茨城新聞【茨城論壇】への寄稿が本年2月に終了しました。
これを受けて、全11回の記事をpdfファイルにまとめました。
本ブログに掲載したいところですが、pdfファイルのアップはできません。
希望される方にはメール送信しますので下記アドレスまでご連絡ください。
haruhiko.shobo.prof@vc.ibaraki.ac.jp
9.4MBありますので受信フォルダの容量にご注意ください。
2023年4月から茨城新聞【茨城論壇】に連載してきたコラムも今回が最終回です。
グループワークをテーマとして書いてきましたこの連載も今回が最終回です。現在、拙著に基づき、多くの学校で毎月1回、年間計10回のグループワーク授業が実践されています。最終回に当たり、それらの学校の中から茨城大学教育学部付属中学校(実施学年1〜3学年)、水戸第一中学校(同1〜3学年)、藤代南中学校(同1学年)にお邪魔して、生徒さんと先生方にお話を伺ってきました。
まず、生徒さんも先生方も「楽しかった」「もっとやりたい」という声がほとんどでした。生徒さんでは「他クラス・学年全体でもやりたい」「来年もやりたい」「高校に行ってもやりたい(3年生)」という声がありました。友だちが増える、友だちを理解できる、男女の仲が良くなる、などといったことがその理由です。
先生方からも「子どもたちの表情がいい」「人間関係が築かれ、変容していく」「男女の壁がなくなる」といった声がありました。また近年のコロナ禍により経験の幅が限られていた子どもたちの人間関係を拡げることに効果的だったという声も多くありました。さらに中1での実践は「いい中学校生活のスタートが切れる」「小規模小学校出身者が新しい環境になじむのをサポートしてくれる」という声がありました。
また、先生方は必ずしもグループワークの実践経験が豊富だったわけではなかったのですが、水戸一中、藤代南中では実施に先立って先生方対象のワークショップを開催したことが効果的だったようで「紙に書かれたものを読むのと実際に体験するのは全く違う」という声が多くありました。これはいわゆる「グループワークあるある」で「やってみないと分からない」ということです。さらに、先生方からは他の人にファシリテーター役を務めてもらえれば、自身が生徒と一緒に活動することができ、生徒と新しい関係を築いていくことができそうだ、という声もありました。確かにそれは魅力的です。
生徒さん、先生方含めて特定のワークに偏ることなく、多くのワークについて言及がありましたが、意外なところでは、ワークで小グループをつくる際にしばしばトランプを使って小グループをつくり、授業途中でトランプを交換してグループをつくり直すのですが、それが人間関係を拡げる、という思わぬ効用の指摘もありました。
校長先生からは、こんにち、対話的・主体的な学びの推進が求められている中で、グループワークは学びの前提となる協調性を育ててくれるというご指摘や、従来は先輩教員が学級経営力を高めるための経験則を若手に伝えていたが、グループワークがそれをカバーしてくれるというお話もありました。確かにグループワークのファシリテートは正しく「集団指導」なので、結果的に先生方の学級経営力を育てることにつながります。
不登校については欠席状態の生徒さんはそもそも参加できないことが以前より課題となっていましたが、各校共、不登校生徒の新規発生をかなり抑えることができているとのことで、活動を継続していくことで将来的に全体数を大幅に減らすことが可能であると考えられました。
学校は子どもたちが集まる場所です。そこに集まった子どもたちの人間関係をグループワークで活性化することで多くの効果が得られます。4月になるとまた新学年・新学期が始まりますが、「始業式の後にグループワークをしたのが良かった」という声があったことを紹介して、連載を終えたいと思います。
必要があって宮口幸治氏の『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮新書)を再読しました。同書では非行少年の認知機能の問題に着目し、コグトレという方法で認知機能を強化することで非行少年の抱える問題を解決しようとします。その中で、同書第7章(p.146〜)では「ではどうすれば?一日5分で日本を変える」と題して、「朝の会の1日5分でできる」として、以下のような計算式が示されています。一日5分の実施、これを週に4回を1年で32週(1,2学期各12週+3学期8週)=計128回、5分✕128回=640分≒約10時間というものです。
うーん、これはモジュール方式を含む月1回1時間(1,2学期計8回、3学期計2回)、1時間✕10回=10時間の『10時間で学校が変わる!楽しく学べるグループワーク』と発想・所要時間が似てはいまいか。「子どもの心を傷つけない」というところも同じです。
違うのはコグトレがいわゆるプリントによるドリル学習中心であるのに対して、『10時間で学校が…』はグループワーク体験であること。どちらがいいかは一概には言えず、ドリル学習は教室で手軽に行うことができるメリットがあり、グループワークは他者と楽しく関わることができるというメリットがあります。
ただ、書籍の売上実績では『ケーキの切れない…』(25万部)に到底及びません(涙)。別のところで宮口氏は「オビのイラストの衝撃が大きかったんじゃないですかね」と言っておられますが、うーんそれだけかなあ。
茨城県立岩瀬高校さんの総合的な探求の時間でのスゴロクトーキングの様子が、茨城県教育委員会のHPで紹介されていました。
岩瀬高校さんでは2024年5月9日に私も授業でスゴロクトーキングを実施しましたが、写真がその時のものかどうかはわかりません。
ありがとうございました。
石川県川北町立中島小学校さんでスゴロクトーキングを実施していただきました。
さまざまなやりとりの様子が記述されていて、楽しげなようすが伝わってきます。
ありがとうございました。
クラーク記念国際高校さんでスゴロクトーキングを活用していただきました。
こちらの学校は旧知の知人が先生を務めておられます。
多分、その先生のご指導かな?と。
ご活用、ありがとうございます!
放課後デイPLATZ古江さんでスゴロクトーキングを使っていただきました。
一見シートは違いますが、中をみると全く同じですね。
どうしてこういうやり方をされたのかはわかりません。
早めに新バージョンに移行されることをお勧めします。
2024年11月30日付け茨城新聞【茨城論壇】です。
本年4月に『10時間の授業で学校が変わる! 楽しく学べるグループワーク』(金子書房)を出版以来、県内外あちこちの学校でその内容が実践されています。それに伴い、それらの学校で行われている実際の授業を参観する機会が増えてきて、先日も10月(「ワンワード」など)、11月(「私は有名人」など)のグループワーク授業を複数の学校で見せていただきました。
そこで目を引いたことはパワーポイントを使ったインストラクション(ワークのやり方の説明)で、それにより単に話し言葉だけで伝えるのではなく、視覚情報で伝えることもできるし、イラストなども使用して生徒の興味を引くこともできていて、これは私も真似したいと思いました。
一方、そのインストラクションを聞いている生徒たちの顔を見ていると今ひとつ物足りなさを感じたところもありました。「やってみよう!」という生き生きとした意欲に満ちた生徒たちの表情はあまり見られず、どこか教科の授業の延長的な雰囲気でした。これは一体何だろうと考えて気がついたのは、伝達内容が認知的情報中心だったことです。
心理学ではしばしば人間の心を認知、感情、行動の3側面に分けて捉えます。例えば、1枚の風景写真を見たとして、それがいつどこの写真かを考えるのは認知機能です。一方、そんなこととは無関係にその写真が好きか嫌いかを感じるのが感情機能です。そして、自分もそこへ行ってみようとアクションを起こすのが行動機能です。これらの3機能のバランスが取れているのが理想的な状態です。
グループワークのインストラクションにおいても同様のことが言えて、本来なら、どうするかを説明した後(認知)、先生自らが実際にやって見せて(行動)、なんだか面白そうだ!という気持ちを起こさせて(感情)、それを生徒たちの活動(行動)につなげることが望まれます。
パワーポイントを使ったインストラクションは何をどうするかという情報の伝達が中心で、それは専ら認知機能に働きかけますが、その先の感情機能、行動機能への働きかけが不十分と思いました。また、このことと関連して、大学生のアシスタントや教育実習生にモデルをやらせた先生はおられましたが、実際に自分でやってみせた先生はほとんどいなかったことも気になりました。もし、先生自らが生徒たちの前で身体を張って実際にやってみせていたら、生徒たちはもっと積極的に参加しただろうなと思った場面がいくつかありました。
そもそも今回見学したワークはいずれも出たところ勝負のような内容のワークなので、先生が実際にやって見せることには、ひょっとしたら失敗するかもしれないというリスクが伴います。ここで、普段学校で生徒たちを評価する立場にある先生はそのリスクを取ることを無意識のうちに避けているのかしれないと推測しましたがどうでしょうか。しかしそこで先生がリスクを省みずにやってみせることで初めて生徒たちに伝わるものもきっとあると思います。
アメリカの教育学者のウィリアム・ウォード(1921-1994)は「平凡な教師はただしゃべる。良い教師は説明をする。優れた教師はやってみせる。偉大な教師は生徒の心に火をつける」と言いました。先生自らがやってみせ、そして生徒たちの心に火をつけることができたらグループワークはもう半分以上終わったようなものです。生徒たちはきっと進んで意欲的にワークに取り組むでしょうし、結果的にそのことは先生方を助けることにもつながるのです。
中学校1年生の11月の授業「5つの扉」「お見立て」「私は有名人」を参観してきました。担任は若い先生でしたが、要を心得たインストラクションでうまく進行されていました。生徒たちの反応もとてもよく、みんな笑顔でワークに取り組んでいました。特に「お見立て」「私は有名人」では「なり切り感」が素晴らしく、単に課題をこなすのではなくその人になり切って楽しむ体験ができていたと感じました。
一方、先日の投稿でも指摘しましたが、インストラクションで先生が実際に自分でやって見せる場面はなく、リアリティの伝わり方では少し物足りなさを感じました。※
この辺りのことについては今週末(11月30日)発行の茨城新聞「茨城論壇」に書かせていただきました(発行後【茨城論壇】のページにアップします)。
他方、都合で参観できなかった昨日の他校の授業では担任の先生と学年主任の先生が熱のこもった「掛け合い」(多分「私は有名人」)をされ、生徒のやる気が一気に盛り上がったと聞きました。見てみたかったです。
特性の生徒の対応をされていた支援の先生の「これ(「私は有名人」)、大人がやっても面白い!」という感想も嬉しかったです。
※書籍本文には「以下の手順を、一度全員の前で演じます」と繰り返し記載してあります。