3者3様・・シャンボール・ミュジュニーの美酒3本 | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

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テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

  

 

左から

ダニエル・モワーヌ・ユドロ シャンボール・ミュジュニー 1er レ・ザムルース 2002

購入日    2005年4月
開栓日    2019年9月
購入先    川端酒店
インポーター AMZ
購入価格   10,800円(税別)

 

ドメーヌ・フーリエ ヴージョ 1er レ・プティ・ヴージョ 2004

購入日    2013年4月
開栓日    2019年10月
購入先    フィッチ
インポーター クラレット
購入価格   10,300円(税別)

 

ヴァンサン・ジャニアール シャンボール・ミュジュニー 1er レ・クラ 2010

購入日    2013年2月
開栓日    2019年10月
購入先    ウメムラ
インポーター ヌーヴェル・セレクション
購入価格   4760円(税別)

 

秋になって学会シーズンになったが、9月に学会発表のため2日間休診にしたら

あとが大変だった。

開業後19年目で受診患者数を更新することになり、体力の消耗が著しい。

 

しかも今からまたプレゼンの嵐で、今週の超音波医学会の講習会で講演するし、

来週はWebで生で講演、その後学会発表がまた2つ、その後は出張講演が11月に2つという

スケジュールで、雑誌の原稿依頼も来ているので非常に忙しい。

まあ自業自得だが毎日酒は飲んでいる。

 

ちょっと涼しくなったので、ピノ・ノワールを開けたくなってきた。

偶然だが上記のワインの畑の位置は近い。

高低差のことは詳しくないが、レ・ザムルースはミュジニーの東側の斜面にあり、

プティ・ヴージョはザムルースの南に接する位置にある。

一方レ・クラはボンヌ・マール寄りの斜面の上の方の畑である。

 

上記のワインの1本目は、先月ラブワインさんと緑家さんがやって来られた際に

開けたもので、購入してからはや14年である。

これと同時に購入した同じワインの1986または1988(どっちか忘れた)を開けた

ことがあるが、もっと線が細くて酸が立っていたと記憶している。

 

それに比べるとこのワインは重々しく、香りもくぐもっており、何より酸が足りない。

緑屋さんはこれを「細マッチョ」と表現され、ミネラルの豊かさを感じ取っておられた。

このあたり流石だと思うが、個人的な好みからは、開栓が10年早かったかと反省する。

 

たしかこの造り手の畑は誰かに売却され、違う名前で出ていると思うが、

良年される2002より86/88の方がずっと繊細で、

レ・ザムルースという畑のイメージに近かった。

この畑は特級に近いと言われるものの、昨年開けたグロフィエも襟足が重かったし、

なかなか気むずかしい存在である。

 

次のフーリエだが、このワインも自分の好みからは飲み頃はもう少し先である。

1級らしい風格はありそつなくまとまっていて、ミネラル感も豊かだが、酸が少し足りない。

香りも魅力的とは言っても決して蠱惑的とは言えない。

そして少し残念なことに、翌日にはわずかに落ちる。

 

ヴージョはレ・ザムルースの下に位置するので、確かに全体の特徴は似通っている。

ラブワインさんだったら、ヴージョと言い当てたかも知れないなあ。

 

このワインの最近のヴィンテージは高くなりすぎてとても買えない。

今調べてみたら、2016〜2017は30,000円近い値が付いている。

フーリエには安定感があるが明らかに過大評価だ。

そこまで出して求めるワインではない、と言っておこう。


そして3本目のヴァンサン・ジャニアールのレ・クラだが、これが素晴らしかった。

好みのど真ん中のワインに出会えたのは実に久しぶりだ。

まさに赤い小さな果実のエッセンスで、軽やかで舞い上がる酸が美しい。

「薄衣を纏ったたおやかな美女」という形容が相応しい。

 

この畑は今どうなっているのか調べてみたら、下記のような記載が見つかった。

 今日、レ・クラの所有者は5人で、ジョルジュ・ルーミエ、ジスリーヌ・バルトー、

 ユドロ・バイエ、ディジョン在住の地主グライヨ氏(ヴァンサン・ジャニアールに

 フェルマージュ。フレデリック・マニャンにはヴァンサン・ジャニアールが葡萄で販売)、

 イギリス人のティム・マーシャル(メオ・カミュゼのネゴシアン部門に葡萄を供給)です。

 

フェルマージュの意味が不明なので調べてみたら、下記の記事があった。

 中世後半期にフランスで成立した小作制の一形式。定額小作制と訳される。

 メテイヤージュ  (分益小作制) と対比される。収穫の豊凶にかかわりなく,

 一定額の地代を支払い,種穀,農具,家畜が農民側の負担である点に特徴がある。

 

要するにヴァンサン・ジャニアールは小作人であり、

8人兄弟でレミ・ジャニアールの弟らしい。

現在この造り手のワインはネット上でほとんど引っかかってこないが、

今はどうしているのだろう。

 

同じ時にジョルジュ・ルーミエのレ・クラ2007も併せて購入した。

開けたかどうか記憶にないが、価格は当時でもこのワインの3倍以上であった。

 

ワインとの出会いは一期一会であり、かように怪奇なものである。

2本買ったので、もう1本あったかなあ、このワイン。

どこにあるか分からないが見つかったら嬉しいなあ。