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茨城大学人文社会科学部正保研究室

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必要があって宮口幸治氏の『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮新書)を再読しました。同書では非行少年の認知機能の問題に着目し、コグトレという方法で認知機能を強化することで非行少年の抱える問題を解決しようとします。その中で、同書第7章(p.146〜)では「ではどうすれば?一日5分で日本を変える」と題して、「朝の会の1日5分でできる」として、以下のような計算式が示されています。一日5分の実施、これを週に4回を1年で32週(1,2学期各12週+3学期8週)=計128回、5分✕128回=640分≒約10時間というものです。

うーん、これはモジュール方式を含む月1回1時間(1,2学期計8回、3学期計2回)、1時間✕10回=10時間の『10時間で学校が変わる!楽しく学べるグループワーク』と発想・所要時間が似てはいまいか。「子どもの心を傷つけない」というところも同じです。

違うのはコグトレがいわゆるプリントによるドリル学習中心であるのに対して、『10時間で学校が…』はグループワーク体験であること。どちらがいいかは一概には言えず、ドリル学習は教室で手軽に行うことができるメリットがあり、グループワークは他者と楽しく関わることができるというメリットがあります。

ただ、書籍の売上実績では『ケーキの切れない…』(25万部)に到底及びません(涙)。別のところで宮口氏は「オビのイラストの衝撃が大きかったんじゃないですかね」と言っておられますが、うーんそれだけかなあ。

石川県川北町立中島小学校さんでスゴロクトーキングを実施していただきました。

 

さまざまなやりとりの様子が記述されていて、楽しげなようすが伝わってきます。

ありがとうございました。

 

 

放課後デイPLATZ古江さんでスゴロクトーキングを使っていただきました。

一見シートは違いますが、中をみると全く同じですね。

どうしてこういうやり方をされたのかはわかりません。

早めに新バージョンに移行されることをお勧めします。

 

2024年11月30日付け茨城新聞【茨城論壇】です。

 

 本年4月に『10時間の授業で学校が変わる! 楽しく学べるグループワーク』(金子書房)を出版以来、県内外あちこちの学校でその内容が実践されています。それに伴い、それらの学校で行われている実際の授業を参観する機会が増えてきて、先日も10月(「ワンワード」など)、11月(「私は有名人」など)のグループワーク授業を複数の学校で見せていただきました。

そこで目を引いたことはパワーポイントを使ったインストラクション(ワークのやり方の説明)で、それにより単に話し言葉だけで伝えるのではなく、視覚情報で伝えることもできるし、イラストなども使用して生徒の興味を引くこともできていて、これは私も真似したいと思いました。

 一方、そのインストラクションを聞いている生徒たちの顔を見ていると今ひとつ物足りなさを感じたところもありました。「やってみよう!」という生き生きとした意欲に満ちた生徒たちの表情はあまり見られず、どこか教科の授業の延長的な雰囲気でした。これは一体何だろうと考えて気がついたのは、伝達内容が認知的情報中心だったことです。

心理学ではしばしば人間の心を認知、感情、行動の3側面に分けて捉えます。例えば、1枚の風景写真を見たとして、それがいつどこの写真かを考えるのは認知機能です。一方、そんなこととは無関係にその写真が好きか嫌いかを感じるのが感情機能です。そして、自分もそこへ行ってみようとアクションを起こすのが行動機能です。これらの3機能のバランスが取れているのが理想的な状態です。

 グループワークのインストラクションにおいても同様のことが言えて、本来なら、どうするかを説明した後(認知)、先生自らが実際にやって見せて(行動)、なんだか面白そうだ!という気持ちを起こさせて(感情)、それを生徒たちの活動(行動)につなげることが望まれます。

 パワーポイントを使ったインストラクションは何をどうするかという情報の伝達が中心で、それは専ら認知機能に働きかけますが、その先の感情機能、行動機能への働きかけが不十分と思いました。また、このことと関連して、大学生のアシスタントや教育実習生にモデルをやらせた先生はおられましたが、実際に自分でやってみせた先生はほとんどいなかったことも気になりました。もし、先生自らが生徒たちの前で身体を張って実際にやってみせていたら、生徒たちはもっと積極的に参加しただろうなと思った場面がいくつかありました。

 そもそも今回見学したワークはいずれも出たところ勝負のような内容のワークなので、先生が実際にやって見せることには、ひょっとしたら失敗するかもしれないというリスクが伴います。ここで、普段学校で生徒たちを評価する立場にある先生はそのリスクを取ることを無意識のうちに避けているのかしれないと推測しましたがどうでしょうか。しかしそこで先生がリスクを省みずにやってみせることで初めて生徒たちに伝わるものもきっとあると思います。

 アメリカの教育学者のウィリアム・ウォード(1921-1994)は「平凡な教師はただしゃべる。良い教師は説明をする。優れた教師はやってみせる。偉大な教師は生徒の心に火をつける」と言いました。先生自らがやってみせ、そして生徒たちの心に火をつけることができたらグループワークはもう半分以上終わったようなものです。生徒たちはきっと進んで意欲的にワークに取り組むでしょうし、結果的にそのことは先生方を助けることにもつながるのです。

 

中学校1年生の11月の授業「5つの扉」「お見立て」「私は有名人」を参観してきました。担任は若い先生でしたが、要を心得たインストラクションでうまく進行されていました。生徒たちの反応もとてもよく、みんな笑顔でワークに取り組んでいました。特に「お見立て」「私は有名人」では「なり切り感」が素晴らしく、単に課題をこなすのではなくその人になり切って楽しむ体験ができていたと感じました。

一方、先日の投稿でも指摘しましたが、インストラクションで先生が実際に自分でやって見せる場面はなく、リアリティの伝わり方では少し物足りなさを感じました。※

この辺りのことについては今週末(11月30日)発行の茨城新聞「茨城論壇」に書かせていただきました(発行後【茨城論壇】のページにアップします)。

他方、都合で参観できなかった昨日の他校の授業では担任の先生と学年主任の先生が熱のこもった「掛け合い」(多分「私は有名人」)をされ、生徒のやる気が一気に盛り上がったと聞きました。見てみたかったです。

特性の生徒の対応をされていた支援の先生の「これ(「私は有名人」)、大人がやっても面白い!」という感想も嬉しかったです。

※書籍本文には「以下の手順を、一度全員の前で演じます」と繰り返し記載してあります。

 

 

昨日は県立茎崎高校で研究授業に参加しました。

授業は「ライフスキルを高める心理学」で、内容は『10時間の授業で学校が変わる!』から10月の授業内容「知ってるよ!」「それはちょうどいい!」「シェアードストーリー」の3つ(本来ならこの後に「ワンワード」が来るけど45分授業ということもあって割愛)。

 

「知ってるよ!」実施に先立ってキャンパスエイドの大学生たちがデモンストレーションを実施。

 

A「タイムマシンが発明されたよ!」

B「知ってるよ! 今度試乗会があるんだよ!」

C「知ってるよ! 料金がすっごく高いんだよ!」

D「知ってるよ! でも1回1000円で乗れるんだよ!」

・・・・・

「でも1回1000円で乗れるんだよ!」はその前の「料金がすっごく高いんだよ!」を否定しているので「イエスアンド」になりません。大学生はどうやらワークの本質をよく理解しないままデモンストレーションをしているようでした。「1回100万円なんだよ!」と言っていればその後の発展の可能性が広がったと思いました。

先日、参観した茨城大学教育学部附属中学校のワークでも教育実習生がデモンストレーションをやっていましたが、どれだけ理解していたのかは不明(特に問題場面は見なかったが)。

先生方は使えるマンパワー(大学生)があるとそれを使おうとしますが、自分もそこに参加するべきと思いました。参加することにはリスクが伴いますが、授業者自らがリスクを負って「してみせる」ことでメンバーに伝わるものがあると思います。

思い出してみると、絹川友梨さんのワークショップに何度も参加しましたが、彼女がデモンストレーションを誰かに「任せた」ことはなかったハズ。いつも自分(と誰か)がやっていました。これって結構大事なことだと改めて気がつきました。

スゴロクトーキングの英語版です(禁無断転載)。

日本語版が新しくなったのに合わせて、新しく作成しました。

英語学習にも使えますし、異文化交流にも使えます。

個人でご利用になるのは構いませんが、その他の媒体等に転載されることは禁止します。

 

 

英文のチェックに当たり元明海大学教授の白野伊津夫先生にご示唆をいただきました。

記して感謝申し上げます。

 

10月11月と続けて学校実践を参観していてもう一つ気になることがありました。

シェアリングです。

10月の授業は「ワンワード」で、11月の授業は「私は有名人」で一連のワークが終わりますが、参観した授業では最後のワークが終わるとすぐに「はい、それじゃあ机元に戻して~」「次は◯◯で~す」という形で授業が終わりました。

「私は有名人」では、子どもたちがとても盛り上がっていたので、いきなりそれが終わった感があり、少し拍子抜けした印象がありました。

私はシェアリングを殊更重視するシェアリング至上主義者ではありませんが、それでも一連のワークの後には少しでいいのでワークでの体験の余韻を味わう時間が欲しいと思っています。

そんなに難しいことではなく、それぞれが感じたことをグループ内で一人一言話すだけでいいのです。

「私は有名人」であれば3~4人一組ですから多分1分もあればできます。

感想を一言話すだけで、①自分の感じたことを言葉にする振り返り、②それを口に出すカタルシス、③他者の体験を聞くことによる体験の立体化が期待できます。きっとその体験はワークでの体験をより豊かなものにしてくれると思います。