旧ミネラル研究会 | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

 

 

 

シェーンレーバー ハーレンベルク リースリングGG 2008  サロン97

 

ドメーヌ・アルマン・ルソー ジュブレ・シャンベルタン 1er クロ・サン・ジャック 2004

 

旧ミネラル研究会はラブワインさんの命名で、リースリングやシャンパーニュのミネラルが

いかにワインにとって重要かを研究することを目的とした、単なる飲み会である。

美味しいものを食べてワインを飲むというだけなのだが、会話の内容がぶっ飛んでいて、

普通の人が参加したらほとんど外国語でしゃべっているとしか聞こえないであろう。

 

仕事の話は一切なし。

料理の話題もほとんどなし。不味い場合以外には。

だからワインを持ち込ませてくれる良い店でしか開催できないのである。

 

今回の開催日は10月8日、会場は予約の取れないポワンだったが、

3日前に突然ラブワインさんから参加しませんか、というメールが来た。

大阪の友人と行く予定だったが、相方の都合がつかなくなり、緑家さんとわたしに連絡した

とのことだった。

 

同日は寝屋川市医師会の勉強会に演者で呼ばれていて、午後2時から1時間ほど講演したあと

電車に飛び乗って本町のセントレジスホテルのフレンチ「ル・ドール」に駆けつけ、

34人の大会合にお茶だけ飲んで参加して、午後7時にポワンに行った。

我ながら忙しいことである。

 

ル・ドールでは、どうして食事をしないのか周りから不思議がられたが、

「このあとミネラル研究会があるので」とも言えず、

ホテルの人にも「明後日また来るからゴメンナサイ」とだけ言っておいた。

 

会の詳細はラブワインさんと緑家さんがすでにアップされているので省略するが、

このメンバーとワインを飲むといかに自分が凡庸で、いい加減なワイン飲みかというのがよくわかる。

2人の話を聞いていると、自分は感性も知識も経験も不足していることが痛感されるし、

ワインへの情熱も足りないと思う。

と同時に、自分が一番ノーマルな常識人だと思ってホッとするのである。

 

今回のテーマはサロンがいかに高い値付けか、飲んで馬鹿にするはずだったが、

これまでに開けたサロンの中でも出色のボトルで、「なかなかええやないの」という結論に至った。

97だからすでに古酒だが、ひねた感じはなくミネラルたっぷり。

価格は高すぎるが、今でも飲み頃ではある。

しかしこれを1本買うなら、普段飲みの泡を8本くらい買う方が良いとは思う。

 

サロンに先立って緑家さんのシェーンレーバーGG 2008を開栓した。

長い長い余韻に圧倒される。

これにペトロール香があるのか無いのか、2人で議論されていたが付いていけない。

大家緑家さんによれば、熟成したリースリングに現れるペトロール香が微かに感じられるという。

 

リースリングは新酒が旨いが10年ものも絶品であるということはよく分かった。

こんなリースリングはどこにも売っていない。

緑家さん、また飲ませてくださいね。

 

わたしが持ち込んだルソーのクロ・サン・ジャックだが、ブラインドで供してもらった。

緑家さんが

「仄かな土っぽさを感じるから、ジュブレではないか」と言われたのにも驚いたが、

ラブワインさんが

「ラボー渓谷の涼しい風、標高の高い冷涼感、クロで囲まれて冷え過ぎることのない

 ブドウの成熟度、しかしクロで囲まれてるって事は自由の束縛でもある訳で...

 注意して飲んでるとその辺の閉塞感にも気がつく」

などとおっしゃり、クロ・サン・ジャックであると当ててしまわれた。

 

そばにいたソムリエの斎藤さんが、呆れた顔をして絶句していた。

まさに驚異というほかない。

 

こういうおかしな飲み手たちを目の前にすると、もはや対抗心とか羨望とかいう

浅ましい感情は起こってこない。

「ああ、自分は普通の人間でよかった。高いブランドもののワインなんか開けなくていいや」

と安堵の気持ちが浮かんでくる。

 

しかし面白いことに、わたし以外の2人とも「自分が一番まともだ」と言われるのである。

病識がないと言うべきなのだが、3人とも他の2人は病識が低いと思っているのがご愛嬌だ。

この場にUTAさんがおられたら、3人とも変だと思われたのは間違いない。

 

得難い貴重な時間であった。

本当に面白かった。またこんな機会を持ちたい。