2023年4月から茨城新聞【茨城論壇】に連載してきたコラムも今回が最終回です。
グループワークをテーマとして書いてきましたこの連載も今回が最終回です。現在、拙著に基づき、多くの学校で毎月1回、年間計10回のグループワーク授業が実践されています。最終回に当たり、それらの学校の中から茨城大学教育学部付属中学校(実施学年1〜3学年)、水戸第一中学校(同1〜3学年)、藤代南中学校(同1学年)にお邪魔して、生徒さんと先生方にお話を伺ってきました。
まず、生徒さんも先生方も「楽しかった」「もっとやりたい」という声がほとんどでした。生徒さんでは「他クラス・学年全体でもやりたい」「来年もやりたい」「高校に行ってもやりたい(3年生)」という声がありました。友だちが増える、友だちを理解できる、男女の仲が良くなる、などといったことがその理由です。
先生方からも「子どもたちの表情がいい」「人間関係が築かれ、変容していく」「男女の壁がなくなる」といった声がありました。また近年のコロナ禍により経験の幅が限られていた子どもたちの人間関係を拡げることに効果的だったという声も多くありました。さらに中1での実践は「いい中学校生活のスタートが切れる」「小規模小学校出身者が新しい環境になじむのをサポートしてくれる」という声がありました。
また、先生方は必ずしもグループワークの実践経験が豊富だったわけではなかったのですが、水戸一中、藤代南中では実施に先立って先生方対象のワークショップを開催したことが効果的だったようで「紙に書かれたものを読むのと実際に体験するのは全く違う」という声が多くありました。これはいわゆる「グループワークあるある」で「やってみないと分からない」ということです。さらに、先生方からは他の人にファシリテーター役を務めてもらえれば、自身が生徒と一緒に活動することができ、生徒と新しい関係を築いていくことができそうだ、という声もありました。確かにそれは魅力的です。
生徒さん、先生方含めて特定のワークに偏ることなく、多くのワークについて言及がありましたが、意外なところでは、ワークで小グループをつくる際にしばしばトランプを使って小グループをつくり、授業途中でトランプを交換してグループをつくり直すのですが、それが人間関係を拡げる、という思わぬ効用の指摘もありました。
校長先生からは、こんにち、対話的・主体的な学びの推進が求められている中で、グループワークは学びの前提となる協調性を育ててくれるというご指摘や、従来は先輩教員が学級経営力を高めるための経験則を若手に伝えていたが、グループワークがそれをカバーしてくれるというお話もありました。確かにグループワークのファシリテートは正しく「集団指導」なので、結果的に先生方の学級経営力を育てることにつながります。
不登校については欠席状態の生徒さんはそもそも参加できないことが以前より課題となっていましたが、各校共、不登校生徒の新規発生をかなり抑えることができているとのことで、活動を継続していくことで将来的に全体数を大幅に減らすことが可能であると考えられました。
学校は子どもたちが集まる場所です。そこに集まった子どもたちの人間関係をグループワークで活性化することで多くの効果が得られます。4月になるとまた新学年・新学期が始まりますが、「始業式の後にグループワークをしたのが良かった」という声があったことを紹介して、連載を終えたいと思います。
