実感させられる。改革者それぞれが信念を持ち、良かれと思って改革を断行しようとするが、損をする者の妨害にあったり多くの理解を得られなかったり、思惑どおりに事態が進展しなかったり・・・で無常に散っていく。ああ。筆者は良い信念がなくとも結果としてよい政治になることもある、などとも書いている。それもまた真理だ。
めずらしく政治について端的に、また素直に考えさせられるおもしろい一編でした。
- ローマ人の物語 (6) ― 勝者の混迷(上) (新潮文庫)/新潮社

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