フィリップ・ルクレール マール・ド・ブルゴーニュ | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

フィリップ・ルクレール マール・ド・ブルゴーニュ

 

学会出張を3回こなしたあと、特に理由はないが何となく元気がなかった。

仕事は忙しいがだんだん気が短くなっており、ときどき患者さんにキレたりして、

あとで反省している。

 

「何でそれで患者が減らないのか、不思議で仕方がない」と家内は言うが、

大阪の名割烹Mのカリスマ親父さんも、

「気に入る客だけ大事にする」などと笑いながら言っておられる。

それで予約が取れない店になっているから、通じるものがあるかも知れない(ウソ)。

 

この年になると、同じ年代の人間が寄ると病気と年金の話になる。

昨日も鳥取県米子市から、小学校1年のときの同期生・最も古い友人が

予告もなく突然診療所にやって来てくれた。

 

小学生の時たった1年だけの付き合いだったが、今まで交友が続いている。

といっても会うのは20年ぶりだが。

京都に夫婦できたついでに寄ってくれたのだが、こういう友人は得難いのもので、

とても嬉しい。

 

非常に元気そうだが最近大病をしたそうで、今のうちに会いたい人とは会っておきたい

と言っていた。

この年になるとお金より時間で、その気持ちはよく分かる。

 

わたしは元から大阪の家の人間だが、父親が米子の病院に赴任していて、

8歳まで米子で育った。

彼を含めて米子にはまだ小学校時代の友人が2人いて、

大阪の気風と米子とではかなり違うのかも知れないなあ、とふと思う。

 

 

さて、珍しいブルゴーニュのマールだが、この夏にブルゴーニュを旅行された知人が、

ドメーヌで購入してきてお土産に頂いたものである。

地下の貯蔵庫から泥がついたまま出してきたので、瓶に泥がついているため、希少感が溢れる。

NVだが、1970年代に瓶詰めされたものらしく、コルクも相当年をとっている。

 

調べてみるとネット上でも手に入らなくはないようだ。

しかし、おそらくもっと新しいヴィンテージのものだろう。

 

ルクレールはジュブレ・シャンベルタンのドメーヌで、どちらかといえば

土臭くて洗練されていないイメージがあるのだが、このマールはブドウのエッセンス

そのものだ。

 

もちろんストレートで飲むのだが、ぐいぐいやると食道癌になりそうで、

毎年検診に行く際にビクビクするから、少しずつ舐めながら楽しんでいる。

 

普通のブランデーより繊細で線が細く、洗練度が高く糖度が低い。

「あ〜これ、ピノ・ノワールやなあ」感が口内から溢れ出て、幸福感に浸る。
ある意味、これはピノ・ノワールからできた芸術品である。