ピノのエッセンス・・グロのオート・コート | ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~

テロワールにより造り手により 変幻の妙を見せるピノ・ノワールの神秘を探る

ワインな日々~ブルゴーニュの魅力~
ミシェル・グロ オート・コート・ド・ニュイ 2004
購入日    2007年1月
開栓日    2011年3月6日
購入先    河野
インポーター ラック・コーポレーション
購入価格   2500円

震災のテレビとネット情報を見ているだけで鬱になりそうだが、
一刻も早く被災地に温かい春が来るのを望むばかりである。

それにしても年明け以来、次から次へと片付けるべき仕事が湧き出てきて、
気分的にいつも何かに追われているようで落ち着かない。
まあ、それが日常だと言えばそうなのだろう。

年始に、教育プログラムのテキスト原稿約30枚を数日で書き上げた。
次いで、雑誌の特集の編集で、25項目程度の原稿タイトルと執筆者を決め、
出版社から原稿依頼が行ってホッとしたところ、2名の先生方が執筆を辞退された。

どうも人間関係が薄い先生ほど、承諾して頂くのが難しくなるようだ。
辞退された先生の1人は、面識がない精神科の教授だったし、
もう1人の先生も2度お会いしただけの先生だった。

そこで先週末、自分の膝元の准教授を博多で捕まえて執筆を頼み、
一昨日には旭川医大まで自分で電話して教授を捕まえ、何とか執筆を頼み込んで一息ついた。
やはり持つべきものは人脈である。

この間、大阪と山形と西宮で講演し、地元千里では市民公開講座を企画・実行したし、
仕事とワイン会のため東京にも2回行ったし、博多にも行ったし、
今でも来月に2回の講演予定を抱えている。

またまた先週、ようやく資料を全部揃えて確定申告を済ませた。
毎年会計士さんの顔を見るのが怖いのだが、
昨年は設備費に大枚を投じた結果、追徴の税額に目を向くことはなかった。

おかげで今年は、過激なワインオタクの会計士さんから、
接待交際費が少ないですね、とか、もっと高いクルマに買い換えなさい、とかいう
家内が聞いたら怒り出すようなアドバイスを受けずにすんだ。

この間、今年が最後の学年となる看護学校の講義を済ませ、昨日ようやく
試験の採点をして学校に結果を送付した。
この看護学校とはもう10年の付き合いになるが、忙しくなったので
代理の先生を見つけて、交代してもらうことになったのだ。

過半数が高校卒業後すぐの学生で、平均年齢23歳、女性が8割の看護学生に
講義をしなくなるのは、正直言って少し寂しい。
解答用紙に「先生、面白い講義をありがとうございました」などと書いてあるのを見ると、
辞めない方がよかったかな、とちょっと思ってしまう。

忘れていたわけではないが、昨日になって3月が締め切りの専門医の更新の
催促状が学会から届き、不明点を学会事務局に電話で問い合わせるなどして、
何とか間に合わせるべく、努力中である。

昨晩は、1週間ぶりに新地を訪れ、まいどの副院長がご贔屓の「石和川(いわがわ)」で
まいどの事務局長と西宮の大先生との4人で会合を持った。

その後久しぶりに、「美しき魔物・Sさん」が棲むクラブ「A」を訪れた。
本当はこの店の写真をアップするのがブログとして良いとは思うが、
時期が時期でもあるし、またの機会にしておこう。

あまりクラブに行く機会はないが(先週も博多で行ったけれど)、
こんな高級店での時間を楽しめるようになったとは、年を取ったものである。


さて、ミシェル・グロの最も安いワインがこれ、もしくはACブルゴーニュである。
この2つの裾ものの違いを論じても仕方がないかも知れないが、確かに微妙に異なる。

オート・コート・ド・ニュイの方がスリムで酸味が強く、神経質であって
早めに開栓すると酸っぱくて飲みづらい。
これに対し、ACブルゴーニュの方は個性に乏しく、無難なものに仕上がっているようだ。

久しぶりにこの銘柄を開けてみたが、新たな発見はない、とばっさり言ってしまうほど
つまらないワインではない。
グロ自身が、この畑に最も手がかかる、と友人に直接言っていたそうだが、
この1本を開けて、なるほどなあ、と思った。

3日目には弱々しくなってしまうが、開栓後数時間がピークで、
翌日は少し落ちる程度である。
痩せてはいるがシャープなベリー系の香りがあり、小さな赤系果実のエッセンスが詰まっている。
べったりした甘さとは無縁で、余韻も長くはないが上品で毅然としている。

今では2000円を超える価格になってはいるが、それでもこのピノ・ノワールの魅力が
凝縮したワインを経験できるとなると、高いとは思わない。

ACブルゴーニュの中途半端さより、こちらの気高さの方が好感が持てる、と思った。
相変わらず、音楽もワインも俗受けしないものに走る傾向があるようだ。